パラディ・ガストロノミック〜食を愛せしもの、神ゲーに食を求めんとす〜 作:エピキュラ
このご飯シーンのために私はこれを書き始めたんだ……!
【聖女様】初心者プレイヤーに上級者プレイヤーがいろはを教える その81【かわいい】
53 フラル(初)
はじめまして、偉大なる先達の開拓者である皆さんに質問があります。
最近始めたばかりなのですが、先ほどから倒されまくっていたウサギさんを漸く倒すことができました。その時にドロップアイテムとしてマフラーが出てきたのですが、使い道があるのでしょうか? まったく装備もできないし、周りのプレイヤーさん方に聞いてもわからないそうです。画像も貼りますので、どうかお願いします。
(画像)
54 ガルガンチュ(上)
らっしゃい新入り! シャンフロ楽しめよ!
55 ナヴィ(初)
え、マフラーってドロップするんだ。ていうかウサギ?
56 プッティーメゾン(上)
ヴォーパルバニーって言う首狩ウサギな。まじで首ばっかでウザいし嫌い
57 シャターン(上)
わかるー。レベリングの時に不意打ちしてくるんだよな。まぁ別に慣れれば首しか狙ってこないからデスはしないよ
58 ナヴィ(初)
デスは、って! 結局ウザいのには変わりないんかい!
59 杏仁ライク(上)
草。話戻すがなんだこのマフラー? 俺はドロップしたことないな
60 クラーク烏賊(初)
私もだなぁ。これってヴォーパルバニーが巻いてるアレだよね?
61 Animalia(上)
ちょ、なにそれ知らない?! まってヴォーパルバニーたんが身につけてたマフラーが取れるってこと?! 最高なんだけど?! ていうか今までじゃ全くそんなことなかったはずよ!
62 シャターン(上)
おっ、ついこないだ、噂の鳥頭確保に速攻で向かった園長さんじゃないすか! チッスチッス
63 フラル(初)
園長さん? 有名な方なんですか? って、みなさん結局分からない感じなのでしょうか……
64 アモレア甘味(上)
そりゃあ、つい最近にも騒動があったばっかの有名動物クランのリーダーだからなぁ。あとケモナー
65 マニュファー(上)
わからんな、正直。ちなみに何処でそいつを手に入れた感じだ?
66 フラル(初)
えっと、ファステイアあたりです
67 ガルガンチュ(上)
それマ? 確かファステイアはヴォーパルバニーとの遭遇率低かったような……よう何回も見つけたな
68 Animalia(上)
調べてきた。……そうね、私のクランだとこのマフラーを手に入れた時間で一番古いのが今日。昨日よりも前は無かったわ。……こんなに突然ドロップアイテムの種類が増えるなんて、初めてね
69 ミリオネア(初)
ひえっ、流石ガチ勢……俺じゃなきゃ見逃しちゃうね
70 フラル(初)
もしかして、新しいアイテムなのでしょうか……こっそりアップデートされた、とか
71 杏仁ライク(上)
まぁそうだな。アプデかー、サプライズだとしても流石に突然すぎるしなんでマフラー? まさかシナリオ関係かぁー?
72 アモレア甘味(上)
うわ、確かに。サプライズにしては変だよなぁ。それにマフラーな理由もわからん
73 Animalia(上)
ちょっともう少し調べてくるわ。誰か有力情報があればウチのクラン、SF-Zooによろしく
74 クラーク烏賊(初)
一旦乙いかー
75 ガルガンチュ(上)
なんだそれは?? ダジャレか、ダジャレなのか??
76 マニュファー(上)
謎の初心者謎ギャグやめれ!w だがまぁ、本当にシナリオならどうなってるんだ、モンスターのドロップアイテムが増えるって相当やばくね?
77 キョージュ(上)
そう、その通りなのだよマニュファー君。これまでに全く無かった事例だ。実に興味深い
78 マニュファー(上)
きょ、きょきょきょ、キョージュ?!
79 ナヴィ(初)
うわ、ライブラリの人じゃん。俺でも知っとるわ
80 キョージュ(上)
おや、ビギナーにまで名が知れ渡っているのか。有り難いね、新人も期待できそうだ。
81 シャターン(上)
ええ、まだ増やすのかよ。……それはさておきなんだが、キョージュが興味を示すってことはもしや世界に関わるかユニーク関連だったり……?
