COM「管理デバイスによる通信の接続を試行…失敗」
COM「周辺濃度に注意」
工場跡らしき建物に駆け込んでから少しして。
ロボット達が追跡して来ない事に気付いたモモイさんが、走る速度を緩めるのを機に皆さん立ち止まる。
「もう追ってこなくなったみたい…?何だか分かんないけど、とにかくラッキー!で、良いのかな」
「良くないよ!?」
ミドリさんから否定されても気にせず彼女は幸運だと思っているようだが、今はそういう事で良いのだろう。
先生を振り返って見ると膝に手を突いて呼吸を整えつつ、私に向けて頷いていたので頷き返す。
後方からサブマシンガンが楽しそうに2丁、乱射音が聞こえていた事など決してない。私の幻聴だろう。
今も先生の付けているイヤホンから少し聞こえているが、これもコーラルの副作用または後遺症である。多分。
コーラルは
【その約束は忘れて下さい、レイヴン。それよりも周囲に気を付けて下さい】
姉妹のやりとりを見ながら昔を思い出していると、エアから警戒を促される。
まだロボットが隠れていたかと思い、スキャンを掛けるが視界の端に映るレーダーに敵影はなかった。
…そもそも肉眼に映るレーダーとは一体どういう事なのか。
【キヴォトスにおけるあなたの身体の事も気になりますが…今は置いておきましょう。この工場跡に見える施設ですが、どうやらキヴォトスで一般的に使われてる技術でも、ミレニアムで使われている技術とも違うもののようです】
エアの言葉に首を傾げる。キヴォトスにあった廃墟なのだから、古すぎて一般的ではないって事だろうか?
疑問に思う私の頭の中で、彼女は言い方を考えるように少し明滅する。
【いいえ。既存のプログラムと違うと言いますか…イメージし易く言えば、言語から違うのです。それに一見しただけですが、高度なセキュリティが組み上げられています。それに最近アップデートがされた形跡がある…】
エアの声の波形が揺れて、驚きの声色が見て取れる。
アップデートの跡があるって事は、それはつまり。
【はい。この施設は――
突然、エアの使う合成音声とは別な機械音声が響き渡る。
先生もモモイさん達姉妹も驚いて、周囲を見渡し始めた。
部屋内を見渡せば、天井の一角に監視カメラらしき設備を見つけた。
薄汚れてサビも見えるが、その動作は滑らかで放置されていたとは思えない程だ。
『対象の身元を照合します。
「え、えぇ!?何で私の名前が出るの?しかも不足って何さ!」
『続いて
「私の事も知ってる…?一体どういう事…?」
身元を調べ始めた設備に対し、不足と言われて両手を上げて怒るモモイさん。
ミドリさんは冷静に、初めて来た筈の場所で名前が知られており、身元照会を行える程のデータベースがある事に疑問を覚えて居る様だ。
エアの警戒通り、ここは気を付けた方が良さそうである。
『続いて…「シャーレの先生」。………資格適合。入場権限を発行します。また先程照合した、才羽モモイ、才羽ミドリの両名にも、先生の生徒として仮入場権限を発行します』
「ええっ?」
「どういう事!?先生はこの建物と友達だったの!?」
監視カメラらしきレンズが先生の方を向くと、少し間が開いた後に資格が確認され、入場権限なるものが得られたらしい。
ミドリさんが驚き、モモイさんに至っては建造物とご友人(素敵だ…)だったのかと勘違いしている。
幾らあのご友人AC乗りでも、建築物と友になる程クレイジーではないと思う。変人だとは思う(ご友人!?)けれど。
頭の中の記憶の中で
良かった、先生は普通のようである。一緒にダンスをする必要がないのは少し物足りないが。
『最後に…登録番号、Rb23。識別名、レイヴン』
『貴方は、
機械音声から問われた内容に私もエアも驚き、目を大きく見開く(激しく明滅する)。
まるで『レイヴン』と呼ばれるべき者が複数いたかのような質問…それは。
或いは――。
そこまで考えた時、『
私達がそれを認識する前に、床が一瞬にして真っ二つに割れて下へと滑り落ちた。
