正実の狂犬「あ…
正実の狂犬「聖なる日に御足労頂き…あ、ありがとうございます。お呼びしたのは、その…あの方を暴徒の中に見かけた、という情報がありまして」
正実の狂犬「(あの本の感想を語り合ったのにどうして…万が一本当だったら…どうしようっ!?)」
ルビコン3で見慣れた白化粧の街並み…もとい、雪の積もった街並み。
気温も相応に低いらしく、集合地点に来る間に見かけた人々は服を着込み寒さに備えていた。耐えて下さい。
しかしキヴォトスに来てからも相変わらず温度を感じにくい身体だが、だとしても今日は寒さに震えるだけではない何かを人々の雰囲気から感じていた。
集合場所に集った面々を見渡しても、それは似ており何か事が起こるような予感を匂わせている。
訂正。予感ではなく起す所であった。この人達と、私が。
レンガ造りの建物や石畳の道路が良く目につく学区、トリニティ総合学園。
雪化粧と共に、建物の一部や街灯に見慣れない飾りが付けられていた。
そんな普段とは違う様相の道を、ヘルメットとジャージ姿の彼女達と共に行軍する。
本日のミッション内容は、クリクリボッチヘルメット団からの依頼だ。
通信端末に届いていた依頼内容を改めて確認する。
『独立傭兵レイヴン。これは来たるべき聖戦参列への依頼だ』
『この日の為に結成された我がヘルメット団と共に、風紀と平穏を脅かす獣共を狩り尽くして貰いたい』
『夜になってしまえば奴らは暗がりにシケ込んでしまう。日のある内に終わらせたい』
『色良い…前向きな返答を期待する』
…との事である。依頼主である隊長曰く、ターゲットは
この時期に毎年発生するイベント――
キヴォトスには良く分からないイベント事が多すぎる。
百鬼夜行の祭り
それであれば各学校毎で対策をした方が良い気もするが、それだけでは追い付かないから有志が集まって行っているのかもしれない。
エアが調べて裏取りしてくれた所、他でも似たような集団がいるそうだ。
【意図は不可解ですが、レイヴンが受けたいと言うのであれば私は構いません】
受注するか相談した後のエアの反応としては上記の通りである。
夜までに片が付くのなら丁度良いだろう。
「ターゲット発見!オラァッ、道端でイチャついてんじゃねェ!」
「「ひえっ!?」」
ヘルメット団の一人が道の真ん中で抱き合っていた二人組に向けて発砲する。
銃撃を受けた彼女らは驚いて慌てていたが、集団である私達を認識すると肩を抱き合ってその場か逃げ出していった。
その様を見てとてもすっきりした雰囲気でヘルメット団の皆さんは笑いあう。
「ざまぁみろ!よーし、この調子でいくぞ!」
「「「オォォー!」」」
銃を掲げ合って声(雄叫び)を上げる。雪の寒さに負けない熱気がヘルメット団の皆さんを包んでいた。
私も一応、偽装を施した左腕を上げておく。近所付合いというのはこういうのが大切らしいので。
鳥獣人の夫婦、猫獣人の男女、果てはオートマタの男型と女型…次々に仲の良さそうな男女達に向けて突撃していった。
時折男性の方が抵抗を試みる時もあったが、私が間に入って
色んな人達と仲良くした方が良いと聞いたし、物とも仲良くなった方が良いだろうという私からのプレゼントだ。喜んで貰えるだろうか…心配だ…。
【レイヴン…いえ。あなたが満足ならそれで良いと思います】
頭の中でエアから何か言いたいような雰囲気が伝わる。何故。
ともあれ。女性の方も
”オンちゃ…レイヴン!?ストップストップ!”
