投票結果により雪女に名前をつけることにしました。
結構名前つけてもいいという人達が多くて正直びっくりです。
名前の候補をアンケートにしたので投票よろしくお願いします。
〜漏瑚と雪女の勝負が終わった頃〜
「さっきの見た?ヤバいよね」
「俺さっきまであの辺彷徨いてたんだ」
ケラケラ笑う真人は目の前の人物、釘崎野薔薇に話しかけていた。
「……ツギハギ」
「お前か、ウチの馬鹿にちょっかい出したっていう特級呪霊って」
「え!いや参ったなぁ。俺有名人?」
真人の問いに釘崎はニヤつきながら答える。
「あぁ、ギャグ漫画みたいに吹き飛んだってなぁ」
ピキッ
「…いいね。殺り甲斐ありそうじゃん」
真人は表情には出さないが明らかに少し思うところがあったらしい。
真人が構えると同時に釘崎も構えた。
「私も今日はいいとこなしなんで、せめて逃げ虫くらい祓っておかないと」
「(こいつの術式は魂うんぬんって話と触れられるなって話よね)」
釘崎はあの八十八橋での一件で掴んだ呪力の核心を思い出すようにする。
すると真人は改造人間を釘崎に向かわせた。
だが釘崎はすぐにトンカチで頭を打ち抜いて撃破する。
真人は釘崎が持っている釘を見て笑う。
「へー、五寸釘って趣味悪いねー」
「お前の脳天にも打ち込んでやるよ!」
真人はさらに改造人間を数体出して向かわせる。
釘崎は、攻撃を回避しながら釘を改造人間達に刺しこむ。
「そんな釘でやられるほど柔じゃないんだけど?」
「(口ぶりからして虎杖悠仁と親しいんだろうな。この女の死体を晒してあいつの魂を折ってやる!)」
真人は自分が手を下すまでもない。そう思っていた。
「……あんたのことを聞いた時からさぁ、効くんじゃないかなって思ってたんだよね“これ”」
釘崎は釘が刺さったままの改造人間を倒して馬乗りになった。
カアン!
【共鳴り】
ズバッ!
直接当てられていないはずの真人の体の一部にダメージが入る。
「!(嘘だろ…まさか、俺の天敵は)」
「(虎杖悠仁や龍山千鬼だけじゃなかった!!)」
釘崎は明らかに動揺した真人を見て嗤った。
「やっぱ効いたわ。さすが私」
真人はわずかな時間で考えた。
今まで、自分自身の体験で警戒すべき相手は虎杖悠仁と龍山千鬼だけだと思っていた。
まさかこんな女が自分を脅かす存在だとは予想してなかった。
そして真人は決めた。
この女は──“必ず殺る”!
真人は早速自分の手を棘付き鉄球のように変化させて釘崎に襲いかかった。
釘崎は急いで避けるが、砕けた道路の破片が飛んできてわずかに顔を掠る。
「うねうね体変形させて、気持ち悪ィんだよお前は」
彼女は歯を食いしばって立つ。
「うーん、俺も君のこと、わりと嫌いだよ」
血を流しながら真人は笑っていた。
右手の変形した掌が蠢く。
無為転変──人間の魂に触れた瞬間、体を作り替える最悪の術式。
釘崎は心の中で悪態をつきながらも釘を放つ。
真人は少し前に釘崎の術式は自分には最悪と分かったので受けるのではなく、避けた。
完全に真人はまだ殺し方を選んでいる。
真人が本気ならば釘崎はすでに死んでいるはずだ。
それを分かっているので釘崎の苛立ちはさらに増していく。
対する真人も自分と天敵である釘崎を警戒するが、実力は明らかに自分が上と分かっていた。
下手に改造人間を出せないのは痛手だが、それでも釘崎には勝てるイメージは湧いている。
虎杖悠仁を絶望させるのにうってつけであろう釘崎をどういう“体”にしてあいつに見せつけてやるかを考えながら対峙する。
真人が再び間合いを詰める。
釘崎は反射的に数本の釘を放った。
真人は余裕で身体をひねって躱し、逆にそのまま蹴りを放った。
「ッぐ!」
トンカチを咄嗟に前に出し、触れられることは避けたが腹部に直撃。
釘崎は後方の壁に叩きつけられる。
だが彼女は倒れず、壁を背にしながら構えた。
「……まだ終わってないわよ」
真人は少しだけ感心したように首を傾げる。
「へえ。人間って脆いくせに、時々こういうのがいるから面白いんだよね」
彼は手を地面に突き、改造人間を二体、這い出させる。
どちらも半分だけ人の顔を残した、歪んだ亡者。
「さぁ、どうする? こいつらに情けかけて死ぬ?」
「ふざけんな」
野薔薇は即答し、釘を指に挟む。
「死んだ奴のために泣くのはあと。今は、目の前の呪いをブチ殺す!」
カンッ!
