100人の彼女と白蛇 作:KQ
今回オリジナル展開多め回です
前回、花園羽香里を助けるため、花園邸へと侵入した恋太郎ファミリー。
神符は外に出て脱出の準備を進めようとするが、突如何かに襲われ、神符は再び屋敷の中に。
するとそこには、花園邸のメイド、銘戸芽衣が待ち構えていた…ッ!
「グッ…ウゥッ……!」
油断していた…まさか花園邸にも私と同じスタンド使いがいるとは……そして、さっき私を拘束していた何かの正体は…髪の毛だ!束になった髪の毛が私の身体を拘束している…本体のあのメイドの髪の毛と一体化しているのか……それに特筆すべきは破壊力とスピードだ…近距離戦の『ホワイトスネイク』程じゃあないにしても、一瞬で身体の自由を奪ってくる…マズイッ‼︎
「ホ……『ホワイトスネイク』…ッ‼︎」
「‼︎」
『ウシャア‼︎』
ホワイトスネイクを召喚し、神符を拘束する髪の毛を手刀で切り裂いた。
「…なるほど。羽香里お嬢様の情報は確かなご様子…白蛇様、私めと同じ能力をお持ちになっているようですね」
「羽香里、だと…?」
「羽々里様は既に、羽香里お嬢様から愛城様や白蛇様のことを承知しています。貴方様が私めと同様に、スタンド能力様が使えるという事も…ですので、羽々里様は最も脅威になるであろう白蛇様の排除を私めにご命令してくださりました…」
排除だって?馬鹿な…自分の娘のためなら、相手が未成年であろうと始末しようと言うのか…⁉︎
「…分かった。なら、羽々里の部屋に案内してほしい。確かに、私たちはお前の主の娘を、何も言わずこっそり連れ出そうとしていた…でも、恋太郎が羽香里を愛しているという事は本当なんだ‼︎彼なら、羽香里を幸せにすることだって出来る‼︎ 」
「…申し訳ございませんが、羽々里様の命令は絶対。ここで排除いたします…!」
バッ‼︎
芽衣の髪の毛が一斉に神符に向かって押し寄せてくる。
「ならばやむを得ん……恨みはないが、再起不能にさせてもらうッ‼︎」
シュババババババババッ‼︎
神符のホワイトスネイクが、次々と押し寄せてくる髪の毛を手刀で切り裂いていく。
『ウオシャアアアアアッ‼︎』
ホワイトスネイクが雄叫びを上げながら髪の毛を切り裂き、目の前にいる銘戸に辿り着こうと睨んでいる。
「このまま、海を真っ二つに割いて紅海を渡ったというモーゼのように、この髪の毛の波を乗り越えお前を倒し、羽香里を救出させてもらうぞォォ‼︎‼︎」
しかし……
バシィッ‼︎
「なっ…⁉︎」
下から髪の毛に腕を拘束され、ラッシュが叩き込めない状態に。
「先ほども言いました。羽々里様は全て承知していると……貴方様の『ホワイトスネイク』様は記憶を抜き取れる事も、幻覚を見せれる事も、遠隔操作ゆえに、正面からの戦いには向いていないという事も……目の前の攻撃に夢中で、足下に張り巡らせている髪の毛にお気づきになっておりませんでしたね」
「クッ…!」
すると、次の瞬間……
『羽香里お嬢様が逃亡しました!!!羽香里お嬢様が逃亡しました!!!』
「‼︎」
「何ッ⁉︎」
突然屋敷全体に警報が鳴り響き、警備員が一斉に動き出す音が聞こえる。恋太郎に唐音、羽香里のいる部屋に辿り着いたのか⁉︎…しかしこの状況、恋太郎たちを助けに行きたいが、ひとまずこのメイドを何とかしなくては…
「…警報が鳴っているというのに、羽香里の所には行かないのか?」
「私めの使命は、あくまで同じスタンド使いの白蛇様を止めること、ただ一つでございます。それに貴方様をここで逃してしまっては、後々厄介な事になる……それは、貴方様も同じなのでは?」
「………」
「ですがこの状況。もうなす術はございません。このまま貴方様を再起不能にし、すぐに羽香里お嬢様の所へ向かわせていただきます」
「…なるほど。確かに、このまま私を締め殺してしまえばお前の勝ちだ。だが……」
神符は顔を上げて芽衣を睨む。
「さっきなす術はないと言ったが……一つだけ、残された手段があった」
「?」
「それは……!」
シュババッ!