また一組の生徒同士を壁の飾りにした時、聞き覚えのある声が引き留めて来た。
仕事をウォッチしに来るとは…相変わらずだな、ンシャーレの先生ェ…ン何度でも教えてもらおう。
傍らには正義実現委員会の学徒達と、これまた見覚えのある人が目を丸くしていた。
真っ黒な長髪にトゲトゲしく細長い黒翼。コーラルのように真っ赤なヘイローを浮かべ、色白な肌に赤い瞳。
黒を基調とした赤のラインで彩られた(セーラーの)制服にはスカートに赤い染みが見て取れる。
赤紐で縛ったブーツを履き、見た目は
ええと、ズームして視ると…『灰被りな私の貴方とNice boat…』…恋愛小説だったっけ。
以前ツルギさんと話が盛り上がった(私は聞いているだけだったが)時に話題にしていた本だった気がする。
【愛読書仲間だと思っていた人が、あの本のような親密な人々を襲っているのが信じられない。と言った所でしょうか】
ツルギさんの謎の行動についてエアが補足してくれる。
しかし私の疑問は晴れなかった。いや、確かに聞き覚えがないから面白く聞いていたけれど、だからといって仕事に影響があるかといえばないと思う。
そもそも恋愛と言うものもわからないし。何それ美味いの?
【………そうでしたね。でもレイヴン、シャーレから要請が来ていますよ】
大きく深い溜め息を吐きながらエアが通知を教えてくれる。
その呆れた様な雰囲気に疑問を覚えながら通信端末を開くと、カップル襲撃を止めてシャーレに付くよう協力要請が着ていた。
”報酬なら今受けている依頼の二倍を払うよ”
うーん。シャーレの先生にはお世話になっているけれど、裏切る事が増え過ぎると私も傭兵の端くれとして立場が悪くなるかもしれないし…。
腕を組んで考えては見るものの、要請に乗り気ではない事を身体で表して見せる。
夜までに片付けるというエアとの約束もあるし、ここは断るしか―――。
”紫関ラーメン無料券も付けちゃうよ!”
【レイヴン!!?】
通信端末に『はい/いえす』の表示がされた通り即座に応じ、先生の元に歩み寄ってヘルメット団と相対する。
ざわつく正義実現委員会の皆さんと、慌てふためくヘルメット団の方々。
信義により立つ任務の不履行は万死に値する…が、それはそれ。これはこれ。
シャーレの先生には恩義があるし、そもそもツルギさんとまたやりあったらそれこそ夜までに片付く気がしない。
その上、何回
つまりこれは必要な裏切りだ。
「ちょ、まっ…傭兵が仕事放棄していいのかよ!?」
「あのレイヴンが敵に回るなんて…来るんじゃなかった…こんな集会…」
喚き散らすヘルメット団の方々だが、一部ではすでに戦意喪失しているようだ。
流石ツルギさん率いる正義実現委員会の皆さん。格が違う。
そう考えていた私の顔をツルギさんが覗き込んできた。
「…良かったのか?」
先程までの慌てていた様子は落ち着き、今は困惑したような表情をしている。
何の話だろうかと思ったが、こういう時にはアビドスで学んだジェスチャーが生きる時。
ん。問題ない。
「…なら、いい。のか…?」
【…ハァ】
ツルギさんは少し困惑したようだが、これで
何故かエアが、額を抑えて頭痛を堪えるような雰囲気の溜め息を吐いている。
時折彼女はこのような溜息を吐く事があるが、未だに理由は教えて貰えていない。
正確には一度聞いたが、理解できなかったのだった。
なるほど、つまり?と聞き直した時の事は忘れたい。
ヘルメット団を制圧した後、夕食に先生も一緒に紫関ラーメンで食事をしたらエアから凄く怒られた。
何で???
ご閲覧、しおりやお気に入りなどを頂きまして、ありがとうございます!
UA4万突破いただき、改めてありがとうございますっ!
(時期には)間に合ってないけど、(年内には)間に合って良かった…。
本年は投稿初めからお付き合い頂き、ありがとうございました。
来年もよろしければ、ひと時の楽しみにして貰えれば光栄に存じます。
今回は取り急ぎ交信…更新のみさせて頂きます。
次回に今回分含め、御名前呼びなどさせて頂ければと思います。
また、今まで(順番なのに)まだ呼ばれてないが?という方は下記の活動報告にて御記載させて頂いている場合がありますので、よろしければ御照覧下さい。
⇒活動報告一覧(https://syosetu.org/?mode=kappo_view_list&uid=479630)
年始のため次回の更新、2026年 1/4週はお休みの予定とさせて頂きます。
皆様、良いお年をお過ごし下さい。
オマケの話:
リコレクト10連で水着ホシノが来て喜んでいたら、ドレスミチル190連まで紫封筒0枚でした。
10連なんて都市伝説だと思ってたのにビックリしましたが、紫封筒0枚まで立証しかけて運が良いやら悪いやら…。