ドンッ──!
釘崎は地面を蹴り、骨鎧がきしむ音を響かせながら一気に間合いを詰める。
その姿は骸骨の仮面をまとった死神のようで、真人の顔にも露骨な苛立ちが浮かんだ。
「(早いっ!)」
真人は即座に右腕を刃のように変形させ、振り下ろす。
ガキィィン!
刃は釘崎の首を狙ったが、触れる寸前に骨がせり上がり、自動的に喉を覆った。
火花のような衝突音だけが響き、真人に“触れさせない”ようにしている。
「……チッ、勝手に守ってくれるとか反則じゃん」
そんな真人に釘崎はニカっと笑う。
「残念、乙女の肌に簡単に触れると思うなよ」
すると釘崎の籠手に穴が現れ、そこから骨の釘が弾丸のように射出される。
真人は舌打ちしながらバックステップ
しかし追撃は止まらない。
ズガァァン!
地面に打ち込んだ釘が爆ぜ、破片が弾丸のように舞い上がる。
避けきれない真人の右肩に直撃し、
「共鳴り!」
皮膚が裂け、そこから“痛み”が走った。
「ぐッ……!」
「やっぱ結構効くんだ……いい顔するじゃん、ツギハギ」
釘崎の目は冷ややかに笑う。
だが真人も黙っていない。
【
真人は改造人間を複数合わせた異形が現れる。
次の瞬間、釘崎に近づいたそれらは魂を燃やし尽くす勢いで殴りかかる。
ドゴォォォォン!!!
建物が崩れるほどの衝撃波。
骨鎧が瞬時に釘崎の周りに骨のドームを形成し、衝撃を吸収する。
瓦礫の中で釘崎は立っていた。
「本当に面倒だね……」
真人の笑みには余裕がまだ残っている。
「でも、その鎧。君も結構消耗してるでしょ?
無理してるの、バレバレ」
「……上等よ」
釘崎は鼻で笑い、構える。
「女が命削って戦ってる時に、そのセリフ?
死ぬまで叩き込んでやるよ、私の“呪い”」
ズバァッ!
飛び出した釘が真人の足元へ突き刺さり、【簪】が炸裂する。
真人の足が一瞬ビクリと痙攣した。
「ぐっ……やっぱ面倒くせぇな……!」
真人は即座に損傷の再生を開始するが、やはり再生がとても遅い。
確実に真人の魂を削っていた。
額には冷や汗が滲む。
「(触れられない、さらに攻めも……まさに“天敵”ってわけか)」
「ムカつくなぁ〜」
笑ってはいるがその声は低く、震えていた。
だが真人は一歩引きながらも、不敵に笑った。
「(だけどもう少しで何かが掴めそうな気がする)」
釘崎は骨鎧を鳴らして歩み寄る。
「アンタにとっては遊びでも、私にとっては本気の呪い合いよ」
空気が張り詰め、再び二人の殺意が交差する。
釘崎は息を切らしながらもトンカチを握りしめ、骨鎧を軋ませて真人へ歩を進める。
真人は舌打ちをしながらも笑っていた。
「……これはどうかな?」
口から吐き出した数体の改造人間を手に取り、それらを一瞬で融合させ──
「【多重魂】からの【撥体】!」
次の瞬間、魂同士の拒絶が爆発的に膨張し、凄まじい衝撃波となって釘崎に襲いかかった。
地面がひっくり返り、骨鎧が軋みながら衝撃を受け止める。
「くッ……っ!!」
釘崎の身体に衝撃が走るが、骨がすぐに覆ったので対してダメージはなかった。
煙が晴れた時、真人はすでに間合いを詰めていた。
その瞳には今までになかった“確信”の色が宿っている。
「はははっ!」
真人の拳が呪力を纏い、空気が震える。
釘崎は本能で危険を察知し、鎧を前に押し出す。
──ドゴォォンッ!!!
一瞬の静寂ののち、轟音と共に光が走った。
真人の拳が釘崎の鎧に直撃し、衝撃波が四方へ炸裂する。
【黒閃!!】
真人の口元が歪む。
“核心”を掴んだ彼の一撃は、骨鎧にヒビを入れた。
「が……はっ……!!」
釘崎の身体が吹き飛び、壁に叩きつけられる。
鎧の骨片がわずかだが宙に散った。
鎧はすぐに再生される。
だが完全に衝撃を防げたわけではないので、釘崎にもダメージはあった。
真人は拳を見つめ、陶酔したように呟く。
「これだ。これだよ。この感覚!やっぱり俺も掴んだ!」
釘崎は口元に血が少し流れるが立ち上がろうとする。
真人は嗤う。
「立つの?君。女の子がここまでボロボロになってさぁ、どうすんの?」
壁に叩きつけられた釘崎が苦しげに息を吐く。
「…いっったいわねぇ」
血に濡れた口元を拭いながら、釘崎は真人を睨む。
真人は拳を見つめたまま、小さく笑った。
「黒閃、その一撃で俺は気付いたんだ。俺の魂の形……その本質に!」
その身体が大きく震え、呪力が異様な圧で膨張していく。
周囲の建物のガラスが一斉に砕け、地面が震動した。
「っ!? この呪力……」
「……まずいな」
釘崎の顔色が変わる。
がしゃどくろでさえわずかにたじろぐほどの重圧だった。
真人の皮膚が裂け、肉が蠢き、骨格が音を立てて変形する。
両肘からは鋭いブレードが伸び、体躯まるでさっきとは別のように変化。
「これが俺の魂そのもの!ああ、最高だ。俺は、やっと完成したんだ!」