82 キョージュ(上)
おお、君もそう思うか! 我々ライブラリも現在進行系で調査中だが、Animaliaくんと同じ調査結果に至っていて、最もドロップした時間が古いのはつい2時間前だ。さらに情報を付け足すようだが、どうも以前よりヴォーパルバニーの出現率が増えている。即ち生態系にすら影響が及んでいるのだよ。
83 ミリオネア(初)
え、マジか! 致命の包丁前より取れるってことかよ!
84 キョージュ(上)
まぁそうだね。恐らくは誰かのシナリオ、それも生態系・アイテムドロップなどにまで関わる重大なものによる影響だろう。クエスト、いやユニークシナリオが関連していると考えることはそう問題ないだろう。
85 ガルガンチュ(上)
まじかよ! 攻略掲示板とユニーク検証掲示板に情報流してくるわ! 絶対シナリオの持ち主特定して吐かせてやる!
86 ミリオネア(初)
それなんだけどさ、ちょうど二時間前くらいに、森で見たこと無い長いマフラーのヴォーパルバニーと戦ってるコック? の服装したパツキンの長身美女がいたんだけどワンちゃん無い? ちなファステイア周辺な
87 アモレア甘味(上)
全然アリエールなんだが?! ちょ、そのあとの動向は?! あとPNも!
88 キョージュ(上)
ほう、ファステイアか。なるほど、初心者にしか出来ないシナリオならばこれまで発見されなかったことも筋が通る。それにコックか。まさか料理人にのみ許されているものだろうか? ふむ、面白い
89 ミリオネア(初)
確かに! って、言われても、通りがかりに見つけただけだからPNも分からんしその後も分からんのよなぁ
90 フラル(初)
もしかして武器屋の前で赤いスカーフ? を手にとって固まっていた人でしょうか? やたらと驚いていたというか、呆然としていたというか、とにかく印象に残っていますよ。なんか隣に帽子が落ちてました。大きなお団子ヘアでしたし、髪が長いんでしょうね
91 ミリオネア(初)
いや、それは着てなかったな。金髪でお団子かなんかをしてるのかは分からんが帽子を被ってるコックっぽいタレ目のおっとりした顔立ちの美女だったのは覚えてる。正直くそタイプでニチャニチャしながら見てたわ
92 杏仁ライク(上)
何その神属性美女俺好みすぎて死ぬ同士よなぜPNを確認しなかった?!
93 フラル(初)
ああでも、確かにそんな感じでした!
94 シャターン(上)
なら赤いスカーフ? は報酬かもしれん。そんなに驚いてたならやっぱユニーク相当か? あと変態共は落ち着け??
95 キョージュ(上)
生態系・ゲームシステムを変えるほどで、更に驚愕しざるを得ない報酬。未確認のユニークと見て間違いないだろう。ぜひともその料理人に話を伺いたい。
96 フラル(初)
えと、これってかなり大事だったりします?
97 ガルガンチュ(上)
まぁ、ユニーク関連だしそうだな。情報提供ありがとよ
98 ミリオネア(初)
な、情報提供はやっぱ大事だな
99 マニュファー(上)
おまえも大概凄いけどな? よう情報こぼしてくれたけどわ。流石に容姿関連はデカいぞ? ちょっとキモくはあったけど
100 ミリオネア(初)
え?! 俺も?!
***
「……ぁ〜、つっかれたぁ」
だらしもなく身体を伸ばして、可能な限りリラックスする。まだ二、三時間ほどしか経っていないことが信じられないくらいの疲労感だ。やっぱりちょっと情報量が多すぎたな。
「うー、調べなきゃー」
ごろごろとシーツを転がりながら、机の方へと移動する。水と事前に作っていたクッキーを食べながら、タブレットを弄りだした。
調べないといけないことは、味覚の事。あとユニークシナリオについて。
まず始めに味覚について、情報掲示板を眺めながら探し出す。ええと、味覚味覚……っと。
「うーん……っえ?! シャンフロには味覚制限があるぅ?!」
そんなばかな、と画面を睨みつけて他のサイトを見て回るが、どこも同じ事ばかり。最後に訪れたサイトには、説明書に書いてあると書いてあった。
「うそ、そんなの見てない!」
大焦りで説明書を探してその文字群を読み込むと、確かに味覚制限について簡単に触れてあった。なんでわたしは気付かなかったんだこの馬鹿者ォッ?!
