とある影の物語   作:野良拳

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序章
ep00「プロローグ」


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   これはわがままな王子と純粋な騎士の物語。

 

 

     とある国にわがままで有名な王子がいました。

     王子はわがままでも頭がよく、周りからは『よき王になる』と期待され

    父である王にも溺愛され不自由ない生活を送っていました。

 

     しかし、彼には一つ欲しいものがありました。

 

     “友達”がほしかったのです。彼は自分の臣下に命令しました。

    『自分の友にふさわしい人』を持ってこいと。

 

 

                         絵本『わがまま王と騎士の物語』冒頭より

 

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 その日、茶髪の少年ロイド・バニングスはお隣さんから頼まれた買い物を済まし、東通りから西通りに向かって帰路についていた。

 別にその日が特別というわけじゃなかった。何時もの日常で、町の風景も何時もの風景だった。

 

 でも、その日は何時もと違う出来事があった。

 

「わー!!どいてどいて!」

「お、おい、馬鹿!!って、アンタよけろ!」

「へ?」

 

 中央通りに入ってすぐに二つの叫び声が聞こえてくる。その内の一つは自分にかけられているようにロイドは感じた。が、いきなり声をかけられて、何を避けるのかわからず避けれるわけがなく…

 

「のわ!」

「うぐ!」

 

 ロイドは何かにぶつかり、後ろ向きに地面に倒れこんでしまう。そしてぶつかってきた何かも盛大な音を立てて転がっていく音が聞こえる。

 

「いっ…つー」

 

 頭を強く打ったのか、ロイドは頭をさすりながら上半身を起こし、周りを見て状況確認する。

 

 自分のすぐ隣には無残に砕けているスケートボード、そして赤い服と黒いスカートを着ている同い年ぐらいの金髪の少女がスカートの中をもろに出し、少女らしくない格好で倒れている。

 逆の方を見ると、その少女を呆れた顔で見ている白髪の少年が立っていた。

 

「ったく、この馬鹿姉が…おい、大丈夫か?」

 

 少年はロイドに気づき、声をかけて手を差し出す。ロイドは素直にその手を握り「ありがとう」と言って腰を上げる。

 

「悪いな。うちの馬鹿姉が…スケートボードの乗り方も知らずに乗りやがるから」

「へ……あ、いや、こちらこそ…っていうか、彼女助けたほうが」

 

 ロイドはそう言って、いまだスカートの中を出し続けている少女を指す。視線は違う所を必死に見ている。

 

「―――あのままにしてた方がいい気味だ」

 

 少年は自分の姉を見て、邪悪な笑みで「ふふふふ」と笑いだすが、ふっと思いだしたかのようにロイドの方に顔を向ける。

 

「あんたの方が大丈夫か?荷物に被害は?」

「へ…いや、大丈夫―――じゃないね」

 

 ロイドは視線を自分の荷物に移し、青い顔をした。見事に卵が割れて他の食材にも被害がでている。

 それを確認した少年はため息をして「スマン」とだけ謝った。

 

「なんなら弁償するが?」

「いや、そこまでしてもらうわけには――」

「こらー!カナタ、何でまず姉を助けないのさ!それでも私の弟か!?」

 

 少年の疑問にロイドは答えようとするが、いつの間にか気づいている少女の声にかき消され、少女は少年を掴みかかる。

 

「弟として姉の不始末をかたずけている。それより、あんたはまずこの人に謝るべきだろ?」

 

 カナタと呼ばれた少年は掴まれながらも少女に対して意見する。少女はその言葉を聞いてロイドの方を見た。

 

「む……そうね、ごめんなさい」

「は?いや、こちらこそ」

 

 少女は何処かのお嬢様のように優雅にお辞儀をする。いままでのイメージと違い、ロイドは戸惑ってしまう。が

 

「え?許してくれるって?まじで?らっきー」

「「おい」」

 

 ロイドとカナタは少女の言葉にそろってツッコム。

 

「姉貴、さすがにこれはあんたが悪い。さっさと済ますぞ」

「は?何を――」

「うぐ…わかったわよ。払えばいいでしょ払えば」

「??だから何を?」

 

 二人の言葉によくわからない顔で首をかしげる。そんなロイドを見て二人は顔を見合わせる。

 

「いや、それ買い直さくちゃいけないだろう?買いなおしにいくって話だよ」

「違うわよ、カナタ。私達、自己紹介もしてないわ。不審に思ってるのよ」

 

 いや、自己紹介とかのではなく、ロイドの疑問はカナタの言葉によって解決しているのだが、彼女等の名前は気になるのは確かなので口には出さない。

 

「ああ、そういえば名前を言ってなかった。俺の名前は“一応”カナタ・マコトという」

「私はコイツの姉でカナデ・マコト。今日からこっちに住む事になったからよろしくね…えっと――?」

 

 そう言って、カナデという少女はロイドに向かって手を差し伸べるが、ロイドの名前がわからず戸惑いを見せる。

 

「えっと、俺はロイド。ロイド・バニングス。こちらこそよろしく」

 

 ロイドは名乗り返し、同じように手を差し出してカナデと握手を交わす。

 

「よし、ロイド!それじゃあ、東通り案内してよ!」

「へ?あ、ちょ――」

 

 カナデはそういうと、無理やりロイドの手をひっぱり東通りに進んでいく。

 

「姉貴、目的変わってる」

 

 その後ろで、カナタは自分の姉に呆れた声をかけた。

 

 

 

 

 

 

 

