呪霊装術   作:戦艦YAMATO

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26話 動き出した影

 

 

千鬼が蝿頭から生徒達を見ていると動きがそれぞれあった。

 

『(桃が鵺の攻撃くらったな。もしまともに受けてたら、結構痛いぞ)』

 

視点を変えると加茂が伏黒、三輪が真希と戦いを始めた。

 

『(真希達が戻ってきたのか....おそらく悠仁の件に気がついたんだろうな)』

『(棘と菜々子と美々子は呪霊狩りか)』

『(というか呪霊を祓えよ....まぁ、こいつらがぶつからないことはないか...)』

『(東堂は....なんか妙な感じになってない?)』

 

 

 

 

その頃、西宮は鵺によって木に叩き付きられていた。

 

『いてて(あれが伏黒君の鵺...しばらく動きに影響出そうだな)』

 

『『にーしみーやちゃん』』

 

木の下で西宮を呼ぶ声がした。

 

『あーそーぼっ』

 

見てみると、怪しい笑顔を浮かべる釘崎とパンダがいた。

 

『(ガラ悪っ...)』

 

釘崎は冷たい視線で西宮を見て、本題へと切り込む。

 

『ねぇあんた、そっちのジジイから虎杖殺すように言われたでしょ』

 

『え(この子勘がいいな...いやそれはパンダちゃんの方かな)』

 

西宮は驚きつつも、すぐに表情を整える。

 

『何それ』

 

『別に隠さなくて良いのよ』

『私だって殺す気でやるし、特に真依とかいう真希さんの出涸らし』

 

その言葉に西宮は

 

『はぁ?』

 

声が低くなり、釘崎を睨みつける。

 

『おいおい、ペッパー君でももうちょいまともなレスポンスするわよ』

『あぁ、そういやそっちにもいたわねペッパー君(なんだ怒れんじゃん)』

『(私も同じ気持ちだよ!)スクラップにして不法投棄しようかしら』

 

ゴゴゴゴゴ

 

『(怖い)』

 

その時、木々の間から光が走る。

 

ドッ!

 

『おっ』

 

光線がパンダを貫いた。

 

『パンダ先輩!』

 

『呪骸だぞ。死にはしないさ、しばらく動けんがナ』

 

光線が放たれた方からメカ丸が出てくる。

 

『デ、誰がペッパー君だっテ?』

 

『待ってメカ丸』

 

西宮はメカ丸を制止する。

 

『この一年は私がカワいく叩き直す』

『真依ちゃんの苦労、女が呪術師として生きていく意味、諸々教え込んでやる』

 

釘崎が不利な状況かと思われたが、パンダが起き上がった。

 

『なんちって』

 

バキィ!

 

そして、油断していたメカ丸を殴る。

 

『出たがりか?こそこそ隠れて援護に徹しろよ』

『ま、仲良くやろうぜ、呪骸同士』

 

パンダの言葉にメカ丸は憤る。

 

ギリッ

 

『人形風情が、知った口ヲ!』

 

 

 

 

千鬼は冥冥が写している映像を見ていた。

 

『何やってんだあいつら....』

 

夏油は少し笑いながら述べる。

 

『まぁ良いじゃないか、これはこれで面白い』

 

五条も少し呆れたように言う。

 

『皆ゲームに興味なさすぎじゃない』

 

『なんで仲良くできないのかしら』

 

『歌姫...先輩に似たんじゃない』

 

『私はあんただけよ』

 

硝子は少しため息を吐く

 

『今年は怪我人多そうだな』

 

千鬼は少し頭を抱える。

『(東堂はなんか悠仁に教えている感じだし...全く、まともにやってんの棘と菜々子と美々子の3人くらいだぞ)』

 

すると、真希が霞から刀を取る映像が映った。

 

『フフフ、面白い子じゃないか』

 

【一級呪術師 冥冥】

 

『さっさと2級にでも上げてやればいいのに』

 

『僕もそうしたいんだけどさー、禪院家が邪魔してるくさいんだよね』

 

五条は肩をすくめる。

 

『素直に手のひら返しで認めりゃいいのにさ』

 

『しょうがないよ悟。ああいうくだらない家でも、それなりのプライドはあるんだから』

 

『フフッ、金以外のしがらみは理解できないよ』

 

その言葉に硝子は少し笑う。

『相変わらずお金が好きですね、冥さん』

 

『そういや、千鬼は指名できるんじゃないの?』

 

『指名しようとしたら真希に止められたんだよ』

『そんな簡単に上がったら意味がないって言われちゃった』

 

『真希らしいな、千鬼の指名だったら2級はすぐだからな』

 

『まぁ、そのうち周りに認めさせるさ』

 

『まぁそれは置いといて、さっきからよく悠仁の映像切れるね』

 

