千『まず、あいつは何者だ?』
五『神凪、聞いたことはあるよ』
夏『知ってるのか?』
五『あぁ、御三家ほどではないけど、それなりの呪術師の家系だ』
『今はもうないけどね』
千『....なんで?』
『その原因があの蒼真という人物と関係している。』
言葉と同時に夜蛾学長が生徒名簿を出してきた。
夏『これは、呪術高専の歴代の生徒名簿』
夜『俺が高専の教師になる時、目を通していた。
聞いたことがあると思って、探してみたら...ここに』
夜蛾学長が神凪蒼真と書かれた生徒の写真を指さした。
千『てことは、元高専生徒か』
五『20年以上前だから僕らよりもだいぶ先輩じゃん』
千『だが気になるのは、退学処分になっていることだな』
夜『あぁ、神凪蒼真はとても優秀で2年生の頃には一級に上がり、4年生の頃には特級の話も出ていたらしい』
五条は首を傾げる。
五『すごいの?』
千『普通にすげーよ、俺らを基準にするな』
夜『だが、神凪家は元々非術師に対してあまり邪険をしない家だったのだが....蒼真は違っていた。非術師のことを下等種族と呼び、任務先でもトラブルを起こしたそうだ』
千『トラブルを起こす点では、どっかの誰かさん達みたいですね』
千鬼は五条と夏油に視線を向けると、2人はおちゃらけたように返した。
五、夏『『誰だろ〜』』
夜『ゔん!真面目に聞け、そして事件が起こった。4年生のある日、任務の邪魔だからと非難が遅れた非術師30人を殺害したんだ』
『これによって神凪蒼真は退学処分になり、秘匿死刑の話も出ていたが、まぁ名家だったので免れた』『身柄は神凪家が確保して、ほぼ軟禁状態にする
それで解決するはずだった。』
千『だった?』
夜『翌日、上層部の使いが様子を見ようと神凪家を訪れると誰も出なかった。』
千『....!、まさか』
夜『そう、そこにあったのは神凪家の者の死体だけ、蒼真の姿は確認されなかった。
あいつは60人ほどいた一族を全て殺して脱走したんだ』
千『とんでもねぇな.....』
夜『今まで行方がわからなかったが、まさかここにきて出てくるとは』
夏『まぁ首謀者のことは分かった』
『この後はどうします?』
夏油は切り替えて夜蛾学長に作戦を尋ねる。
夜『...傑、呪霊は何体出せる?』
夏『1500ほどはいけます』
夜『では東京に1200、京都に300配置してくれ』『五条、お前も東京だ』
『千鬼は予定通り京都へ、大嶽丸を出してもいいから思う存分力を発揮しろ』
千『いいんですね?』
夜『あぁ、責任は俺が取る』
『それにOB、OG、それから御三家、アイヌの呪術連にも協力を要請しろ』
『総力戦だ!』
『この神凪蒼真という呪いを、完全に祓うぞ!』
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12月24日、
〜東京・新宿〜
東京では激戦が繰り広げられていた。
ある場所では呪術師と呪詛師が、ある場所では呪霊同士が争っていた。
街中に現れた大きめの呪霊を七海が祓う。
七海『ふぅ、これで何体目ですか?』
灰原『七海ー、無事?』
灰原が伊地知と共に七海のもとへ来た。
七海『灰原、こちらは大丈夫です。』
『私よりも近くの怪我人を家入さんのところまで運んでください』
灰原『了解、七海も気をつけて』
『伊地知行こう!』
伊『はい!』
灰原と伊地知が行った後にまた呪霊が複数現れた。七海はため息をつきながらも鉈を構える。
七海『はぁ....全く、定時も過ぎて、こうも休みがないとは』
『やはりクソですね....』
悪態をつきながらも素早く呪霊にかかっていった。
