※アンケート追加しました。
高専の応接室に2人の人物が待っていた。
『夜蛾はまだかのぉ』
呪術高専京都校学長の楽巌寺嘉伸と京都校二年の三輪霞である。
『老い先短い年寄りの時間は高くつくぞ』
『夜蛾学長はしばらく来ないよ』
そう言って部屋に入ってきたのは五条悟だった。
『嘘のスケジュールを伝えてあるからね』
そしてソファーに腰掛け、楽巌寺を見据える。
『その節はどうも』
『はて、その節とは?』
『とぼけるなよジジィ、虎杖悠仁のことだ』
五条の口調が僅かに低くなる。
『保守派筆頭のアンタも一枚噛んでいるんだろ』
楽巌寺の表情は特に変わらない
『やれやれ、最近の若いのは敬語もろくに使えんのか』
『ハナから敬う気がねぇんだよ。最近の老人は主語がデカくて参るよホント』
『ちょっと、これは問題行動ですよ』
三輪が口を挟んだ。
『然るべきところに報告させてもらいますからね(ヤッベー、生五条悟!生五条悟だ!!)』
口では真剣なことを言っているが、内心は全く別のことを思っているようだ。
『ご自由に、こっちも長話する気はないんでね』
『(喋っちった!喋っちった!)』
足を組み、わざと間を置いて話を続ける。
『昨晩、未登録の特級呪霊2体に襲われた』
『!』
『それは災難じゃったの』
『勘違いすんなよ。僕にとっては街でアンケートを取られた位のハプニングさ』
『(くぅ〜かっけー!)』
『その呪霊達は意思疎通が取れたし、同等級の仲間だっているはずだ』
『敵さんだけじゃない、秤に乙骨、そっちの東堂』『生徒のレベルも近年急激に上がっている』
五条の視線が鋭くなる。
『八年前の大嶽丸の復活、去年の神凪蒼真の一件』
『そして現れた宿儺の器』
『....何が言いたい?』
五条は軽く笑う。
『分かんないか』
『大嶽丸で察しろよ。アンタらがしょーもない地位や伝統のために塞き止めていた力の波がもうどうしようもなく大きくなって押し寄せてきてるんだよ』
『これからの世代は[特級]なんて物差しじゃ測れない』
『牙を向くのが僕達だけだと思ってんなら、痛い目見るよおじいちゃん!』
楽巌寺が五条を睨みつける。
『少しお喋りが過ぎるの』
『おー怖、言いたいこと言ったから退散しよーっと』
『夜蛾学長は2時間後にくるよ〜』
『(2時間!)』
五条は扉に向かい出ようとするが、何かを思い出したように振り返った。
『そういえば、千鬼が戻ってくるよ〜』
『.....』
『しばらく出張任務は行かないつもりらしいから、そこんとこよろしくね〜』
そう言って五条は出て行った。
『(マジ!ってことは特級3人!)』
『(3人一緒に撮れるかな!)』
もちろん、ただ帰ってくることを報告したわけではない。
遠回しに(こちらは3人揃っている。下手なことをしてくるなら容赦なく牙を向くぞ)と言う上層部に向けての意味合いが込められていた。
『....三輪、茶を買うてきてくれ』
『はい!(追いついたら一緒に写真撮ってもらおう)』
※
2018年 9月
神奈川県川崎市
キネマシネマ
上映終了後
男子高校生3名の変死体を従業員が発見
死因
頭部変形による脳圧上昇 呼吸麻痺
『それじゃあ2人とも気をつけて!』
『っス!』
『凄惨な現場です』
『覚悟はいいですか?虎杖君』
『押忍!』
『気張っていこうぜ』
『いえ、そこそこで済むならそこそこで』
『(なーんか噛み合わないなー)』
虎杖は少し前のことを思い返す。
『今回僕は引率できなくてね』
『でも安心して、信用できる後輩達を呼んだから』
そう言って五条は隣にいる金髪の男を紹介する。
『脱サラ呪術師の七海君でーす』
『その言い方やめてください』
『そして伊地知よりも頼りになる補助監督、灰原君!』
『先輩、伊地知が可哀想ですよ』
『呪術師って変な奴ら多いけどさ、コイツらはしっかりしてんだよねぇ』
『他の人もあなたに言われたくはないと思いますよ』
『七海、先輩だってまだまともな部類じゃないか』
『そうでしょうか?』
『脱サラ....なんで初めから呪術師にならなかったんすか?』
『まず挨拶でしょう、はじめまして虎杖君』
『よろしくね、虎杖君』
『あ、ハイハジメマシテ』
『私が高専で学び気づいたことは呪術師はクソということです』
『そして一般企業で働き気づいたことは労働はクソということです』
『そうなの?』
『同じクソならより適性のある方を、出戻った理由なんてそんなものです』
『なんか暗いっすね』
『疲れているんだ、大目に見てあげて』
『虎杖君、私と五条さんが同じ考えとは思わないでください』
『私はこの人を信用しているし信頼している』
五条は得意げな顔をする。
『でも尊敬はしてません!』
『ああん?』
『先輩、僕はしてますからね』
『上のやり口は嫌いですが、私はあくまで規定側です』
『要するに、私もあなたを術師として認めてない』
七海は淡々と自分の考えを述べていく。
『宿儺という爆弾を抱えても、己は有用であるとそう示すことに尽力してください』
『私は一度そういう人を見たことがあります』
『....俺が弱くて使えないことなんてここ最近嫌という程思い知らされてる』
『でも俺は強くなるよ。強くなきゃ死に方さえ選べねぇからな』
『言われなくても認めさせてやっからさ、もうちょい待っててよ』