”あいたっ。マ"ッ。モ"ッ”
まるで円を描く(螺旋状)ような滑り台の先で、先生が床に滑り落ちると続けてモモイさん、ミドリさんの順に落ちていく。
私は追突しないよう出口を出てすぐに
恐らく二人までで、先生の積載上限はオーバーだろう。変な声が聞こえたし。
姉妹が騒いでいるのを横目に辿り着いた場所を見渡すと、
「ありがとうございます、先生」
「先生、ありがとねー。…あれ?」
二人を受け止めた(下敷きになった)先生にお礼を言った後、姉妹も気付いたようでゆっくりとそれに近付いていく。
天井に空いた穴から差し込む光に照らされた舞台。
何かの端末が脇に備えられた、直線で形作られたシンプルな椅子の上。
床に届く程の長い黒髪を持つ全裸の少女と、膝の上で丸まる真っ白い毛並みの子猫。
――一人と一匹はまるで眠っているかのように目を閉じ、そこに座っていた。
腰を抑えて待機する(動けない)先生から許可を貰い、姉妹が近寄って調べ始める。
「…返答がない。ただのカカシのようだ」
「ビビってるのは君じゃないのか?…じゃなくて。この子達、寝てるように見えるけど…『電源が入ってない』みたいな感じがしない?」
人差し指の先で少女の頬を突くモモイさんに
てっきり慎重を期して、アサルトライフルのバレル先で突いて調べるかと思っていた。しかもトリガーに指も掛けたままで。
記憶の中のノノミさんが『そんな事しませんよ~?』と言っているが、風紀委員会とやりあった時の彼女はやりかねない雰囲気だった気がする。
不服そうな表情の彼女は頭の隅に移動して貰い、エアにも調べて貰おうかと思う。
【…まさか、これは。この反応は…】
光と波長が揺れて、彼女が物凄く驚いているのが私にも伝わる。
エアの視線(波形)の先を確認してみれば、少女の膝の上…場違いな程、妙に小綺麗な子猫の姿があった。
【…コーラル反応?】
「すごい、肌もしっとりプルつやプヨンプヨン…あれ?これって文字?」
キヴォトスで聞く訳がないエアの単語を遮るように、肩や二の腕、お腹と段々触る位置を下げていっていたモモイさんが声を上げる。
真っ先に
そんな私を見て腰を擦っていた先生も、(イヤホンのある)片耳に手を当てて身構える。
「
「お姉ちゃん、ちょっと待って。ここよく見るとローマ字じゃなくて、
私達の緊張した様子に気付かず、姉妹は椅子の横にしゃがんで調べ続けている。
少しの間様子を見ていたが、すぐさま危険という訳ではなさそうだ。
困った表情でイヤホンを弄っていた先生が、眉間をほぐしてから姉妹に声を掛ける。
”通信は…ジャミングされてるのか通じないっぽいね。一先ず危険はなさそうだし、服でも着せて上げたらどうかな?”
そう言って先生はビジネスバッグから、ミレニアムの制服らしい一式を取り出す。
姉妹も同意して先生から受け取り、ミドリさんが予備の下着を用意する。
「そうですね。出発真に先生が言った通り、予備を持ってきていて良かったです。…あれ、先生は何で用意していたんですか?」
”オンちゃ…レイヴンが着てくれないかなって…ミレニアムで違和感のない様にというか、服に慣れる為というか”
「ふーん…ってミドリ!それ私のパンツじゃん!?」
「お姉ちゃんの分もあるけど、これは違うよ。猫ちゃんの顔が違うでしょ」
ミドリさんの疑問に、頬を指先でかきながら先生が答える。
私の着るようにというが、翼や尻尾が邪魔で着れるとは思えない。
それにいつの間に準備していたのだろうか。…まさかミレニアムサイエンススクールに来る前から?
私が疑問に思っている間に、姉妹の着ているものと同様のデザインで、白と水色の配色になっている制服を着せていく姉妹。
モモイさんが下着が自身のだと勘違いしていたようだが、別物だったようだ。
言われて彼女は自身の荷物を確認した後、「流石ミドリ!」と言っていた。
冷や汗らしい匂いもしたので、多分入れ忘れたのだろう。
そういえば、先生は着替えに参加しないのだろうか?
