ラスボスドラゴンを育てて世界を救います!〜世界の終わりに聞いたのは寂しがり屋の邪竜の声でした   作:犬型大

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初めてのゲート攻略1

 座学で知識を得つつ体育や武術の授業で体を動かし、アカデミーが捕まえてきたモンスターを安全に倒してモンスターに慣れつつレベルを少し上げた。

 クラスの多くの生徒がレベル5になったのでそろそろ実戦で戦うことになった。

 

 実戦というとゲートでモンスターと戦うことになるのだけどそこらへんにゲートがあるわけじゃない。

 アカデミーも授業があるのでそうそう遠征もしていられない。

 

 ただ今回はたまたまアカデミーからそう遠くない距離にちょうどいい難易度のゲートが出現した。

 アカデミーがゲートの攻略権を買い上げて一年の特進クラスの生徒たちが経験を積みながら攻略することになった。

 

「き、緊張するね……」

 

 行きのバスの中は比較的軽い雰囲気でみんな遠足に行くみたいにワイワイとしていた。

 けれどゲートが近づくにつれてバスの中にもほんのりと緊張感が漂ってきていた。

 

 通路を挟んでトモナリの隣に座るミズキも流石に緊張している様子だった。

 

「おぉ〜速いぞぉ」

 

 対してミズキとは逆、トモナリの隣に座っているヒカリは窓の外を見ながらブンブンと尻尾を振っている。

 バスの速さで流れていく景色が面白いらしい。

 

 ヒカリの座席の足元には小さめのリュックが置いてある。

 ヒカリでも背負えるぐらいのものでヒカリ用にトモナリがあげたものだった。

 

 そのリュックは今お菓子でパンパンになっている。

 ヒカリが持ってきたものもあるのだけどお菓子の多くはみんなからヒカリに献上されたものだった。

 

 今や撫でなくともヒカリにお菓子をあげるのがみんなの中での普通となっている。

 喜んで食べてくれているだけでもほんわかするらしい。

 

「そろそろ到着するぞ!」

 

 バスでアカデミーから走ることおよそ2時間、森の中でバスが止まった。

 ただここはまだゲートではない。

 

 ここから先はバスで入っていけないのでゲートまで歩くことになっている。

 

「事前申請していた武器を配布する。本物の武器だから扱いには気をつけるように」

 

 生徒たちの多くはまだ覚醒者として活躍するかも分からないので自分の武器など持っていない。

 拳王のタケルならともかく多くの人にとって武器無くしてモンスターと戦うことなどできない。

 

 そのためにアカデミーから武器や防具などの装備が貸し出されることになっていた。

 剣、槍などを始めとして魔法使いの子たちには杖や魔力のコントロールを補助してくれるアクセサリーなども貸し出されている。

 

 トモナリが選んだ武器は剣だった。

 刀とちょっと迷ったのだけど剣の方が汎用性が高く今後も基本的には剣を使うだろうことを考えた時に剣を選ぶことになったのである。

 

「トモナリ、悪い、後ろ締めてくれないか? 少し緩くて」

 

「ああ、いいぞ」

 

 配られた防具はやや簡易的なもので、防刃性の高い布で作られたチョッキのようなものを始めとして手甲や肘当てなどがある。

 防御力としては金属製のものに劣るけれど軽くて動きの邪魔になりにくい。

 

 普通の装備よりも生産がしやすくて値段も安価である。

 トモナリに声をかけてきたのは同じ特進クラスの三鷹裕斗(ミタカユウト)という青年で、男の中でも一番早くトモナリに声をかけてきた相手だった。

 

 以来よく話すので普通に友人となっている。

 

「これでどうだ?」

 

「いい感じ。あんがと」

 

 防具が緩いと外れたり隙間から攻撃が差し込まれたりする。

 しっかりと体に合わせて装着する必要がある。

 

 トモナリがユウトの防具をキツめに締めてやるとユウトは体を軽く動かして具合を確かめて親指を立ててニカっと笑った。

 

「……クドウ、それじゃダメだ」

 

「そう?」

 

「締めてやるからこっちこい」

 

 トモナリがふと見たサーシャは装備がぶかぶかとしていた。

 体格が小さいサーシャはそのまま身につけても装備の余裕が大きくなってしまう。

 

 ただ外して調整してまた着けてというのも面倒な作業になる。

 着けたままで調整するのは意外と難しいので誰かにやってもらうのが一番。

 

 しかしサーシャはあまり友達も少なくみんな声をかけていいのかためらっていた。

 

「ほら」

 

 トモナリがサーシャの装備を締めてやる。

 クラスの中でも強いのがサーシャなのだけど体つきは思っていたよりも細い。

 

 こんな体で聖騎士としてみんなを守っていたのかと感心してしまう。

 

「まだ?」

 

「あ、ああ、どうだ?」

 

「……ちょっとキツイかな?」

 

「少しキツイぐらいがいいんだ」

 

 身を守るものなので体にピッタリと密着している必要がある。

 

「トモナリ君が言うなら」

 

 もう少し緩い方がサーシャの好みであるけれど覚醒者としての感覚はトモナリの方が優れていそうなことは認めていた。

 多少キツイ方がいいと言うのならそうなのだろうと素直に受け入れた。

 

「見て見てトモナリ!」

 

「似合ってるじゃないか」

 

「えへへぇ〜」

 

 ヒカリには基本的に装備は必要ないのだけどなぜか特別にヘルムが用意されていた。

 割とかっこいい感じのデザインのものでヒカリも嬉しそうに装備している。

 

 どうやらマサヨシが用意したものらしい。

 

「それではゲートに向かうぞ」

 

 装備を身につけ、武器と荷物を持ってゲートに向かって歩き出す。

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