道路の真ん中では五条と夏油が多数の呪霊や呪詛師を相手しているが、2人には余裕の表情が見える。
五『にしても数が多いねぇ』
夏『呪霊だけじゃなく、呪詛師もたくさんだ』
五『そういえば双子は?』
夏『理子と恵達といっしょに避難させてる。特級も2体ついているから大丈夫だよ』
五『そう.....ん?』
するとビルの上に神凪蒼真と腕に縄を巻いている黒人の姿があった。
五条は六眼を発動させる。
するとあることに気づき、小さく舌打ちをする。
五『.....やられた』
夏『どうした?』
五『あいつ偽物だ』
夏『!.....まさか...すぐに向かおう!』
五『いや、パンダと棘を向かわせる』
五条の言葉に夏油は疑問を覚える。
あの2人では相手にならないのは明白だからだ。
夏『...何を考えているんだ?』
五『憂太に賭ける』
夏油は五条の意図を察した。
夏『そうか.....だったら早くしたほうがいい』
五『分かってる』
五条は素早くパンダと棘を高専に飛ばした。
蒼『!...作戦がばれましたね』
??『オレノデバンダナ』
五『あいつ、少し厄介だな』
夏『蒼真は私が、悟はあの異人を頼む』
五『りょうかーい』
蒼『では計画通りに』
??『マカセロ』
〜後方〜
『大丈夫、硝子さんが助けてくれますよ』
硝『新田、後何人ぐらい』
新『はい!後5人ほど』
硝『そうか、さっさと終わらせよう』
硝子が次の患者へ行こうとすると後ろから声をかけられた。
『家入硝子だな』
振り向くと、硝子と新田の視線の先には呪詛師の祢木利久と呪詛師が5人いた。
祢『蒼真様の理想の実現のため、あなたにはついてきてもらいたい』
硝『普通に嫌なんだけど....』
祢『...仕方ない、力づくで行かせてもらうぞ!』
硝『!』
新『硝子さん!』
言い終わると同時に、祢木は硝子に襲い掛かった。
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〜京都〜
真依が建物の上から拳銃で呪霊を祓う。
バンッバンッ!
真依『全く多いわね』
憲紀『愚痴を言うなら祓ってからにしてくれ』
霞『だけど私たちの方は絶対に少ないほうですね』
メカ『まぁ、逆にアレが暴れているからこっちに逃げてきたかもしれんな』
桃『うん、本当にすごいよあの人とその呪霊』
東堂『さすがは千鬼先生だな!』
京都校の生徒達の視線の先では、誰もいない京都の街に巨大な百足が暴れていた。
ドゴゴゴゴゴ、ドガン!
大百足『我を止めて見せよ!雑魚どもが!』
またある場所では
天逆毎『あーはっは、まだ足りないぞ!』
呪霊引きちぎり、高らかに笑う天逆毎の姿が
さらにある場所では
雪女『これだけですか?大したことないですね』
氷漬けになった呪詛師や呪霊を前にして退屈そうにしている雪女の姿があった。
また別の方でも千鬼が一人暴れていた。
千『オラオラ〜、もっと出てこい!』
金砕棒を振り回して迫ってくる呪霊の群れを薙ぎ倒す。
大『千鬼、俺も出せ』
千『うるせぇ、お前出すとがしゃどくろとか全部戻さなくちゃいけない』
大『だったら戻せ』
千『今はある程度の手数と強力な質が必要なんだよ!』
大『くそっ!』
そんな問答をしながら京都に現れた呪霊と呪詛師の数はどんどん減っていく
憲紀『いやはや、千鬼先生が味方でとても心強いよ』
真依『千鬼先生は頼りになるわね』
桃『規格外すぎじゃない(汗)』
霞『ははは、(やば、あの百足こっからでもはっきり見えるんだけど)』
メカ『敵勢力の6、7割は千鬼先生が相手をして、倒している』
『京都の方はもう少しで終わるな』
