フリーナ様に引き取られて1週間がたった。この1週間で分かったことがいくつかある。
一つ目は、フリーナ様はこの国の神様、水神ということ。改めて自己紹介されたときの衝撃はいまでも忘れられない。
神様といっても手のとどかない存在みたいな感じではなくて、国民の前に普通に現れたりもする。国民からの印象はかなり良くて中には『スター』とか『アイドル』みたいに思っている人も居るみたい。
何でそんな風に思われているかと言うと、シンプルにフリーナ様が神様でありながら役者もこなしているから。しかも、その演技はピカイチ。
フリーナ様に「見に来るがいい!」と言われ連れていかれ、一度観させてもらったけど凄かった。登場人物になりきっているというよりも、登場人物そのものだった。凄い以外の言葉がでないくらいに。
二つ目は、僕が周りのことを全然知らないこと。捨てられた本とかを読んで言葉とかの知識みたいなのは少しあるけど、実際フリーナ様もとい水神様のことすら知らなかった訳だから、フリーナ様の従者になると言ったからにはこれからたくさん勉強しなきゃ。
三つ目は、うっすら分かってはいたけど僕が何もできないこと。フリーナ様の従者になるということはそれなりのマナーとか仕事ができないと意味がない。とりあえず仕事をできるようになることを優先して頑張ろうと思う。
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「フリーナ様、起きてください。朝になりましたよ」
僕の一日はフリーナ様を起こすところから始まる。だから朝は少し早い。
でも特に辛くはないし、むしろ早く起きたいとすら思ってしまう。フリーナ様の寝顔が見られるからだ。人形以上に整った顔、タイミングが変わらない優しい寝息。見ているだけでとても癒される。
僕は寝顔を少しだけ見てすぐにフリーナ様を起こした。
「…ぅん、ぁとす…こし」
「分かりました。少ししたらまた起こしますね」
こんなやり取りを毎日している。寝起きが少し悪いのもすぐにとっくに慣れた。
フリーナ様のこういう部分も魅力的なところだと思う。しっかりしている時と、こんな感じで少し抜けている姿をみせてくれる時。確かギャップって言うんだっけ。
そして少し時間をあけてフリーナ様を今度はしっかり起こす。
「フリーナ様」
「んん…ぉはょう、リュミエール…」
「はい、おはようございます」
まだ少し寝ぼけているのか、目を閉じたまま挨拶をした。
「朝食がもうすぐできるので先に着替えの方をしましょう」
そうして、フリーナ様は顔を洗いに向かった。その間にベットを整え、服の用意をする。
次に朝食を作ろうとするけど、これがとても難しい。当然今まで料理なんてしたことがなかったから、本を見ながら作ろうとしても失敗してしまう。
とりあえず朝だから凝ったものは作らずに簡単なものを作った。焼いたパンと目玉焼きと生野菜のサラダ。
因みに目玉焼きは黄身が固まりきらないくらいがフリーナ様は好きみたいだから、頑張って固まらないように調整する。
ちょうど二人分作り終えた時に、フリーナ様がやってきた。パジャマからいつもの服に着替えられており、ピシッと決まっている。
「フリーナ様、今食事の用意ができました」
「うん、ちゃんと作れたみたいだね。凄い美味しそうだよ!」
嬉しい言葉を貰い、二人で早速食べ始める。
食事に関して仮にも従者が主と一緒に食べるのはどうなのかな、と思ったけどそこまで堅苦しいのは好きじゃないと言われたので、そこから二人で一緒に食べるようになった。
「ご馳走様、おいしかったよ」
「ありがとうございます!それで、今日のご予定は?」
「確か午前は皆と謁見、午後は軽く執務をした後に今度やる劇の練習かな」
フリーナ様は軽く上を向き、少し考えるような仕草で答えた。この国、フォンテーヌの一番有名で人気者だから毎日のスケジュールもパンパンなのだ。
まだ身の周りのことを把握できていないからスケジュール管理に関してはフリーナ様に聞いている。これも、早くできるようにならなきゃ。
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現在僕たちはパレ•メルモニアという所の最上階に住んでいて(正確には、僕が住まわしてもらっていて)最上階は完全にフリーナ様のプライベートルームになっており一つの家として機能している。
フリーナ様の謁見部屋兼、執務室はその一つ下の階にあり、基本的に一対一の状況で謁見を行っている。
「フリーナ様とこんな近くで話せるなんて…もう言葉にできないくらい嬉しいです!」
「嬉しいことを言ってくれるね」
謁見は毎日行われていて今も変わらず国民と言葉を交わしている。どちらかというとファンサービス会みたいになっていた。
