ラスボスドラゴンを育てて世界を救います!〜世界の終わりに聞いたのは寂しがり屋の邪竜の声でした   作:犬型大

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狙う相手を間違えた5

「よしっ!」

 

 ファイヤーゴーレムを一体撃破した。

 

「ぶわっはっはっー!」

 

「……あっちは大丈夫そうかな」

 

 トモナリは素早く周りの状況を確認する。

 ボスファイヤーゴーレムと戦う二年生の方は戦いを順調に進めていた。

 

 普通の個体よりも激しく炎が噴き出していて、かなり戦いにくそうにはしているが、少しずつコアの位置を探っている。

 もう一体のファイヤーゴーレムの方も意外と上手くやっている。

 

 サーシャがファイヤーゴーレムの攻撃を引きつけつつ、一年生たちも攻撃を加えて注意を分散させてサーシャばかりに負担にならないようにしていた。

 一年生も思っていたよりも上手く戦っているなと感心してしまう。

 

「……時間切れなのだ!」

 

 ポヒュンと音がしてヒカリが小さいサイズに戻ってしまう。

 ヒカリもずっと大きくなっていられるわけじゃなく、ある程度の制限時間がある。

 

「ぬおっ!? 妾も戻ってしまうのか!?」

 

「ルビウスたちも連動……してるのか」

 

 ヒカリと同時にルビウスとエドも小さくなってしまった。

 やはりルビウスたちもヒカリと多少繋がっているようだ。

 

「今はそんなことより加勢しなきゃな」

 

 ヒカリが戻ってしまうことは分かっていたことだ。

 ルビウスたちも同じく戻ってしまうこともなんとなく予想はしていた。

 

 なので特に驚くようなこともない。

 トモナリはサーシャたちの方に加勢に向かった。

 

「先輩!」

 

「やっときた」

 

「まだそんな時間経ってないだろ?」

 

 トモナリがファイヤーゴーレムの頭を切り飛ばす。

 ファイヤーゴーレムの首から炎が噴き出しているので、コアは頭ではなさそう。

 

「右足は違う」

 

「了解! ミヤマエとタンノで右から攻めろ!」

 

「うっす!」

 

「分かりました!」

 

 トモナリはサッと指示を出して戦いに加わる。

 

「パーンチ! ぬぐぅ! この大きさではやはりダメなのだ!」

 

 ヒカリがファイヤーゴーレムを殴りつける。

 パチンとしたパンチはファイヤーゴーレムにほとんどダメージを与えることがなかった。

 

 トモナリを中心としてファイヤーゴーレムと戦い、二年生組がボスファイヤーゴーレムを倒すのとトモナリたちが取り巻きファイヤーゴーレムを倒すのはほとんど同時なのだった。

 

「あっつ!」

 

「戦いよりも熱さの方が辛いな」

 

 ミズキやユウトは汗だくになっている。

 普通のファイヤーゴーレムも熱いのに、ボスファイヤーゴーレムはより熱かった。

 

 体も動かしているし、ファイヤーゴーレムから発せられる熱で全身汗をかいていた。

 

「おっと、ボスで最後だったみたいだな」

 

 ゲートが閉じる表示が目の前に現れる。

 時間は三十分。

 

 今すぐ閉じるというわけではないが、少し焦るぐらいの短さである。

 

「……みんな、怪我はないね?」

 

 コウはトモナリを見て、トモナリはコウを見る。

 このゲートにおいてリーダーはコウだった。

 

 最後まで責任を持つならコウがやるべきだ。

 コウもトモナリの意図を察したように頷いて自分の役割を果たし始めた。

 

 ーーーーー

 

「ハァ……シャワー浴びたい」

 

 ミズキは深いため息をつく。

 ファイヤーゴーレムはあまり汚れる相手ではないと思っていたのだけど、そんなこともなかった。

 

 特に接近して戦うミズキやユウトは、ファイヤーゴーレムを攻撃して破壊した瞬間に細かく砕けた破片を被っていた。

 汗をかいたボスファイヤーゴーレム戦なんかでは、汗に細かい破片が混ざって薄汚くなってしまっている。

 

 タオルで拭いたりはしたけれど、やっぱりちゃんと綺麗にしたいというのが乙女心だった。

 

「もうEクラスゲートなら余裕がありそうだな」

 

 二年生たちならばDクラスゲートに挑んでも十分に攻略可能だろう。

 入学時に理想としていた成長スピードに全員上手く乗れている。

 

 これなら卒業後引く手数多だろうし、どこに行っても活躍できるだろう。

 

「やっとホテル着いた!」

 

「今日明日はゆっくり休んで、明後日にはまた別のゲートに移動だね」

 

「あーあ、めんどくさい!」

 

 もう一箇所攻略しなきゃならないゲートがある。

 一日で攻略できたのでスケジュールにも余裕があるが、やらなきゃいけないと思うと面倒なものである。

 

「‘すいません!’」

 

「‘んん? どうかしましたか?’」

 

 バスから降りたトモナリたちに二人の男性が近づいてきた。

 服装を見るに地元の警察官のようである。

 

 マサヨシが対応する。

 

「‘ご協力いただきたいことが発生しまして……’」

 

「‘ゲートですか?’」

 

「‘いえ、実は……覚醒者が’」

 

 覚醒者に協力してほしいことなどゲートが発生したからモンスターが現れたぐらいだと思ったが、警察官の言葉の端切れは悪かった。

 

「‘脱獄犯が一人、この町に’」

 

 警察官の顔色も悪い。

 

「‘通報を受けて調べたところレベルスリーの犯罪者が堂々と……近くに他に覚醒者もおらず、我々では対応ができません。本部に相談したところ皆様に相談してみたらどうかと……’」

 

「‘なるほど’」

 

「なあ、何話してんだ?」

 

 みんなもホテルで休みたいが、何か緊迫した空気を感じてその場に留まっていた。

 ただトモナリやコウなんかの一部を除いて言葉が分からないので、何を会話しているのかよく分かっていない。

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