ラスボスドラゴンを育てて世界を救います!〜世界の終わりに聞いたのは寂しがり屋の邪竜の声でした   作:犬型大

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幻想と戦って1

「以降世界中にゲートが出現して……」

 

 覚醒者として戦えることも必要である。

 一方でしっかりとした知識というのも必要になってくる。

 

 覚醒者、あるいはゲートなどの知識を学ぶ座学も受けねばならない。

 ゲートが始まったきっかけ、99個の試練ゲート、試練ゲートと通常のゲートがあることなど先生がつらつらと黒板に書いて説明していく。

 

 正直暇な授業である。

 ヒカリはリュックの中に戻って寝ている。

 

 トモナリも一度経験して知っている知識なので真面目に聞くつもりはない。

 ただ一応テストにも出るので軽く聞いて軽くノートには残しておく。

 

「ふぅ……先生の授業も悪いよな」

 

 面白みがないというと少し悪く聞こえるかもしれないが淡々と読み上げて淡々と教えられると眠気を誘発される。

 面白おかしく授業しろとまで言わないけれどもう少し授業にも濃淡のようなものが欲しい。

 

「次は体育か。ヒカリ、いくぞ」

 

「うにゅー……抱っこ」

 

「分かったから早く」

 

 寝ぼけまなこのヒカリを抱えてトモナリは次の授業の場所に向かう。

 次は体育なので体育館である。

 

 学校の中でヒカリを出していても堂々としていれば特に何も言われない。

 初見の人は驚いた顔を見せるのだけど噂になっているのか驚くような人も少しずつ減ってきている。

 

 体育館横にある更衣室でジャージに着替えて生徒たちがザワザワと待っていると先生がやってきた。

 こういう感じは普通の学校と変わりがない。

 

「いいか、たかが体育だと思うな。君たちにとっては非常に重要な科目である」

 

 初日は体力テストを行う。

 普通の学校でも体育は一般的な科目であるがアカデミーの一年生にとっては多少意味を持ってくるのだ。

 

「君たちは覚醒した。そのことの意味を考えたことはあるか?」

 

 先生の問いかけに生徒たちは肩をすくめる。

 覚醒したことの意味とはなんなのか質問が大きくて答えが分からない。

 

「つまり君たちは力を得たということだ。普段は力を使わないので感じないかもしれないがこれまでと君たちは確実に変わったのだ。体育では体を動かしていく。その中で自分の体に起きた変化を理解して、変化に慣れていってもらいたい」

 

 例えば覚醒した分力が強くなる。

 普段は特に何もないかもしれないが、いざという時に力加減を間違えて何かを壊したり誰かを傷つけてしまう可能性がある。

 

 体育という科目を通して体に起きている変化を理解して、それをコントロールする術を身につける。

 ただの体育ではなく、目的を持って体を動かす必要があると先生は言うのだ。

 

「まずは走ってもらう。俺の言っていたことが分かるだろう」

 

 先生に言われて体育館の中をみんなでグルグルと走り始める。

 それだけでも驚く生徒は多かった。

 

 実際走ってみると体が軽い。

 覚醒する前と比べて明らかに楽々走れるのだ。

 

 さらに走っていくとさらに驚く。

 体が軽いので覚醒前よりも速いペースで走っているのにそれでも長く体力が持っている。

 

 速く長く走れるようになった。

 これが先生の言う体の変化なのかとようやく納得した人も多かった。

 

 魔法使い系統の覚醒者だと変化は小さいけれどそれでも全体的な体力の向上は感じられるぐらいである。

 

「特進クラスということで今回は最新の技術を使った戦闘訓練のお試しをしてもらう」

 

 一通り体力テストを受けた後次の授業は特進クラスの特別プログラムだった。

 戦闘訓練授業と銘打たれていて、より実戦的な戦いについて学んでいく授業となっている。

 

 ただまだ戦い方も学んでいない生徒たちをモンスターと戦わせるのは危険である。

 そのために今回はモンスターという存在に慣れさせながらも実際どのように戦っていくのかを学ぶ入り口を学ぶこととなった。

 

「覚醒者の中には魔力を使ってリアルな幻影、いわゆるホログラムのようなものを発生させる力を持った人がいる。そんな人の能力を人工的に再現した機械がこのホログラム戦闘部屋だ」

 

 副担任のイリヤマが授業の説明をしてくれているけれどいまいち分かりにくいなとトモナリは思った。

 

「実際に体験してもらった方が簡単だろう。誰かやってみたいものはいるか?」

 

「ん!」

 

「おっ、アイゼンか」

 

「えっ?」

 

「やるぞ、トモナリ!」

 

 誰も手を上げない中、一人だけ手を上げている存在がいた。

 正確にいえば一人ではなく一体というべきか。

 

 手を上げていたのはヒカリだった。

 ヒカリとトモナリは一体として見られている。

 

 ヒカリが手を上げたのならそれはトモナリが手を上げたことになる。

 

「みんなは隣の見物室に。アイゼンはこの部屋の中に」

 

「……しょうがないか」

 

 どうせみんな経験することになるし早めにやってもいいだろうとトモナリはホログラム戦闘部屋に入る。

 真っ白な壁に囲まれた部屋で一面がガラス張りになっていて他のみんながそこからトモナリのことを見ている。

 

 そして入口がある側に操作盤のようなものといくつかの武器が置いてあった。

 

「好きな武器を取れ」

 

「じゃあこれを」

 

 トモナリは壁にかけられていた木刀を手に取った。

 道場で使っていたものよりもやや軽いけれど他の武器よりは手に馴染む。

 

「それではいくぞ」

 

 イリヤマが操作盤をいじると耳鳴りにも似た甲高い音がしてトモナリの目の前にモンスターが急に現れた。

 ガラスの向こうで他のみんなも驚いている。

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