俺は目が覚めると自分の部屋ではないことに気がついた。
ぼんやりと視界が開け、今どこにいるのかが分かった。
千『あれ?医務室の天井だ。なんで俺医務室で寝てんだ?』
ゆっくりと起き上がると、すぐ横の椅子に硝子座り、机に突っ伏して寝ていた。
脳内で記憶を探る。
『(硝子?あれ、あの後硝子と一緒に帰ろうとして...その後の記憶がないな)』
すると突然医務室のドアが開いた
五『おーい硝子差し入れ持っt』
千『あっ五条、おはよう』
五条は目を見開いて固まってしまった。
五『........』
千『どうした?』
五『お、お、お、』
千『お?』
五『起きてるー!!』
ドタッドタッ!
廊下を駆け抜ける音が響く
夏『悟、どうした!』
夜『何があった!』
五『千鬼が起きた!』
夏、夜『『何!』』
その声で机に寝ていた硝子も目が覚めて、あくび混じりに呟いた。
硝『んー、うるさいなぁ....!』
硝子は起きると俺の方を見て目を見開いた。
千『あっ、硝子おはよう』
挨拶と同時に硝子の手が振り上げられた。
硝『!...この馬鹿!』
バシッ!
そして頭を引っ叩かれた。
千『いって〜!なんで!』
硝『あんた3日も寝といて何がおはようだよ!』
千『えっ.....3日ー!』
その後俺は事情を聞いた。
なんでも山から降りた直後、急に俺が倒れた。
硝子は軽くパニックになりつつも近くの病院まで運んで、診察したら呪力の使いすぎと術式が上がったからといっていきなり特級3体を装備して体に負担がかかってしまったそう。
寝てれば大丈夫だと分かり、安心して高専に運ぶも、3日も起きないのでそろそろヤバいのではないかという雰囲気になっていたとのことだ。
千『マジかー、ごめん心配かけて』
『俺はこの通りもう大丈夫だからな』
夏『安心したよ』
五『まぁそう簡単に死なないよな』
硝『はぁ、なんでそんなに呑気なんだか』
夜『ひとまずは安心だな』
みんなが安堵していると、また廊下を駆け抜ける音が響く
ドタドタドタッ!
『千鬼〜!!』
バン!
歌姫先輩が勢いよく入って来た。
歌『硝子!千鬼は大丈夫、起きないって聞いt』
歌姫先輩は俺の方を見る。
千『お久しぶりです』
歌『起きてるじゃない!』
千『えっ、なんかすみません』
歌『いやいいのよ、起きてるならそれで』
『あとはい、お土産』
千『あっこれはどうも』
五『歌姫〜、何しに来たん?』
歌『先輩をつけろ!』
『見てわかるでしょ、千鬼が倒れて起きないって聞いて駆けつけたのよ』
夏『それはご苦労様です』
千『わざわざありがとうございます』
歌『いいのよ休暇とって来たし、しばらくこっちにいるから
『菜々子と美々子に津美紀と恵の分もお土産渡すわ』
五『弱いから任務が来ないだけじゃない笑』
歌『なんだと!』
夏『まぁまぁ』
そんな調子で無事にいつもの日常に戻ったのだと思い、俺は安心した。
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千鬼は次の日には退院して今はリハビリという戦闘訓練を行なっている。
術式が上がったことにより、特級呪霊を4体まで出すことが可能になった。
今は五条、夏油、硝子、歌姫、千鬼の4人でグラウンドの端で休憩をしていた。
五『いや〜強くなったな』
夏『あぁ、呪霊も他の人に装備できるようになるとは驚きだよ』
千鬼は術式反転を習得して、今までは他の人に対して呪霊を憑かせるだけだったが、装備もさせられるようになった。
千『まぁアレだけの死戦をぬけたからな、それなりには強くならないと』
歌『それなりってレベルではないでしょ』
硝『私はもう勘弁だけどね』
硝子はため息混じりに呟く。
千鬼はふと、あることを思い出した。
千『そういえば俺の呪具と呪霊玉は?』
硝『あー、ちょっと待って』
硝子はポケットから呪霊玉と呪具を取り出した。
(ずっとそれ入れてたの?)