生徒達が話していると歌姫が駆けつけた。
歌『あなたたち、大丈夫?』
桃『歌姫先生!』
真依『先生こそ、そっちに呪霊とかいたはずだけど大丈夫なの?』
歌『この子がいるからね』
歌姫の近くには3メートルを超える大蛸が呪霊を捕らえており、一体ずつ口の中に入れていた。
霞『何でしたっけ?それ(たこ焼き何人分だろう)』
メカ『アッコロカムイだ。千鬼先生がアイヌの呪術連に救援に行った時に調伏したと聞いた。本来はもっとデカいらしい』
歌『私の護衛にってね、この子が呪霊も呪詛師も呑みこむから全然危なくないわ』
『それにこっちはそろそろ終わりそうね』
東堂『何!では高田ちゃんのテレビ番組には間に合う!』
『さすがは千鬼先生だ!』
東堂の的外れな言葉に京都校はため息をつく
東堂以外『.....はぁ』
京都では順調に勝利に近づいていった。
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〜東京・新宿〜
五条は異人の呪詛師ミゲルと戦っている。だが、術式が乱され
五『あの縄、厄介だな』
ミゲル『オイオイ、コノ縄ヲ編ムノニオレノ故郷ノ術師ガ一体何十年カケルト思ッテイル』
五『知らないよ僕の1秒が勝ってる、それだけだろ』
『(あっちはそろそろ終わった頃か....)』
五条とミゲルの戦闘場所から少し離れたところでボロボロになっている神凪の分身とまだまだ余裕そうな夏油の姿があった。
夏『さようなら』
夏油が游雲を振り回し一瞬で距離を詰める。
急いで結界を張っていた神凪蒼真だが、結界を簡単に壊され直撃、何十枚という札となり消えていった。
『(こっちは終わった。)急いで高専に向かわないと』
夏油は呪霊に乗り、高専に向かう。
〜後方〜
『うぐっ』
『いで〜』
『あぁぁぁ』
『ひぃ〜』
『聞いてねぇよ、こんなの!』
祢『ぐっ、くそっ!』
3人の呪詛師が倒れ、後の二人と祢木はまだ戦闘はできるが、傷を負っている。
彼らの前には、巨大な骸骨に守られている硝子の姿があった。
祢『なぜ特級がお前を守っている!』
硝『なんでって、私を守るように千鬼に命令されているから』
祢『くそっ!龍山千鬼はここにいないはずだ!』
硝『だから私の護衛につけたんだ』
〜東京出発前〜
千『んじゃ、行ってくる』
硝『気をつけてね、あと歌姫先輩によろしく』
千『分かった.....あっそういえば』
千鬼ら思い出したかのようにがしゃどくろを出した。
『いいか、俺が戻るまでお前の主は硝子だ。頼んだぞ』
髑髏『分かりました』
硝『いいの?』
千『あぁ、もしそいつが硝子から離れるようなことがあれば
それは大嶽丸を出すか、俺の身に何かあった時だ』
『だからそいつが硝子の護衛をしている間は、俺は無事だと思っていてくれ』
にこやかに言う千鬼に対して、硝子の頬は少し赤くなる。
硝『...ありがと』
そして千鬼が行こうとすると
『あっそうだ、ちょっと』
千『ん?どうしt』
硝子は背伸びをして振り返った千鬼の顔に自分の顔を近づけた。
すぐに離れると顔が赤くなっている千鬼がいた。
硝『頑張ってねー』
千『はい!いってきまーす!』
千鬼は元気よく京都へ向かった。
硝子はそれを思い出し、小さく微笑む。
硝『ふふっ』
祢『何を笑っている!こうなったらやむをえん』
祢木は懐から札を取り出すとそれを投げる。
札は黒いモヤを出して、そこから一級呪霊2体と二級呪霊6体が出てきた。
祢『お前を殺して少しでも高専側の戦力を減らす!』
硝『新田、私から離れんなよ』
新『は、はい!』
新田が自分の後ろに隠れたことを確認すると、硝子はがしゃどくろに命令する。
