パラディ・ガストロノミック〜食を愛せしもの、神ゲーに食を求めんとす〜   作:エピキュラ

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戦闘描写が拙い……(泣)



新たな相棒を手に

 

「やっばい、ちょっとまずいかも……」

 

 のそのそと森を彷徨うわたしは、今非常に困っていた。

 

「くっそ、アイテム取りすぎたぁ!」

 

 そう、素材集めとモンスター戦が楽しすぎてインベントリがいっぱいになってしまったのだ。それだけならまだ良かったのだが、なんとこのゲーム、インベントリが一定量を超えるとアクションにマイナス補正が掛かってしまうのだ。なんというか、冬の厚手のコート+スキーウェアを着ているような、そんな感じだ。

 お陰様で、今わたしはモンスターに襲われればあっというまにやられてしまうサンドバックのような状態になってしまった。

 

「モンスターは一通り倒したと思うし、そろそろ街に行くべき、だよなぁ」

 

 思い返せば中々に楽しいものだった。ゴブリンの群れに角の生えた兎(アルミラージ)、あとゴブリン同様王道モンスターなオーク。それに見たことのない果物や植物。スキルも増えたもので、かなり有益な時間だったなぁ。

 

――――――――――――――――――――

PN:ベラブーシュ

Lv:10

JOB:料理人

3,000マーニ

HP(体力):15

MP(魔力):10

STM (スタミナ):25

STR(筋力):10

DEX(器用):10

AGI(敏捷):35

TEC(技量):15

VIT(耐久力):10

LUC(幸運):50

スキル

放血(セニエ)

微塵切り(トリターレ・フィネメンテ)

・目利き

・タップステップ

ぶつ切り(ターリオ・ア・ペッツィ)

 

装備

右:料理人の包丁

左:なし

頭:皮のベレー帽

胴:皮の厨房服

腰:皮のベルト

足:厨房靴

アクセサリー:なし

 

――――――――――――――――――――

 

 体力を少し増やしてスタミナも増やしつつ、敏捷と幸運は変わらず高めに。

 

 スキルに関してはタップステップは回避行動を補助するものらしく、正直わたしにはそこまで必要ないかな。

 ただぶつ切り(ターリオ・ア・ペッツィ)に関してはこれがまた異常なもので、筋力と敏捷を瞬間的に上昇させ、高確率で敵を真っ二つにするとかいう殺意高めのスキルだ。ただし敵が自身よりもレベル・ステータスが上の場合は深い切り傷を残す、つまり新たな弱点部位を作るというものになっている。いやそれでも強いぞ?!

 ただしこれが中々にリキャストタイムが長いため、ほぼ必殺技みたいになりそうだ。

 

「うーん、やっぱり生じゃ美味しくないのかなぁ? 味とか食感が物足りない……ってあれは……?」

 

 インベントリからいらなさそうなアイテムを捨てて、さらに果実を食べて空腹を満たしたことで身軽に、満足げに頷いていると視界に真っ白な綿の塊が目に入った。

 アルミラージだろうか? いやでも二足歩行で、うん? あれは包丁かな、ちょっと欲しいなあれ。

 

「なんかかわいいな……っわ?!」

 

 ぼんやりと眺めていると、突然白いもふもふがわたしを目掛けて急接近、その手に握られたナイフを首に向かって勢い良く振りかざしてきた。咄嗟のことだったのでついタップステップを使ってしまったけれど、特に怪我は負っていない。危ない。あれ、当たってたら間違いなく首が吹っ飛んでたぞ。

 

「おまえ、中々凶暴だな?! って、あぶなっ!」

 

 冷や汗を垂らしながら後ろにズリズリと足を引きずりながら下がると、またしても急接近からのナイフ。確実にわたしの首を狙っている。今度は流石に自分の力で避けた。うーん、こんだけ速いとわたしのスタミナが尽きたらデスするな? 

 

 

 

 さて、どうするか。

 

 

 

 ナイフが振りかざされる。身を捩らせて避ける。また振るわれる。避ける。助走をつけて跳躍、刺しに来る。それを足に力を込めて踏み込みつつ、パリィで受け流そうとしたその瞬間、兎は更に跳んでわたしの後ろに回り込み、そこから首を狙う。

 

「っ、フェイント掛けるとか頭良いな?!」

 

 直ぐにわたしはタップステップで回避し兎の方へ振り向く。また跳んで来るか、と警戒したものの兎はそのまま優雅に着地した。くそ、こいつ頭良いな!