その声と同時に、真人の姿が一瞬で消える。
「っ!!?」
「ハッピバースデーってやつだよ。祝ってくれ釘崎」
釘崎の視界から消え、次の瞬間には背後。耳元で囁かれた。
ブレードが風を裂き、骨鎧ごと背中を切り裂こうと迫る。
咄嗟にがしゃどくろの骨の壁がせり上がり、ガギィンと音が響く。
だが壁は一瞬で粉砕。
「……遅いよ」
真人の声がすぐ耳元で響く。
圧倒的な速度。
おそらくこの真人は虎杖すら別次元と評するだろう。
そのスピードに、釘崎の反応は追いつかない。
「……ははっ、マジかよ……」
釘崎は笑うしかなかった。
だがその瞳には恐怖だけでなく、まだ消えていない闘志が灯っている。
真人は嘲笑しながら跳躍。
街中のビル壁を蹴り、縦横無尽に飛び回りながらブレードを振り抜いてくる。
その速さは、肉眼では残像しか捉えられない。
「ほらほらほらァ! どうしたァ!? 守ってばっかじゃ死ぬよ!」
「んなこと分かってんだよ!」
【
鎧が一部炸裂と同時に骨が宙を舞い、骨の刃が飛ばされて進路を牽制する。
だが真人はひと息でその中を駆け抜ける。
ブレードが骨刃を容易く切り裂き、釘崎の肩をかすめた。
「っ!」
鮮血が飛ぶ。骨鎧に覆われているので、深手は防いだが、速さと切れ味はまるで別次元。
幸い無為転変は発動されずに済んだ。
真人は楽しげに歪んだ顔で嗤う。
「いいねぇ……! 今の俺なら、君を一瞬で細切れにできる」
釘崎は肩で息をしながら、それでもニヤリと笑った。
「……一瞬で? できてねぇだろツギハギ怪人」
【
鎧の背中から骨の槌が伸び、釘崎の手に収まる。
「アンタが怪物なら……私は“死を纏った女”だよ!」
街中、火花と瓦礫が飛び散る中。
骨鎧を纏った釘崎と、遍殺即霊体へ進化した真人が、正面から激突する。
街のビル街を揺らすほどの衝撃波が奔る。
その圧倒的な殺意に、釘崎を覆う骨鎧がギシリと鳴った。
「……ツギハギが化け物に進化ってわけ?」
野薔薇は鋭い視線を投げ、釘を握り締める。骨鎧が彼女の腕と重なり、骨の刃を形作っていく。
真人が消えた。
次の瞬間には背後に回り込み、ブレードを振り下ろす。
「遅い!」と叫ぶより早く
【
背後に骨壁が隆起し、真人の刃が食い込む。だが刃は壁ごと両断し、衝撃で釘崎は吹き飛ばされた。
「ぐっ……! やっぱ防御も一撃で貫くか!」
しかし、その隙を狙うかのように地面がうねる。
【
地面から噴き上がった骨竜巻が真人を包み込み、触れた部分から傷を与えようとする。
「こんなんじゃ俺はやられねぇよ!」
真人は両腕を交差し、竜巻を力ずくで裂いた。だがその瞬間──竜巻の陰から飛び出す釘崎
「おらぁ!」
骨の槌を手に真人の胸をに目掛けて振るう。
真人は身をひねり回避するも、鎧から射出された槍が自律で追尾し続ける。
「しつけェ……!」
真人が槍を弾き飛ばした刹那、釘崎の頭についているがしゃどくろの頭蓋骨を模した兜から閃光のように骨刃が飛び出す。
【
小型の骨刃が群れを成し、真人の死角から斬りつけた。
金属音のような衝突音。
真人の体表を削り、僅かな傷を刻む。
「……(少し効いてる。だけどまだ決定打にならない!)」
釘崎が構え直す。
真人は笑みを浮かべ
「そろそろ終わりだ」
魂を無理やり捻じ曲げるような波動が広がる。
真人の周囲に改造人間が集い、融合を始める。
【幾魂異性体】
歪な肉塊が生まれ、突如野薔薇に飛びかかる。
「来ると思ってた!」
骨鎧が自律的に展開し、釘崎を覆う。
歪な肉塊が叩きつける瞬間──
【
骨で全身を包んだ突進で肉塊を粉砕、街路の建物ごと押し潰した。
爆煙の中、真人が背後を取る。
「捕まえた」
ブレードが野薔薇の首を狙う。
だが、
──ガチン
と音を立てて骨鎧が自動展開、刃を受け止めた。
「……っは、悪いけど触らせねーよ」
釘崎がニヤリと笑ったその瞬間、背後から複数の骨ワイヤーが真人を絡め取った。
【
絡みついた骨の鎖が収束し、突き刺すように食い込む。
真人はブレードを振り回し、強引に断ち切ほうとすると
【共鳴り】
真人の体中に衝撃が走り、全身から血が溢れる。
「ぐふぇっ!……はは…そうこなくちゃ!」
血を流しながらも真人は笑っていた。
対する釘崎も、血に濡れた笑みを浮かべた。
「来いよ、真人。“呪い殺して”やるよ!」
そう告げる声に、街を裂くほどの殺気が響いた。
突然ですが、死滅回遊編を書くことにしました。
理由としましては初投稿作品の主人公が封印endで終わるのは、私の気が収まらないので、死滅回遊編は千鬼の封印が解けるまでは書いていきたいと思っています。
実は、最初の頃は『アニメ一期あたりまで書いて津美紀助けたら終わろうかな』と思っていたのですが、思ったよりも読んでいる方がたくさんいたので、もう少し続けようと思います。
どうぞこれからもよろしくお願いします。