空崎ヒナは幸せでなければならない   作:rilu

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我ながらここまでこのペースで続いていることに驚いている


2人でのデートは愉快なものである

 

ゲヘナ風紀委員会本部のすぐ外、生徒たちによる喧騒がよく見える。

私はそこでアコの着替えが終わるのを待っていた。

 

「お待たせしました委員長」

『来たか。それじゃあ私はもう一眠りするよ。さすがに私は睡眠時間が足りない...ふぁ...』

「うん。それじゃあ行こう、アコ」

 

アコも私服に着替え、目的地へ出発する。

今回はゲヘナ内のスーパーマーケットではなく、D.U.シラトリ区まで出かけることにした。あそこなら散歩気分でのリフレッシュもできるだろう。

 

その辺のバス停でバスを待ちつつ、軽い雑談を交わす。

 

「最近の調子はどうなんですか?」

「まぁ、悪くない。最近はちょっと問題児の数も抑えられてきてるから現場の方も大分楽だし。そう言うアコはどうなの?今朝は随分と元気そうだったけど」

「そ、それは...誤魔化すために...って、ほら!バスが来ましたよ!」

 

...?まぁ、多分大丈夫でしょ。アコだし。

 

D.U.行きのバスに乗って外を眺める。バスジャックなどの問題は起こらなかった。

 

...遠目に見えた爆発は、気にしないでおこう。

 


 

「さて、着いたわけだけど...ここからどうする?」

「とりあえずお昼にしましょう。最初に食料品を買うと邪魔になりますから」

 

そう言って向かったのはラミニタウン。ここはさまざまな店が並ぶ食堂街、各自治区のグルメスポットに並ぶほどの非常に大きな街なのである。

お昼時だからか、道は食事をしに来た人で溢れている。

 

「ここまで多いとは...予想外でした」

「とりあえずお店に並ぼう。お店は...あそこのカフェとか、どう?」

「いいですね。あまり混んでいないようですし、それに...」

 

アコが呆れたような目をしながら周囲を見回す。

目線の先には、肉や魚などが大きく象られた店の看板があった。

 

「この辺りは、昼食にするには少し重いのが多いですから」

「そうね。さすがに昼食でステーキは遠慮したいわ」

「本来は夕食に来る場所なんでしょうね。この辺りは。ちょうどカフェがあって助かりました」

 

そう言ってガラスでできたドアをくぐると、店員さんに席へ案内される。

笑いかけながらメニューを渡された。

 

「ご注文がお決まりでしたらお呼びください」

「ありがとうございます」

 

ふむ...どれにしようか。軽食のようなメニューにするか、デザート系でいくか...

いや、今は甘いものを食べたい気分...ここはデザートにしよう。そしてやはり、頼むのは王道を征くパンケーキ...

乗せるのはフルーツ。甘いパンケーキと甘酸っぱいベリーは一緒に食べると非常に美味しい。

 

飲み物はホットコーヒーにしよう。きっと甘くなった口の中を中和してくれる。

 

「...委員長、決まりましたか?」

「大丈夫。決まったわ」

「それじゃあ...すみませーん!」

「はーい!」

 

「私はこのカレーのセット。飲み物はホットコーヒーで」

「ベリーパンケーキとホットコーヒーで」

「かしこまりました。少々お待ちください」

 

今日は何を買おうか、と考えながら注文したものを待つ。

 

「そういえば、アコは結構ちゃんと食べるんだね」

「ちゃんとお腹が空いていたので...それに、委員長と居る時に空腹なんぞ倒れるわけにはいきません」

「ふふっ、それじゃあ守ってもらおうかしら」

 

...あ、そうだ。

 

「そろそろ風紀委員会でお姉ちゃんの存在を共有するって言ってたけど、見分け方とかはどうしようかしら」

「確かに、そこも考えないといけませんね。こういうのでありがちなのは髪飾りとか髪型ですけど、委員長の毛量や髪質だと厳しいでしょうし...」

「まぁ、雑貨屋とかを見ていって決めよう。何かいいものがあるかもしれない」

「そうですね...あ、首輪とかどうですか?」

「駄目に決まってるでしょ。しばらくは目の色で見分けてもらうしかないかしら」

 