「
ホワイトスネイクが神符を拘束している髪の毛を切り裂き、神符はドアをこじ開けてどこかへ走った。
「…逃げた所で、私めから逃れることは不可能でございます、白蛇様」
芽衣は逃しはしないと、後を追おうとする。
『…プッチか?』
「‼︎」
芽衣が振り返ると、そこには一台のスマホが床に落とされていた。
『こんな夜中に連絡してどうした?何かあったのか…?』
(…なぜこんなところにスマホ様が…?もしや、さっきの攻防の途中で…?)
『返事をしろ……聞こえないのか…?』
(それに何より、このお電話のお相手は一体…?)
すると…
『…返事もできない状況……何も聞かず、お前がさっき送ったこの住所に行けという事か…分かった。すぐに向かおう』
「⁉︎」
電話がブツリと切れ、スマホの画面が真っ暗になる。
(ま、まさか……羽香里お嬢様や愛城様も知らない、白蛇様だけが知っているご友人に連絡を…⁉︎)
しかし芽衣はすぐに切り替え、神符の後を追跡する。
「ですが、このまま逃すわけには行きません…お仲間様が辿り着く前に、全力で始末させていただきます‼︎」
白蛇神符は、自分のこのホワイトスネイクを見る時、いつも思い出す
小学生の時にハートと出会い、中学生の時に恋太郎と出会った。そして、彼らと出会ってからの楽しい思い出は何でも覚えている。
ハートと馬鹿話をした事も、恋太郎が失恋する度に一緒にカラオケに行った事も……
でも…それ以前の事は、出会う前の事で覚えているのは、自分が化け物扱いされ、周りから避けられていた孤独の記憶……
宗教に溺れた母に、仕事漬けで帰ってこない父、親からの愛情を、生まれた時にしかもらっていないという疎遠の記憶……
あの時は思った。
自分には一生、心の底から一緒にいて楽しいと思える人間は誰一人として現れないのだろう…何故なら自分のこの『ホワイトスネイク』が見える友達は、誰もいないのだから……
ハートや恋太郎たちに出会う前は、ずっとそう思っていた…
恋太郎、唐音、静、凪乃、楠莉先輩、ハート、そして羽香里……皆の事を考えると、勇気が湧いてくる。
なんでスタンドが見えるのかなんてのは、この際どうでもいい。私は嬉しかった。自分の『ホワイトスネイク』が見える友達ができるなんて、思ってもいなかったのだから…
一緒にご飯を食べた事、スパリゾートに行った事、フラワーパークに行った事…楽しかった思い出が、私に力を与えてくれる。
きっとそれが、人間のエネルギーなんだ…
それが…"友"なんだ…‼︎
〜〜〜
「いたぞ!侵入者だ!」
「邪魔だッ!」
ドガッ!