 

 そんなやり取りを繰り返すうちに、その速さに慣れてきて思考が回りだす。どうもこの兎、首元しか狙っていないらしい。なるほど、となれば簡単だ。

 

 ぽんと頭に降り立ったアイデアに、思わず笑みをこぼしてしまう。前方でわたしを睨みつける、さっきまでは少し恐ろしく感じていたモンスターが、単なる兎へと変化したような気がした。

 

 

 

「ささ、お料理の時間ですよ?」

 

 

 

 両者、お互いを睨みつける沈黙の時間。ピリピリとした緊張が、肌を刺々しく刺激する。しびれを切らしたらしい兎が、スタタ、と勢いよく駆け出した。その勢いを殺さぬまま、ぴょんと跳躍。背丈の高いわたしのアバターの、その首を確実に狩るために、そこからさらに跳躍。俗に言う二段ジャンプだ。

 

 まるで血のように赤黒い包丁が、太陽光によってキラリと反射する。

 

 わたしはそれを待っていたと言わんばかりに舌なめずりをした。

 

 

 

「どうせ二段ジャンプが限界なんだろ?! そんなに隙だらけな空中で、わたしに勝てると思うなよ!」

 

 

 

ぶつ切り(ターリオ・ア・ペッツィ)!」

 

 

 

 筋力・敏捷が瞬間的に上昇、風が耳元でゴオと鳴き、視界がブレるほどの速度で空を跳ねる。赤い瞳が驚きに揺らめくのを傍目に、そのまま腹を目掛けて包丁を振るう。

 

 シュバッ!!

 

 慣れ親しんだ、肉を断つリアルな感触が指先を伝う。

 いくら兎とはいえど、空中では隙しかないのだから、料理人のわたしにとってはまな板の上に寝転んでいるも同然。

 

 目の前に浮かぶクリティカルの文字と、真っ二つにされた兎の断面から漏れ出る鮮やかな赤いポリゴンを前に、わたしはそっと口角を上げた。

 

 

 

「下処理、完了っと!」

 

 

 

***

 

 

 

「ほうほう、致命の包丁、とな。中々強いじゃん!」

 

 

 

 兎がいた場所に落ちていた、美しい赤が映える包丁を手に持って弄る。どうやら先程倒した兎はヴォーパルバニーと言うらしい。そのドロップアイテムであるこの包丁が、中々に強い武器で、ぶっちゃけ今のわたしの機嫌は非常に良かった。

 

「うーん、そうだなぁ。持ち武器、コレにしようかな」

 

 ぶっちゃけこの料理人の包丁は料理のためだけに使いたかったものだ。それにこの武器、どうもクリティカル成功時のダメージに補正がかかるらしい。尚更わたしに向いてるな、これ。

 

――――――――――――――――――――

PN:ベラブーシュ

Lv:11

JOB:料理人

3,000マーニ

HP(体力):20

MP(魔力):10

STM (スタミナ):25

STR(筋力):10

DEX(器用):10

AGI(敏捷):35

TEC(技量):15

VIT(耐久力):10

LUC(幸運):50

スキル

放血(セニエ)

微塵切り(トリターレ・フィネメンテ)

・目利き

・タップステップ

ぶつ切り(ターリオ・ア・ペッツィ)

・フラッシュカウンター

 

 

装備

右:致命の包丁

左:なし

頭:皮のベレー帽

胴:皮の厨房服

腰:皮のベルト

足:厨房靴

アクセサリー:なし

 

――――――――――――――――――――

 

 ちょうどヴォーパルバニーを倒した結果、レベルも上がり、その上に新しいスキルが身についた。ステータスは取り敢えず体力を増やすことにして、スキルの確認をする。

 

 フラッシュカウンター。何故今このスキルを会得できたのか、ぶっちゃけ心当たりはある。

 

 実は攻撃の受け流しをしている時に一度反撃したのがうまく行ったことがあった。恐らくその結果だろう。効果としてはパリィの時のカウンターに補正が入る、とのことらしい。これもぶっちゃけわたしに意味があるかは分からないが、まぁ多少は良くなる……はず。

 

「……いよーし! 新しい武器も手に入ったし、いい感じにレベリングもできたから街に行くか!」

 

 ふんふんふーん、と鼻歌を奏でつつ、わたしは街へとスキップしながら向かった。

 





主人公はアンコウを一人で捌けます。タイも小アジも穴子も簡単に捌けます。だから仕方ないね、おかしいだろってくらい包丁使い慣れてても!
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