「お待たせしました。カレーセットとベリーパンケーキにお飲み物ですね...失礼します」

 

「あ、来た」

「早速食べましょうか」

 

ナイフとフォークを手に取って、パンケーキを切り分ける。そのままフォークで口の中まで運んでやる。

甘酸っぱい。パンケーキの甘さとベリーの酸っぱさが丁度よいバランスで絡み合い、口の中を爽やかに、そして少しの甘さとともに保つ。

時折コーヒーを口の中に流し込み、舌を苦味ですっきりとさせる。いい香りが鼻を抜ける。

 

「ふぅ...アコ、ちょっとコーヒーの淹れ方教わってきたら?」

「ちょっと!?私だって最近上達してきたってヒカさんに言われてるんですよ!?」

「少なくとも、ちょっと改善されたって程度だと思うのだけど...まぁ、ヒカにもっと教わって、美味しいコーヒーを淹れてちょうだい」

「はい...」

「ふふっ、楽しみにしてるわね」

 

 

 

 

...話しながら食べていたらすぐに食べ終えてしまった。非常に美味しかった。また今度、機会があれば来よう。

 

「もうちょっとゆっくりしていきたいところですけど、買い物を考えると時間がありませんね。もう出ましょうか」

「そうね。伝票は...」

「大丈夫です委員長。私が払いますよ」

「そう?それじゃあありがたく貰っておく」

 

アコは荷物をまとめて伝票を持ちレジへ向かった。

私もそれについていく。

 

「お会計2490円になります」

「カードで」

 

 

 


 

 

「さて、それじゃあ本題の買い物をしましょうか」

「そうね。保存のきく食品を買っていかないと...」

 

風紀委員は多忙なため、保存の効くものをまとめ買いする者が多い。そういった『備蓄』は大切なのである。

 

とはいっても、買うもののほとんどは変わり映えしない。ちょっと商品名が変わる程度である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

買い終わった。

 

「多分これで大丈夫よね」

「一通りこれで買えましたね。少なくとも2週間は保ちます」

「わざわざ付き合ってくれてありがとうアコ。ちょっと向こうで休もう」

 

指を指したのはシラトリ近隣公園。ちょうどラミニタウンの近くであったしいい感じの距離だ。

 

公園の中は街の方での賑やかさは鳴りを潜め、小鳥の囀りとともにゆったりとした時間が流れている。

ちょうど近くの空いていたベンチに腰をかける。

 

「改めて考えるべきだと思うのだけど...」

「見分け方ですか?」

「そう。髪があるから頭周りで判別するのは難しいし...目で見分けるのも間違いが起こるかもしれないから」

「そうですね...服...バッジは委員長の制服にはもう既に色々ついてますし無理がありますね。あとは...」

「手、とかは?」

「手袋!それです!脱ぎ着だったり色で見分けられます!」

「そうね...手袋、いいかも」

 

そのまま雑談を続けていった。

 

 

「さて、そろそろゲヘナに帰ろうかしら」

「もう帰るんですか?まだ議長への諸々を買っていないと思うんですけど」

「そっちはゲヘナの方で調達するわ。当てはあるから」

 

そう言ってバス停からバスに乗った。

 


 

そう言って着いたのはつい先日訪れたスイーツ店...プリンを買えなかった店だ。

ヒカによると爆破されたらしいが、もう修復されている。商魂逞しいな...

 

プリンをいくつか調達し、万魔殿へと向かう。

 

その途中、一ついいものを見つけた。

 

「指輪...」

「なるほど...いいかもしれませんね」

「たまにはプレゼントをしてもって思って」

「私も半分払いますよ。せっかくですし、恩を返すいい機会です」

 

そう言って一万円程度の青い宝石がついた指輪を買った。石の名前はアパタイト?というものらしい。

これを付けていたらヒカ、手袋をしていたら私...うん、いい見分け方だと思う。

 

それじゃあ、荷物を置いて改めて...着替えて...

 

「謝罪って、どうしてこんなに足が重くなるのかしら」

「...今言うのもあれですけど、これって私関係ないですよね」

「風紀委員会のNo.2として付き合ってもらうわよ」

「はぁ...」

 

 

 

 

謝罪は多少の文句は言われたが無事に終わった。

 

 





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