『いえ、ぶっちゃけ私はどうでもいいです。上に言ってください』
『あっハイ』
『こら七海、いい心がけじゃないか』
『頑張ってね、虎杖君』
『ありがとうございます!』
『(五条先生が七海と灰原の2人がペアって言ってたけど正反対だよなぁ)』
『虎杖君』
『えっ!何?』
『今から入りますよ』
『あっうん、了解!』
七海と虎杖は建物の階段を上がる。
『監視カメラにはなんも映ってなかったんだよね』
『ええ、被害者以外は少年が一名のみです』
『じゃあ犯人は呪霊?』
『まぁそうですね』
『あの少年がやった可能性はなくもないですが、そちらの身元特定は警察の....』
階段を上り切り、屋上に出ると四つん這いになっている呪霊がいた。
虎杖は瞬時に構え、祓おうとする。
『ストップ』
『コチラは私が片付けます』
『虎杖君はそちらのもう一体の方を』
『了解!』
※
呪霊相手に優勢になっていた2人だが、七海がトドメを刺そうとした時に、あることに気づき急いで虎杖を止める。
その後、呪霊2体を高専に運び、硝子に見てもらい報告を待っていると電話がなった。
『はい、七海です』
『もしもし、七海か。結果が出たよ』
『それで....どうでしたか?』
『人間だよ』
七海の当たりたくない予想が当たってしまった。
虎杖も一瞬だが、表情が暗くなる。
『正確には元人間だと言ったところだ』
『映画館の3人と同じ、体を無理やり変えられている』
『ですが、私達の戦った2人は呪力がみなぎっていた』
『そればかりは犯人に術式を聞くしかないな』
『ただ、脳幹のあたりにイジられた形跡がある』
『恐らく...意識障害、錯乱状態を作り出すためだろう』
『脳までイジれるなら呪力を使える様に人間を改造することも可能かもしれん、脳と呪力の関係はまだまだブラックボックスだからな』
『そうだ、虎杖は聞いてるか?』
『あ、ウス』
『コイツらの死因はザックリ言うと体を改造させられたことによるショック死だ』
『君が殺したんじゃない、そのあたり履き違えるなよ』
硝子なりのフォローをもらい、虎杖は少し表情が和らいだ。
『はい....』
※
『それじゃ、また何かあったら連絡くれ』
硝子は電話を切り、改造された人間の方を見て小さくため息をつく。
『ふぅ、全く厄介な存在もいるもんだな』
元人間...もとい改造人間を調べて少しでも解明しようと試みた。
『(死んでなければ治療が可能かもしれないが、こればかりは試してみないと分からない...それにここまで形が変えられていると1人を治してどれぐらい消耗するか...)』
硝子が治療可能かを考えているとドアが開く音がする。
『ただいま〜硝子〜』
硝子が久しぶりに聞きたかった声が響いた。
『!、千鬼おかえ....え?』
硝子が振り返ると同時に千鬼が硝子に抱きついた。
『ははは、硝子ただいま。いい匂い〜シャンプー変えた?』
千鬼は間延びした声で硝子を抱きしめる。
『ちょっ、千鬼どうしたの?....!』
少し顔が赤くなりながらも千鬼を剥がして顔を見るとびっくりするぐらいの隈が目の下にできていた。
『どうしたのこれ!』
『(何日寝てない....というかいままでどのくらい寝たんだ?!)』
『えっ、なんかある?』
『隈すごいよ!』
『いや〜、すげー任務の数が出てて日本全国やたまに海外に行ってたから、そのせいでろくに寝てなかったからなぁ』
『まぁ、大丈夫でしょ。意識あるし....』
『いや、大丈夫じゃない!早く寝な!』
『え〜、せっかく会えたのに....しょうがないなぁ、んじゃあそこのベットで』
『そこは遺体を置くところ!』
『あぁもう、がしゃどくろ出して』
『え〜なんで『早く!』分かった分かった』
千鬼はがしゃどくろを出して硝子に寄りかかる。
硝子はがしゃどくろに指示を出す。
『千鬼を急いで自宅のベットまで運んで、荷物もお願い』
『了解しました。』
千鬼はがしゃどくろに抱えられて部屋を出ていった。
『....全く、あの状態でここまで来たのか。世話がかかるな』
『今日は早く帰ってあいつの様子見ておかないと、それに起きたらこれからのこととか相談したいし....』
虎杖のこと、交流会、今七海達が抱えている任務、五条の問題行動などなど
千鬼に言わなくてはいけないことはたくさんある。
『本当に...忙しいよ....』
そう言う硝子の表情はとても笑顔になっていた。
〈帰ってからの出来事〉
『奥方様、荷物の整理できました』
『そう、ありがとう』
『奥方様、千鬼様の着替えも完了いたしました』
『...ご苦労様』
『奥方様、他に何かすべきことは?』
『特にないかな......あのさ、その奥方様ってやめてくれない』
『ではなんとお呼びすれば?』
『普通に硝子でいいよ』
『了解しました。硝子様』
『....(呼び方慣れね〜。他の呪霊もこんな感じなのか?)』
補足
千鬼が出した呪霊は解除しない限り、例え千鬼の意識がなくても一定時間は消えることはない。
その場合は硝子の指示に従うことにしている。
呪霊装術、渋谷事変も書いて欲しい?
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YES
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NO