ロイド・バニングスは配属当日にクロスベルに到着し、列車の中で知り合った老夫婦と中央通りまで一緒に行動し、「ここまでで十分」と言われ、別れた。
その後に、中央通りを改めて見渡すと、懐かしいボロボロの建物もあるが、やはり昔の光景と全然違っていた。
それは、ここがクロスベル自治州という場所だからだろう。
このクロスベルは『エレボニア帝国』と『ガルバード共和国』という二大国に挟まれた土地にあり、大陸有数の貿易都市となっている。そのためか、発展するのも早いのだ。
だが、それと同時に、この土地特有である法により、スパイが暗躍し、マフィアの抗争がある。他国の人からは“魔都”とも言われている事は今まで共和国で暮らしてきたロイドも知っていた。
「…あ」
そういえばと思い、今自分が立っている場所がマコト家の姉弟と初めて会った場所だった事を思い出す。
「さすがに建物は違っても道はそこまで変わらないか」
ロイドはそういうと、ガサガサと懐から手紙を取り出して広げる。
そこにはロイドの名前と“特務支援課への配属を命ずる”とだけ書かれた内容そのものだった。
「…特務支援課って何だろう?」
共和国でも何人かに質問されたが、答えられなかった。だって知らないものは知らないし、調べてもやっぱりわからないのだ。
「まぁ、手紙は本物だし、行ったらわかるだろ」
ロイドはそう意気込み、警察署がある行政区に向かうのであった。
ep 01「何度目かの再会」
その日、クロスベルにある遊撃士協会支部。そこには、依頼板の前で白髪を持ち、黒い服の上に軽装の鎧を装備し、腰に鞘に収められた片手剣をかけた青年が手を組んで「ウ゛-」と唸っていた。
「ちょっと、カナタ君。何唸ってるの?」
そんな少年を見かねて、この支部の受付である男、ミシェルが声をかける。
「いや…俺もいろいろ遊撃士協会の支部を周ったんだが、幾ら仕事を終わらせても仕事が出てくるんで、ちょと」
カナタ・マコトはそう言って、ため息をついて方を落とす。そんなカナタを見て、ミシェルはニヤリと笑い口をあける。
「あら?もしかして辞めたくなった?」
「ぬかせ…で、俺はどの仕事を受け持っていいんで?」
カナタの言葉に今度はミシェルが苦い顔をする。
「残念だけど、今はCクラスのあなたに任せれる仕事はないわね。緊急の件があれば話は別だけど」
「む…やはりレベルが高いなここは」
ミシェルの言葉に最初は不満の表情をするが、すぐに納得した――というより満足したように呟く。
「もう一人誰かがつければね。別にあなたの実力を甘く見てるわけじゃないんだけど」
「いらん世事はいいよ。コンビはもう組まれてるんだろ?仕方ない…仕事が減ればいいんだけどな」
カナタはあり得ない事だとわかりながらも言葉にする。
元々、クロスベルには警察というものがあるが、民衆からは信用されておらず、遊撃士のほうが絶対の信頼があるのは一カ月前に配属されたばかりのカナタでもわかる事だった。
つまりは警察に頼めばいいことも遊撃士に頼ってくる事が多いのだ。
「ありえなくもないわよ、その話し。ほら、これ」
「は?」
ミシェルが何か得意げに端末を操作し、カナタに見せるように体をずらす。
「“特務支援課”?…ふーん。やってることは遊撃士と一緒なのか?」
「基本的にはね。メンバーを見ないと使えるかどうかわからないけど―――」
ミシェルの言葉を聞きながら、カナタは警察という言葉といえば一歳年上の茶髪の青年を思い出す。そういえば彼が順調にいけば今年で警察官になっているはずだ。
「…ちょっと、聞いてる?」
「あ?…あー、悪い。聞いてなかった」
「もう、あなたそういうところがあるからCクラスのままなのよ。実力的には問題ないのに」
ミシェルの言葉に反論できず、ガクリと顔を落とす。
