空崎ヒナは幸せでなければならない   作:rilu

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書きたいので書きました。
書きたいところだけはいっぱいあります。

多分途中で更新止まるから許して欲しいなって思います。


本編
空崎ヒカは転生者?である


私たちは、いつも2人で1人。

アビドスに行った時も、エデン条約の時も、空が赤く染まった時も、先生に頼まれた時も。

先生と2人きりの時...は、気を効かせたのか眠っていたけど。

 

私は、彼女のことをほとんど知らない。

私が知っているのは、あれが相当なお人好しってことぐらい。

 


 

私は、空崎ヒナに入り込んだ何かである。具体的には...そう、ある意識の集合体。転生、または憑依と言い換えてもいいかもしれない。

 

「うーん、あなた、だれ?」

『私?...うーん...心の中の、もう1人のあなた?』

「あなたは、わたし?」

『そう。でも、私のことはみんなに秘密にしてね?』

 

小さい頃に初めてヒナと会った。会ったというよりも話した、もしくは接触したが正しいかもしれない。

怖がられるかもと思った。しかし、ヒナは受け入れてくれた。天使かな?天使だね。

 

『ヒナ、大丈夫?』

「ちょっと痛いけど大丈夫...」

『そう、次は私も頑張るよ』

「うん、これからもよろしく、ヒカ」

 

私は暫定的に『ヒカ』と名づけられた。ヒナ、日向、日陰、ヒカ...という安直な連想ゲームだ。まぁ日向に関してはトリニティに本家本元のヒナタが居るが、気にしてはいけない。

こういうのは言ったもん勝ちなのだ。

 

小学生ぐらいの年になると、私はヒナから姉扱いされていた。イマジナリーシスター...?お姉ちゃん、ちょっと心配になってきたぞ...

 

「お、おぉ?確かに体、が...軽い?」

『どう?上手くいってる?』

「まぁ、ヒナほどは動けなさそうかな...さすがに...あれ、目の色とヘイローが...」

『ほんとだ。変わってる...』

 

中学生頃、特に何も無かった。強いて言うなら、『私』も外に...具体的には、ヒナの身体を借りれるようになった。

さすがにヒナのように大きくは動けないし、ヒナみたく防御力が高いわけでもない。むしろ弱い。多分普通の人間に毛が生えた程度の防御力だ。どんな攻撃でも避けなきゃ即死の意識である。

ここまで違うのは恐らくだが神秘が関連しているのだろう。

 

見た目は...うん、ヘイローなんかは全く違うし、目の色に至っては青色だ。何故変わるのか、私も聞きたい。

 

それと、私が出歩くこともたまにあるということで銃を買った。少し特殊な形状のリボルバー。なんとトリガーが二つもあるのだ!お得である。ARなんかと違って小型のため使いやすいし、いざとなったらヒナがサブアームとして使える。

まぁ、少々傷なんかが目立つが。

...元々はアンティーク好きや好事家に卸す予定の物だったが、流れに流れてここ(ゲヘナ)まで来たらしい。部品の欠品も目立っていたのでニコイチでの整備もしたようだ。複数の人々の思念が集まって宿った私にそっくりだと思う。

銃に関しては売っていた店が軽い塗装を請け負っていたので、黒光りするボディに青白いラインを塗ってもらった。

名前は...

 

Gathering Of Souls(集まった魂)。うん、私にピッタリだ」

 

その集まった魂...私の存在理由は...空崎ヒナを幸せにすることだ。

 

 


 

 

 

高校に入ってからは色々とあった。

まずアコには秘密を話した。最初は引かれていた気もするが、ヒナについて語り合っていたら気づいたら仲良くなっていた。今になっても定期的に語り合っている。

まぁ...友人程度にはなれたと思っている。口うるさいが根は...多分、いいやつだ。服装はイカれてるけど。

 

マコトにもコネクションを作って...もとい、秘密を話しておいた。私が動きたい時、『空崎ヒナ』ではかなり行動に制限制限がかかる。容姿も違うし、何よりヒナには立場がある。よって、『空崎ヒカ』という学籍を置いてもらうことにした。

マコトに貸りはできたが...特に問題は無い。そもそもあいつに関しては色々抜けてるとこはあるがあんなでもゲヘナを治めている有能な政治家だ。

空崎ヒナ(キヴォトス最強格)の姉』になんの取り引きもなく一つ言うことを聞かせられる、という政治においても十分有用であろうカードをしょうもない嫌がらせ程度で切るとは思えない。...切らないよね?さすがにそれで切ったら私は軽蔑するぞ羽沼マコト。

