伏黒と野薔薇は真希に言われ、飲み物を買っていた。
ガコンッ
『自販機もうちょい増やしてくれないかしら』
『無理だろ、入れる業者も限られてるしな』
缶を拾いながら伏黒が呟く。
※
〜校舎内〜
パンダが一年生達がいないことに気づき、真希に尋ねる。
『あり?一年ズは?』
『恵と野薔薇はパシった。菜々子と美々子は理子さんの買い物の手伝い』
『恵達大丈夫か?』
『3歳児じゃねーんだ。お使いくらいできんだろ』
『いやそうじゃなくて』
『今日だろ京都校の学長が来んの』
『!』
真希の表情が一瞬険しくなる。
『特級案件に一年派遣の異常事態
悟とバチバチの上層部が仕組んだって話じゃん』
『京都の学長なんてモロその上層部だろ』
『鉢合わせでもしらさぁ』
『....標的だった虎杖は死んでんだ』
『恵達を今更どうこうするつもりねぇだろ』
『京都のジジィだって表立って騒ぎは起こさねぇって』
『教員は立場があるけど、生徒はそうでもないだろ』
パンダの言葉に真希が少し眉を顰める。
『きてるって言うのか、真依が』
『憶測だよ、打ち合わせに生徒は関係ないからな』
『でも、アイツら....嫌がらせ大好きじゃん』
※
恵達の前に二つの人影があった。
背の高い筋肉質な男と真希に顔立ちが似ている女だった。
『なんで東京にいるんですか禪院先輩』
『あっやっぱり、雰囲気近いわよね』
『嫌だなぁ伏黒君、それじゃあ真希と区別がつかないわ』
『真依って呼んで』
『コイツらが乙骨と三年の代打...ね』
『あなた達が心配で学長について来ちゃった。同級生が死んだんでしょう』
『辛かった?』
『それとも、そうでもなかった?』
真依の言葉に伏黒は違和感を覚える。
『...何が言いたいんですか?』
『いいのよ言いづらいなら、代わりに言ってあげる』
真依が薄く笑う。
『器なんて聞こえはいいけど、要は半分呪いの化け物でしょ』
『使いこなしているわけでもないし』
『そんな穢らわしい人外が隣で不躾に呪術師を名乗って、虫唾が走っていたのよね?』
『死んでせいせいしたんじゃない?』
その言葉で雰囲気が重くなり、恵と野薔薇の表情が少し変わった。
『真依、どうでもいい話を広げるな』
『俺はただコイツらが乙骨の代わりたりうるのかそれが知りたい』
『伏黒とか言ったか』
『どんな女がタイプだ?』
筋肉男──東堂の急な質問に伏黒は首を傾げる。
『?』
『返答次第では今ここで半殺しにして、乙骨...最低でも三年は交流会に引っぱり出す』
『因みに俺は、身長と尻がデカイ女がタイプだ!』
『(聞いてねぇし)』
伏黒はいかにもめんどくさそうな顔をする。
『なんで初対面のあんたと女の趣味を話さないといけないんですか?』
『そうよ、むっつりにはハードル高いわよ』
『お前は黙ってろ』
『ただでさえ意味わかんねー状況が余計ややこしくなる』
『京都三年、東堂葵だ。これで自己紹介は終わり』『これで友達だ。早く答えろ、男でもいいぞ』
東堂は真剣な眼差しで伏黒を見る
『性癖には、そいつの全てが反映される。女の趣味がつまらんやつはそいつ自身もつまらん』
『俺はつまらん男が嫌いだ』
『交流会は血沸き肉踊る俺の魂の独壇場』
『最後の交流会で退屈なんてさせられたら何しでかすか分からんからな』
『俺なりの優しさだ今なら半殺で済む』
『答えろ伏黒、どんな女がタイプだ?』
伏黒は静かに状況を見る。
『(釘崎は丸腰だ。揉め事は避けたい)』
『(答えるしかないな)』
伏黒の脳裏には姉の姿が浮かぶ。
『....別に、好みとかありませんよ』
『その人に揺るがない人間性があれば、それ以上何も求めません』
その答えに女子2人からは好印象だった。
それを聞いた釘崎は、満足げに頷く。
『悪くない答えね、巨乳好きとか言ってたら殺してたわ』
『うるせぇ』
すると東堂の目から突然、涙が溢れる。
『やっぱりだ.....退屈だよ、伏黒...』
何か悪寒がした伏黒がすぐにガードの構えになると同時に東堂がラリアットをかます。
ドガッ!