それから少しして、支部の扉が開き、取り付けてる子鐘が鳴ったので二人で入口を見る。
そこには長髪と長刀を持つ男、この市で知らない人はいないと言っても過言ではない男…通称“風の剣聖”アリオス・マクレインが立っていた。
「お帰りなさい。仕事はどうだった?」
「問題はない。他の依頼は?」
アリオスの言葉を聞いたカナタは声をあげずに呆ける。カナタの記憶が正しいならこれで90件の仕事を終わらせている事になる。普通の遊撃士ならつぶれてるレベルだ。だというのに、彼は更に仕事を受け持とうとしてる。
(やっぱ剣聖って名前は伊達じゃないな)
カナタはそう思い、尊敬しながら横目でアリオスを見ていると、ミシェルから依頼を聞き終えたのか、すぐに支部から出て行こうとする。
「あ、ちょっと待って。この子連れて行ってくれない?」
「―――へ?」
ミシェルの突然の言葉に、一瞬周りを見渡してしまったカナタであったが、そういえば自分しかいない事に気づく。
「俺?待て待て、この人の仕事手伝う所か足手まといになるだけだぞ?」
「足手まといって…もうちょっと自信を持ちなさいよ。それに“彼等”がうまくやれば仕事にならないわ」
「は?彼等?」
ミシェルの言葉の意味はよくわからないし、肝心の仕事の内容が伝わらない。
「…いいだろう。ついてこい」
アリオスは少し考えて、そうだけ言って支部を出ていく。
「だってさ、勉強してきなさいよ」
ミシェルはそういうが、仕事の内容がわからない事には…いや、でもミシェルの言うとおりだ。これは俺にとって大きなチャンスだ。
「…ありがたく行かせてもらうか。ありがとう、ミシェル」
そう言って、ミシェルに手を振りながら支部を出る。すると、そこには両手を組んで待っているアリオスがいた。
「す、すみません。遅れました」
普段あまり敬語を使わないカナタだが、アリオスには何か変に気を使ってしまい敬語になってしまう。
「別にそこまで遅れてない」
アリオスはそう答えながらも、少し急いで歩き出す。カナタはその後ろにきっちりとついて行きながら口を開く。
「あの…一応仕事内容聞いてもいいですか?」
「子供がマンホールを開けている所の目撃情報があった。もしかしたらジオフロントに紛れ込んでるかもしれん」
「そりゃ、確かに危ない話ですけど…ジオフロントなら俺も何度か行きましたけど、確か電子ロックがかかってるはずじゃ?マンホール開けたからってそんな簡単に行けるもんですか?」
カナタは素直な疑問を口にすると、アリオスはチラリとカナタを見て口を開く。
「そうか、お前はこっちに来て間もないだったな」
「えっと、一応結構前に一年間だけ住んでた時期もあったりしますけど」
「…なら知らなくもないだろう。今のこの国の状態を」
アリオスのその一言でカナタは「ああ、なるほど」とすぐに納得する。
「腐った行政組織の何時ものパターンですか」
「――…ついたぞ。気を引き締めろ」
「へ?あ、はい!」
気づけば、駅前通りにあるジオフロントへの入り口。ここにはそこまで強い魔獣はいないが、気を抜いていい所でもない。
カナタはアリオスの言った通りに気を引き締め、腰にかけていた片手剣を抜き、もう片方の手には懐にあったホルスターから小さめの導力銃を抜き出す。
「赤い刀身、か。良い趣味ではないな」
アリオスの言葉の通り、カナタの片手剣は赤い刀身を持っていて何処か禍々しさがある形のものだ。
「よく言われますが、俺の趣味ではありませんのであしからず」
アリオスの言葉に苦笑いでカナタは答える。ちなみに誰の趣味だと聞かれると姉が半分嫌がらせで作った形のために誰の趣味でもない。
「で、アリオスさん。どっかから行きます?」
「ふむ…お前はあそこまでいけるか?」
