空崎ヒナは幸せでなければならない   作:rilu

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よくよく考えたらこんな妄想垂れ流してるだけ、行き当たりばったりの駄文によくこんだけの人がついてきてくれるなぁと思いました。不思議ですねぇ…

あ、宣言しておきますが本小説は曇らせがメインではありません。ただ完結した後にバッドエンドというか空崎ヒカ死亡ENDは書きたいなぁとは思ってます。書きたいです(本音)


赤いアレの撃退

 

正実弾薬保管庫で始まった戦闘。

先生の指揮を伴って行われるそれは、激しい様相にある。

 

「いひひひひ…ぎひゃぁぁぁ!!!」

 

前線をツルギが支え

 

「そこです!」

 

足を止めればハスミが狙い撃ち

 

「しゃ、射撃開始っ!」

 

ツルギが吹き飛ばされれば、複数の一般生徒達が隙を埋めるように銃を斉射する。

 

「ペロロ様ぁ!」

「な、なにが起こってるのよ!!ぇ、ひゃあ!?」

「すまない、隙をカバーする!」

 

その場に居た補習授業部の面々も戦闘に参加している。こうなると半分理解した上でここに正実を集めたため、流石に私達まで逃げるのは…ということらしい。

 

数の利。数というのは、戦場で絶対的な力である。それに変わりはない。だがほぼ同時刻ゲヘナで『指揮』を使いその数を凌いでいた者が居るように、数への対抗手段はいくらでもある。

 

小鳥遊ホシノ、剣先ツルギ、空崎ヒナ、美甘ネル…彼女らに代表される圧倒的な『個』だ。

 

「ahhhhh──────!!!!!」

 

確かに、剣先ツルギは強い。羽川ハスミも、白洲アズサも、阿慈谷ヒフミも、浦和ハナコも、下江コハルも。広義に言えば正義実現委員会のメンバーも、しっかりとした訓練を受けている時点で強いといえるだろう。先生だって指揮能力は一流のそれである。

 

個の力、数、指揮…勝利への条件は十分にある。

しかし、実態はどうだろう。

一般生徒からの弾丸には気にする素振りすら見せず、アズサの弾丸は鬱陶しそうに払い、ハスミの狙撃は擦り傷程度に抑える。有効打と言えるのはツルギの銃撃程度…

 

相手が 埒外のモノ(怪物ですらないナニカ)でなければ彼女達もまだやりようがあっただろう。

しかし、相手はこの世界に本来存在し得ない異物。貼られたテクストも、その存在意義も、青春の物語(ブルーアーカイブ)にはあまりにも不適格であった。

 

もうこの時点で半分ぐらいは分かっていただけただろう。この戦いは実質、剣先ツルギ(学園最強)その他大勢(有象無象)対ベアトリーチェ…のようなモノの戦いになっていた。

 

「gyahh────!!!」

「きひひひひ…さぁ、来いっ!」

 

縦横無尽に壁を走る。化け物の持つ枝のような細腕は、建物に叩きつけられた瞬間壁に蜘蛛の巣状のヒビを作り上げた。ツルギは身を翻し即座に反撃を試みるも、発射された散弾の内数発が散弾掠ったのみ。

立て籠り騒ぎが起こった時点で周囲の住民や生徒は避難させていたため、人的被害は無い。周囲や民間人への被害を気にせず戦えるというのは、ツルギ達正義実現委員会にとっては大きなアドバンテージとなっていた。

 

で、あったのだが…

 

 

ツルギが両手のショットガンを放てば化け物は大きく動いて躱し、化け物が肉弾戦を仕掛ければツルギはそれをいなして蹴りなどを叩き込む。

一進一退の攻防と言えば聞こえはいいが、いわば膠着状態。ツルギも体力には自信があるが、相手もどれほど保つか分からない。いわばジリ貧であった。

 

無意味だと若干感じつつも一般正実達も銃を乱射する。

そんな中、ハナコは何かこの状況を打破する方法はないかと考えていた。観察する。

 