 

あとは『私』が倒れていた時に治療をしてくれたセナも私について知っていると思う。

道端で気絶していたのがまさか風紀委員長だとは思うまい。倒れていた理由の説明のためにヒナが伝えたらしい。

 

思う、であったり、らしい、であったり言い切れていないのは、実際に私がセナとは会っていないためである。

そもそも私が表に出ることは稀だし、何回か世話になる時はあったのだがその時は悉く私はダウンしていたから。普通にヒナが世話になることもなくて挨拶もできないし、私が表に出てくるのは大抵仕事が多い時だけ。会いに行く暇が無い。

 

まぁ、そこからはヒナが普通に仕事をしつつ、時折私が書類を肩代わりする、という生活が続いた。

...別に普段はニートをしていたわけじゃない。ヒナの戦闘中は敵の場所や攻撃を伝えるオペレーターをしている。

 

具体的には...

 

『ヒナ、8時の方向250mにスナイパー。場所はあそこの廃ビル』

「了解」

 

こんな感じにね。

 

『人数は...1人だね』

「ほっ」

 

軽い掛け声と共に身を翻して狙撃を避ける。そのままヒナは廃ビルに銃弾をありったけ叩き込んだ。

神秘を込めた銃弾は易々と廃ビルを貫き、倒壊させた。

 

『さっすが、毎度思うけど規格外だね』

「ヒカ、次は?」

『おっとすまない。正面にざっと数えて10人。3時の方向、建物を挟んだ別の路地に15人。ただこっちはイオリ達が対処してる。正面を潰してそっちと合流、その後に本丸を叩こう』

「了解...っと」

「近づいちまえば風紀委員長でも...!」

 

おい待て盾持ちのスケバン君、そんな露骨なフラグを立ててしまったら...

 

「甘い...!」

 

デストロイヤーの掃射を盾で受けてもなお突っ込んでくるスケバンに対して、ヒナはデストロイヤーの銃口を盾と地面に隙間に差し込んだ。

シールドバッシュをしようとしていたのか勢いを落とさなかったスケバンは、盾が嫌な金属音を鳴らしながらヒナの銃身を駆け上がっていることに気付いたようで目を見開いた。

 

「まさか────!」

「そのまさか、よ。判断が、遅かったわ、ねッッ!」

 

気合いを入れたヒナがデストロイヤーを思いっきり振り上げる。

スケバンの突進の勢いとヒナの振り上げの勢いが合わさった盾はスケバンの手を離れて背中側へと飛んでいった。

盾を失ったスケバンは勢いそのままこちらに突っ込んでくる。

ヒナは腰のリボルバーを抜いて接射。スケバンは吹っ飛んで意識を失った。

 

『お疲れ様ヒナ』

「うん、ヒカもお疲れ」

 

後方のスケバンは斉射の巻き添えにあって全員気絶していた。

 

『イオリ達の方は...もう本丸へ突入、一通り終らせたみたいだね。結果はどうあれ労ってあげて』

「分かってる」

 

 

 

「...イオリ、そっちはどう?」

『委員長!?...いえ、リーダーには逃げられましたが構成員はほぼ全員捕縛しました』

「そう、ありがとう。逃げたリーダーに関してはアコに調べさせておくわ。お疲れ様。気をつけて帰ってきて」

『は、はい!』

 

うーんコミュ強。一年生の頃はちょっと固まったりしてたのに立派になって...

 

「最後のは中々筋が良かった」

『確かに。スケバンじゃなかったら囲い込んでスカウトしてただろうねぇ』

「やらないでよ?」

『さすがにそれをやるほどバカじゃないよ。治安維持組織が犯罪者を雇用しましたー、なんて噂が流れれば信用が落ち...落ち......多分落ちないな?』

「ゲヘナだから、かしらね」

 

帰路に着く。このまま何もなければ書類仕事に...