アリオスは上を指をさす。その方向を見るとちょっと高めの所に排気用のダクトがある。
「余裕ですね」
「そうか、ならば行くぞ」
アリオスはそう言って、地面を蹴って飛び、ダクトに見事に着地する。カナタはそれに続き同じように地面を蹴って、ダクトによろめきながらも着地する。
それを確認するとアリオスはそのままダクトを走る。カナタは「はえー」と呟きながらも、何とかアリオスの後を追う。
途中、目の前に何度か魔獣が現れるが、ほとんどの敵を一瞬でアリオスが切り刻んでしまい、カナタは導力銃で数体に攻撃して援護する程度しかできなかった。
(全部、あの人一人でいいんじゃないかな?…って違う違う)
ついついそう思ってしまうカナタだったが、この人の仕事に付き合ったのは勉強のためだ。剣だけじゃなくて行動全てを見て勉強しなければいけない。
「――む」
しばらく走り続けると、アリオスが足をとめた。カナタは何かあるのかなと思い周りを見渡す。
「お、いた!…けど」
下の階の方に子供二人がいるのは確認できた。しかし、その他にも誰かいる。
子供以外には四人の人間がいる。いや、その中の一人も子供なんだが、格好からして普通じゃない。それぞれ斧や銃、杖にトンファーを持った人間だし、カナタの知らない遊撃士かと思いアリオスの方を見る。
「…特務支援課だ」
「は?ああ、あれが例の」
アリオスの言葉に納得し、再び妙な四人組を見る。そこでカナタはリーダらしき茶髪の青年の顔を見て、目を見開く。
(…あの茶髪ってもしかしなくても…)「ロイド」
「…何だ、知り合いか?」
「へ?あ、いや。ちょっと――!?」
どうやら無意識に声に出していたらしい、慌ててアリオスの質問を返そうとするが、上から来る何かを感じて剣を構える――よりも先に緑の巨大物体が落ちて行った。。
「………あれって、手配魔獣レベルの大きさじゃないですか?」
「そうだな。何時の間にか育ってたらしいな」
落ちて行った魔獣を見て、特務支援課は慌てている。その反応は当たり前で、正直あんなのが落ちてきて慌てないのは隣にいる遊撃士レベルの人間だと思う。
「これくらいで慌ててたらクロスベルの仕事は難しいぞ」
「心読まんでください。で、さっさと助けないんで?状況から察するにピンチなんですが?」
カナタは特務支援課と魔獣の戦いを見て、素直な感想を口にする。
実際に特務支援課は魔獣との戦いを諦めているし、ロイドが囮になるとか言ってる状態だ。さすがにこのままではやばい。
「―――…ギリギリまでは手は出さんつもりだったが…ここまでだな。援護できるか?」
「必要ない人に言われても…まぁ、できますけど、ね!」
カナタはそう意気込み、魔獣の触角のような所を導力銃で狙いをつけて弾丸を放つ。小型の導力銃のために威力は低いが、魔物の意識ぐらいはこっちに向けられる。
そして予想通り、弾丸が見事にあたると、魔獣はこちらに体を向かせ、特務支援課の人間は驚いた表情でこっちを見ている。
「…自己犠牲は結構なことだが、短縮的すぎる」
アリオスはそう言って一瞬で姿を消す。“瞬歩”というものだろうか、いつの間にかアリオスは魔獣の後ろにつき、手に持つ長刀で魔獣を三分割にして対滅した。
「うわぁ…マジで見えねー」
剣術にはそれなりに自身があったカナタだが、やっぱり自分はまだまだと自覚し、ガクリと顔を落とす。
(でも、勉強にはなった。あそこまでの八葉一刀流の使い手は初めてみたし、二の型疾風なんて珍しいもんも見れたし…ラッキーちゃラッキーだよな)
カナタはそう思いながら、下で話しているロイドとアリオスの会話を遠目で見ていた。
(しかし…ロイドももう少しできると思ったが…まぁ、あの魔物相手には相性悪そうだし、無理があったか)
「おい、何してる?そろそろ行くぞ」
そんなことを思っていると、下からアリオスに声をかけられる。
