パラディ・ガストロノミック〜食を愛せしもの、神ゲーに食を求めんとす〜 作:エピキュラ
初期ステータスの割り振り可能ポイントがわからない……!!
新鮮でどこか懐かしい、生々しい緑の香りが鼻腔を擽る。
そっと目を見開くと、そこには森が広がっていた。どうもこれは「彷徨う者」の影響らしく、初期スポーン地がビギナー用のエリアになっている。お陰様で直ぐに食材を集められそうだ。ちなみに街に辿り着く前にデスしても「夢オチ」として街にリスポーンするらしい。都合良すぎないか、夢オチって。
「うーん、にしてもすごいなぁ。五感がちゃんとしてるし、ゲームっぽくない! これがVRかぁ……っとと、ステータス確認しないと」
人生初のフルダイブ型VRに感動しつつも、急にモンスターに襲われても困るのでステータスを確認する。
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PN:ベラブーシュ
Lv:1
JOB:料理人
3,000マーニ
HP(体力):10
MP(魔力):10
STM (スタミナ):20
STR(筋力):10
DEX(器用):10
AGI(敏捷):25
TEC(技量):15
VIT(耐久力):10
LUC(幸運):30
スキル
・
・
・目利き
装備
右:料理人の包丁
左:なし
頭:皮のベレー帽
胴:皮の厨房服
腰:皮のベルト
足:厨房靴
アクセサリー:なし
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スタミナと敏捷がそこそこ高くて、幸運がかなり高めの明らかに逃げ特化型のステータス。それに加えて一見しただけでも分かる厨房服に鋭い包丁持ち。
うん、ちょっと幸運に入れ過ぎかもしれないけど、まぁいいでしょ! というかこれで傷まみれだとホラーになりそうだよな……気をつけとくか。
「しかしこの包丁、なかなか切れ味良さげだな……? 普通にリアルでも欲しいかも」
シュッと軽く一振りしつつ、包丁をじっと眺める。キラリと刃を輝かせるその美しさに、ほんの少しだけ見惚れてしまった。
「とりあえずスキルの確認だけしとくかな」
ステータス画面を再び見つめて、その内容を確認する。
ふむふむ、まずは
それと、
目利き……物体・生物の状態を人目で見ておおよそ把握できる。弱点や非常にざっくりしてしまうもののHPなども分かる。
「いや物騒?! なにこれ、下手な戦闘職より強いんじゃない?! ていうか
要するに、
「……と、取り敢えずどんな感じに動くか確認しとくか」
冷や汗を顔に浮かべながらも、「
「
「いやほんとにどうなってんのさ、コレ……って、なにこれ、リキャストタイム?」
目の前に浮かぶ数字に首を傾げる。つまりクールタイムってことなのかな。これはまた調節が面倒くさそうだ。
「うへー、ちょっと覚えること多くないかなぁ。……別に慣れてはいるけど」
まぁ調理法を覚える感覚でいれば行けるでしょ、と思いつつ早速アイテム収集の為に足を動かす……と、
「ギギャッ!!」
「おわっ?! ゴ、ゴブリン……だよね」
この手のファンタジーRPGでの王道モンスター、小さなゴブリンがカサカサと茂みから現れた。その手にはもはや打撃武器じゃ……? と疑ってしまうような石の斧が握られていた。あれで殴られたら痛そうだな……
「よいっしょっ! こちとら痛いもん避けるのは慣れてるんですよーだ!」
「ギギッ?!」
敏捷のお陰でより軽々とした身を後ろに飛ばしながら、舌を出してゴブリンを煽る。明らかにゴブリンは腹を立てていた。ふん、わたしは六人兄弟で唯一の女だぞ、危険物避けんのは当たり前だ! あいつらわたしを気にせず喧嘩するんだぞ?!
「取り敢えず、おまえを捌いてやんよ! まずは足ッ!」
「ギャギャァッ?!」
「それよっと!」
スッとまるで豆腐でも切るようにゴブリンの両足を自分めがけて引きながら斬る。包丁は、押しつけるのではなく刃を滑らせる方が切れ味が良くなるのだ。それがシャンフロではしっかりと適用されているらしく、無駄な力なしにゴブリンの足をたった一度で斬ることができた。
その上関節の隙間を、ゴブリンの身体に対して垂直に斬ったためかクリティカルの表示が現れる。へぇ、やるじゃん、シャンフロ!
「ギャァッ!」
足がなくなり切断面から血ではなく赤いポリゴンを吹き出させるゴブリンは、そのまま顔面から地面へと倒れ込んだ。隙あり。
「んじゃ、トドメ刺させてもらうね」
そのまま流れるように心臓があるであろう背中に向けて深く一刺しすれば、ゴブリンは「グギャ!」と声を上げて泡のようにポリゴンへと変化して消滅した。
「……お、ドロップアイテムだけ残るの? ……剥ぎ取り制だったら助かったんだけど、流石に全年齢できるゲームじゃ無理か」
ふぅ、と息を突いていると、先程まで倒れていたゴブリンのところに粗雑な斧が落ちていた。剥ぎ取りなら可食部分を取れたのになぁ、と軽く肩を落としながらも、まるで子どもが作ったかのような拙い斧を手に取ると、そのまま消失していった。インベントリに行ったのかな。確認確認っと。
「ふむふむ……『ゴブリンの手斧』ね。まぁ妥当かなぁ」
はいはいテンプレテンプレ。斧とかわたしに扱える気がしないので、そのままインベントリを閉じて再び歩きだす。
「空腹度とかもあるんだっけなぁ……なるほど、だからここでデスしても街にリスポーンするのね」
取り敢えず食材探しつつ、モンスターをある程度倒してレベリングしたほうがいいかな。ドロップアイテムも同じモンスターでも違うものがあるだろうし、暫くはココらへんで彷徨くか。
「ささ、はやくレベル上げて街に行こ!」
おー、とわたしは腕を掲げながら、草木の生い茂った森を彷徨うのであった。
ちなみに主人公のプレイヤースキルはそこそこ高いです。だって調理系のクソゲーやってたりするし、兄弟たちのゲームに付き合わされてきたから。空飛ぶ魚とか暴れまわる鍋、レシピ通りの商品にケチつけるク◯客相手に善戦してきた女だぜ……? (ク◯キングシュミレーターとか)
ちなみにスキルの元ネタは龍◯如くから。