『僕はさ、性格悪いんだよね』
『知ってます』
『今更かい?』
『伊地知あとでマジビンタ』
『(私だけ!?)』
『教師なんて柄じゃない、そんな僕がなんで教鞭をとっているか、聞いて』
『なんでですか...?』
『大変だね、伊地知』
(それでも助けない夏油)
『夢があるんだ』
『夢...ですか』
『そっ、悠仁のことでも分かる通り』
五条の声が冷たくなる。
『上層部は呪術界の魔窟、保身馬鹿、世襲馬鹿、高慢馬鹿、ただの馬鹿。腐ったみかんのバーゲンセール』
『そんなクソ呪術界をリセットする』
五条は拳をゆっくりと握る。
『上の連中を皆殺しにするのは簡単、でもそれじゃあ首がすげ替わるだけで、変革は起きない』
『そんなやり方じゃあ誰もついてこないしね』
『だから僕は教育を選んだ』
『強く、聡い仲間を育てることを』
『そんなわけで、自分の任務を生徒に投げることもある』
『(それはサボりたいだけでは)』
『(あとで千鬼に言っておこう)』
『皆優秀だよ、特に三年の秤、二年の乙骨
彼らは僕に並ぶ術師になる』
『(悠仁もその1人だったのに!)』
五条の拳を握る力が増す。
『ちょっと君たち、もう始めるけど』
『そこで見るつもりか?』
硝子に声をかけられ全員が視線を向ける。
『『『!?』』』
硝子の方を見た瞬間五条、夏油、伊地知は目を見開いた。
『?どうしt『おわっフルチンじゃん!』!』
悠仁が起き上がっていた。
『五条さん!夏油さん!いいいい生き』
『クックッ、伊地知うるさい』
『驚くのも無理はないかな』
『ちょっと残念』
『あの〜恥ずかしいんですけど』
『悠仁、おかえり!』
『おっす、ただいま!』
パン!
---------------------------
『傑は?』
『自己紹介も兼ねて虎杖に現状報告』
『あー、報告修正しないとねー』
『いや、このままでいい』
『また狙われる前に、最低限の力をつけさせる時間が欲しい』
『記録上、悠仁は死んだままにしてくれ』
『んー?』
『じゃあ虎杖をガッツリ匿う感じ?』
『いや、交流会で復学させるよ』
『何故?』
『簡単な理由さ』
『若人から青春を取り上げるなんて許されないんだよ』
硝子はフッと笑い
『...それもそうか』
『あっあと、あいつもう少しで帰ってくるよ』
五条の声が明るくなる。
『えっマジ!』
『久しぶりだな〜、恵たちも喜ぶよ』
『そうだな....今回はどんな制裁だろうね』
硝子の言葉に五条は少し真剣な表情になる。
『.....なんのお酒?』
『あとでリスト送っとくよ』
『了解(傑や伊地知にも何かしなきゃな)』
五条は制裁を回避するために暗躍する。
---------------------------
〜ファミレス〜
『五条悟、やはり我々が束になっても敵わんか』
『そうだね、それだけでなく夏油傑に龍山千鬼もいる。最悪...いや、確実に君たち全員簡単に祓われてしまうね』
『だからさっき言った封印に注力することをオススメするよ』
『封印?五条悟と龍山千鬼を封印するその手立ては?』
『五条悟には特級呪物[
龍山千鬼には[
『なんと、持っているのか!あの忌み物を!』
『漏瑚興奮するな、暑くなる』
その瞬間
ファミレスにいた店員、客含めて全員燃えた。
ジュアアア....