「あ、はい!今行きます」
そう言って、地面を蹴って下の階に着地する。
「…あれ?」
それと同時に懐かしい声がカナタに聞こえてくる。それによって自然とカナタの顔も笑顔になる。
「まぁ、何だ。久しぶりだなロイド」
カナタはそう言って、数年ぶりに対面する友人に笑って挨拶をしたのであった。
◇
時はカナタがジオフロントに入る数時間前まで遡る。
この日、ロイド・バニングスは特務支援課に配属されて、いきなりリーダーに任命された、試験という名目でジオフロントの奥まで行くことになった。
いろいろと不可解な事はあったが、試験と言われたからには全力で挑むまでだ。他の支援課メンバーの戦い方を確認し、フォーメーションを決めて、ジオフロントの中を進んでいった。
しかし、途中でハプニングが起きた。アンリという子供が何処からか紛れ込んでいた。アンリの話しだと、もう一人のリュウという名前の子供が何処かにいるらしい。
アンリだけでも先に外に出してあげたいが、今二手に分かれて行動するのは危険すぎると判断し、そのままジオフロントの奥に入って行った。
そして目的地であったはずの所で探し人であるリュウがスライムのような魔獣に襲われていた。ロイド達はこれを難なく撃破し、子供たちの救出に成功した…が、気を抜きすぎた。
目の前に巨大な卵にも似た形の魔獣が上から降ってきたのだ。どう考えても今の状況で勝てる相手じゃないのは明確だった。
(どうすればいい!?)
【誘導の攻撃で注意を引いて脱出】
【却下、移動も遅い魔獣の上に即席のメンバーじゃ不可能】
【床を壊して下に落とす】
【却下、こちらの安全が保障えきない】
心の中の問いに返ってくるはずのない返事が一瞬で頭の中に響いてくる。しかし、その中にはこれといった案が浮かばない。
(このままじゃ皆が!…糞!)
「ここは俺が相手をする!皆はその隙に子供を連れて逃げてくれ」
それが今のロイドに考えられる最善の策だ。支援課のメンバーは戸惑っている。しかし、事態は急を要する。反対の意見は聞けない。
【却下、自身の命が危ない】
自分自身の心の声に“うるさい”と呟きながらも、ロイドは巨大な魔獣に向かっていこうとする。魔獣もロイドの行動を見逃すわけがなく、鞭のような触手を振り上げる。
ロイドは防御の姿勢にはいるが、その瞬間二回の銃声が響きわたり、その触手は何かに打ち抜かれる。
「…自己犠牲は結構なことだが、短縮的すぎる」
そのあとすぐに誰かの声が上のほうから聞こえたので、上の方を向く。
そこには長髪で片手には長刀をもった男性。その顔は外国で暮らしていたロイドでも知っている人、アリオス・マクレイン。通称、クロスベルの守護神“風の剣聖”。
アリオスは一瞬で巨大な魔獣を倒し、何の疲れも見せずに子供達と話している。ロイド達はその光景を呆けることしかできなかった。
「どうした?お前達は戻らないのか?」
「あ、いえ…俺たちもご一緒させてもらいます」
何時までも呆けているロイドに気づき、アリオスは声をかけ、ロイドもすぐにハッとし言葉を返す。
「ならば気を抜かない事だ。先程のようなこともある…おい、なにをしている?そろそろ行くぞ」
アリオスは上に向かってそれだけ言って、ロイド達が来た道を歩いて行く。
ロイドはカナタという名前が出てきて、まさかと思いアリオスが向いていた方向を見る。
「あ、はい!今行きます!」
懐かしい声と同時に上から白髪の青年が落ちて、地面に着地する。
「…カナタ?」
「まぁ、何だ。久しぶりだなロイド」
ロイドの言葉にカナタ・マコトはうれしそうに答えた。
◇
ジオフロントの帰り道、カナタはアリオスと一緒には帰らず、ロイドに紹介された特務支援課の面々と共に帰っていた。