硝『がしゃどくろ....領域展開!』
髑髏『了解、領域展開【
荒野が広がり、祢木たちに無数の骸骨が襲いかかる
『ギャー』ザシュッ
『助け』グシャ
『いやだ〜』バキバキ
呪詛師や呪霊達が簡単に殺されていく中
祢『.....蒼真様申し訳ありま』
グシャッ
立ち尽くしていた祢木はがしゃどくろに潰されて、その生涯を閉じた。
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〜高専〜
真希が大刀を持って高専の通路に来ていた。
周囲を警戒する、何が来るか分からない状況で心拍数は少し上がっていた。
『真希さん』
その声に真希は振り返る。
そこには槍を携えた灰原美里がいた。
美里は不安げな表情をしている。
真希『!....美里さん!何してるんですか』
美里『私も高専に残っていたんです。それより帳が....』
美里の言葉を遮るものが現れた。
『おやおや、まだ残っていたか』
『『!』』
2人が振り返ると、そこには神凪蒼真が立っていた。
冷たい眼差しとにこやかな笑顔がより不気味さを際立たせる。
蒼真は美里に視線を向けた。
蒼『あなたは確か......なるほど、元星漿体の付き人ですか』
『そこを通していただけませんか?』
蒼真は優しい口調で話しかける。
美里『無理な話ですね』
蒼真を睨みつけ、美里は槍を構える。
蒼『そうですか....残念ですね』
蒼真は残念そうにする。その目には目の前にいる真希のことを見ていなかった。
それに気づいた真希の目は憤りを宿す。
真希『(こいつ....私を無視してやがる!』
真希も蒼真を睨みつけながら黙って大刀を構える。
すると穏やかそうな蒼真の顔が歪んだ。
蒼『下等種族が、この私に刃を向けるとは』
『.....いいだろう....誰が上か、その身に教え込んでやる』
〜数分後〜
真希と美里は血を流し倒れていた。真希は息を切らしながらも立ちあがろうとするが、蒼真は背中に足を乗せて体重をかける。
真希『...っ!..(くそっ)』
蒼真『その姿がお似合いだぞ、下等種族が....』
すると蒼真は何かを感じ取った。
蒼『ん?誰かが帳に穴を開けたな』
『やはり、そう思い通りにはいかないか』
蒼真は静かに思考を巡らせる。
『さて、侵入地点からここまで5分ぐらい....』
『無視するべきか、片付けておくべきか...』
蒼真の決断は早かった。
『.....無視するか、今は祈本里香の確保が優先...』
バゴーン!
蒼真が行こうとすると、パンダが通路の壁を破って蒼真のすぐ横に現れた。
『(!、最短で来たか)』
パンダが巨大な拳で連続パンチを放つが、それを軽々と避ける。
パンダは早めに決着をつけようと必殺の一撃を繰り出す。
パ『ウォォォ、ドラミングビートォォォ!』
蒼『ほらっ』
蒼真は札から呪霊を出して必殺の一撃を防ぐ。
『ワンパターンだぞぬいぐるみ』
そして美里の呪具を手に取り、パンダに投げつける。
呪具はパンダの胸に刺さり、その場に倒れた。
グサッ!
『うっ!』
蒼『残念でした』
パ『お前もな』
蒼『?...!』
蒼真がパンダに意識が向いているところで棘が隙をつき
棘『落ちろ!!』ドゴーン!
蒼真は陥没する地面といっしょに落ちていった。
『ガハッ』
棘は呪言の反動で血を吐く
パ『棘!大丈夫か』
棘『じゃけ』
『こんぶ』
パ『そうだな、二人とも大丈夫か!』
パンダと棘は急いで倒れている二人のもとへ向かった。
2人とも息はしているが、危ない状態だった。
『おい!しっかりしろ二人とも』
棘『ツナマヨ!』
パ『一旦医務室n』
バーン!