『動物は気まぐれだからね。視覚を共有するのは疲れるし』

 

『えー本当かなぁ、ぶっちゃけ冥さんってどっちが側?』

 

『どっち?私は金の味方だよ』

 

『(こりゃ完璧に買収されたな)』

 

『それに、私が見てなくともいい気がするけどね』

 

冥冥の視線が千鬼の方に向く

 

『(バレてらぁ)どうしたんですか?俺は出す数に制限があるので、そこまでのことはできませんよ』

(千鬼は三級以下なら無制限に出せるが、このことは同期と担任にしか言っていない)

 

『ふふふ、そうか....まぁいいだろう』

 

すると壁に貼ってある札が2枚赤色に燃える。

 

『おや、動いたようだね』

 

『多分一枚は棘達だろ。もう一枚は....パンダあたりかな』

 

『僕の生徒達がリードしているね』

 

『悟、事実だとしても口に出さないほうがいいよ』

 

『....チッ』

 

『おいクズ共、今すぐ先輩に謝れ』

 

『『すみません!』』

 

『お前達も仲良くできんのか』

 

夜蛾学長はため息をついた。

 

ちょっとしたいざこざが終わったと思い、千鬼は蝿頭に意識を向ける。するとメカ丸がやられ、真希も三輪を置いてどこかへ行ってしまい、釘崎が藁人形を叩きつけている様子が写った。

 

『(東京校が有利か?....桃のやつ、箒に乗ってるからって少し油断してたな)』

 

別の視点に変えると真依が木の上に登っていた。

 

『(なるほど...さて、野薔薇は気づくかな?)』

 

千鬼は少し笑みを浮かべて交流会の様子を見る。

 

 

 

 

西宮が乗る箒が、釘崎の術式によって操作不能になる。

バランスを崩した西宮は、空中で抗うもそのまま落下した。

 

釘崎は即座に追撃を仕掛ける。

殺さないために用意したピコピコハンマーを持って西宮に近づいた。

 

『喰らえ!』

 

勢いよくピコピコハンマーを振りかざす。

 

『っ!』

 

しかし西宮は釘崎の襟を掴み、懐に入り込む

 

『!(近づいて来た!?)』

 

そのまま釘崎を引き込み

 

『ふん!』

 

巴投げを決める。

 

ドン!

 

釘崎は受け身を取れず、地面に強く叩きつけられた。

 

『ぐっ(こいつ....柔道やってんのかよ)』

 

釘崎は急いで立ち上がり、西宮の方に集中した時、

 

ドォン

 

どこからか音が聞こえ

 

パァン!

 

釘崎のこめかみに強烈な衝撃が襲い、そのまま気絶した。

 

『よかった、当たって』

 

攻撃したのは禪院真依だった。

真依は木の上に登り、遠く離れたところから釘崎に命中させたのだ。

 

真依は西宮に電話を繋げる。

 

『もしもし桃?』

『ゴム弾だから安心して、それよりさっきの光、【三重大祓砲(アルティメットキャノン)】よね』

『でもメカ丸と連絡取れないの

あの大技を出すほど追い詰められてコレなら負けてるわね。』

『パンダが戻ってくるかもしれないからそこを離れて上から皆をサポートして』

『あなたがいないと困るわ』

 

『うん...』

 

一瞬の間が空く。

 

『真依ちゃん、私ね...』

 

『いいのよ桃、分かってる』

 

『...うん』

 

ピッ

 

通話が切れた途端

 

『仲間呼ばねーの?』

 

真依が横目で隣の木を確認すると、見据えるように真希が木の上で刀を携え立っていた。

 

『私は別に2対1でもいいんだぜ?』

 

『楽しみ方って色々あるでしょ?』

『皆でボコボコにするより、1人で楽しみたいの、あんたは』

 

真依は銃口を真希に向け

 

『お姉ちゃんって呼べよ、妹』

 

真希は切先を真依に向けた。

 

『っ!誰が呼ぶか!』

 

真依は銃で真希を撃つが、真希は銃弾を二つに切り、軌道を逸らして防ぐ。

 

そして木の影に隠れた。

 

『!(死角に入ったからなんだっつーのよ、私から距離を取るとか馬鹿じゃない?)』

 

だが次の瞬間、

 

スパッ!

 

真依が乗っている木の枝が切られ、真依が落ちる。

 

『(下かよ!)』

バンッバンッ

 

真依は急いで撃つが、真希に避けられ、強力な蹴りが真依の脇腹に当たる。

 

ドゴッ!