本当はアリオスの手伝いをするべきなのだが、あの人に手伝いは必要ないと感じてのものだった。
「へぇ、じゃあ幼馴染の関係なのね」
「まぁ、正確には同じ道場の兄弟弟子なんだが」
白髪の長髪の女性、エリィ・マクダエルの言葉に答えながらも、支援課メンバーを見渡す。
赤髪の男ランディ・オルランド、薄い水色の少女ティオ・プラトー、そしてエリィとロイド…ティオはどう見ても16歳以下の年齢だし、ランディやエリィも警察官らしくない警察組織にしては妙なメンバーだ。
「兄弟弟子?なんか武術でもやってんのか?」
「まぁね。流派ってものでもないが…って敬語は使ったほうがいいか?一応ロイドより年下なんだが」
「いや、構わないぜ。な?」
ランディの言葉にエリィは同意するかのよに頷く。それを見たカナタはホッと息を吐き言葉を続ける。
「よっかたよ、俺も一応マコト家の子供なんでね。いらん噂が立つのは嫌なんだ」
カナタはそう言ってヤレヤレというように両手をあげて頭を振る。
「え?マコト家って…あの武術で名門の?」
マコト家という名前にエリィはその名前を知ってるような声を出す。
「なんだ?お嬢知ってるのか?」
「え、ええ。結構有名な名家…よね?」
エリィのいまいち自信がない言葉に「まぁな」とカナタは返し、言葉をつづけた。
「俺は家を継がないけど、一応マコト家の男だし、ここじゃ妙な記者がいるんでね。厄介な事にはなりたくない」
「妙な記者?何ですか、それは?」
「うん?…俺の予想では否が応でも会うことになるさ。あの人は良い意味でも悪い意味でも記者だからな」
その言葉を聞いてもよくわからない特務支援課の四人は「?」と首をかしげるが、カナタにはそんな事関係ないかのように言葉を続けた。
「ていうか、ロイド。こっち来てるなら俺は無理でも誰かしらに連絡しろよ。俺まったく聞いてないぞ」
「へ?いや、一応カナデには言ったぞ?」
文句を言われたロイドは真実を口にする。実際はセシルには帰ってくるとしか言ってないし、カナデには数日前に会っただけでカナタが知る方法なんてなかった。
「え?…ああ、姉貴に会ったのか?…元気だったか?」
ロイドの言葉にカナタは一瞬呆けるが、すぐにそう言って返す。
「へ?まぁ元気そうだったけど?…ああ、そういえば正遊撃士になってから世界中周ってたんだったな」
「まぁな。今までは帝国の方で仕事してたんだが。いろいろあってなこっちで働く事になってな。一応連絡はしてるんだが――」
カナタはそこまで言ってぴたりと口と同時に足も止める。
「?…どうした?」
「…はぁ、さっそくか」
カナタはそう言って、スススと横に移動する。
そこには入ってきたドアがある。どうやらいつの間にか入口についていたらしい。
しかし、ロイド達にとっての問題はそこではなく…
「何で道を譲るので?」
ロイド達全員の疑問をティオが代表して言葉にする。
「行けばわかるさ…つーか、俺は行きたくない」
カナタはそう言って再びスススと横に移動していく。もはや隅っこまでいって壁に頭を預けるほどだ。
「よくわかんねぇが、さっさと行こうぜ?これ以上ここにいる意味なんてねぇんだし」
「そ、そうね。早く課長に報告しなくちゃいけないし」
ロイドもその意見には賛成なのだが、どうもカナタの行動が気になる。それは外から小さく聞こえるシャッター音に関係があるのだろうか?
「俺はちょっと鍛練していくから、アリオスさんによろしく…ああ、ミシェルになんて言われるか…はぁ」
「そ、そうか…じゃあ、またな」
カナタの言葉にそうとだけ答えて、ジオフロントから出て行った。
そして、彼等はカナタが良くも悪くも一直線な記者と称した、グレイス・リンがアリオスに取材をしたついでに、アリオスからの言葉「ツメが甘い」とを記事にするという彼女なりの激励を受けるのだった。