衝撃音とともに伏黒が吹き飛ぶ。
『伏黒!』
東堂に吹き飛ばされた伏黒を追うために釘崎が動こうとするが、真依に後ろから抱きつかれ止められる
『あーあ、伏黒君かわいそう...』
『二級術師として入学した天才でも、一級の東堂先輩相手じゃただの一年生ね』
『後で慰めてあげよっかな〜』
釘崎は静かに言い放つ。
『....似てるって思ったけど、全然だわ...』
『真希さんの方が百倍美人』
その言葉に真依の視線が鋭くなる。
『寝不足か?毛穴開いてんぞ』
『...口の聞き方、教えてあげる』
ジャキ....
※
『一目見た時から分かってた...あぁ、こいつは退屈だと』
『だが、人を見た目で判断するのはよくないよな』
『実際、ある人は性癖は答えてくれなかったが...俺の退屈を一瞬で消し飛ばしてくれた』
『だからわざわざ質問したのに...お前は俺の優しさを踏み躙ったんだ』
訳のわからないことを言われてながらも、伏黒は目の前の東堂という人物を思い出す。
『(東堂....あの東堂!)』
『(去年起きた呪詛師神凪による未曾有の呪術テロで、京都の夜行に現れた特級1体と一級3体を1人で祓ったっていうあの東堂!)』
『(だが特級に勝てる一級術師はいるにいる....驚くべきは)あんた、術式使わないんだってな』
『ん?あぁ、あの噂はガセだ。(まぁ俺よりも噂になっている人がいたからな)特級相手には使ったぞ』
『(一級には使ってねーのかよ!、化け物め!)安心したよ!』
伏黒は鵺と蝦蟇の手印を結び、
【不知井底】
翼の生えた蝦蟇が3体現れた。
『(相手はゴリゴリの近接タイプ、距離を取り拘束する』
ズザッ
東堂は一瞬で不知井底を跳ね除けて伏黒の背後に回る。
『!(早い!さっきのが全速じゃ)』
『薄っぺらいんだよ、体も女の好みも...』
東堂は伏黒を持ち上げる後ろに身体を反り地面に叩きつける。
ゴドンッ!
ブシャ
『〜〜っ!』
頭から血を流しながらも、伏黒は急いで距離を取るが、東堂に一瞬で詰められ建物の足場に叩きつけられる。
グググ...
『終わりじゃないぞ...』
東堂は上に投げ、
『例に漏れず、退屈だな』
追撃を行おうとしたところに不知井底が舌を出し、拘束する。
ブチッ
『やる気がまるで感じられん』
『五条悟が後見人だと聞いて少し期待していたが、つまらん』
東堂は簡単に舌をちぎり、退屈そうに語りかける。
『....下手に出てりゃ偉そうにしやがって、そこまでいうなら』
『やってやるよ』
東堂は伏黒の呪力の流れが変わるのを感じる。
これからというところに
『'動くな'』
棘の呪言師で東堂が止まり、
『何..やってんのー!』
バキッ!
パンダが東堂を殴る。
『フゥ、ギリギリセーフ』
『おかか』
『まぁ、アウトっちゃアウトか』
『...久しぶりだなパンダ』
東堂は頬をさすりながら立ち上がると、あっさりと戦闘態勢を解いた。
『なんで交流会まで我慢できないかね。帰った帰った、大きい声出すぞ』
『言われなくても帰るところだ』
『どうやら退屈し通しってわけでもなさそうだしな』
『乙骨に伝えとけ、お前も出ろってな』
『(面倒くせ)オレパンダニンゲンノコトバワカラナイ』
※
『呪術師続けるんなら、喧嘩を売る相手は選ぶことね』
『ましてや実力もないくせに、粋がるほど早く死ぬわよ』
真依の銃口が向く先には、野薔薇が倒れていた。
『うちのパシリに何してんだよ、真依』
真希が棒で銃口を逸らす。
『あら、久しぶりね....真希』
真依の目は鋭いままだった。
『相変わらず呪力がないのに頑張ってるのね』
『お前だって物に呪力を込めるのに精一杯だろうが』
『ないよりマシよ、上ばかり見てると首が痛くなるからたまには下を見ないとね』
『あー、やめだやめだ』
『あんまりギスギスしてると千鬼さんに叱られる』
『そうね....千鬼先生は元気?』
『しばらく会ってねぇから分かんねーけど....あの人なら大丈夫だろ』
真希は野薔薇に目線を移す。
『野薔薇、立てるか?』
『無理よ、しばらく起きないわ』
『それなりに痛めつけたから...』
真希は突然、真依の顔に棒を突きつけた。
『....何よ..やる気?』
真依が真希に意識を向けると、後ろから野薔薇が真依を抑え込み、首を絞める。
『ナイスサポート、真希さん!』
『この女、おろしたてのジャージにばかすか穴あけやがって』
『テメェの制服置いてけよ、私が夏服にしてやる』