 

『ゔっ!』

『(分かってた。真希には私にはない才能がある)』

 

目の前が揺らぎながら真依の記憶が蘇る。

 

小さい頃の真希

 

家を出る時の真希

 

『(いつもそうだ。昔から不安なんてないみたいにズカズカ突き進む)』

 

イラつく。

 

どうしようもなく。

 

『(そんなあんたが嫌いだった....)』

 

真依の銃弾が撃ち尽くされ、真希が再装填をさせまいと近づく

 

『(だから、初恋も、術式も)』

 

パァン!

 

弾が切れたと思われた真依のリボルバーから銃弾が撃ち出される。

 

『(アンタに教えたことはない)』

 

銃弾が真希の眼の前まで迫り、真依は勝利を確信する。

 

『(私の勝ちよ)』

 

パシッ!

 

『ツッ!』

 

なんと真希は銃弾を素手で掴み止めるという荒技を披露した。

 

信じられない光景を目の当たりにした真依は目を見開く

 

『!(弾を、キャッチした....?)』

 

『素手で触るもんじゃねぇな』

 

真希は弾を捨てながら、淡々と呟く。

 

『...っ....この!』

 

真依は銃を捨て、真希に体術で挑む。

攻め続けるが、真希の方が上手だった。

 

すぐに投げられ、木の下に倒れ込んだところに刀を首に当てられてしまい、勝負はついた。

 

『決着、ってことでいいか?』

 

静寂が訪れる。

 

『それにしてもいい体の動きだな。千鬼さんから習ってたのか?』

 

真依は質問に答えず、俯むいたまま質問をする。

 

『....なんで、私を見捨てたの?』

 

『は?私は別にお前を『あんたのせいでね!』っ!』

 

真依は顔を上げて真希を睨みつけた。

 

『私がどうなってたか分かる!?無理矢理、呪術師の訓練させられて、痛い思いや、怖い思いもして!』

『頑張らざるを得ない状況になったの!』

 

『途中で千鬼先生が、私に稽古をつけるために家に来てくれなかったら、もっと...もっと酷い目にあってた!』

 

声を荒げる真依の言葉に真希は何も言えなかった。

 

『なんで一緒にいてくれなかったの?』

 

真依は涙目になり、震える拳を握りながらも真希を睨みつける。

 

『....あのままじゃ、私は私を嫌いになってた』

『それだけだよ』

 

真希は少しだけ悲しげに目を伏せ、背を向ける。

 

『...ごめんな』

 

そう言って去って行く。

 

そんな真希の背中を真依は睨んだままだった。

そして静かに呟く。

 

ギリッ

 

『嘘つき....』

 

 

 

 

棘、菜々子、美々子が森を散策していると木の影から不穏な気配がした。

 

『こんぶ』

 

『なんかやばくない』

 

『目標の呪霊かな?』

 

構えていると呪霊が顔を出す。

 

3人は攻撃を仕掛けようとしたが、突如呪霊が白目になり、首だけが転がってきた。

 

ザフッ

 

そのまま祓われたのを確認すると同時に木の影からとてつもない呪力を持った呪霊が出てくる。

 

──花御だった。

 

『しゃけ、いくら、明太子』

 

『何あいつ!』

 

『結構やばい!』

 

 

あるところでは、真人と謎の男が屋根の上に立っていた。

 

『俺らも仕事を始めよう』

 

『ハンガーラック....いや3人もいるんだ。もっとでかいもんでもいいな』

 

男の表情は、これから楽しいことをするのだと分かるほど、愉悦に満ちていた。

 

『五条達は3人とも190以上はあんだろ?

い〜いもんが作れそうだ』

 

 

またあるところでは、四つの影が不穏な気配で佇んでいた。

 

『そろそろ花御達が仕掛ける頃だな』

 

禍蛇が低く呟く。

 

『目標は家入硝子だ。ちゃんと生け捕りにするんだぞ』

 

夜刀神が鋭く念を押した。

 

『分かっている。だがそれ以外は殺してもいいんだろう』

 

不機嫌そうに土蜘蛛が言う。

 

『ふふ、ならば早く行った方がいいですね、私達の目的がバレる前に』

 

隣にいる女性が微笑みながら、急かすように言った。

 

見た目は長く乱れた黒髪で、肌はとても白く、瞳孔が黄色く光っている。

美しい顔立ちだが、生気が宿ってないように思われ、不気味さが感じられる。

服装は平安時代の姫衣装のようだが、黒を基調としていて髑髏の模様や血のような赤色がところどころ目立っていた。

 

『まぁ、そう焦るな。まずは花御が注意を引き、家入硝子から五条達が離れたであろう時』

 

禍蛇の口元が歪む。

 

『捕まえればいい』

 

少しすると、どこからか帳が降りてきた。

 

土蜘蛛が少し笑いを浮かべる。

 

『合図だ』

 

『さて....行くとしよう』

 

禍蛇の言葉で、四つの影が高専に向けて動き出した。

 

 

 




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