アムロのボンVSキャスバル坊や   作:雁木まりお

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アマテの夢

作り物の空、作り物の重力、作り物の世界…。

アマテ・ユズリハは平穏な日常を退屈だと感じていた。

あの”キラキラ”を見るまでは。

 

軍警ザクを倒すべく乗り込んだ謎のMS…。

そのコクピットから見たあの光…。

あの輝きをもう一度見たい!

その想いでクランバトルに参加し、”赤いガンダム”とMAVを組み、そして勝利した。

 

アマテの胸はときめいていた。

色のない世界が”キラキラ”によって色づき、退屈な日常に光が差したのだ。

 

 

 

 

「た…ただいまー」

 

クランバトルに参加したアマテは夜遅くにコソコソ帰ってきた。

 

「お母さん…はまだ仕事か」

 

いたずらがばれることを恐れるようにー実際は違法行為なので余計悪いーびくびくしていたアマテはほっと一息ついた。

 

駄目だ…体が自分のものでないように重い…。

”キラキラ”を見るために大分無茶をしたアマテは疲れ果て、泥のように眠りについた。

 

 

 

 

「なにここ…。どこ?」

 

アマテは困惑した。

自分は確か家のベッドで寝ていたハズ…。

 

 

眠りの中魂が自由になったような浮遊感を覚え目を覚ますと、そこは見渡すような草原だった。

そこは本物の自然のように美しく、幻想的な風景だった。

 

「モビルスーツは金をかければいいってもんじゃない!」

「だが専用機でもなければNTの力は発揮できん!」

 

暑苦しい取っ組み合いをしている男たちさえいなければ。

 

「俺は貴様と違って遊びでパイロットをしてたわけじゃないんだ!」

「なんだと!」

 

一つ殴ってはペチャクチャ、一つ蹴ってはゴロゴロ転がっていく二人は

アマテのことに気づいてもいなかった。

 

「大体専用機ってのは部品も高いし整備が面倒なんだ!整備兵のことも考えるんだよ!」

「ならば今すぐ兵士たちに強くて整備も楽な量産機を授けて見せろ!」

「貴様を殺ってからそうさせてもらう!」

 

あ、金髪オールバックが投げ飛ばされた。

 

 

 

 

「いやあ情けないとことを見せてしまったな」

「いや、別に…」

 

しばらくして二人が落ち着いた後、アマテは何故か三人で座り込んでいた。

なんだこの夢…。

アマテはこの奇妙な体験を夢だと判断した。

 

「こんなところまで来れるとは…どうやら君もニュータイプのようだな」

「ニュータイプ…?」

「宇宙に適応した新人類のことさ」

 

急に何を言い出すんだとアマテは思わずジト目になった。

それを見た男は「少しカミーユに似たところがあるな…」と呟いた。

 

「カミーユ?女の子ですか?」

「…カミーユは男さ」

 

なんで今この金髪オールバックは身構えたのだろう?

 

「お嬢さん、こんな無責任な男の言ういうことに耳を貸すことはないよ」

 

横にいた天然パーマの男ーなぜか男たちはアマテを挟んで座っていたーは口を開いた。

 

「そいつは年下の少女を母呼ばわりするような男さ」

「お母さん?…年下の女の子が?うわっ」

「やめないか!」

 

アマテは隣の金髪オールバックが不審者だったことにドン引きした。

もうこんな夢なんて覚めてほしい。

 

「あ…あのーそろそろ門限なんで…帰りたいんですけど」

「そうか…。確かに君がここに長居するのはよくない。死人に引っ張られてしまう」

 

この天パ物騒なこというなあ。

 

「なら私が送っていこう。この少女は”赤いガンダム”と縁があるようだしな」

「いえ結構で…。え?」

 

夢の中の人物が”赤いガンダム”を知っているのはおかしくはない。

だがその言葉に反応しまじまじと顔を見た際、気づいてしまった。

目の前の金髪オールバックが”赤いガンダム”のwikiに乗っていた写真の男…シャア・アズナブルとそっくりだということに。

 

多少は年を取っているが間違いない。

アマテは直感で感じ取った。

 

「最後にアマテ君、気を付けたほうがいい」

 

天然パーマはアマテの名前を呼んだ。

 

「”ガンダム”は乗り手を選ぶ。その力をどのように使うかは君次第だ」

「ちょっそれどういう…」

 

その瞬間アマテの意識は覚醒した。

 

 

 

 

起きると目の前に母の顔があった。

 

「お、お母さん!」

「アマテ!制服のまま寝ちゃだめでしょ!」

「ご、ごめんなさい~!」

 

 

 

 

 

「フッ…なかなか面白い子じゃないか。あの世界のガンダムのパイロットは」

「そうだな…」

 

現実に戻っていった少女を見送った後もシャアとアムロは黄昏ていた。

 

「それにカミーユに似て見どころがある」

「髪の色的にはハマーンじゃないか?」

「黙れアムロ!」

 

シャアは嫌な事を聞いたとばかりに頭を抱えた。

 

 

 

 




続く
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