 

『あ、今日ちょっと午後から先生に相談事あるから午後から体貸して』

「分かっt...ん!?先生と!?ちょっとヒカくわs────ふぅ...しばらく寝かしておこう」

 

さて、シャーレに...あ、待った。アコも呼ばなきゃ。

 

「もしもしアコ?聞こえる?」

『えぇ、聞こえていますよヒカさん』

「毎回思うけどよく声だけで私とヒナを区別できるね」

『当然です。そもそもヒナ委員長とあなたを比べようとする事自体が烏滸がましい。ヒナ委員長はそれこそ太陽のように輝いておられ...』

「はいはい。それで話は変わるけどアコ、今日の1400(ヒトヨンマルマル)、先生に相談事があるからシャーレに来てもらえる?」

『はぁ!?ちょっと詳しく説明をしなさいヒカ!』

「それじゃあ切るね」

『待ちなさ────

 

 

ブツリ、という音とともに騒がしい声は聞こえなくなった。

 

「さて、今日も一日ご安全に...っと」

 

騒ぎに巻き込まれないように注意しつつ、D.U.行きの列車に乗り込んだ。

 


 

 

 

「んー?お、きたか」

「来たかじゃないでしょう!?まったく、ヒナ委員長と違ってお淑やかじゃありませんね...」

「おーおー耳が痛い。すまないね。でもこれはアコにも共有するべきことだから」

 

そう言ってシャーレのビルに入る。シャーレ自体は部員であればある程度自由に出入りでき、オフィスまで行くこともできる。

 

「やあ先生、久しぶり。部員になった時以来かな?」

「“久しぶりだね、ヒカ。アコも。仕事で無理とかはしてない?”」

「もちろんですよ先生」

「それじゃあ先生、本題に入ろうか。防音室とかはある?できれば秘密にしておきたいことだから」

「“うーん、まぁ、それに近しい場所は用意しておくよ”」

「そうしてくれると非常に助かる」

 

私たちは先生の先導のもと、相談のために移動した。

 


 

部屋に案内された私は、テーブルを挟む形で先生と向かい合い座った。アコはテーブルの私側で突っ立っている。

 

「“それじゃあ、相談したいことって何?”」

「あぁ、私の...『空崎ヒカ』の人格が生まれた理由と現状についてです」

「“い、いきなりぶっ込んできたね...自己紹介の時に解離性同一性障害ではないとは聞いたけど...”」

 

多少動揺しているが仕方のないことだ。受け入れてもらおう。

 

「そうですね...先生、一つ質問をしてもいいですか?」

「“うん、大丈夫だよ”」

 

まずは、状況を理解してもらうための例え話から。

 

「先生はゲームもお好きとのことですが、ゲームの中で『このキャラに幸せになってほしい』と考えることはありませんか?劇中で死んでしまう人、失恋をする人、何かに絶望してしまう人────」

「“あるよ。やっぱり、ハッピーエンドとか、もし幸せだったら...とか、考えちゃうタイプだね”」

「それです」

「“え??”」

「え???」

「私は、今先生が言ったような『意識が集まってできた人格』です。パッチワーク、ツギハギと例えるのが近いでしょうか」

「待ってくださいヒカ。まるで私たちがゲームの中みたいな────」

「そうだよアコ。私はこの世界をゲーム(ブルーアーカイブ)として認識し、プレイする人々────プレイヤー(先生)の一部が集まって生まれた存在だ」

 

あ、アコが固まってしまった。SAN値チェックでも受けたか?

 

「“待って、それじゃあここは...”」

「おっと先生、それ以上踏み込むのはおすすめしませんよ。深淵を覗く時、深淵もまたこちらを覗いている...あなたが覗いた時、見えるのは深淵なのか、それともあなたが深淵なのか...知らなくても良いことです。ああなりたくなければ」

 

そう言って私は虚空を見つめるアコを指差した。巻き込んでしまって申し訳ない。

 

「“なんか、大人っぽい喋り方だね”」

「まぁ、私が大人であり、子供であり、学生であり、社会人であり、男であり、女であり、生徒であり、先生であり....存在が不安定なんです。なので口調なんかは崩れがちですね」

「“まぁ、どんな喋り方でも関係ないよ。ヒカも、私の大事な生徒だからね”」

「...まったく、ずるいなぁ」

 

お前ほんとそういうとこやぞお前。この人たらしが。

 

「...ここからが本題。そもそも、私が生まれた理由は空崎ヒナは幸せに生きるべきだ、と考える人々の意識が集まったから。いわば、ヒナを幸せにすることが存在意義と言える」

「“...続けて?”」

 

「今、空崎ヒナは幸福です」

「“そうだね”」

 