今謁見しているのは女性だけど、同姓でもこんなに気分が上がるんだ…。やはりそれ程フリーナ様には魅力があるんだろう。
「あ、フリーナ様そういえばそちらのお子さまは?」
「あぁ、この子は最近従者になった子だよ」
そう言うと、フリーナ様は目配せで挨拶をするようにと促してきた。
「フリーナ様にお仕えするようになったリュミエールと申します。まだまだ未熟者ですが従者として精一杯勤めていく所存です」
謁見には僕も同席して側にいるようにと言われたのでここ一週間はこんな感じの自己紹介のやり取りを毎回している。
初めの頃は緊張や言葉使いが分からないということもあって上手くできなかったものの、続ければ案外慣れた。
「まだ若いと思うのにすごいしっかりしているというか、丁寧ですね」
「そうかい?この子も頑張っているからね。まあボクの従者なんだからこれからさらに成長すると思うけどね!」
それから時間まで謁見は行われ、終えてはまた次の人がという流れをお昼まで続いた。
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午前のスケジュールが済み、午後はフリーナ様の側に控える必要は特に無かったので部屋などの掃除をした。
ひと通り掃除を終えると一人で図書館へ向かう。基礎的な知識や学力を身に付けるためだ。
図書館に着くと早速言葉使いや礼儀作法の本を読みこむ。言葉の意味が分からなかったりするから、かなり苦労して読み進めている。
暫く読んで、本を元の場所に戻す。
「確かここら辺…」
元の場所を思い出しながら本を入れていくと、ふと近くにあった本のタイトルに目が行った。
(予言の書…?)
少し気になり手を伸ばそうとした瞬間、図書館の司書らしき老女が声をかけてきた。
「君ここ最近毎日来てるねぇ」
「はい、ちょっと学ばなきゃいけないことが沢山あって」
「そうなんだねぇ。よかったら今読んでた本とかも貸し出しができるけど」
「貸し出しって、本を図書館から持ち出して読んでもいいってことですか?」
僕の質問に司書さんは頷く。
「持ち出すといっても期限はあるけどね。基本的には一回につき二週間いないに返却してもらえればねぇ」
今まで図書館の本はその場で読むことができるということしか知らなかったから意外な情報に少しビックリした。
でも借りることができるなら更にしっかり勉強ができる。断る理由はなかった。
「ぜひお借りしたいです!」
「じゃあこの借用書を書いてもらってもいいかい?」
そう言うと司書さんは紙を一枚渡してきた。どうやら借りる時に必要な書類を書いてねということらしい。
「わかりました」
借用書に名前を書き、本を借りて図書館を出た。もうすぐフリーナ様が劇の練習を終える時間だ。
僕は普段フリーナ様が劇の練習をする建物に向かう。
建物に着いて少し待つとフリーナ様が出てきた。
「フリーナ様、お迎えにあがりました。お荷物お持ちします」
「ご苦労様リュミエール。じゃあよろしく頼むよ」
そういうと僕は荷物を受け取りフリーナ様と一緒に帰路につく。
「今日の練習はいかがでしたか」
「いつも通り練習できたさ。この調子で仕上げていけばいい役が演じれそうだよ。まあ、ボクはスターだから当然だけどね!」
フリーナ様は自他ともに認めるスターだからと言って練習を怠るわけではない。むしろ普段の練習から本番さながらの演技を行っている。
練習を真剣にやらない人がいるという訳ではないけれどここまで練習を本気でやるフリーナ様はやっぱりすごいと思う。
「あまり無理をなさらず頑張ってください。僕も応援しています」
軽く言葉を交わしながらパレ•メルモニアの自宅に戻ると時間も時間だから、家事をしつつ夕食の準備を進める。
夕食も朝同様二人で食べるとフリーナ様はお風呂に入りに浴室へ向かった。
基本的に夕食を食べた後は何か頼まれた場合以外は自由にしていて良いと言われている。なので早速自室に戻り図書館で借りた本で勉強を始める。
30分程たった時にドアがノックされた。
「お風呂あいたよ」
ドアが少し開かれフリーナ様が少し顔を覗かせながら伝えてきた。髪が少し濡れている。
「あ…申し訳ありません!わざわざ伝えてくださり…」
「全然大丈夫さ、今出たばかりだし」
その後軽く感謝を伝えてお風呂に入り勉強したことを頭で復習しながらお風呂を出る。
お風呂を出てからもしばらく勉強して、気づくと時計の針が23時を指していた。
もう遅い時間だと実感するとどっと眠気が襲ってくる。明日も朝が早いから寝よう。
ベットに誘われるかのように潜ると目をつぶり眠りにつく。
明日も僕の神様にしっかり尽くそう…
改めて結構駄文です。こうしたら更に良くなるなどあればご指摘お願いします。
理想は10話前後で完結させればなと。
もし良ければいいね?的なやつもしてみてください。