一閃の音。釘が人形に突き刺さり、直後に響く共鳴の衝撃。
真人の肩口がまた弾け飛ぶ。
「……!」
真人は歯を食いしばりながら、今度こそ本気で目を細めた。
「(躊躇なく来るか)……やっぱり君は、俺の”天敵”だ」
真人の肩口が弾け飛んだ痛みを無視し、笑いながら再生を進める。
「ははは……君って本当にいい。殺し甲斐がある」
釘崎は荒い息を吐きながらトンカチを構える。
「アンタみたいな奴に好き勝手させてたまるかっての」
「この釘崎野薔薇様が祓ってやるから覚悟しなさい」
真人が手を振ると改造人間が一斉に襲い掛かる。
釘崎は横に跳び、釘を打ち込んでまた共鳴りを発動させようとしたが、
パァン!
改造人間は破裂した。
「くっ……!」
すぐ背後にもう一体が迫る。
釘崎はトンカチを振り抜き、頭を砕く。
だがその隙を狙って真人が肉薄していた。
「遅い」
巨大化した腕が、振り下ろされる。
野薔薇は必死にトンカチで受け止めるが、凄まじい衝撃で腕が痺れる。
「ぐッ!」
真人はさらに身体を歪め、もう一方の手を槍のように尖らせて突き出す。
「じゃあ、これでお別れだ」
瞬間──
地面が大きく裂け、無数の白い骨が突き出した。
真人の腕と釘崎の身体の間に食い込むように隆起し、衝撃を遮る。
「……ッ!?」
真人は思わず目を見開く。
釘崎も驚きに目を瞬かせた。
視線の先、闇の奥から、巨大な頭蓋骨がゆっくりと姿を現していく。
ドォォォォォン……
地面が割れるような重低音と共に、呪力の圧が周囲を包んだ。
骨、それも巨大な無数の骨が這い出すように現れ、二人の間、中央に立つのは20mはある巨大な骸骨
──【がしゃどくろ】
真人は一瞬困惑するが、すぐにいつもの調子に戻す。
「……なになに?乱入?」
「君って確か龍山千鬼の?」
「確か、がしゃどくろ…」
真人の言葉に繋げるように釘崎が呟いた。
「君がいるってことは…もしかして味方?俺と一緒にあの女殺す?」
真人は千鬼に取り込まれたはずの呪霊、がしゃどくろがいるということは解放されていると考えた。
だから味方だと思い、声をかけたのだ。
がしゃどくろは眼窩の奥に光る紫の目をただ真人に向けていた。
「ちょっとそこの骨!力貸しなさい」
それに対して釘崎はがしゃどくろに助力を求める。
そんな釘崎に向かってがしゃどくろは声をかけた。
「なぜ私が味方だと思う?」
釘崎は微笑みながら
「私の勘!」
自信満々に答えた。
「……随分と乱暴な理屈だ」
がしゃどくろはわずかに声を漏らす。
「あんたも骨ならさ、女の勘ってやつは骨身に染みて信じときなさい!」
野薔薇は得意げに胸を張った。
がしゃどくろは少し拍子抜けしたような空気を出し(表情は骨なので分からないが…)答える。
「了解した」
そして真人を再び見据える。
完全にどちら側かはっきりした瞬間だった。
「だってさ」
野薔薇は真人に向かって構え直し、ニヤリと笑った。
「残念だったわねツギハギ。アンタの敵、倍に増えたわ」
どう考えてもそうなっているのを見た真人はイラつきながらも笑った。
「はぁ?あーもう、イライラすんなぁ!」
真人は手を伸ばしてがしゃどくろに触れた。
無為転変で変化させてしまえばこっちのもの。
そう考えた次の瞬間
ドゴッォ!
がしゃどくろは横薙ぎに腕を振って真人を吹き飛ばした。
建物にぶつかり、へこんだ壁の中で真人の頭には疑問しか湧かなかった。
──変化していない?
確かに無為転変は発動させた。
だが肝心のがしゃどくろには一切変化はない。
そして真人は悟る
“こいつは無為転変が効かない”
実はがしゃどくろは元々人の無念な気持ちを中心に生まれた存在。
さらに人の死に直通する骸骨を関することから“魂”という概念に対してがしゃどくろ自身も意識している。
さらに千鬼の中にいたこともあって真人はますますがしゃどくろの魂に干渉ができなくなっていた。
さらにこれによって真人に攻撃を与えることも可能だった。
「(てことは俺は今から…)」
そう、真人は今から天敵とも言える術師と呪霊を相手にしなければならないということだった。
巨大な骸骨と、トンカチを握りしめた少女。
対するは、魂を弄ぶ最悪の呪霊。
渋谷の闇に、奇妙にして苛烈な戦いが幕を開けようとしていた。
雪女の名前は何がいい?
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冬音(ふゆね)
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澪華(れいか)
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瑠璃(るり)
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六花(りっか)
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雪月(ゆづき)