「ぶげぇ⁉︎」
神符は道中襲ってくる警備員をなぎ倒し、構造の分からない屋敷の中をただひたすら走り回っていた。
「よし…ハートへのSOSは送れた…あとはハートが助けに来るまで、ひたすら時間を稼がなくてはッ‼︎」
ガチャッ
神符はドアを開けると、そこには複数台のベッドが置いてある部屋が広がっていた。
「ここは寝室か…ヤツが追いつくのも時間の問題。ひとまずここに隠れるとしよう」
すると神符はベッドの下に潜り込み、身を潜める。
(恋太郎たちは無事に逃げれただろうか…気のせいか、屋敷にいる警備員の数が減っている気がするが…)
神符の作戦はこうだ。芽衣が神符を見失った瞬間、神符が後ろからこっそり近づいてDISCを抜き取る。もはや神符にはこの作戦しかなかった。ホワイトスネイクはラブ・デラックスとは相性が悪いからだ。
(一瞬だ…私が背後に回り込んだ瞬間、『ホワイトスネイク』が少しでもあのメイドの頭に指を突っ込んで決着がつく。そのためにもまずは、ヤツがこの部屋に入ってくるのを待つしかない…)
グググッ…
「ん⁉︎」
突然何かに頭を引っ張られる感覚に襲われる。
「な、なんだ…もう追いついて来たのか⁉︎し、しかし…ドアは開いてないし、隙間から髪の毛が入ってきてる様子もない‼︎なのに何で…⁉︎」
グォォオオッ!
「うおおおおお‼︎⁉︎」
ドタァーーン
次の瞬間、ジェットコースターのような勢いで引き出されたと思いきや、強制的に寝室から追い出されてしまった。
「こ、これもスタンド能力か…そうなると、まさかあのメイド以外にもスタンド使いが…ッ⁉︎」
「…半分正解で、半分不正解でございます」
「⁉︎」
神符が声のした方を見ると、そこには髪の毛がウネウネと揺らめく芽衣の姿が。
「先ほどの攻防の際、私めの髪の毛を貴方様の頭皮に植え付けました。そして…!」
ビッシィッ
「‼︎」
「捕らえました。もう貴方様は助かりません。お仲間様がいらっしゃる前に、ここで排除いたします‼︎」
「承知の上だ」
「⁉︎」
ガシィッ
髪の毛に拘束された神符はホワイトスネイクを召喚し、束となった髪の毛を掴んだ。
「あくまで目的は羽香里の救出だ。恋太郎たちが無事に羽香里を助けることが出来るのなら、それでいい…」
「覚悟はいいか?私はできている」
バリィッ‼︎
「なっ⁉︎」
次の瞬間、ホワイトスネイクが窓を蹴り割ると、神符は窓枠に立った。
「し、死ぬおつもりですか⁉︎」
「安心しろ、何もお互い死にはしない。だがさっきも言った通り、しばらく再起不能にはなってもらう…ッ!」
バッ!
そして、神符は窓枠から飛び降り、芽衣を道連れにして外へと落下していった……
「うっ…くっ……」
神符が落下の衝撃で痛む背中を押さえながら、その場で立ち上がった。落下の瞬間ホワイトスネイクが身を包んでくれたおかげで、ダメージを最小限に抑えることができた。芽衣の髪の毛スタンドは身体から離れ、自由の身となっている。
「後は頼んだぞ、恋太郎……そうだ、メイドは無事か?」
神符はホワイトスネイクを召喚し、倒れている芽衣へ近づくと、心音を聞いた。
ドクン…ドクン…
「…よかった。生きてるようだ…あんな事言ったけど、もし死んでたら、私も花園家に追われる立場になってしまうからな…」
バッ!
「グァッ⁉︎」
突然、芽衣の髪の毛が動き出し、ホワイトスネイクを拘束した。
「…羽々里様の命令は絶対。命令を果たすためなら…この命を投げ出す覚悟も出来ています……ですが、命令を果たせられないまま、死ぬわけにはいきません…‼︎」
ギチ…ギチ…
「ガァッ、グォァァ…‼︎」
(こ、この銘戸芽衣という女‼︎はっきり言って異常だ‼︎自分の主である羽々里のためなら、自分の命を投げ出す覚悟だと⁉︎一体羽々里の何が彼女をここまで…ッ⁉︎)
「貴方様の『ホワイトスネイク』様さえ捕まえることが出来れば、貴方様は何も出来ない……私めの勝利でございます!」
芽衣の髪の毛が神符の方にも向かってきた。
(マズイ…ッ!やられる…ッ!)
