没キャラに転生したので俺好みなロールプレイをしたい! 作:没作者
没キャラ――それはどんな作品にも生まれゆる存在。ある程度の構想やデザイン案を持ちつつも大人の……基諸事情で作品に登場できないキャラである。
その多くは作者や開発者によって存在が示唆されたり、ファンブックや設定資料等でキャラデザごと載ったりするのが多くである。
多くのファンはそんな日の目の浴びなかった没キャラに特別感を感じ、二次創作を描いたり作ったりするのだ。
俺の好きなアニメ作品『悪魔鎧装ストラス』でも、この没キャラというのは存在する。
この悪魔鎧装ストラス、どの様な作品かといえば……『特撮作品の雰囲気をアニメでやってみました!キラッ☆三』みたいな作品である。
勿論まんま特撮と言う訳じゃなく、アニメノイズすべきところはアニメ調にしつつ特撮やニチアサの要素も取り入れたような作品だ。
悪魔と言う存在が実在し、それが人間の世界とは交わらずに過ごされてきた現代。突如、『バエル』と言う悪魔を筆頭にした悪魔達が人間界へと攻め入り始めた!
主人公である『
その余りにストレードな王道さや、主人公達の変身した後の姿である鎧装や、悪魔の格好良さから時たま語られ、熱心なファンも付いている――と言うが語り手たる俺がその一人――作品だ。
この作品の設定資料集に載っていた没キャラが『悪魔ヴァラク』である。
この悪魔には人間体と所謂本来の悪魔としての姿である変身体両方のデザインが存在し、設定も『基本腹ペコな悪魔、定期的に悪魔の魂を捕食しないと衰弱死する。』と言ったものが記されていた。
悪魔を捕食する悪魔……随分と中二チックでいいと思うのだが、没になった経緯は『出したかったが、どうしてもヴァラクをねじ込む隙が作れなかった。』と、そう語られている。
まぁ、悪魔を食べる悪魔って人間でいうところの食人鬼な訳で……それを食べないと死んでしまうと言う設定があるとはいえ、さすがにアニメの限られた時間で綺麗に収めるのは難しいのだろう。
まぁそんなこんなでようやっと世に出されたヴァラクは、その設定とデザインにより、ほかの設定資料集に書かれたキャラともども知る人ぞ知るキャラとして、逆に少し有名になった。
俺も設定資料集を買い、ほかの没キャラと共に「なんだこのキャラ、かっけぇ!動いてる所見てぇ!」と随分と興奮したものだ。
……さて、長々と悪魔鎧装ストラスと、その没キャラヴァラクについて語ったのには理由がある…………まぁ察し深い皆様ならすでにお気づきだろう。
俺は、前世で死んだ後――「私は神だァッ!ブゥワーハッハッハッ!!……あぁ引かないでこのキャラ好きなの」とか抜かしていた存在に「ちょっとお前、今天界一杯だから転生して時間潰しといて!要望は聞いてやるから!」と言う店が一杯なのでまた後で来てください的なノリで、その悪魔鎧装ストラス――略して悪ガスの世界に、ヴァラクとして転生してしまったのだ!
まぁ、なんて理由で転生させられたんだって思うが……案外、みんなそんなものらしい。そう思うことにした。
それよりも今は好きな作品に、いわばチートオリ主的な立ち位置で転生できたことに喜ぶべきだろう。
ぶっちゃけ嬉しい、ものすごく嬉しい、嬉しすぎて叫びたい気分です、叫んでも良いですか?いいよ!
パルパルゥゥゥゥゥゥゥゥアッッッッ!!!!!!!