「そ、そ、そ、そんなぁぁぁ!!」
肩を落として絶望する。わざわざご飯の為にシャンフロ買ったのに、肝心の味覚に制限がかかるとは何事だ。ああ、くそぉ!! まだ、まだ諦めてたまるか!
直ぐ様ネットで「シャンフロ 味覚制限 外し方」と検索する。一番上に出てきたサイトは、シャンフロ内で最も有名なWIK◯で信頼度は高い。
「なになに、高品質(要するに高級なもの)を食べると味覚制限が開放されるぅ? ……いやお金じゃん!!」
思わずベッドを勢い良く叩いてしまう。これじゃあ今直ぐには出来ないじゃんか! ああもう、本当にバカ!
「他にはなにか……ってなにこれ、ヴォーパルバニーのマフラーについて?」
他の方法で探ろうとしてみると、掲示板で何やら話題になっているものを見つける。
「これって、まさかわたしのユニークシナリオ?!」
内容を見てみれば、今までドロップしなかったマフラーが突然手に入るようになった、アプデの告知もないから誰かのユニークシナリオの影響では? というものだった。何なら特定されかけてないか? えっ怖。
心当たりしかないわたしは思わず息を飲む。こんなにユニークシナリオって大事なのか。めっちゃ探される感じじゃん、やっばいどうしよ。
今後は絶対バレないようにしよう。ええと、取り敢えず髪型変えて、一応何か顔を隠したほうがいいかな。髪色って変えられるのだろうか? ああくそ、困った!
あっ、でも絶対味覚制限を開放するのは忘れないからな?! お金死ぬ気で稼いでやるよ!!
そう誓ったわたしは、再びシャングリラ・フロンティアの世界へと舞い戻った。
本来の目的を果たすために。
***
目を開くと、見慣れぬ天井が視界いっぱいに広がる。わたしはファステイアの宿にログインした。
さて、取り敢えずやってみたいことがあるんだよなぁ。
「と、その前に」
インベントリから致命の包丁を取り出して、鏡の方へと歩み寄る。
「こう……ショートカット位でいっか。そー、っれ!」
バサッ、と腰程度まであった金色の髪を一度に切る。うわぁ、エグい量あるぞ。……うん、こんだけ切れば印象も変わるでしょ。死んだら元通りらしいけど、死ぬつもりなんて更々無いし大丈夫。
ふう、と一息吐いて致命の包丁をインベントリに仕舞い込む。切った髪はいつの間にか消えていて、ほんの少しだけ驚いた。さすがシャンフロ、便利だなぁ。よし、取り敢えず髪切ったし、やることやろう。
「えーと、簡単そうなのは……オーク、かな。あとアルミラージも」
どん、とインベントリからオークとアルミラージの肉を引き出す。道具屋で買ってきた調理器具一式と、調味料一式も取り出して、髪と服装を整えてにんまりと微笑んだ。どうやら調味料はモドキらしいけど、味は変わらないと聞いた。ふふふ、期待できそうだ。
「じゃ、料理のお時間ですよ?」
今からわたしが作るのは、オーガの生姜焼きとアルミラージの深雪汁(マタギ汁)だ。
まずはじめにマタギ汁から。マタギ汁とは新潟の郷土料理で、わかりやすく言うとけんちん汁のことだ。寒い冬に食べるとホッとする、素敵な一品。和食って、いいよね。
「よし、やるか」
まずはアルミラージの肉と、森で見つけた筍っぽい植物を一口大にカット。大根、人参、あと山芋らしきものをそれぞれカット。ちゃんと芋は皮を剥こうね。
ごぼうはささがきにして、水にさらしてアクを抜く。ちゃんとざるにあげるのをわすれないこと。ちなみにさきがきは漢字で笹掻きと書く。笹の葉のように切るかららしい。
森で取れたゼンマイは水洗いをしておく。まさかゼンマイまであるとはなぁ。さすがシャン(ry
「うー。やっぱ物足りない……」
