ラスボスドラゴンを育てて世界を救います!〜世界の終わりに聞いたのは寂しがり屋の邪竜の声でした   作:犬型大

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トモナリの裏の顔1

「最後の一つは妾のものだと言っておるだろう!」

 

「僕のお菓子なのだ!」

 

 二回目のゲート攻略も終わりアカデミーでの生活ものんびりとしたものになっていた。

 日中は学校で勉強して、それが終わると基本的にはトレーニングという毎日を過ごしている。

 

 マサヨシが声をかけてくれてユウトとマコトも加わった課外活動部で土日に遠征することもあったけれど、一年生のトモナリたちはゲートに入らずその周りの準備を手伝うだけだった。

 休みの日にトモナリは珍しく机に向かっていた。

 

 アカデミーの中間考査が迫っているためだった。

 回帰前は覚醒者ではなく真面目に勉強していたので特に勉強に困ることはないけれど、余裕をかましてひどい成績ではゆかりに合わす顔もない。

 

 軽く復習ぐらいはしておこうと朝にランニングをした後勉強をしているのである。

 

 ヒカリはお菓子を食べている。

 こんな時は試験もないヒカリが羨ましく思える。

 

 ついでにルビウスも出している。

 暇を持て余すとルビウスの声が頭の中で響いてうるさいのだ。

 

 それにルビウスを出しておくことで利点もある。

 今は二人してお菓子の取り合いでケンカしている。

 

 ルビウスの精神世界で会った時には年上の美人お姉さんだったのに、チビ竜姿だと何故かヒカリとそんなに変わらない感じになってしまう。

 姿に精神的な影響を受けるのだろうかとトモナリは少し思った。

 

「はーい!」

 

 ドアがインターホンが鳴らされてトモナリはインターホンのモニターを使って応答する。

 

「愛染寅成さんのお部屋ですね?」

 

「そうです」

 

 知らない声だったのでトモナリはドアを開けずそのまま続ける。

 アカデミーに変な人が入るとは思えないけれど終末教という危険な存在もあることだし警戒しておいて損はない。

 

「私、覚醒者協会の篠崎と申します」

 

 シノザキは懐から手帳のようなものを取り出し、開いてインターホンのカメラに見せた。

 覚醒者協会では警察手帳のような身分証がある。

 

 確かにインターホンに映っている男と手帳の写真は一致する。

 

「なんのご用ですか?」

 

 とりあえず怪しい人ではなさそうなので話を続ける。

 

「できればご対面してお話ししたいのですが」

 

「対面でですか?」

 

「……警戒心がお強いのですね」

 

「アイゼン君」

 

「あっ、学長」

 

 あまりドアを開けたくなさそうなトモナリの様子に苦笑いを浮かべたシノザキが下がると今度はマサヨシがインターホンに現れた。

 

「大丈夫だから開けてほしい」

 

「分かりました」

 

 トモナリはインターホンのモニターを切る。

 

「ルビウス」

 

「はい、トモナリ」

 

 振り返ってルビウスに声をかける。

 隠れろということも言いたいのだけどその前にやってほしいことがあるのをルビウスは先に察していた。

 

 剣の方のルビウスをルビウスが持ってきてトモナリに渡す。

 マサヨシがいるから安心ともいかない。

 

 終末教は狡猾で中には徹底的に姿を隠している人もいる。

 警戒はいくらしてもしすぎることはない。

 

 ルビウスがポワッと赤い光になって剣の中に戻って行く。

 

「どうぞ」

 

 トモナリがドアを開けると正面に非常に背の高い男性がいて、その後ろにマサヨシが立っていた。

 

「どうもシノザキです」

 

 改めて手帳を見せるシノザキはトモナリが剣を手に持っていることをチラリと見ていた。

 

「中にどうぞ」

 

 このまま玄関でと行きたいところだがマサヨシまでいてはそうもいかない。

 マサヨシとシノザキを中に招き入れる。

 

「ん、マサヨシ!」

 

 テーブルでお菓子を食べていたヒカリがマサヨシに手を振る。

 

「ヒカリ君は元気そうだな」

 

 マサヨシは微笑みを浮かべてヒカリに手を上げて応える。

 

「席失礼してもよろしいですか?」

 

「はい、どうぞ」

 

「向かいに」

 

 部屋に元々あったテーブルには二脚のイスもついている。

 シノザキが一脚のイスに座りトモナリがその向かいに座る。

 

「よっけるのだ〜」

 

 ヒカリはお菓子を抱えてベッドに避難する。

 普段は汚れるのでベッドでお菓子はダメだと言われているけれど今はしょうがない。

 

「それで……本日のご用は?」

 

 トモナリはニコリと笑顔をシノザキに向ける。

 

「こちらを見ていただきたいのです」

 

 シノザキは自分のカバンから紙の束を取り出した。

 紙の束を受け取ったトモナリはその中身を見る。

 

 それはネットの掲示板をコピーしたもののようだった。

 覚醒者やゲートなどの話を中心にする掲示板でパラパラと見ていくと色々な書き込みがある。

 

「このハンドルネーム“ブラックドラゴンなのだ”という人の書き込みを中心に集めてあります」

 

 確かによく見てみると同じハンドルネームの書き込みが見られる。

 そのハンドルネームの書き込みがなくても、そのハンドルネームの書き込みに対する反応だったり中心はブラックドラゴンなのだのようである。

 

「こちらの書き込みは一部で非常に話題になっております。まるで……未来を予言しているようであると」

 

 シノザキは真っ直ぐにトモナリの目を見た。

 しかしトモナリは動じることもなくシノザキの目を見返す。

 

「なんの予兆もなくこちらの方の書き込みは始まりました。最初はゲートの攻略が失敗するだろうと書き込みました。それなりの中堅ギルドが挑むので周りはそんなわけないだろと笑っていましたが、結果ゲートの攻略は失敗しました」

 

 一番上になっている書類はその時の書き込みのコピーである。

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