 それが彼等とロイドの出会い。本来なら“あり得ない”出会いだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ep00 「プロローグ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 カナタとカナデに初めて会って、すぐに東通りを案内させられ、本当にロイドが買った食材を買い直そうとしてくれた。ロイドは最初さすがに悪いといったが、どうやらカナデ達の家はそれなりの名家というもので、問題はないとか言われた。それでもやっぱり受けれないと言ってロイドは断って別れた…が、再会は早かった。次の日には姉のカナタが日曜学校で同じクラスに転入してきたのだ。

 

 彼女はお嬢様の出であるが、性格は破天荒で刀や銃の干渉が好きという変わった趣味の少女だった。

 ロイドはもちろん、オスカーやウェンディとも仲が良くなり、よく弟のカナタを連れて五人で遊ぶ仲になった。

 

 弟のカナタは実はロイドより一歳年下だったらしい。年上関係なく、先生に対しても対等の立場で話す少年だった。その為か同年代の友達はできなかったが、ロイドとは仲が良かった。

 

 また、カナタは武術もたしなんでいて、ロイドの兄・ガイを見て一発でタダものじゃないと感じ、戦いを挑んで負けるを繰り返していた。その度にカナタは「殺しても死なない直感野郎」と兄を罵っていたが、多分兄はカナタを嫌ってはいなかったとロイドは思っている。

 

 そんな前よりドタバタした生活は一年で終わる。マコト一家が共和国に戻る事になった。元々長居する予定ではなかったと聞いていたが、ロイドもいきなりこんな事になって寂しい気持ちもあったが、仕方がないことだと割り切って笑顔で別れた。

 

 

 ――そして三度目の再会はそれから数年後、兄のガイの葬式の次の日だった。カナデとカナタはガイの墓で黙祷し、カナデはセシルに会いに行くとだけ言ってロイドとカナタを置いて去って行った。

 そして二人になった時、カナタから話してきた。

 

「…さっきマイルズさんから聞いた。ロイド、お前ノイエス家じゃなくて、外国に住んでる親戚の所に行くらしいな」

 

 その言葉を聞いた時、昔はマイルズのおっさんと言っていたのを、今ではちゃんと“さん”づけできるほど成長しながらも、自分には昔通りに接してくれる事が少しロイドには嬉しかった。

 

「ああ」

「何でか聞いていいか?」

 

 ロイドの短い返事に、カナタは文句を言わず質問を続ける。

 

「……」

 

 しかし、その質問には答えられない。ロイド自身もわかっていないわけではない。

 

“今のロイドじゃ、ガイの代わりにはなれない”

 

 誰よりも、尊敬してた。だからこそわかる。圧倒的な実力の差。だからロイドはガイにはなれない。それだじゃないけど、一番の理由はこれだった。

 ただそれを口にしたくない。口にしたその瞬間、自分の決意がくだらないことになってしまう気がしたから。

 

 ロイドの顔を見ていたカナタはポケットから一枚の紙切れを差し出す。

 

「俺が今稽古をさせてもらってる道場の住所だ。もし、あっちで平穏に暮らすなら破り捨てて構わない。お前が“何か”をする気があるんなら、書いてるところに――――いや、絶対来い。待ってるからな!」

 

 カナタはそう言って、一方的に住所が書いてある紙を押しつけて、墓を後にした。

 

 カナタなりにロイドの心情を考えての行動だろう。 ロイドは去っていくカナタに小さく「ありがとう」と呟いた。

 

 

 

 

 

 それから一か月後。結局外国の親戚の家には行かず、書かれている住所に赴いた。

 

 

 そこでカナタに武術を教えてる人はいかにも厳格そうな男の人だった。

 この人の名前はカナタも知らないらしく、元遊撃士でマコト家の人間ではあるが、戦線を引いた人間はもうマコトとは名乗れないらしく、それが恥ずかしいと言って名前を言わないらしい。

 

 そんな難しそうな人ではあったが、ロイドのお願いを快く引き受け、厳しくも丁寧に教えてくれた人…いや先生だった。

 

 

 

 

 

 …内容は本当の地獄だったが。

 

 

 

 

 そして一年、基本的な体術と気の使い方を習い続けた。先生からはもっと磨けば相当なものになると言ってもらえたが、最初の目標だった警察学校にも入学することもあり、いったんここでの修業を終える事となった。

 

 それとほとんど同時に一緒に修業してきたカナタは親の意向で共和国で準遊撃士となったらしく、再び別れる事になった。

 

 最後に「また何処かで会ったら、よろしくな」とだけ言って再び別れた。

 

 

 

 

 そして、必死に勉強、訓練を繰り返し、捜査官試験に合格し、警察学校も無事卒業できた。

 

 それから“特務支援課”に配属を受けたが、その日までに日にちがあったので、親戚の人と自分の師である先生に報告しに言った。

 

 親戚の人も先生もロイドの捜査官の合格を祝福してくれた。それと同時に、師匠の家に偶々来ていたカナデとも再会した。何でも今は武器を作る職を家業と兼任しているらしく、ロイドの捜査官合格祝いに(無理やり)トンファーを改造してくれた。

 

 ロイドはふと思い出したかのように「カナタは今どうしてる?」と聞いたら、何でも正遊撃士になったからか、いろんな所に飛ばされているらしい。

 ロイドはカナタに会って改めて礼を言いたかったのだが、いないのなら仕方がない。それに、いろいろ周っているというなら何時かクロスベルにも来るだろう。そう思い直し「帰ったらよろしく言っといてくれ」とだけ言って共和国を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして、ロイドは列車の中で夢を見る。顔を知らない三人と一緒に何処かもしらない建物の中を進んでいく、何故かすごく懐かしい夢を…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




こんにちわ。はじめまして。少し前から考えていた小説を書いてみました。

醜い点いくつもあると思いますが、よろしくお願いします。
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