『ぐっ!次は体の穴増やしてやるわよ。あとその足の長さじゃ、これは着れないんじゃない?』
野薔薇は、真依を絞め落とそうと力を入れようとした時に真依が肘で野薔薇の脇腹を打った。
ドスッ
『ぐっ!』
脇腹を打たれてしまい、野薔薇が手を緩めた隙に真依が抜け出して再び銃口を野薔薇に向ける。
『ゲホッゲホッ(このアマ〜)』
『残念でした。護身術の類は習ってるの』
『帰るぞ、真依』
東堂が戻ってきた。
『なっ!そんな...伏黒は』
『大丈夫だ。パンダ達がついてる』
『楽しんでるようだな』
『まだよ、私はこれからだから』
『駄目だ。お前と違って俺にはまだ東京に大事な用事があるんだよ』
そう言うと東堂はポケットから複数枚のチケットを取り出す。
『高田ちゃんの個握がな!』
『『『.....』』』
そんな東堂を女性陣は呆れた目で見つめる。
『乗り換えミスってもし会場に辿り着けなかったら、俺は何をしでかすかわからんぞ』
『ついて来い、真依』
出発する東堂を真依は急いで追いかける。
『もうっ、勝手な人!』
真依は後ろを振り返り
『あんたたち、交流会はこんなもんじゃ済まないわよ』
捨て台詞をはいて去って行った。
『何勝った感出してんだ!制服置いてけコラー!』
『やめとけ』
コツン
『ここじゃ勝っても負けても貧乏くじだ。交流会でボコボコにすんぞ』
釘崎は大人しくなると真希に質問する。
『....ねぇ真希さん』
『さっきの本当なの?呪力がないって』
真希は眼鏡を外す。
『...本当だよ、だからこの眼鏡がないと呪霊も見えねぇ』
『私が使うのは呪具、もともと呪いが込められてるもんだ。だからお前らみたいに自分の呪力流してどうこうしてるわけじゃねぇよ』
釘崎は少し気まずそうに質問する。
『....じゃあなんで呪術師なんか...』
『嫌がらせだよ』
そう言う真希の目はどこか先を見ているようだった。
『前に見たことあんだよ。軽蔑していた奴に家の連中がボコされんのを...』
『それが滑稽でさぁ、その日、家の雰囲気がかつてないほど落ち込んでてな』
真希は笑いながら思い返す。
あの時から、あの人みたいに家の連中全員見返してやると決めた。
『だから、見下されてた私が大物術師になってみろ』
『家の連中どんな面すっかな』
真希はニヤリと釘崎に笑いかけ、眼鏡を付け直す。
『オラ、さっさと硝子サンとこ行くぞ』
そんな頼もしい真希の背中を釘崎は追いかけ、
『私は真希さんを尊敬してますよ』
『あっそ』
2人は硝子のところへ向かった。
〜福岡空港〜
1人の男がキャリーケースを引きながら空港内を歩く、男にとっては約半年ぶりの帰宅となる。
『ふぅ〜、やっと日本に着いたな』
『全く日本全国回らせて、フランスに行って来いって...何考えてんだよ上の老害達は(帰り遠回りしちゃったし)』
愚痴をこぼしながら空港に書かれている日付を見る。
『と言うかもうこんな時期か....交流会もう少しであるなぁ』
何かを思い出すように微笑み
『久しぶりにみんなと会えるし、それに新一年生達も見てみますかね』
1人で呟きながら千鬼は空港の出口へ向かった。
〈医務室で〉
硝子から一応休んでおけと言われ、伏黒はベットに横たわっていると菜々子と美々子が慌ただしく医務室へ入ってきた。
『恵、大丈夫?』
『あぁ、ありがとう美々子。大丈夫だ』
伏黒の返答を聞いて、美々子はほっと息をつく。
一方、菜々子は腕を組みながら眉をひそめていた。
『にしてもあり得ない、急に襲いかかるとか呪詛師かよ』
『なんで襲ってきたんだろう?』
『どうやら俺の女の好みが気に食わなかったらしい』
『『!』』
2人の目が丸くなる。
『へ、へぇー』
『そう、なんだ...』
『恵はなんて答えたんだ?』
横から硝子が質問する。
『俺は、その人に揺るがない人間性があれば、それ以上何も求めませんって言いました』
『そうか、なかなかいいと思うが....東堂には不評だったんだな』
『そうらしいですね』
『『(揺るがない人間性!.....てどんなの?)』』
伏黒の知らないところで女子2人が頭を悩ませている。
『(ふふ、夏油にバレたら大変だな)』
その横で硝子は面白いものを見るように微笑んでいた。
呪霊装術、渋谷事変も書いて欲しい?
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YES
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NO