本当はこんにゃくもほしかったけど、ないものは仕方がない。あああ、プリプリシャクシャク食感が恋しいぃ……
それから、ごま油・醤油・塩・だし・水を混ぜた液を作る。これが美味しさの元になるんだなぁ。
あとは野菜とお肉と液を圧力鍋にいれて、煮込んでアクを取れば完成。楽しみだなぁ。
次は生姜焼き。ちなみにわたしは薄いタイプよりも分厚いジューシーな生姜焼きの方が好きだ。だから正直オーク肉とはぴったりだと思う。
まず生姜をすりおろしたものと砂糖、酒、醤油、みりん(どれも似たような製品だった。シャンフロすごい)を混ぜ合わせる。この時の配合は企業秘密だ。混ぜ終わったらオーク肉を食べやすい大きさにカット、油を軽くフライパンに引いて軽く焼く。だんだんと油が溶け出すその濃厚な香りが部屋に充満してくる。
「ん、やっぱ肉が焼ける匂いは良いよなぁ」
軽く焼けたら先ほど作ったタレを投入。そのタレが無くなるまで時折裏返しつつよく焼き込めば、完成だ。ちょうど煮込み終わったらしいマタギ汁から、素敵な匂いがもくもく漂う。ああ、生姜焼きの匂いも相まってお腹空いてきたぁ……
「うっし、できた! お皿に盛り付けて……完成!」
それぞれ取り皿に盛り付ける。黄金に輝く生姜焼きと、温かなやさしい香りを放つマタギ汁の完成だ。中々にいい出来じゃないか。
「手を合わせて……いただきます」
まずはマタギ汁から。
できたて熱々の汁が並々と入ったおわんをそっと持ち上げる。顔を寄せてすうっと息を吸い込むと、柔らかな和のスープの香りが鼻腔をくすぐる。そうそう、この香り。
実は深雪汁は昔は兎肉が使われていたのだが、今は鶏肉で代用されるようになっている。なんせ今どき、滅多に兎肉は手に入らないものだからね。
そぉっと唇を近づけて、汁を口へと注ぎ込む。
「っ熱!」
あまりの熱さに一瞬身体を震わせながら、再び汁を飲む。するする、ごくり。
「……香りが薄い、味が薄い」
本来ならここで口いっぱいに汁に溶け込んだ兎肉と野菜の優しい旨味がじっくりじんわりと広がって、身も心もホッとするのだが。残念ながらそれほど香りも旨味も感じられなかった。
仕方ない、と今度は生姜焼きへと手を伸ばす。
キラキラと光を反射させ、まるで宝石のように輝く生姜焼きからは、ご飯を掻き込みたくなるようなこってりとした濃厚な香りが沸き立っている。
分厚いその身を箸でつまんで、口へと運ぶ。
「あー……ん!……ん、これは、まだましかなぁ」
モキュモキュと口を動かしながら呟く。味はそれこそ薄いものだが、相当身を分厚くしたことが功を成したのか、それなりに肉肉しい脂と赤身がシャクシャクと口の中で程よいハーモニーを奏でている。味はそこまでしないものの、恐らく目一杯の旨味と肉肉しさが凝縮されているであろう肉汁が、噛むたびにじゅわりと溢れ出す。
ああ、味覚制限が開放されればここに甘じょっぱいとろとろなタレと、それがタップリ絡まった、分厚くも歯切れのいい肉の脂と肉汁との旨みでより深い味わいになって、もっともーっと美味しくなるのに!
半ば悔しさを顔に出しながらも、わたしはどちらも完食、無事に食事を終えた。ううん、早く味覚制限開放しなきゃ……!
「……ごちそうさまでした」
閉じきった部屋には、嗅ぐだけでもお腹が満たされてしまうような、それはもう本当に美味な空気が籠もっていた。
生姜焼きを食べたいです。出来立てツヤツヤホカホカの白米と一緒に。
あと掲示板書くの楽しいけど名前考えたりするのダルいですわ!
ストックが次で尽きるんで2日もしくは3日に一度のペースで投稿に変更します。たくさん書くの疲れた……
追加
掲示板部分のプレイヤー名を一部変更しました。