足場…壁を崩す?否、それは前線を支えるツルギの首も絞めることになる。

このまま斉射を続ける?否、それでなんとかなるなら既に解決している。

罠を仕掛ける?否、素材も時間も無い。アズサならどうにか…とも思ったが、彼女は対応に忙しい。

援軍を待つ?否、既にトリニティ最高戦力であるツルギが戦っている。それ以上の増援はあまり望めないだろう。ただし聖園ミカは除く。

 

否、否、否、否、否、否、否────────

 

頭の中で策が出る。しかしその全ては何かしらの根拠をもって否定される。

改めて現状を確認する。

変わらず銃を斉射し続ける正実。なんとか気を引こうとペロロ様のグッズを使って足止めを敢行するヒフミ。機を見計らい一撃を叩き込もうとしているアズサ。手榴弾で味方の援護をしながら的確に射撃を行うコハル。

そんな中、ハスミが撃った弾丸を鬱陶しそうに弾く化け物。他は無視しているのに何故弾く?

 

「ハスミさん!もう1発を!」

「分かりました!」

 

確認のためも含めてもう1発撃つよう頼む。弾道は、腹。その弾丸は化け物の腹部に吸い込まれるように進み…弾かれた。

 

ハスミさんだから防いだのか、それとも腹に向けられていたから防いだのか。

 

あるいは、その『両方』か…

 

「先生!」

 

見当はつけた。上手く行くかは賭け。もはや策とも言えないただの力押し。だけどきっと、この人なら

 

「“ハナコ”」

 

上手くやってくれる。

 

「“何か、作戦があるんだね”」

 

そう信じられるから。

 


 

「“ツルギはしばらくそのまま注意を引き続けて。アズサとハスミは指示する位置関係に。コハルはツルギの援護を。ヒフミ、合図出したら指示の通りに動いてね”」

 

テキパキと生徒達に指示を出す先生。ツルギは壁や床を走り、自分を脅威だと認識させ続ける。他のメンバーに注意が向けばショットガンを思いっきりぶっ放す。弾丸は奴の横っ面を殴りつけた。

 

追いかけっこは続き…そして、終わる。先生の号令によって。

 

「“ヒフミ、今!”」

「はいっ!お願いしますペロロ様!」

 

ペロロ様のホログラフ投影機(EXスキル)を投げる。

合図と同時にツルギは壁を蹴り設置された投影機の後ろにスタンバイする。

それを追い突っ込んでくる化け物。それに合わせてホログラフ投影機が起動する。目の前を急に塞がれた化け物はたじろき足を止めた。その隙にアズサは懐まで一気に近づく。

 

作戦は単純。腹に向けてアズサの全力の弾丸を放ち、そこに向けてハスミが追撃する。ただそれだけだった。

 

そして腹に向けて銃弾を1発。ドリルのように皮膚を抉る弾丸に対応できずに直撃する化け物。その腹に大きな傷口を作り…そして、止まった。傷ついたがまだまだ化け物は止まらない。

激昂した化け物はその腕を振り下ろそうとする。建物を一撃で破壊したその剛腕を。元々この化け物の目的は元アリウス生…つまり、アズサの誘拐である。ここで叩き潰してさっさと引き上げよう。

 

そんな甘い考えを、正義実現委員会が許すはずがなかった。

 

「ありがとうございますアズサさん。これで…狙い撃てます」

 

腕を振り上げたことでガラ空きになった胴体へ、アズサから見て横向きに展開していたハスミからの銃弾が向かう。弾丸(アーマーピアッシング弾)は一寸の狂いもなく傷口を穿った。

 

「ガァァァァ…アァ……」

 

…動きが止まる。痛みに悶える化け物はそのままどこかへ消えていってしまった。

側から見れば呆気ない終わり。だが当事者の彼女達にとっては大きな重圧から開放されたも同然だ。

その場に居た全員が息を吐く。地面に座り込んでしまう人もいた。

 

一旦の事件の収束とともに、がちゃりという音が鳴る。

 

「それはそれとして、あなた方があの弾薬庫で立て籠りをしていたのは事実ですので。少し拘束させていただきますね」

 

立て籠りをしていた補修授業部の面々に手錠がかけられた。

 

「うぅえぇ!?なんで!?なんでですか!?」

「あらあら。このまま緊縛してあんなことやそんなことを…うふふ、楽しみです」

「ハナコ!?何を言ってるの!?」

 