音とともに、無数の呪霊と札を手にした蒼真が、地面から飛び出した。
蒼『フハハ、どうしてあげようか』
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乙骨は轟音と違和感を感じ、校舎の外へ行くと
そこには真希、美里、棘、パンダがひどい状態で倒れていた。
乙『?!みんな!』
蒼『あぁやっと来たかい、感動的だね、素晴らしいよ』
『君は駆けつけてきたんだろう、呪術師が呪術師を自己を犠牲にしてまで慈しみ、敬う』
『素晴らしい、選ばれしもの同士手を取り、助け合わないとね』
蒼真はとてもにこやかに乙骨に話しかけるが、乙骨の目は敵を見るような目になっていた。
『本当はね、君にも来てほしかった』
『だが、全ては選ばれし我々の未来のため』
『君には死んでもらうよ』
蒼真は札から呪霊を出す。
乙『....来い、里香!』
乙骨は里香を完全に顕現させた。
『ぶっ殺してやる!』
里香からの圧を感じた蒼真は、
蒼『これは.....生半可なやつじゃあ相手にならないね』
『直接やるか』
蒼真は札を取り出すと、それは槍に変わった。
『君を殺し、祈本里香を利用させてもらう』
乙『させない!』
乙骨と蒼真がぶつかる
激しい衝突音が響き渡り、乙骨と蒼真の武器が何度もぶつかり合う。
蒼真は複数体の呪霊を攻めさせるが、乙骨の拳と里香の力が一体となり、呪霊を消して攻撃を仕掛けてきた蒼真の槍をも弾き返す。
しかし、蒼真もまたその動きに素早く対応し、札を操り、結界を張って里香の攻撃を防ぐ。
蒼『素晴らしい!とても呪術を知ってから一年未満とは思えない動きだ』
『だからこそ君にもう一度問う』
『私といっしょに理想の世界を作らないか?』
蒼真はより力強く、期待を満ちた目をしながら乙骨に語りかける。
『おかしいとは思わないか?数が多いだけで、我々は下等種族どもに虐げられ、迫害されることだってある。』
『我々は弱者どもよりも力を持って生まれた。』
『それは下等種族よりも優れていることを示し、支配する権利もあると言う証!』
『そして我々、術師中心の世界を作るんだ』
『君はその立役者の一人になれるんだぞ!』
戦いながら乙骨も返す。
乙『嫌だ!正直言って分からない』
『なぜお前がそんな考えを持ったのか、お前が正しいかどうかなんて、僕には分かんない!』
そして強い意志が宿っている目で蒼真をまっすぐに見る。
『でも僕が、みんなの友達でいるために.....僕が...僕を生きてていいって思えるように』
『みんなを傷つけたお前は、殺さなきゃいけないんだ!』
その言葉を聞き蒼真は、ほんの一瞬悲しげな表情になる。
蒼『.....なるほど、自己中心、いや、自己肯定か』
『まぁそれも結構、だったらこちらも本気で君を殺す』
その瞬間何百枚と言う札が宙に浮き、蒼真の頭上で円を描いて集まる。
『教えてあげよう。私の術式[操符呪法]は札を介して五行を操ったり、札に封じ込めた呪霊を操作できるんだ』
『そしてこれが、全ての札を集め、呪具に乗り移らせて放つ、
極の番【
蒼真が語ると同時に、数百枚の札が彼の周囲を舞い、槍に宿り、放つ準備が整った。
その一撃は、計り知れない威力を秘めている。
蒼『乙骨憂太くん、君が祈本里香を使いこなす前に殺しに来て良かったよ』
それを見た乙骨は静かに呟いた。
乙『...里香』
里香『なあに』
乙骨は目を閉じ、里香に優しく語りかける。
乙『いつも守ってくれて、ありがとう。僕を好きになってくれて、ありがとう』
『最後にもう一度力を貸して、あいつを止めたいんだ』
『その後は、もう何もいらないから』 『僕の未来も、心も体も、全部里香に、これからは、本当にずっと一緒』
『愛してるよ、里香。一緒に逝こう』
乙骨は里香にキスをする。
すると里香は力強く答える。
里香『憂太、憂太!大大大大、大好きだよーーーー!!!』
その瞬間、祈本里香の目が開かれ、凄まじい呪力が溢れ出す。
乙骨の周りに呪力が強く反応し、里香の力が一気に解放された。
蒼『(自らを生贄にした呪力の制限解除!)そうくるか!この女たらしめ!』
蒼真は悪態をつき、攻撃を仕掛ける。