歌『それがあの大嶽丸と特級呪具?』
五『改めて見ても、すげー呪具だよそれ』
硝『取り込むの?』
千『まぁな』
夏『夜蛾先生から話は聞いたろ』
千『...分かってるよ』
昨日、夜蛾先生から上層部で出た内容を聞かされた。
内容は、呪具は千鬼が所持しても良いが、呪霊玉つまり大嶽丸は即刻祓えということだった。
五『まぁ警戒すんのも無理はないな、なんせあの宿儺ともやり合った呪霊を取り込んだら、まずただで済むはずがない』
夏『取り込むだけならまだしも、逆に大嶽丸に乗っ取られるようなことがあったら、千鬼が持っている呪霊を全て使役できる大嶽丸が完成するという最悪の未来があり得る』
硝『上の連中が絶対に嫌な未来の原因となるものだからな、そう言ってくるだろうねぇ』
千『だけど俺は取り込む』
『そしてこいつの力も俺のものにして、さらに強くなるんだ』
歌『悪役が言ってそうな言葉ね』
千鬼は意を決して呪霊玉を飲み込んだ。
五『うわぁ、よく丸呑みできるな』
歌『すごいわね....』
夏『慣れれば簡単ですよ』
硝『慣れたくないよ、はいこれ』
硝子はポケットから飴を取り出して千鬼に渡す
千『うぇ、ありがと硝子』
硝『体に異常は?』
千『今のところ何もないな』
『ちょっと出してみるか?』
『登録は済ませてるし』
夏『もしもの時は私たちが対処するよ』
五『おう、任せとけ』
歌『それ私も入ってるの?』
千『ありがとな、さて』
千鬼は大嶽丸を出してみた
その瞬間、急に周りの空気が変わった。
身体中に緊張が走り、各々が身構えた。
大『ん?おぉ小僧か』
『今のところは俺に乗っ取られてないようだな』
夏『こいつが』
五『すっげー呪力だ』
歌『本当に大丈夫なの?』
大『はははは、そう警戒するな童ども
少なくとも今は何かをしようとは思わんさ』
硝『だといいんだけどね』
千『あと俺は小僧じゃねぇ龍山千鬼って言うんだ。覚えとけ』
大『千鬼か』
『分かった。一応主人だからな、覚えとくか』
硝『おい、』
硝子は低い声で大嶽丸を呼ぶ
大『ん?』
硝子が大嶽丸に声をかけた
硝『千鬼に何かあったらタダじゃおかないから』
硝子は大嶽丸を睨み、宣言した。
大『ふっ、相変わらず生意気な女だ』
『名前は?』
『家入硝子』
大『硝子....覚えておこう』
大嶽丸は何かに気づき少し笑みを浮かべる。
大『さて、そろそろ戻らねば』
『千鬼が限界みたいだ』
硝『えっ?』
みんなが千鬼の方を見ると少し汗をかいた千鬼がいた。
千『今の俺じゃあせいぜい10分ぐらいしか出せないか』
大『まぁお前が強くなればもっと出れる』
『せいぜい強くなれよ千鬼』
大嶽丸は笑いながら千鬼に助言する。
千『黙ってろ』
大『ははは、ではな』
そう言うと大嶽丸は戻って行った。
千『ハァ、全く全然制御できる気がしないな』
夏『確かまだ全盛期ではないんだろう』
『これはとても厄介だな』
千『だが、早く自分のものにしないとな』
千鬼が何かを焦っていると感じた硝子は質問した。
硝『何をそんなに焦ってるの?』
千『...考えすぎかもしれないけど、大嶽丸が復活したってことは.....何か良くない前兆なんじゃないかって思ってな』
『例えば....宿儺が復活するとか....』
夏『確かに、宿儺と大嶽丸は宿敵同士だ』
『どちらかが復活したら、何かを感じてもう片方も復活するかもしれないね』
千鬼や夏油の考察に歌姫は嫌そうな声を上げる。
歌『待ちなさいよ』
『ただでさえ大嶽丸でお手上げ状態なのに、宿儺も復活したらどうしようもないじゃない!』
硝『流石に対処できるか心配ですねー先輩』
歌『硝子!なんで呑気なの!』
硝『だって、こっちには最強の3人がいますから』
五『その通ーり、まぁすぐ復活しないかもだし』
『それまでに強くなれば問題ないっしょ』
歌『そう簡単じゃないでしょ』
千『でも五条の言う通りだな』
『俺は今よりも絶対に強くなる、そして大嶽丸を使いこなせるようにするぞ!』
その宣言に五条は意を唱える。
五『待てよ』
千『ん?』
夏『私たちも、だろう』
千『!...そうだな...ごめん』
『みんなで一緒に強くなろう!』
五『さんせーい』
夏『そうだね』
歌姫は楽観的な3人に呆れながらもどこか安心した表情になる。
歌『.....そうね.....私たちも頑張るわ!ねぇ硝子』
硝『そうですね』
五『歌姫はもう限界でしょ』
歌『なんですって!』
歌姫が五条に拳骨をかますが直前で止まった。
五『残念〜弱弱姫の拳は届きませーん』
歌『く〜』
硝『千鬼、アレ』
千『どうぞ』
千鬼はある呪霊をメリケンサックの形にして歌姫に渡した。
歌『!、ありがとう!』
それに気づいた五条は焦る。
五『えっ、ちょっ!』
歌『おりゃあ!』ドゴッ!
歌姫の拳骨が五条の頭に直撃した。
五『っ...いっつて〜!』
歌『ふふん、あら〜弱弱姫の拳は届かないんじゃないの?』
五『それはなしだろ!というか呪力も乗ってたし!』
夏『それにしてもいい呪霊だね、影逆鉾』
五『最悪だよ!』
千、歌、硝『ははははは!』
グラウンドに響く生徒たちの笑い声が響く、それを聞いた夜蛾はふっと微笑み、これからの未来をこの生徒たちがちゃんと乗り越えていくのを心の中で祈った。
高専時代はここまでです。
ここまで見てくださった方、本当にありがとうございます。
次の話からは千鬼たちは大人になっていますので、学生時代は幕間ぐらいでしか出さないと思います。
それでもいいという方はこれからも呪霊装術をよろしくお願いします。