空崎ヒナは幸せでなければならない   作:rilu

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言い忘れてましたが、これはただただ作者が空崎ヒカをぶっ殺したいだけの章なのでクオリティを気にしてはいけません。


IF:BAD 空崎ヒナを託さなければならなかった

 

 

荒廃したキヴォトス。これから忘れ去られる方舟。その空間の中で、私は1人の大人と向き合っていた。

 

「“…ごめん、ヒカ。これを、託すよ”」

「無理するな。話すのも辛いんだろ?」

「“ははっ…でも、そうかもね。なんだかもうなんだか寒くなってきたかも”」

 

彼の体は傷だらけで、私の体は対比かのように無傷だ。

 

「かくいう私も、こうして抑えておくので精一杯だよ。だから、先生からの約束も、守れるかは分かんないなぁ」

「“それでも、いいよ。本当は、こんなことやりたくないんだけど”」

「…大丈夫。託されるのは、これで2回目だ。ありがとう、私の愛しい人」

 

「“ただ…もしこれを誰かに渡す時が来たら、こう伝えてくれないかな”」

 

 

 

 

 

 

 

目の前に立ちはだかる、先生とヒナ。…良かった、向こうに、私は居ないみたいだ。向こうに私が居たら、きっとここも“だめ”になってしまう。

どうしてこの2人と戦ってるんだっけ?あー、だめだ。記憶の部分がもうダメになってる。もう少しだってのに役に立たねえ。

色彩とか…あー、私が色彩の嚮導者って?あぁ、まあ、うーん、だいぶ弱いけど、そういうものだと思う。違う気もするけど。

 

「何度立ちはだかったところで、無駄。また私達が勝つ」

「“私達”…?あなたの側には、誰かが居るの?」

 

…呼ばれた気がする。ふっ、と体の懐に忍ばせてある託された物からホログラムを出現させて、軽く笑う。さて、最後の最後、締めの時間だ。ここの出来で全てが決まる。

不敵に笑ってみせ、託された物とはまた違う物を掲げる。即座に、3つの人影が現れる。

アコ。イオリ。チナツ。露払いと言わんばかりに、突撃していく。

 

幕が上がったならば、終わるまで踊り、演じ切るのみ。舞台に上がった演者は、最期まで役を演じ続けなければならないのだ。

 

既に私のイオリを相手していたことで若干疲労の色が見えるヒナへ、体が突撃していく。

 

ホログラムとして見るその姿は、角が肥大化し、翼が空も覆ってしまいそうなほど大きくなり、まさに悪魔らしい容姿と変わっていた。私の、可愛い妹の姿だった。

 

…ヒナ*テラー。きっと、名前はそうだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…やっぱり、先生は強いや。

カード、指揮。あらゆる物を使われて、私達は負けてしまった。

全身から血を流して肩で息をするこの世界のヒナ。倒れ伏すヒナ*テラー。

 

「まだ、おねえ、ちゃ…!」

『悪いけど、ヒナの出番はここで終わりだよ』

 

首を絞めるようなイメージでヒナの魂部分に軽いダメージを与え、体を強制的に乗っ取る。

 

「まだ来るの…!?」

 

すぐに手に持っていた物を捨て、両手を上に挙げる。

 

「降参だ。負けだよ」

「“君は…?”」

 

この世界の先生が聞いてくる。そりゃあそうか。私なんて存在、ここに居るはずが無いもの。

 

「別のキヴォトスで、ヒナの姉…をやらせてもらっていた、ただの狂人さ。見ての通り、ボロボロで動けたものではないけどね」

 

そう、そうなのだ。今の私は両手がかろうじて動くぐらい。脚はほとんど力が入らないので、最初に身体を起こすのに使ってそれっきりだ。

 

「“…”」

「言い忘れていたが、あのホログラムも、こうしてヒナの体を使っているのも、元々私がそういう存在だからだ。気にしないでくれ」

 

「教えて。あの日から放送をジャックしたり、生徒を唆したり…そうしたことをしていたのは全てあなたなのね」

「ご名答。見ての通り目は青色でね。表に顔を出す時は私が出ていたよ」

「…なんのために?その程度ならそっちの私にもできたはずよ」

「簡単な話、これからの生活でヒナが苦労しないためさ。実際はそれは他人が身体を操っていました、今までのは全て操っていたやつのせいです。そう多少流布しておけば、噂というのはバカみたいな速度で広がっていく。放送であそこまで露悪的に振る舞っておけばきっとそこと繋げる人間は出てくる。ネットに生息してるのは賢しいからね。分かりやすい悪役はいた方がいいのさ」

 

「“そんなの”」

「私が許さない…って?まあ、重々承知さ。だが、これから死に行く人間の、最期のおせっかいだと思って…な?」

 

「…あー、やっぱりダメだな。言葉を紡ぐのすらキツくなってきた。あー、じゃあ、忘れる前にこれを」

 

懐からタブレットとカードを取り出し、渡す。

 

「私達の先生から、あなたへ。“私の生徒達を、お願いします”」

 

「私から、あなたへ。“私の可愛い妹を、お願いします”」

 

 

「“…”」

 

「“…託された、よ”」

 

「よろしく、先生」

 

 

時間切れを告げるように、無慈悲に意識が刈り取られていく。1秒もしない内に、私は消えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

暖かい温もりに包まれて、目を覚ます。いつぶり、だろうか。

 

おはよう、おねえちゃん。

…おねえちゃん?

 

「“大丈夫!?”」

 

声が、しない。ねえ、どこに居るの?先生も、みんなも、居なくなっちゃって。私にはもう、あなたしか居ないのに。

 





『END2:押し付けと自己満足』

あ、アンケートとかやってます。

もし今後番外編で投稿するならどれから?

  • 絆ストーリー的なの
  • 風紀委員会の日常
  • 空崎ヒナと空崎ヒカがデートする話
  • シャーレ当番での話
  • 空崎ヒカが各自治区を巡る話
  • 本編前:アビドス3章
  • 掲示板回
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