空崎ヒナは幸せでなければならない   作:rilu

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書いてる途中に、こんな好き勝手やっていいのか...?という思考が浮かびましたが元々私が好き勝手やるために始めた小説なので好き勝手することにしました。
色々と急展開と独自設定するけど許して



別れは唐突なものである

 

先生

頼んでいた物は大丈夫そうか?

足りない場合はこちらが集めることもできるが

 

うん、なんとか集まったよ

 

 

それは良かった

今度取りに行こう

いつ引き取ればいい?

 

いや、私が届けるよ

風紀委員会でいいんだよね?

 

あまり私的なことには使いたくないんだが...

まぁ、こういうのは早ければ早いほどいい

待っているよ、先生

 


 

「“さて、早速行こうか”」

 

必要な物を大方持って外へ向かう。

オーパーツは多少嵩張るが...というか、重い!

 

「“...取りに来てもらった方が良かったかも”」

 

しかし一度言った手前、やっぱり無理でしたなどと言ってしまえば顔が立たない。

 

「“....頑張ろう”」

 

気合いを入れてバッグを担いだ。

 


 

私の存在を風紀委員会に公表して数日...

 

「まさか持ってきてくれるとは」

「補佐官、万魔殿から文句の書類が...」

「突き返しておいて。その程度の戯言を相手にできるほどの暇は風紀委員会にはありません」

「は、はい!」

 

私の存在の公表については、概ね問題なく進んだ。というより、主に私がするのはデスクワークなので前線で戦うメンバーの多い風紀委員会ではあまり気にされていないようだ。

役職は一応、風紀委員長補佐官になったらしい。

アコの他デスクワーク組からは歓迎されたが。ヒナが休みつつもデスクワークをできる人員が増える...素晴らしいとは思わんかね。まぁこの状態でヒナが休んでも肉体的な疲労は回復しないのだが。回復するのは精神的な疲労だけである。なお、現在ヒナは就寝中である。

 

「うん...?」

 


 

風紀委員会本部の前に着いたよ

どこまで持っていけばいい?

 

ありがとう

そのまま本部の前で待っていてくれ

さすがにここまで持ってきてもらったからね

あとは私1人で大丈夫だよ

 

分かった

待ってるよ

 


 

「すまない、私用で少し席を外す」

「あ、はい。なるべく早くお願いします...」

 

一緒に事務をしていた風紀委員に断りを入れて入口へ向かうと、そこに先生。遠巻きに見られているのが分かる。

 

「ようこそ先生。わざわざありがとうございます」

「“いやいや、気にしなくていいよ。この程度楽々...”」

「...」

 

少し黙って先生を見つめる。見るからに汗を流しており、疲れていることが分かる。

 

「“ごめん、やっぱり重かった”」

「まったく、そうだろうと思った。無茶をさせて申し訳ない」

「“大丈夫だよ。生徒のためだったらこのぐらい”」

「それじゃあ失礼して...よっと」

 

しゃがみ込んで先生が持ってきたオーパーツの山を確認する。髪伸び人形に古代の電池、エーテルの欠片、ヴォルフスエック鋼鉄...

 

「おぉ、良質なものも多い...よく集めたねこれ。頼んだ物も揃ってる。報酬は...どうする?これだけのものだ。先生には十分対価を要求する権利があると思うが」

「“別に、気にしなくていいよ。大人が子供のために動くのは当然だからね”」

「そうか、そこまで言うなら...借りとしておこうか」

 

先生がオーパーツの一つを掴んで私に聞いてきた。

 

「“ところでだけど、これ何に使うの?”」

「うーん...まぁ、秘密。多分しばらくしたら分かるよ。ところでこのままついてくる?そうならお茶ぐらいは出すけど」

「“それじゃあ折角だしお世話になろうかな”」

「分かりました。部屋は分かりますよね?私はオーパーツを置きに行くので、先にそこで待っててください」

「“うん、分かった”」

 

手を振って本部の中に入っていく先生を見送った。

 

「...さてと、ちょっと移動しよっか」

 

オーパーツの入ったバッグを持って近くの路地裏に入る。

薄暗いそこには、頭を白く光らせる真っ黒の異形...黒服が居た。

 

「お久しぶりです、ヒカさん」

「急に連絡を入れて申し訳ない。まさか持ってきてくれるとは思わなくて」

「いえいえ、お気になさらず。我々にとってあなたは非常に興味深い存在...生徒として存在していながらも観測者であり、そして先生へとなることもできる...様々な要素を内包する貴方は私...いえ、我々が知っている中でも1番歪な在り方と言ってもいいでしょう」

「はいはい、お話は今度ゆっくり聞くから。とりあえずこれがオーパーツ。前に私が持ってたのを含めれば、足りてると思うよ」

「それでは...」

 

そう言って黒服はオーパーツの山を掻き分け検分する。

 

「えぇ、これならば問題ないでしょう。それではまた、完成次第ご連絡します」

「よろしく、黒服」

「それと、貴方の回復力。それは貴方自身の命を削るのと同じであるということも、お忘れなく」

「はいはい。再三言われてるからね」

 

私が彼に何を頼んでいるのか...まぁ、一言で言えば『魂の入れ物』だ。

私の魂とヒナの体を切り離しつつ、魂を保護する器。これが今私の体に起こっていることの解決策になると考えている。

 

さて、あまり先生を待たせてはいけない。急いで戻ろう。

 


 

「ただいま。少し待たせたね。コーヒーも紅茶もあるがどうする?砂糖とミルクもあるが」

「“コーヒーと砂糖をお願い”」

「了解」

 

コーヒーメーカーのある場所に行ってコーヒーを三杯淹れる。アコに色々教えるために調べてるからその辺の知識は豊富なのだ。

...むしろアコはなんでコーヒーをうまく淹れられないんだ?

