ラスボスドラゴンを育てて世界を救います!〜世界の終わりに聞いたのは寂しがり屋の邪竜の声でした   作:犬型大

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十番目の試練ゲート3

「みんなもステータス確認してみろ」

 

「わっ!」

 

「す、すごい!」

 

 能力値が倍になるというが単に倍になるだけではない。

 能力値の伸びというのはムラが大きい。

 

 職業によって伸びやすい能力値と伸びにくい能力値があり、レベルアップによって上がらない能力値があることもある。

 さらには伸び幅も0〜2と様々だ。

 

 トモナリは特殊な職業のためか全ての能力値が2ポイントずつ伸びるというチートのような状況になっているけれど、多くの人はもっと伸びが鈍い。

 低レベルであってもレベルが倍になったからと能力値が倍になるような伸び方はしないのである。

 

 つまり能力値が倍になるということはレベルで考えた時に20どころでなく、より上のレベルになったのと同じぐらいの能力値になっているのだ。

 

「みんな少し体を動かしておけ」

 

 急に能力値が倍になったことによる動きの認識の違いが生まれてしまう。

 体を動かして今の状態を把握しておく必要がある。

 

「よし、じゃあ……」

 

「それ何?」

 

 トモナリは荷物の中から小瓶を取り出した。

 小瓶の中には薄紫色の液体が入っている。

 

「霊薬さ」

 

「霊薬? なんでそんなものを持ってるんですか?」

 

 マコトが首を傾げる。

 

「テストの成績優秀者だからな」

 

「あっ、そういうこと」

 

 トモナリは夏休み前に行われた中間考査のテストで成績優秀者となった。

 具体的には学年全体で二位、特進クラスでは一番となったのである。

 

 そのおかげでアカデミーから霊薬がもらえることとなったのである。

 すぐに飲んでもよかった霊薬をトモナリはここまで飲まずに取っておいた。

 

「今飲むんですか?」

 

「今だから飲むんだ」

 

 トモナリは小瓶の蓋を開けると中身を半分飲む。

 味は美味しくもなく不味くもない。

 

 ややトロピカルっぽいけどなんの味か聞かれても言葉で答えられない。

 

「ヒカリ」

 

「いただきまーす」

 

 残り半分をヒカリが飲み干す。

 

『魔力が4増えました!

 スキル魂の契約 (ドラゴン)の効果で相互作用を得られました。魔力が4増えました!』

 

「ふふっ、やっぱりな」

 

 霊薬によって魔力が伸びた。

 以前にも霊薬をもらって魔力を伸ばしたのだがその時よりも効果が高い。

 

 けれどこれは霊薬がいいものであったからということではなかった。

 霊薬の質としては以前と同じぐらいのものである。

 

 にも関わらず能力値が大きく伸びたのには秘訣がある。

 能力値倍化の恩恵がここにも現れているのだ。

 

 能力値の倍化はアップする能力値にも適用される。

 本来2上がるところを能力値倍化の効果によって倍の4上がったというわけなのである。

 

「みんなどうだ?」

 

「かなり良い感じ!」

 

「今ならお前も倒せそうな気がする」

 

「俺も能力値倍だぞ?」

 

「あっ……そっか」

 

 倍になったユウトといつものトモナリなら能力値の差が小さくなるが、両方とも倍になっている今は倍になる前の能力値が高いトモナリの方がより強くなっている。

 

「じゃあ荷物はここに置いて本格的に攻略開始だ」

 

「「おーっ!」」

 

 能力値が倍になってみんなの不安も吹き飛んだ。

 今ならいけると目をギラギラとさせてやる気を見せている。

 

 持ってきた荷物はゲートの近くに置いておく。

 ゲート近くはモンスターが近づかないという不文律のルールがあるので、よほどのことがない限りはゲート近くに置いておけば安全なのである。

 

「あっ、いたよ!」

 

 ゲートから離れて探索しているとミズキが前方を歩くオークの姿を見つけた。

 オークは緑色の肌をした二足歩行のモンスターで人よりも大きな体格を持ち、体は意外と筋肉質で再生力が高い。

 

 顔は豚のように潰れた鼻をしていて、鋭い牙が口の下の方から突き出ている。

 木を粗く削り出したような棍棒を持っていて、歩くたびに重たい音がズシズシと聞こえてくる。

 

「いいか? あいつは体がデカい。だから無理をして頭を狙わず足を攻撃してバランスを崩してやるんだ」

 

 モンスターというのは強くなると体の大きいものも多くなる。

 ふさわしい能力やスキルがあるなら最初から正面突破で戦ってもいいのだけど、そんな無茶な戦いができる人ばかりではない。

 

 他のところを攻撃して相手を怯ませたりバランスを崩したりしてから弱点に一撃加えるのが定石となる。

 

「マコト、お前が最初の一撃だ」

 

「ぼ、ぼく!?」

 

「影に潜って近づいて足を切りつけろ。攻撃したらすぐに下がるんだ」

 

「……分かった!」

 

 ブルーホーンカウとの戦い以来マコトもどことなく自信がついたようだ。

 普段のなよっとした感じは抜けきらないが、ただ流されるだけじゃなく自らやってみようと思える意思の強さを持ち始めている。

 

「マコトが攻撃したら一斉に飛び出すぞ。足を狙って倒し、クラシマが頭にトドメだ」

 

「俺でいいのか?」

 

「もちろん。じゃあマコト頼むぞ」

 

「うん!」

 

 マコトがスキルであるインザシャドウを使って影に潜り込む。

 残念ながら山岳地帯には植物が少なく影となるところも少ないのだが、インザシャドウは自ら影を作り出し影ごと移動することができる。

 

 スーッと丸い影が地面を移動していく。

 知っていて側から見れば丸わかりなのだけど知らずにいたら地面の影になど気づける人はいない。

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