ラスボスドラゴンを育てて世界を救います!〜世界の終わりに聞いたのは寂しがり屋の邪竜の声でした   作:犬型大

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目指せレベルアップ9

 次の日先行してスイセンギルドがゲートに入って中の状況を調査した。

 結果一日ではモンスターの再出現は起きていなかった。

 

 ゲートの前で長く待ってはいられない。

 モンスターが再出現していなかったのでボスを倒すことにした。

 

 今度はみんなでゲートの中に入る。

 まだ通っていないルートもあるのでそこを通り、残っていたモンスターを生徒たちで倒す。

 

「前に出ないのか?」

 

「今はいいんだよ」

 

 いつものトモナリなら積極的に行くのにと思ったヒカリはトモナリの頬に自分の頬をくっつけながら不思議そうな顔をしている。

 何人かの生徒がヒカリの密着に羨ましいなんて視線を向けているがトモナリは涼しい顔をして生徒の後ろの方にいた。

 

「ならいいのだ。それより早くお風呂入りたいのだ……」

 

「すっかり綺麗好きだな」

 

 たった一日お風呂入っていないだけだがヒカリはお風呂が恋しいなんて思っていた。

 一番最初にお風呂入れようとした時には猫かというぐらいに嫌がったのにいつしかお風呂が気に入っていた。

 

「まあこれが終わったら……すぐでもないか」

 

 また帰るのにバスで丸一日かかる。

 すぐに帰れるというわけにはいかないなとトモナリは思った。

 

「早く倒すのだー!」

 

 早く倒せばそれだけ早く帰れる。

 ヒカリはトモナリの肩にぶら下がったまま尻尾を揺らして戦う生徒たちを応援している。

 

「触っちゃダメだぞ」

 

「……触ってないよ」

 

 揺れる尻尾にそっと手を伸ばしたサーシャだったがヒカリはお見通しであった。

 見ていないのにバレてサーシャは手を引っ込めた。

 

『妾もお風呂に入りたいねぇ』

 

「お前は静かにしてろ」

 

 トモナリの持つルビウスもお風呂は好きらしく時々呼び出して風呂に入れろと彼に要求したりする。

 ちっちゃい竜二匹でお風呂に入っている様子はなかなか面白かったりもする。

 

「トモナリもみんなで入るのだ」

 

 ルビウスの声は剣を持っているトモナリにしか聞こえていなかったのだけど、ルビウスと契約した後は剣に触れていなくてもヒカリにも声が聞こえるようになっていた。

 

『トモナリは意外と良い体してるからな』

 

「そんな目で見ると二度とお風呂入れないぞ」

 

『なっ! トモナリはヒカリにだけ甘いぞ』

 

「当然なのだ。僕はトモナリの友達だからな!」

 

『むむむ……』

 

「ヒカリは俺の体マジマジ見たりしないからな」

 

「……誰と話してるの?」

 

 

 ルビウスの声は他の人に聞こえていない。

 トモナリとヒカリの会話だけでは微妙に噛み合っていないとサーシャは思った。

 

 まるでもう一人誰かいるみたいに会話している。

 

「なんでもない」

 

「……そう?」

 

 平然と笑って答えるトモナリにサーシャは不思議そうに首を傾げた。

 

「さて次はボスだが……挑戦したいものはいるか?」

 

 サクサクとブルーホーンカウを倒してボス部屋の前までやってきた。

 ボスである大きなブルーホーンカウはボス部屋から出てくることはなく、今は足をたたんで地面に伏せてジッとしている。

 

「……やりたいのか?」

 

 ユウトやミズキがトモナリのことを見た。

 やらないのか? という視線である。

 

 積極的に自分がとはいかないけれどトモナリが行くというのならやるつもりはあるという感じだ。

 

「まあ……大丈夫か」

 

 トモナリは自分のステータスを確認する。

 別に前に出るつもりはなかったけれどまだ大丈夫かと小さく頷く。

 

 トモナリがステータス画面から視線を戻すとコウとサーシャもトモナリを見ていた。

 ついでにイリヤマとも目があった。

 

 やはり8班は他の班と比べても頭一つ飛び抜けた感じがある。

 トモナリの能力の高さを抜きにして考えてみてもミズキたちの能力は高く編成のバランスも良い。

 

 イリヤマとしてもトモナリたちが行ってくれれば安心できるのだ。

 

「じゃあうちの班が」

 

 行くぞとみんなに視線を送るとみんながトモナリに頷き返す。

 スッとトモナリが手を上げるとイリヤマもホッとしたような笑みを浮かべる。

 

「じゃあ8班にお願いしよう」

 

 周りの生徒たちもトモナリたちがやるのだろうなと考えていたので反対はない。

 他の生徒が少し下がり8班のみんながボス部屋の前で準備を整える。

 

「ちょ、ちょっと緊張するね」

 

 やるならやるとは思っていたけど実際やることになると緊張してくる。

 ミズキは胸に手を当てて緊張を収めようと深呼吸を繰り返している。

 

「緊張することはない。見た感じ少しデカいだけのブルーホーンカウだから」

 

 中には特殊な能力を持つボスなんてものもいるけれど、ランクの低いゲートであるし見たところただのブルーホーンカウのデッカい個体である。

 

「他のブルーホーンカウと変わらない感じで戦えばいい。ただしデカい分攻撃も素早く、ツノも長いから思いの外早く攻撃が届いてくるからそこだけ気をつけよう」

 

 デカいというだけでも少し感覚が狂うところはある。

 トモナリのアドバイスをみんな真剣な顔をして聞き入れる。

 

「危なくなったら学長も先生もいる。それに俺もいる」

 

「僕もいるぞ!」

 

「頼もしい」

 

「そーだろぅ!」

 

 えっへんとヒカリが胸を張る。

 順当に戦えればボスも問題ない。

 

 いざとなれば助けに入れる人も多いので安心して戦えばいいのである。

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