空崎ヒナは幸せでなければならない 作:rilu
作者のキチゲ発散適当ペラ回し回。会話文マシマシ痛い会話マシマシ黒服多めって感じ。
「んー?」
「どうしたのお姉ちゃん?」
「お茶会の誘いだ。この前に世話になった人だしちょっと行くことにするよ」
「じゃあ、委員会の方には連絡しておくわね」
連絡の通りの店に向かうと、そこにはテラス席で優雅にコーヒーを嗜む黒服が居た。あのひび割れた頭でも周囲に上手く溶け込んでいるのは世渡り上手だからか、はたまたそういう発明があるのか。すぐにドアを潜り彼の方へと向かう。
「久しぶりだね、黒服。事態が収まってから会うのは初めてかな」
「ええ、お久しぶりですね。少しばかりこちらの後処理が長引いてしまいましてお誘いするのが遅れてしまいました」
「お気になさらず。元々騒動の原因を作ったのはこっちだし」
そこらを歩いていた店員に紅茶を一杯頼み、対面の椅子に座る。再三言うようだからあれだが、テラス席でも悪目立ちせずに、この異形が風景に馴染んでいるのはなんなのだろうか。
しばしの沈黙の後、黒服はまるで考え込むように顔に手を添えた。
「どうかした?」
「いえ、ただ単純に何から話せばいいものかと思いましてね。生憎、アイスブレイクになりそうな話題は持ち合わせていないもので…」
うーむ、と少し唸った後、愉快そうに指を鳴らして口を開いた。私は聞く姿勢を整える。
「古典的な方法ですが…そうですね。良い知らせ、悪い知らせ、そして追加で興味深い知らせとしましょうか。どれからにします?」
そう言って、黒服は3本の指を立てた。
「じゃあ、黒服が言った通りの順番にしようか。良い、悪い、興味深いの順で」
「では、その通りに…」
「まず、良い知らせ。事件の後処理についてです。以後こういった事例が起きないよう、義体の試作品は全て廃棄処分を行いました。また、其方の
「助かる。今回はカードも少額の利用で済んだが、毎度毎度あんなのがポンポン出てこられたら困るしな…」
関心したように黒服は言葉を続ける。
「ええ、まあ。まさか自らに先生のテクスチャを貼り付けられるとは思いませんでしたよ」
「運が良かっただけさ。たまたま真っ白なキャンバスがあり、たまたまそこに絵の具をぶち撒けられる存在が居た。それだけだよ」
「少しばかり
少し貯めて口を開く。
「其方の義体の回収を行いたいのです」
「それまたどうして?」
「損傷の確認とメンテナンスのためですね。元々戦闘用に作ったものではありませんし、予定外のダメージや欠損部位の接着等、こちらの想定していない挙動が多くありましたので」
「じゃあ仕方ないか…回収はいつ頃に?」
「早ければ明日。遅くても1週間以内には。遅れてもこちらに問題はありませんが…返却が相応に遅くなるかと」
「分かった。開発者からの要望ぐらいには従っておこう」
そのまま互いの予定が合う日を確認していき、上手く噛み合うように予定を組み上げる。…私のシフトの空きに捩じ込まれた。
私達の間を風がすり抜けるように駆けていく。びゅう、という音が会話の隙間に入り込み、改めて静寂が形作られる。
「では最後に興味深い話の一つ目。時計の針は止まっていません。物がいつか壊れるように。命がいつか潰えるように。魂、想いというあまりにも曖昧で定義しにくい存在であるあなたも同様に」
「…やはり、所詮は延命措置、か」
「存在を世界に証明したところで、そもそも貴方の在り方が長期の存在には向いていないのです。私からすれば、10年以上保ったことが奇跡とも言えます」
「黒服、一つ訂正。私は、存在証明なんて大仰なことはしていない。私は、適した役の衣装を羽織っているだけだ」
口を動かし、死への恐怖を紛らわせる。
「生徒の体であるならば、神秘を持たないのはおかしい」
未知への恐怖を。
「大人のカードを使うのならば、先生だ」
滅びへの恐怖を。
「神秘を持つ者は生徒になり得る」
絶望への恐怖を。
「『今』シッテムの箱を使えるのは、先生のみだ」
未来への恐怖を。
「そういう傲慢な常識を『どこかここではない場所』から持ち込み羽織ることでテクスチャを手に入れて適応する。これが私の根本的な在り方です」
ああ、こうして話していなければやっていられない。だって、ここから先は、何も分からない。人生とはそういうものだが、それでも私は、この世界で本当の意味で生きることは未来永劫無理なのではないかと思う。
「だから私は生徒であり、先生であり、子供であり、大人であり、それと同時に何者でもない。黒服の義体に入り、あらゆるテクスチャの庇護から外れたあの私こそが本来の私なのです」
演説のように話す私を聞き届け、ゆっくりと上品に手を挙げる黒服。目配せをして言外に許可を出す。
「では…ここではないどこか、とはどちらなのでしょう。そこまで核心を掴めているようでしたら、是非ともお聞きしたいのです。貴方の考えを」
ごうごうと白い光が隙間から漏れている真っ白な目が突き刺さる。
「…そうですね…あえて言うのならば、そう、作者。読者。語り手。視聴者。そういった、
「生徒。先生。ゲマトリア。カイザーコーポレーション。デカグラマトン。無名の司祭。それらとは違う、文字通り『格の違う』、“目”を通じてこの世を観る者達」
「ある意味で私の生みの親であるその者達のことを…きっと私達はこう言うでしょう」
「プレイヤー、と」
「我々はそれを観てはいけません。感じてはいけません。知ってはいけません。だってそうでしょう?私達の生殺与奪は私達にあるようで私達にはなく、私達には自由はあるようで自由はなく」
「私が誰も欠けないハッピーエンドを目指す限り、誰にも視られない安息の地など、このキヴォトスである限りどこにも存在し得ないのです。黒服も、あれをどうこうしようという気は起こさない事をおすすめしますよ。あれは私達に何もできませんが、私達もあれに何もできません」
「では、我々もゆめゆめ気をつけましょう…では、次の話です」
「空崎ヒカ。あなたは、何を見ていたのですか?」
「…何?」
「ええ、貴方の行動は少々不可解がすぎる。まるで全てが既定路線かのように、無駄を切り捨てるように、貴方の行動は一貫して不自然でした」
「なぜゲヘナから何度も出奔したのか?なぜ錠前サオリとピンポイントに接触できたのか?そもそも、なぜわざわざ天童アリスに私の制作した試供品を渡すという行動をしたのか?そういった幾つもの行動は、先程言っていたことを踏まえても不可解なのですよ」
息を吸い込む。耳が痛くなりそうな静寂が場を包む。考える、組み上げる、答える。
「…分からない。いや、正確に言えば、手掛かりがある。あるだけ。推理が進まない。分からない」
「…では、この話はここまでにしましょう。ここから先は、ただのお茶会を」
…ずっと、変な空気感だった。
空崎ヒカや黒服の言っているペラ回しが
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司祭A「理解できる」
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司祭B「ニュアンスは掴める」
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司祭C「理解できぬ」
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司祭D「なんとなく読んでる」