ドゥゥゥゥゥン
「やれやれ…間に合ったか」
-BGM- スターダストクルセイダース
「ッ⁉︎」
次の瞬間、芽衣が拘束していたホワイトスネイクや神符が姿を消し、いつのまにか背後に回っていた。
「い、一体…⁉︎」
「…どうやら、彼が来てくれたようだ。恋太郎や羽香里も知らない、私以外のスタンド使いが‼︎」
「‼︎」
芽衣が後ろを振り向くと、そこには金髪のウルフカットに、緑のハートのヘアバンドをしている男が立っていた。神符が呼んだ助っ人、ハート・ブランドーが花園邸に辿り着いたのだ。
「さて、この状況…お前の最優先はどっちだ?……言っとくが、ハートの『
「クッ…!」
しばらく沈黙が続き、芽衣の出した結論は…
バッ!
時を止めれるハートに攻撃することに。
「一瞬考えたなッ‼︎その『差』が命とりだァァァァァッ‼︎」
神符のホワイトスネイクが姿を現し、芽衣に手刀を振りかざした。
『ウオシャアア‼︎』
すると、芽衣の頭から一枚のDISCが飛び出し、神符はそれをキャッチした。
「羽々里は羽香里から『ホワイトスネイク』の特徴を聞いたらしいが、『ホワイトスネイク』にはまだ恋太郎や羽香里に見せていない隠された能力がある…」
よく見ると、そのDISCの表面にはラブ・デラックスが映し出されている。
「『ホワイトスネイク』がDISCにして保存できるのは記憶だけじゃあない。スタンド能力をもDISCにして保存できる。お前がそれを知っていれば、もう少し勝てる見込みはあったのかもしれないな…」
スタンド能力を抜き取られた芽衣は、その場に再び倒れた。
〜〜
「…しかし良く来てくれたなハート。住所だけ送って電話も出なかったから、最悪来ないのではないかと思っていたよ」
「お前の考える事なんざすぐに分かるさ。俺はお前の友人だぞ?」
「フッ…そうだな」
戦いが終わり、ハートと神符が会話をしていた次の瞬間…
ダンッ
突然上から物音が聞こえ、神符とハートが見上げると、そこには…
「ッ⁉︎」
「なっ…まさか⁉︎」
窓から恋太郎と羽香里が落下している姿が見えた
「時よ止まれ‼︎『
ドゥゥゥゥゥン
間一髪、ハートが時を止め、落下する二人を止めることに成功した。そして、
(この愛城恋太郎…クレイジーな男だ…自分の彼女のためなら、死ぬ事も恐れない……だが…気に入った。プッチが恋太郎を守りたいと思える気持ちも分かる気がするな…)
「時は動き出す」
制止した時の世界は動き出し、二人は無事で済んだ。
「‼︎…い、今のは…?」
「この池に飛び降りようとしていたのか…何はともあれ、二人共無事でよかった…」
その後、外にいた静たちとも合流し、後から屋敷にいた唐音と羽々里も慌てて飛び出してきた。本気で心配していた唐音は羽香里に向かって思いっきりビンタした。
こうして、恋太郎ファミリーは無事に花園羽香里を救出。ハッピーエンドで幕を閉じた
正直恋太郎に向かって色々言いたいことはあるが…私も恋太郎たちのために飛び降りたから何とも言えないんだよな…ん?
あれちょっと待てよ…羽々里が恋太郎に頭を下げて羽香里の事を託したと思いきや、今後は恋太郎が羽々里の手を握ったぞ……
あの時の告白の答え⁉︎ 私があのメイドと戦ってる時に一体何があったんだ⁉︎というか、まさか……
この時ッ‼︎白蛇神符は、とても嫌な想像をしていたッ‼︎
ま、まさか……恋太郎の…六人目の彼女は……⁉︎
To be continued →
[次回]第10話:やりたいようにやってやる回