『これで良いだろう』
『高い店にしなくてよかった』
『神凪、儂は宿儺の指何本分だ?』
『....甘く見積もって8・9本ってどこかな』
『充分!』
『一旦獄門疆を儂にくれ!蒐集に加える』
『その代わり五条悟は儂が殺す』
---------------------------
〜高専グラウンド〜
『おっせぇよ恵、美々子...何してた?』
『なんでもいいでしょう』
『.....禪院先輩は術師としてどんな人達を助けたいですか?』
伏黒の質問に真希は眉を顰めた。
『あ?別に私のおかげで誰かが助かろうと知ったこっちゃねぇよ』
その答えに恵と美々子は
『聞かなきゃよかった』
『はぁ...』
『あぁ?なんだ2人して!』
『伏黒!美々子!』
野薔薇が菜々子と一緒にパンダに回されながら声を張る。
『面接対策みたいな質疑応答してんじゃないわよ!』
『交代!私も菜々子見たいな可愛いジャージを買いに行かせろ!』
『パンダ先輩!そろそろやばいって〜!』
ポイっ!
『『ぎゃァァァァァァ!』』
パンダに手を離され、2人は盛大に投げられた。
『野薔薇と菜々子はなんの訓練ですか?』
『お前らは近接に弱っちぃからな、まずは私から一本取れ』
真希はニヤリと笑い、構える。
『話はそれからだ』
---------------------------
高専の車が静かに夜道を走っていた。
五条が夜に予定されている、学長との話し合いの場へ向かっているのだ。
運転手の伊地知が五条に気を遣いながら問いかける。
『学長との約束まで時間がまだ少しありますけど、どこか寄りますか?』
『いいよ、先に着いとくよ(少しでも制裁は避けたいし)』
突然、五条の声色が変わった。
『...止めて』
『えっ、ここですか?』
『先行ってて』
『えぇ!?』
『これ何か試されてます?』
『僕をなんだと思ってるの?』
伊地知は戸惑いつつも、五条の言葉に従い車を発進させる。
ブロロォ
『さて』
その瞬間——
ドゴォォォォ!
五条の上から漏瑚が降ってきた。
『君、何者?』
『ヒャアッ!』
漏瑚が吠えた瞬間、五条の右側から火山のようなものが出現し、噴火を五条に放った。
ゴオォォォォ!
地面が瞬時に熔解し、アスファルトが沸騰したように気泡を立てる。
ジュアアア....
『存外、大したことなかったな』
『誰が、大したことないって?』
『!』
炎の中からまるで何事もなかったのように五条が現れる。
『....小童め』
五条は漏瑚を見つめ、冷静に分析する。
『(呪霊のくせにしっかりコミュニケーションがとれる)』
『(その上この呪力量、未登録の特級か...)』
『(おそらく今の宿儺より強い!)』
『特級はさ、特別だから特級なわけ』
五条は気怠げに微笑む
『僕の知り合いも何体か持ってるけどさ、こうもホイホイ出てこられると調子狂っちゃうよ』
『矜持が傷ついたか?』
『いや、楽しくなってきた』
コキッ
五条は軽く首を鳴らした。
おまけ小話
虎杖が映画鑑賞をしていると、誰かが入ってくる。
『虎杖君、食事を持って来ました』
『あっ、美里さん』
『わざわざすんません』
五条は美里に事情を説明し、時々こうして食事を虎杖に運んでいる。
『いえいえ、虎杖君が生きているのを知っているのは私を含めて数人ですから』
『それに、訓練にはやはり栄養を取らないといけませんからね』
『あざっす!』
食事を受け取った虎杖が気を抜いたところに訓練用の呪骸が虎杖を殴ろうとするが、
パシッ!
美里が止めると同時に少し低い声で
『食事が台無しになるでしょう』
次の瞬間にはあっという間に呪骸を柱に括り付ける。
『食事が終わったら入り口の近くに置いていてください、この人形はここに縛っておきますので』
『....はい、ありがとうございます!』
美里はそのまま出て行った。
『(美里さん、強くねぇか....あれで釘崎と同じ三級なの?)』
『(というか美里さんが持っている時、人形大人しかったよな....やっぱただの教師や寮母じゃねーんだな)』
虎杖は普段から想像できない美里の強さに感心すると同時に、これよりも上にいかなくてはいけないのだと改めて思いながら食事をするのだった。