ラスボスドラゴンを育てて世界を救います!〜世界の終わりに聞いたのは寂しがり屋の邪竜の声でした   作:犬型大

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初めてのゲート攻略3

「おっ、トモナリと一緒か。それなら安心だな」

 

 実はユウトも8番で同じ班だった。

 戦士が職業のユウトはベーシックなロングソードを腰に差している。

 

 ユウトはトモナリにとって他の人よりも仲が良いので一緒の班であるとありがたい。

 人懐こい性格をしていて嫌なところがないのでミズキやサーシャもユウトのことは悪く思っていない。

 

「後1人は……」

 

「僕も8番です。よろしくお願いします」

 

「クロサキか。心強いよ」

 

「こちらこそアイゼン君と同じでラッキーだ」

 

 最後のメンバーは黒崎皇であった。

 トモナリはコウのことも比較的好意的に見ていた。

 

 融通の利かないところはあるものの真面目で勤勉な性格の持ち主で覚醒者としての能力も高い。

 もう少し柔軟さを身につければ良い覚醒者になると感じている。

 

 一方でコウはトモナリのことを一目置いていた。

 トモナリは座学の授業態度こそ不真面目であるが授業内容はちゃんと理解しているし、武術の授業では真面目で覚醒者としての力を使わずに戦えばトモナリがクラスでもトップだった。

 

 だから授業態度が不真面目でもちゃんと学んでいるのだなとコウは理解している。

 いつも落ち着いていて堂々としているのでこうした緊張する場面ではトモナリと一緒で嬉しかった。

 

「各班に分かれたな? ではゲートの中に入るぞ」

 

 イリヤマと付き添いの教員3人と共に特進クラスの生徒たちがゲートの中に入っていく。

 ゲートを通る時のピリリとした感覚は回帰前と変わらない。

 

 みんなはゲートを通る時に肌に感じる違和感にざわついているけれどトモナリは懐かしさすら覚える。

 覚醒者として活躍するならこれから嫌というほど経験する感覚なのだが、回帰前はゲートの攻略が間に合わなくなり始めるとゲートに入ることもなくなった。

 

 トモナリは弱かったし終盤のゲートに入ることはなかったので回帰前最後にゲートに入った時のことはもう思い出せない。

 

「わっ……すごい……」

 

 ゲートの中にあるのは異世界だと言われている。

 元いた場所も森の中だったのだけどゲートの中はより鬱蒼とした樹海のような場所だった。

 

 湿度も少し高くなったようで感じる空気感が違っていてみんな驚いている。

 

「まずはゴブリンを探す。飯山先生、田中先生お願いします」

 

「分かりました」

 

 同行している教員ももちろん覚醒者である。

 二人の教員がそれぞれ別の方に走っていってゴブリンを探しにいく。

 

「これからの行動を話しておく。本物のゴブリンを見てもらった後、大きく4方向に2班ずつ移動する。一緒に行動してもいいし多少離れてゴブリンを探してもいい。各自ゴブリンを1体倒したらゲートの前に集合するように」

 

 1班5人ではあるが他の班と協力すれば2班10人で動くこともできる。

 

「いいか、くれぐれも無茶だけはしないように」

 

 戦いな以上怪我することだってある程度は覚悟の上。

 しかし油断や慢心が生み出す怪我はひどく後に尾を引くこともある。

 

 もちろん怪我しないことが一番なのでイリヤマがしっかりと釘を刺しておく。

 

「戻ってきたな」

 

 走っていった教員の一人が戻ってきた。

 ロープでゴブリンを縛り付けて引きずるようにして連れてきている。

 

「ゴブリンを捕まえてきました」

 

 ロープで縛るなど力技も良いところであるが力の差が有ればそんな方法でモンスターを捕まえることだって可能である。

 

「本物のゴブリン戦ってみたいやつは……ふふふ、アイゼンか」

 

「えっ……あっ!」

 

「ふむー!」

 

 いつぞやどこかで見た光景。

 トモナリの腕に抱かれたヒカリがピッと手を上げていた。

 

 イリヤマも思わず笑ってしまった。

 

「積極的でよろしい」

 

「しょうがないか……」

 

 どうせ遅かれ早かれゴブリンを倒すのだ。

 今やっても後でやってもトモナリにとって大きな違いはない。

 

「アイゼン、すぐに倒さないでくれるか?」

 

「分かりました」

 

 スッとトモナリの隣に来たイリヤマが周りに聞こえないように声を抑えて話しかけてきた。

 見本となり、緊張を少しでも和らげるためのデモンストレーション的な要素も大きい。

 

 あっという間に倒してもそれはそれでみんなの安心感にも繋がるかもしれないけれど、実際のゴブリンの動きをよく見せてやりたいという考えもあった。

 ギーギーとうるさく叫ぶゴブリンを少し距離をおいてトモナリは立つ。

 

「ヒカリ、話は聞いたな?」

 

「聞いたのだ。ドラゴンとしての威厳を見せてやればいいのだな?」

 

「うーん、まあそんなところだ」

 

「ふはは〜任せておくのだ!」

 

「……ヒカリ?」

 

「いくのだ、トモナリ!」

 

 ヒカリはいつものようにトモナリの頭の後ろにしがみつくようにしながら肩に乗っかった。

 ドラゴンの威厳はどこいったのだ。

 

 まあいいかとトモナリは剣を抜く。

 

「それじゃあいきますよ」

 

「いつでも大丈夫です!」

 

 教員がゴブリンの縄を切って素早く離れる。

 縛られていいようにされたゴブリンは怒りの目でトモナリのことを睨みつける。

 

 剣を構えるトモナリはゴブリンを冷静な目で見たまま動かない。

 トモナリよりも周りの生徒たちの方がトモナリとゴブリンの様子を緊張した様子でうかがっていた。

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