「そう、それが問題なのです。私の存在意義はヒナを幸せに『する』こと。ヒナが幸せなら、幸せにする必要は無い...つまり、私の存在意義は無くなります」

「“だったら、ヒカは自由に生きれば...”」

「物語は、そんなに甘くないんですよ。そもそも一つの目的のために集まってできた意識です。その目的が無くなれば、バラバラに散ってゆくのみ...まったく、幸せにして終わりだなんてふざけた命令を出した奴をぶん殴ってやりたい」

「“...”」

「ですが、私はヒナの...形だけですが、姉です。私が消えたとなればヒナは悲しみます...『不幸』に、なります」

「“まさか...!”」

「えぇ、私の存在意義が生まれました。要はループしてしまうんです。消えて、復活して、消えて、復活して...なんかもう、疲れちゃって。感覚としては...死ねない首吊り、なんですかね。ずっと苦しいし、時折意識は飛ぶけど、絶対に死ねないんです。死んだらヒナが不幸になるから...」

 

「“...それでも”」

 

「“それでも、私は諦めないよ。ヒナも、ヒカも助ける...それが、先生の...大人のやるべきことだから”」

 

「うん、そう言ってこその先生だ。私の方でも色々と解決法を探っておこう。だが、あまり期待しないでくれ」

 

一応当てはあるし、交渉も進めているがうまくいくかは未知数だ。

 

「んじゃ、そっちの再起動中のやつのことは頼んだぞ。私は一足先に帰らせてもらう」

「“えぇっちょ!?待ってヒカ!”」

 

ドアを開けて廊下を歩く。

 

「ッガ...まず、首、が...ぐるし...」

 

視界が真っ暗になった。

 


 

「“アコ、大丈夫?”」

「っは!先生、私は何を...」

「“ ...ずっと放心状態だったよ”」

 

あの後、アコを起こした私は廊下に出てヒカを追いかけようとした。

 

...その必要は無かった。部屋のすぐ近くの廊下でヒカは倒れていたから。

 

「“ヒカ!?大丈夫!?”」

「あれ?先生?おはよう先生」

「ヒナ委員長!?」

「“ヒナ!?あれ、ヒカはどうしたの?”」

「ヒカ?ヒカだったら...こう、こうしてやったわ。同じことをやられたしお返しよ」

 

そう言ってヒナはチョークスリーパーの構えをとった。

 

(“ヒェッ...”)

 

私は、心の中でヒカに祈りを捧げておいた。




・空崎ヒカ
空崎ヒナの姉。我々(先生)の『ヒナちゃんには幸せになってほしい』という考えが集まって生まれた。力太郎(老夫婦の垢で作った人形に命が宿って産まれた)みたいなノリ。それがヒナに宿った。
ヒナを幸せにするために集まっただけなので幸せにしたら俺たちは要らんよな!とか要らんこと考えるせいで消えかけてる。でも消えるとヒナが悲しむので復活する。
一応神秘はあるが耐久は先生に毛が生えた程度。数発当たると血が出る。なので基本は回避。当たっても傷はすぐ治る。
使用する銃器はGathering Of Souls。モデルはSavage 1861 Navy。南北戦争時代に製造された古めのリボルバー。トリガーが2つあり、弾丸を発射するためのものとハンマーを引いてコッキングするためのもの。
ヒナが片手で連射ができるようにと選んだ。
黒光りするボディと青白いラインが特徴的。
こっちが体を動かしている時は目の色が青色に変わる。ヘイローのデザインも変わる。
ヒナの体を乗っ取る時は首トンみたいなノリでいくらしい。痛くないけどあんまり長く保たない。

ヘイローのイメージ画像

【挿絵表示】


・空崎ヒナ
我らが風紀委員長。幼少期から頭の中に姉を飼っている。
頭の中で大好きな相手といつでもお話できるので大抵ツヤツヤ。書類仕事もたまにヒカに頼んで休ませてもらったりしてる。
使用する銃器は終幕:デストロイヤーをメインアームに、Gathering Of Soulsをサブアームとして使用する。
とはいってもサブアームの出番は稀で、緊急時程度しか取り出さない。
ヒカが体を使ってる最中無理矢理交代する時はチョークスリーパーみたいなノリでいくらしい。クッソ痛いし1日ぐらい起きない。

番外編(メインストーリーと関係ない過去、掲示板、if等々)は

  • ほしい
  • 本編書き終わってからでいい
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