「安心してください。ある程度事情や動機を答えていただければすぐに開放します。それと、暴れていたアレについても知っている限りの情報提供をお願いしたいのです」

 

またあんなことがあっては堪りませんからね、と付け足す。

 

「分かった。話せることは話そう」

「アズサちゃん!?」

「ご協力、感謝します。問題なく終わればすぐに開放いたしますので」

 

正義実現委員会によって連行されていく補修授業部員たち。先生に別れの挨拶を各々告げながら護送車に乗せられた。

 

「先生も、協力に感謝します」

「“気にしないでいいよ。元々私もこの件について色々するために来ていたからね”」

「そうでしたか…申し訳ありません。時間をとらせてしまって」

「“それじゃあ私は行くよ。わざわざありがとうね、ハスミ”」

「えぇ。先生もお気をつけて」

 


 

先生

私だ

空崎ヒカだ

 

今朝こちらで起こった襲撃事件の資料を急遽作っておいた

上手く使ってくれ

 

…あぁ、すまない。ヒナのスマホを借りていてね

この事件が一通り終わったら返してくれ

 


 

ティーパーティーのテラス。本来外様では見ることも叶わないような調度品が揃えられているその部屋で、先生とティーパーティーの3人は情報共有を始めようとしていた。

 

「今日はわざわざご足労いただきありがとうございます」

「やっほー先生!」

「“私から頼み込んだことだから気にしないでいいよ。むしろ急にお願いしたけど大丈夫なの?予定とかで無理はしてない?”」

「元々この時間で例の事件について協議を行う予定でしたので問題ないです。それでは話していただきましょう…アリウス生保護施設襲撃事件の真相を」

 

3人の視線が一斉に先生へ向く。自らの愛する学校を傷つけたことへの怒りもあり、彼女らのここ最近の事件の真実を追及したいという思いは強い。

 

「“分かった。ただ、あくまで考察を交えながら考えた私個人の結論として聞いてほしい”」

 

そう前置きした上で、先生は話し出す。

 

最初に起こったアリウス生襲撃事件とそのすぐ後に起こったプロケルビル襲撃事件。そして、ゲヘナのホテル破壊事件の関連。ブラックマーケット大規模破壊事件とついさっきの正実弾薬保管庫の下手人の正体。

このまま放っておけばトリニティ、ひいてはキヴォトス全域にまで影響が起こりかねないこと。

 

「なるほど。ゲヘナも同様の被害を受けているので首をつっこんでくる可能性がある。協議に応じてくれないか、と」

「“うん。正直に言えば、2校で一時的にでいいから協力してほしい”」

「…いいでしょう」

「“この件はよく考えて協議してから連絡を…え?いいの?”」

 

あっさりとティーパーティーからの承認が得られそうな現状、本当にそれでいいのかと問うてみる。

 

「セイアさんも、異存ありませんね」

「ああ。私としても問題ない。なんだかんだ有耶無耶で破談のようになってしまったエデン条約の再編を考えるいい機会だろう」

「私も賛成。聞いた感じでも、トリニティだけでなんとかするには規模が大きすぎるみたいだし。ゲヘナの角付きなんかとの協力もできればやりたくないけど…」

「それぐらい我慢して下さいミカさん。こんな状況になってしまった以上、そうするしか方法がないと考えるのが妥当なのですよ」

「でもさー、なんでわざわざこっちにまで踏み込んでくるのさ?アリウスはうち(トリニティ)の問題じゃないの?」

 

「“それは、まぁ…色々あるんだよ”」

 

ゲヘナは今回の事件でかなりの面倒事になっていることは濁しておく。

 

「へぇ…じゃあ、よろしく頼むよー」

「…私からも、よろしくお願いします。こちらとしては、ゲヘナとの協力の意思はあるということを伝えておいてください」

「“分かった。それじゃあ失礼するよ”」

 

先生が抜けた部屋では改めて3人が協議を進めていた。

 

「正実はゲヘナとの軍事演習ということで通しましょう。場合によっては情報統制も視野に入れます」

「砲兵隊はどうする?同じく演習に投入するのか?」

「ちょっと自警団の子達は頑張ってもらうことになりそうかなぁ…」

 

会議は進む。美しくステップを踏みながらも確実に。

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