それに対して乙骨は冷静に返した。
乙『失礼だな...純愛だよ』
蒼『ならばこちらは、大義だ!』
二つの攻撃が衝突する。
里香の放つ攻撃は凄まじく、放たれた槍を消し去り、その勢いのまま蒼真へ向かった。
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壁に寄りかかりながら歩くいてる人物がいる。
その人物は右腕を失い、大量の血が出ていた。
蒼『素晴らしい、なんて素晴らしい力だ
まさに世界を変える力』
『里香さえ手に入れれば、いちいち札を作ることも呪霊を集める必要もない』
『次だ....次こそ手に入れる!』
『そうはいかないよ』
蒼真が行こうとする道の先に夏油が立っていた。
蒼『夏油....傑』
夏『やぁ、神凪蒼真
3度目....いや、本物と会うのは初めてかな?』
蒼真は小さく微笑む
蒼『....見逃してくれないか?私にはやるべきことが山ほどあるんだ』
夏『言ったじゃないか、そうはいかないって』
そう言われた蒼真は夏油をまっすぐ見て語る。
蒼『君も...君も感じていはずだ!
下等種族が、非術師が、我が物顔でのさばっているこの世界に、』
『君のことを少し調べさせてもらった。2年生の時の護衛任務、あの時から非術師に対しての疑問があったはずだろう!』
『君だって術師のための世界を作ることに賛同してくれるだろ!』
蒼真の言葉を聞き、夏油は少し目を瞑りすぐにまた開く。
夏『そうだね...もしかしたらあなたは....
私が歩んだであろう未来を描いた姿なのかもしれない』
蒼『なら!『だが、』?』
夏『あなたと私の違いは、ちゃんと私を全力で支え、全力で止めてくれる存在がいたか、悩みや葛藤をぶちまける存在がいたか、』
『そして....自分が守りたい、一緒にいたいという存在が身近にいたか』
夏油の頭には同期達や理子、菜々子と美々子達の姿が浮かぶ。
『その小さくも大きな違いが、あなたと私の今の姿だ』
『私はこれからもその存在と歩み続ける
そのためにもあなたの考えを、理想を、否定する』
夏油の力強い眼差しを受けて、蒼真は小さくため息をつく。
蒼『そうか.....君たちがいた時点で、どうやら私は詰んでいたのか』
夏油が呪霊を出す。
夏『何か言い残すことは?』
蒼『...どうか私の意思を、継ぐものが現れることを』
夏『....そうですか』
ザシュッ
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『憂太!...憂太!』
誰かに呼ばれ、気を失っていた乙骨が目を覚ます。
乙『あれ、みんなもう大丈夫なの!』
起き上がった乙骨の目に真っ先に入ってきたのは腕を失っているパンダだった。
『ってパンダくん!腕、腕が!』
パ『俺は腕がちぎれても大丈夫だよ』
真希『みんなお前よりは大丈夫だ』
美里『無事で安心しました』
棘『しゃけ』
真希達が乙骨の無事に安堵していると、里香が声をかけてきた。
里香『憂太ぁ...』
乙『あぁ、ごめん里香ちゃん、待たせて』
乙骨は立ち上がり、里香の元へ向かう。
真希『おい憂太、何してんだ?』
乙『えっ、えっと〜
実は、力を貸してもう代わりに、里香ちゃんと同じ場所に行くっていう約束を...』
真希『はぁー!』
真希は急いで乙骨を掴む。
真希『お前それって死ぬってことじゃねえか!』
乙『いやでも、こうでもしないと』
真希『なに考えてんだ!』
四人が揉めていると、里香の体崩れ、人間だった頃の里香が現れる。
乙『!...里香ちゃん?』
五『おめでとう!』パチパチパチ
五条と夏油が拍手をしながら現れた。
美里以外のみんなは五条を指差し、
『『『誰(こんぶ)?』』』
『ブッ』
夏油はとなりで少し吹き出した。
五『.....みんなのグットルッキングガイ五条悟先生だよー』
少し不満がだった五条は気を取り直し、ある事実を伝える。
『ちょっと家系の調査を実施したんだ。祈本里香の方は随分前に終了してたけど、憂太の方はザルもいいところだったからね。』
『それで判明したんだけど
なんと憂太くんは菅原道真の子孫だった!!