 

「よぉーし...ヨシ。お待たせ。できたよ先生。ほらそっちの子も休憩しよ」

「ありがとうございます...あ、美味しい」

「“うん、いい香りだ...そういえば、私が渡したのはどこに置いてきたの?”」

「契約先に渡してきたよ。“解決策”のためにいくつか頼み事をしてるから」

「“...ところで、その契約先って?”」

「神秘、探究、実験...さて、この3単語が示す人物とは?」

「“...まさか...!”」

 

おっと...モブちゃん...と言うのもあれだが...話についていけてない子が居るね。忘れてた。

私、いわゆるネームド以外の見分けが全くつかないんだ。ごく稀に顔が認識できるってぐらい?

名前は覚えようとしてもなんか聞き流しちゃうし...その辺はヒナに頼りきりになっている。

 

「話についていけてない子が居るからこの話は今度にしよう」

「“説明は、してもらうよ”」

「分かってるよ」

 

コーヒーを飲み干し、各々は仕事に戻る。

 


 

...吸い出されているような感覚がする。

これが初めてではない。前にも一度あった。あの時に吸われたのは指だったか...?たしか2本ぐらい持っていかれた記憶がある。

 

「おはようございます。体の感じは如何ですか?」

「ありがとう黒服...そうだね。いうほど、変わりはないかな。むしろ調子はいい...かな?苦しいのは変わりないけど」

 

目を覚ますと、正面には黒服。視線を右にずらすとヒナが倒れている。

窓の外からは星空が見える。

あぁ、そうだ。私は黒服の実験に付き合ったんだったな...駄目だ、記憶が混濁している。私は...私は...?

 

「ふむ...その様子を見るに、少々錯乱しているようですね。おそらくここしばらくの記憶も飛んでいるのでは?」

「あぁ...うん、その通りだ。あんたに素材を渡して、その後からの記憶が無い」

「私は貴方との契約通り空崎ヒナを寝室まで送ります。その間に何か思い出せるでしょう」

 

そう言って黒服は眠るヒナを抱えて部屋の外に出ていった。

 

鏡があるので覗き込むと、そこには、見慣れたヒナの姿...ではなく、真っ黒い靄に包まれているヒトの形をした何かが写った。

 

「これが私...か」

 

腹や腕など所々は向こう側が見えている。...靄が薄くなっているのか?

それと、声がノイズにかかっている...というよりもバラバラだ。老若男女、色々な声がバラバラに聞こえてくる。

 

あぁ、段々と思い出してきた。私は、ここで...

 

「お待たせしました。多少は落ち着きましたか?」

「あぁ...多分問題ない。私はあんたの『実験の準備が整った』という連絡を受けて夜の間に実験を開始。ヒナはそのまま眠ったままでいた。私の魂...いや、神秘か?まぁ、今となってはどうでもいい。それをオーパーツを核とした『箱』に移す実験を開始。結果は成功した...こんなところか?」

「えぇ、大方そのようなものです。しかし...非常に興味深い面が表に出てきましたね。今回用意した物...あなたの使った名称の通り仮称、箱としましょう。箱は内部の者の『ある面』を具現化させる物です。私が試した場合は黒いスーツを着た一般男性になりました」

「あんた意外と度胸あるな」

「いえいえ、この技術に関しては以前の実験で技術の実証がされていたので」

「以前...あぁ、アトラ・ハシースの箱舟とウトナピシュティムの本船の」

「えぇ、その節は大変お世話になりました」

 

最終編か...あの時は大変だった...とは言っても、私がやったことといえば魂の一部を削って初期型の箱に入れただけだが。

 

「今の貴方は観測者...つまり、貴方はこの世界で明確な形を持てない。その靄は恐らくそういったものかと」

「へぇ...それで、ここからどうするんだ?あんたと交わした契約では、『空崎ヒナに危害を加えなければ原則何をしてもいい』...としたが」

「ククク...私から貴方にできることは何もありません。何より...」

 

そう言って黒服は右手を私の体に突っ込んだ。

その手は私の体にずぶりとめり込み、いとも容易く貫いた。

 

「このように、今の貴方はこちらからの物理的な干渉の一切が行えないようで。今できるのは観察程度ですね」

「フゥン...でも、なんでこの指輪と銃は持ったり着けたりできるのかね」

「おや、これは興味深い...少し調べてみるとしましょう。ククク...」

 


 

いつものように起きて、いつものように仕事をして、いつものように眠る。そんな毎日が続く。そう、そのはずだったのだ。

 

「おはよう...あれ?ヒカ?寝てるの?」

 

聞き慣れた言葉は聞こえない。

呼びかけても、叩くような意識をしても、起きる素振りは見せない。

 

今までで、分かっていたはずだ...そう。目の当たりにしてきたはずなのだ。

 

日常は、私達の想像よりもいとも容易く崩れるということを。




観測者
なんかよく分からんもやもや。本来はキヴォトスには存在できないがオーパーツパワーによって繋ぎ止められているっぽい。
最終編でなんか色々やってたらしい。
ついでに物理攻撃はすり抜ける。幽霊かな?

空崎ヒナ
ほぼ出番が無い。かなしみ。
なんかお姉ちゃんが失踪してた。ショック受けてる。

先生
怪しい大人と関わってる生徒に話を聞こうとしたら肝心の生徒が失踪していた。ショック受けてる。

モブちゃん
仕事が減ったと思ったら仕事が増えた。

番外編(メインストーリーと関係ない過去、掲示板、if等々)は

  • ほしい
  • 本編書き終わってからでいい
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