っと、転生した奴が泣くんじゃないということで……転生してから、俺は悪魔ヴァラクとして過ごしてきた。
っと言っても俺がこの世界に織り込まれたのはつい一週間ほど前の話。丁度、人間界征服を企むバエルの率いる悪魔の軍勢の突兵が人間に来たタイミングだ。
なぜそんな事がわかるのかと聞かれれば……悪魔は、実は自由自在に悪魔界に出入りすることが出来るのだ。
方法も俺自身が悪魔になった影響か本能として分かる。しかし、その方法を試しても一向に悪魔の世界に渡れないのだ、厳密には渡ろうとしても弾かれて人間界に戻ってしまう。
これは、作中でも説明されていて悪魔バエルは、人間に突兵を送り込む際に人間と悪魔の世界を区切っているゲートに呪を掛けて、バエルの軍勢の者しか悪魔が入れないようにしてしまったのだ。
このため、バエルの動きを察知していた他の悪魔に送り込まれたヒロインの悪魔リリムと数名以外、人間界に干渉できなくなってしまったのだ。
そして、リリムも同時に悪魔界に戻る事ができなくなってしまう……そして、リリムは見慣れぬ人間界を彷徨い続け、行き倒れそうになったところを主人公たるリュウに救われる……と言うのが物語の始まりでもある。
まぁ、加味すると大体現在開始数週間前か原作初期が妥当だ……と言うのも、実は俺は既にバエルの手先の悪魔と交戦しているり
この話は追々するとして、その悪魔は「バエル様の作戦は開始された!」とか叫んでたので、おそらくそのくらいが妥当な時系列だと判断したのだ。
それをも踏まえておれはどうするのかと考えたのだが……折角だし、俺は原作介入をしてみる事にした。俺は何度もいうように、設定資料集を買うくらいにゃ悪ガスの事が好きだ。
そんな世界にオリ主枠で好き勝手出来るのが、折角なら自分の好きなムーブをしてみたいというのが男心。どんなロールプレイをしてやろうかは……後々考えよう。
因みに、俺――というか、ヴァラクの容姿は、銀色の髪を長く伸ばしてスーツをバシッと決めた服装をしている。ルックスもイケメンだ。
まぁそんなこんなで原作介入を決めた俺……と言うかまぁ……俺――ヴァラクは、体質上悪魔を食べないと否が応でも衰弱して死ぬので、原作と関わって悪魔を倒し、その悪魔を食わないといけないのだ。ソッチのほうが無鉄砲に悪魔を探して食べるよりも効率が良いしな。
事実、この世界に飛ばされた当初は悪魔不足で栄養失調一歩手前までになっていた。
なんとか先ほどのバエルの手先がいたためそれを捕食して事なきを得たが、そろそろ俺の飢えも危ないのだ。
っと、そんな風に一通りの目的を決めた俺は、俺が今いる場所がなんの因果か、原作の舞台であり、主人公のリュウが住む『紅甘市』だと言うことを突き止めて、色々探ってみたのだが……
「いやぁ……リュウさん見かけねぇな。」
しばらく探しても、俺は主人公である阿賀野リュウを見つけることができなかった。
リュウの容姿は、赤髪に主人公らしいツンツン頭と、割と分かりやすいビジュアルなのだが……町中赤髪の人間なら何度か見かけも、女の人だったり明らかに容姿が違ったりと、リュウを見つけることは叶わなかった。
俺はくたびれて、街の河川敷で座りながらぼーっとする……かれこれ1週間は探しているのだが……どうにも見つからない。
河川敷でうなだれる俺からは、腹の虫が鳴る音が響く……それと同時に、俺は改めて自分の飢えを自覚する。
「あー……まだまだ平気だけど腹減った。」
ヴァラクはどうやら、悪魔を一人食べればかなりの間飢えをしのげるようだ。
頻繁に食べなくていいのは、ありがたいことこの上ない。
流石に同族を食べるのは、抵抗がないわけでもないのだ。
大抵悪人ならぬ悪悪魔だから良いのだが……悪悪魔って凄いばかみたいな響きだな、やめよう。
俺が飢えながらぼーっとしていると……突然、俺の耳に聞き馴染んだ声が響いていくる。少しオドオドした優しい声だ。
「ま、待ってください!リュウさーん!」
……その声は、確かに悪ガスのヒロイン、悪魔リリムの物だ。こんな分かりやすいウィスパーボイス、聞き間違えるはずはない!
咄嗟に俺が声の方を振り向くと、そこには確かに学制服を着た、黒髪で、帽子でうまく頭の角を隠している少女――悪魔リリムが居た。
(うえっ!?リリム!?本物だぁ……つか、リュウ!?リュウさんいんの!?)
俺は咄嗟に河川敷の上にいるリリムの視線の先へと目を移す……そこには、確かに赤髪の人影があった。その人は、リリムにジト目を向けてつぶやく。
「なぁにやってんのさ、ほら行くぞ。」
……だがわその声は男らしくはあれど、明らかに低音ボイスな女性、そして振り向いた拍子に揺れる胸の果実……それを見て、俺は思わず叫んでしまった。
(しゅ、主人公――――TSしてらっしゃらァァァァァァ!?!?)