ラスボスドラゴンを育てて世界を救います!〜世界の終わりに聞いたのは寂しがり屋の邪竜の声でした   作:犬型大

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十番目の試練ゲート1

 テストが終わり夏休みまでの短い期間でトモナリたち一年生は二、三年生たちと散々戦った。

 トモナリは魔力抑制装置をつけての鍛錬だった。

 

 なのでトモナリを含めて一年生たちは毎日ボコボコにされた。

 けれどいつも終わり際にミクが来て一年生をヒールしてくれるので次の日に体のダメージを引きずることはなかった。

 

 精神的なダメージはあったようだけど、みんな歯を食いしばって自ら先輩たちに挑むトモナリについていっていたのである。

 そのおかげかトモナリを含め能力値はいくらか伸びた。

 

 元々トレーニングで伸ばしていたトモナリの伸びは鈍かったけれど魔力抑制装置のおかげか思っていたよりも効果はあった。

 

「これ乗り越えたらようやく夏休みか」

 

 アカデミーのカレンダーではすでに夏休みに突入した。

 けれども課外活動部には夏休みを満喫する前にやることがあった。

 

 No.10と呼ばれる試練ゲートを攻略せねばならないのである。

 

「バス移動疲れるよね……」

 

「仕方ないよな。飛行機高いし」

 

 朝早くアカデミーからバスで出発した。

 移動手段として今メインになっているのは車である。

 

 飛行機や電車というものも残っているけれど電車は都心部しか走っておらず、飛行機はかなり高価な乗り物になっていた。

 その理由はモンスターのせいである。

 

 長距離を移動する線路はモンスターによって壊されたり安全を確保できないなどの理由で無くなってしまった。

 飛行機も飛行型のモンスターの出現によって一時完全に飛ばせないなんてこともあった。

 

 今は魔石の魔力を利用したシールド装置が開発されて飛行機を守ることで再び飛べるようになった。

 ただしシールド装置の分飛行機も高額になったのでお手軽に乗れるものじゃなくなったのである。

 

「私飛行機なんて乗ったことないよ」

 

「ここにいるほとんどがそうなんじゃないか?」

 

 トモナリたちの世代は飛行機という存在は知っていても乗ったこともない人が多い。

 トモナリも乗ったことがなく、課外活動部の生徒の中で乗っていそうなのはカエデぐらいかなと思っていた。

 

 ダラダラと雑談しながら日が落ちるまでバスで走り続けてNo.10から最寄りの町まで到着した。

 ホテルに泊まって体を休めて、次の日の早くに再びNo.10に向けて移動を開始した。

 

「もうすぐ到着するぞ」

 

 まだギリギリ朝と呼べるような時間ぐらいにNo.10ゲートの前に着いた。

 ゲートの周りは金属の壁で囲まれている。

 

 それはNo.10が長いこと攻略されていないためにゲートブレイクという中からモンスターが出てくる現象を警戒して設置されているものだった。

 

「俺たちは戦いの準備だ」

 

 ゲート前に着いて二、三年生の先輩方は寝泊まりできるようなテントを設置する。

 

「本当に大丈夫?」

 

 トモナリの防具をゆるみなく締めるフウカはいつもの代わりない無表情であった。

 それでもこうしてついてきてくれて、声をかけてくれるということはいくらか心配してくれているようだった。

 

「大丈夫です。一回り成長して帰ってきますよ」

 

「なら帰ってきたら本気で戦ってね」

 

 二、三年生との特訓でトモナリは魔力抑制装置を使っていた。

 せっかくトモナリと本気で戦えるかもしれないと思っていたフウカにとっては少し拍子抜けなところがあったのだ。

 

 心配しているのもトモナリと戦えなくなるからか、とトモナリは思わず笑ってしまう。

 フウカらしい考えである。

 

「アイゼン」

 

「学長」

 

「まだ引き返すことはできるぞ?」

 

「ここまで来てそんなことはできませんよ?」

 

「いや、命に比べればプライドなど軽いものだ。辞退することもまた勇気だ」

 

 批判はマサヨシが引き受ければいい。

 トモナリがやめると言ってもマサヨシは責めるつもりはなかった。

 

「やめませんよ」

 

 トモナリはマサヨシの目を見つめる。

 冷静で、功績を焦っているような目ではない。

 

 深い考えがあるようで、信じてみたくなるような目をしていた。

 

「あれはもう飲んだのか?」

 

「いえ、中で飲むつもりです」

 

「中で? ……まあいい。全て君に任せた。君も、そして君を信じてついてくる仲間も無事に帰すんだぞ」

 

「もちろんです。夏休み、遊ぶ約束してるんですから」

 

「ふふっ、仲がいいな。行ってこい」

 

 マサヨシは力強くトモナリの肩に手を乗せる。

 トモナリが頷くとマサヨシは微笑みを浮かべてゲートの管理をしている責任者と話に行った。

 

「みんな、準備はいいか?」

 

 自分用の装備を持っている生徒はまだ少ない。

 トモナリも剣であるルビウスぐらいであとはアカデミーから貸し出されている装備だった。

 

 みんなも同じようなもので特別自分の武器を持っているのはコウとマコトぐらい。

 

「クラシマは大丈夫か?」

 

「あ、ああ……大丈夫」

 

 今回いつものメンバーに加えて課外活動部に所属している特進クラスの生徒もメンバーとして来ていた。

 一般クラスの方の子はレベルが低かったので流石に外れてもらった。

 

 トモナリたちとも同じクラスである男子生徒は倉嶋遼太郎(クラシマリョウタロウ)という子で、普段は2班なのでトモナリたちとあまり交流としては多くない。

 打撃士というちょっとだけ珍しい職業で、ハンマーを武器としている。

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