…あの夢は一体なんだったのだろうか?
アマテ・ユズリハは学校の机から空を見上げて考え込んでいた。
見知らぬ土地、見知らぬ人、そしてシャア・アズナブル…。
ー気を付けたほうがいい、ガンダムは乗り手を選ぶー
"赤いガンダム"…シュウジに何か良くないことが起こるのか?
それともジークアクスのことを指しているのか?
アマテはあの夢が、自分へ忠告するために何者かが干渉した結果としか思えなかった。
「夢だけど、夢じゃなかった…か」
アマテは小さい頃見た映画のセリフを思い出した。
「ユズリハさん!ボーっとしてどうしたの?」
気が付けば同級生達が心配そうにこちらを眺めていた。
「あー、えーと…考え事?」
「もしかして恋の!?」
「えー!聞きたーい!」
アマテの返事を待たずに同級生達はきゃいきゃいはしゃぎはじめた。
「違うし…」
「でも男の子のこと考えてたでしょ!わかるもん!」
たしかにシュウジのことも考えていたが…
「やっぱり恋なの!?」
「アマテさんにも春が来たのね!」
こ…このままではまずい!
根掘り葉掘り聞きだされる前に、なんとか矛先をそらさなくては…!
「シャ、シャア・アズナブルという人を知っているかな?」
「しゃあ?」
さすがにこの質問は下手くそだったかな…?
「知ってるー!」
「今めっちゃ流行ってるよね!」
「ええ…?」
流行ってる?シャア・アズナブルが?
「これ!シャア・アズナブルとキシリア・ザビの恋愛小説!」
「仮面の王子様とお姫様の悲しい恋…めっちゃ燃える!」
そういって見せられたのはネット小説の投稿サイトだった。
ランキング一位にその小説が堂々と輝いている。
夢で見たあの情けない男が恋愛小説の主人公とは…
「こんど書籍化するんだって!」
「絶対買わなきゃ!」
もう同級生達はその恋愛小説の話に夢中だ。
これが若さか…。
アマテはシャア・アズナブルを美化しすぎだと思ったが、きつく言葉を飲み込んだ。
「なんなのだあれは!!」
シャアは心を土足で踏み入られたような、強い憤りを感じた。
「何って…お前とキシリア・ザビの恋愛小説だが?」
「なぜ私がキシリアと!?」
「仕方ないだろう。お前はあの世界だとジオン公国の英雄なんだ。人身御供にされるくらい我慢しろ」
「ネットのフリー素材の間違いだろう!」
シャアは今すぐ隕石を落として小説を消し飛ばしたい衝動に駆られた。
「だが確かに年下よりは年上のほうがお前にはあっていると思うぞ」
「冗談ではない!」
「ガルマ・ザビとは友人だったんだろう?義弟ができてよかったな。まあ、他のザビ家もついてくるが…」
「冗談ではないと言っているだろう!!」
続く