TSエルフのやりすぎ物作りダンジョン配信~家と動物とご飯と時々拠点に襲撃~   作:芦屋貴緒

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20 エルフ、新エリアを探索をする

 先日はホワイトウルフの斥候に尾行されていたため存分に探索が出来なかったが、ひとつ用ができたため日を空けずに採集へと出かけることになった。

 

 というのもシロガネがニンニクの香りを苦手とすること、彼を拾ったあたりにある洞窟には薬効の高い薬草が生えているというメモが以前助けた探索者から貰った地図に書かれていたのだ。その文章の中に――手に入るものとしてニンニクの文字があったので、それを入手して煙と一緒に匂いが噴射されるものでも作ればホワイトウルフに対して効果てきめんなのは間違いない。

 

 なお洞窟のモンスターは手強く、レンガの家の材料となった泥人間のマッドマン、石灰岩のロックゴーレムなどがうようよしているので油断は禁物だ。

 

 シロガネを連れて洞窟の中を歩く。中には当然のようにモンスターがはびこっているが、こういう非生物系の探知能力は視覚聴覚がなく、振動を感知するものだったりと尖っていることが多い。今回は振動感知型なので風の生活魔法で音を抑えて歩いている。

 暗い洞穴をカンテラで照らして歩を進め、モンスターに近づけばそいつの核を的確に壊す。

 

 マッドマンの死体から採れる粘土、ロックゴーレムから採れる石灰岩を収集しつつ薬草も採集をしていく。

 薬用のにんじんやそれを高める薬草など、ここいらには滋養強壮を高めるものでたくさんである。

 

 ――と、ここで風が通り抜ける音を耳が拾う。どうやらどこかに繋がっているようである。

 

 じっとシロガネがこちらを見つめているのでこちらも見つめ返して、洞窟の向こう側を指さす。するとシロガネは納得したのか俺に背中に乗るように視線で訴えかける。ニンニクはもう採集しているのでシロガネとしてはごめん願いたいのだろうが、そこは利害で動けるのか嫌がるそぶりを見せるどころかこちらを背に乗せようとする。……単に早く終わらせればすぐに逃れられるとそろばんを弾いただけかもしれないけれど。

 

 ――それじゃあ、お邪魔します、と。

 

 シロガネの背中に乗って非生物モンスターたちが追いつけないほどの速度で駆け抜けていく。洞窟を抜けると、そこは清涼な香りが鼻腔をくすぐる広間――薬草園がそこにはあった。

 中心には球形の魔導具(アーティファクト)があり、そこから上質な水が止めどなく溢れてはどこかへ流れて行っている。その水を吸っているからここの薬草園の草は素人目に見ても物が違うのだろう。

 

『……これ、ちょっとしたニュースにならない?』

『なってもここまで来られるやつがどれだけいるのさ』

 

「魔導具はいただくにしても薬草園は残るだろうし、壊滅することはなさそうだね」

 

『お宝の権利は最初に到達した人間のものって相場が決まっているしね』

 

「これを映した段階で取っておかないと争奪戦になるからね。……これ、男に戻っても地上に帰れるのかな。狙われない?」

 

『法の神と悪魔の怒りを買わなければなにをやっても大丈夫なやつらはいるからねー』

 

 こちらが薬草の採集を始めるのを察したのかシロガネがすっと遠くに離れていく。香りが嫌いなのと警備を担当するつもりなのだろう。

 手に入るものは多く、薬用のニンジンやらも二回り以上洞窟の中にあったものより品質が良い。理由は広間中央に鎮座する球体の魔導具……から流れ出る水だ。あれはただの水ではなく、そしてただの魔法でできた水でもない。生活魔法などの魔法でできた水を摂取すると身体の魔力を吸い尽くされてしまう。しかしあの水――霊水は魔力の調整が身体で起こらず、むしろ身体全体に満ちあふれるようになるのだ。

 

「……ニンニクがあったから、そいつは今度来るであろうホワイトウルフに向けての対策にして」

 

『かーらーのー?』

 

「虫除けスプレーに使えそうなものがあったから、それはシロガネに使う。あと良質な油が採れる種もあったからトリートメントも作れるぜィ」

 

 などと軽快にやりとりを交わしつつ薬草を〈ストレージ〉に納入していく。

 日も沈みかけてきたころ、シロガネに帰宅を促されたので彼の頭をポンポンと撫でてごまかす。

 俺はなるべくなんでもないように、視聴者に宣言する。

 

「この魔導具(アーティファクト)、〈ヴィヴィアンの祈り〉は今後の攻略に使わせていただきます。というわけで明日以降はこの道具の性能検証とシロガネの虫除けを作って行きますんで、よろしく!」

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