超遠いけど僕の親戚!』
『『『『菅!!』』』』
乙『えっ誰?』
みんなが驚く中、憂太だけがポカンとしている。
真希『日本三大怨霊の1人』
パ『超大物術師だ』
棘『ツナ!』
美里『憂太さんは、その術師の血を引いているということです!』
夏『前に、憂太くんが言っていた仮説が正しかったんだよ』
五『そう、里香が君に呪いをかけたのではなく、君が里香に呪いをかけたんだ』
乙『(.....そうだ、あの時僕は、里香ちゃんの死を拒んだんだ...)』
乙骨の脳裏には事故当時の記憶が蘇る。
五『呪いをかけた側が主従関係を破棄した、かけられた祈本里香がペナルティを望まなければ解呪は完了だ』
その言葉を聞き、乙骨からは涙が溢れた。
乙『なんだ...結局全部、僕のせいじゃないか 里香ちゃんをあんな姿にして、たくさんの人を傷つけて』
『僕が蒼真に狙われたせいでみんなが死にかけた 全部…全部、僕が』
涙を流している乙骨に里香が優しく撫でる。
里香『憂太、ありがとう。時間もくれて、ずっとそばにおいてくれて』
『里香はこの6年が、生きてる時より幸せだったよ』
乙『里香ちゃん...』
里香『バイバイ、元気でね』
『あんまり早くこっちに来ちゃダメだよ』
里香が笑いかけると乙骨もそれを返すように微笑む。
乙『!...うん!』
里香『...またね』
そう言って泡のような光となり、消えていく祈本里香を7人の術師が見送った。
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特級呪詛師
最初は一級呪詛師として登録してあったが、数年後に特級呪詛師として更新される。
相伝をつぎ、神凪家の嫡男だったので家では良い暮らしをしていた。
その結果自分は特別な存在だという考えに至る。それと同時に(なぜ特別な存在の自分が何も持っていない人間を守らなければならない)、(なぜ我々術師が陰に潜む必要があるのか)という考えに至る。
家のものを全て殺した後は中規模の宗教団体を乗っ取り、表では教祖の補佐役として活動、裏では教祖に指示を出したり呪詛師たちを引き入れることをしていた。万世教が解体されたと聞き、すぐに元信者を引き入れ、大規模な宗教団体も作り上げた。
遺体は高専関係の火葬場へ運ばれた。
操符呪法
札を介して五行を操り、札に呪霊を封印して調伏、自分の分身を生み出すこともできる。効果は札の量と質で変わる。使用するには呪力を込めた紙に術式で使いたい五行などの文字を書くことで使える様になるため、準備に手間がかかる。
術師本人が許可すれば他のものでも札の使用は可能になる。
アッコロカムイ
特級呪霊
千鬼が調伏した特級呪霊
北海道に現れた呪霊で、アイヌの呪術連が十数人で祓いに行ったが敗北し、千鬼に声がかかった。
大百足の毒ガスで弱らせて、さらに大嶽丸の雷で攻撃して調伏する。
本来の大きさは足を広げて400mになる。
早いですが、呪術廻戦0は終わりです。次回から原作に入ろうと思いますが、その前に幕間を出そうと思います。
どうぞ楽しみにしていてください。