”大人にはね、色々事情があるんだよ…”
『事案というものですね。キヴォトスの社会は時折不可解です』
先生に目線を向ければ、肩を落として
エアもその様子に理由はわかるものの、理解できないと溜息と共に合成音声で相槌を打つ。
事案…確か現在進行している問題や、対処すべき事柄の事だったか。
私が疑問に思っている間に着せ終わったようで、ミドリさんが満足そうに鼻息を吐きながら両手を腰に当てている。
もう近付いても大丈夫かと思い、私と先生も少女達の近くに歩み寄った。
これだけ近付いても反応はない。匂いも薄く、まるで
『ピピッ――状態の変化、および接触許可対象を再感知。覚醒します』
「わっ、何々!?」
「警報音…かと思ったけど、この子が起きたのかな?」
私が近付いて匂いを嗅いでいると、機械音と共に合成音声――にしては肉声と変わらない声色が椅子に座る少女から発せられる。
人が起床するようにゆっくりと目が開き、透き通るような青い色の目と視線が合う。
焦点を合わせているのか少しの間、揺れていた目が私を認識して止まった。
子猫の上に乗せられていた彼女の両手が、ふわりとあげられ――私の頭をその胸元に抱き込んだ。
【レイヴン!?】
「わっ、熱烈なハグ?」
「罠!?拘束!?」
”オンちゃん!?まだその子には早いよ!”
先生。まだ早いって何が?
頭の中と周囲で驚く声が上がるが、拘束にしては力が弱い。
ただの抱擁のようで、頭頂から先生がいつもしているような頬擦りの感触がする。
深呼吸するような
「…ほう…
「えっ?説明?どゆこと??」
『…説明頂きたいのはこちらなのですが…』
何かに満足したような溜息を吐いた後、少女は説明を求めて来た。
混乱するモモイさんは慌てており、代わりに合成音声でエアが(何故か)怒ったような低い声色で聞き返す。
先生は何故か”ほほう…この子、『わかる』子か”と呟いている。何が?
「せ、説明が欲しいのはこっち!貴女は何者で、ここは一体何なの!?」
ミドリさんが身を乗り出す様に尋ねると、私を抱き締めたまま少女は顔を上げてから彼女に答える。
因みにここまでくっついても、子猫は覚醒する様子はない。ただのカカシのようだ。
「本機の
「…どういう事?い、行き成り攻撃してきたりはしない?」
警戒して
状況を確認しようとした私が頭を動かすと、離さないようか抱き込む力が少しだけ強まる。何故。
「肯定。接触許可対象との交流時、本機は基本的に敵対行動しません」
”基本的、って事は例外もあるんだ…?”
先生が
まぁどんな相手でも状況でも、
今も相棒であるエアだって、「そういう時」があった位なのだし。
【…っ…】
「うわ、すごい!ロボットの市民ならキヴォトスでよく見るけど、こんなに私達に似てるロボットなんて初めて見るよ!」
何故かエアが息を呑んだように黙り込む中、モモイさんが両手を上げて喜んで見せている。
確かにオートマタはよく見るが、人工皮膚などを使った見た目が人と変わりないものはこの少女が初めてだ。
他に居た記録はない筈だよねエア?…エア?
確認の為に彼女に問い掛けるが、何故か返事がない。
チリチリと波形が揺れているから、今調べている最中なのだろうか。
それならば待って居ようと思っている間に、何とか情報を聞き出そうとしている先生とミドリさんを置いてモモイさんが何かを閃いたようだった。
「工場の地下、全裸の少女、ついでに記憶喪失…ふふっ、良い事思い付いちゃった」
「いや…今の台詞からは、嫌な予感しかしないんだけど…」
彼女が
――モモイさんは、この状況をある意味では好機と捉えているようだが。
このままでは、ゲーム開発部も少女も。それから、シャーレ(の評判)も共倒れだろう。
記憶の中の
この後、先生が
御閲覧、しおりをいつも頂きまして、ありがとうございますっ
ついに5万UAを達成致しまして、見て頂いている方々には感謝しかありません…!かんしゃあ~!
コーラル反応を持つ猫…一体どんな目的で作られたんだ()
あんな事やこんな事…想像が膨らみますね!
今回も少しずつ、御名前記載をさせて頂きます。
一部時間順ではない場合もありますが御了承の程、お願いします。
(閲覧、しおり、ここすきは御名前が表示されず、感想は今の所個別で返信するため割愛とさせて頂いてますが、いつも感謝しております!)
もしも「順番飛んだ?」と思われる方は、活動報告一覧の方にて記載させている場合がありますので、よろしければ御確認下さい。
幻朧様、Haixjeoxnskx様、TOM300様、弓風様、ptwmjgajt様、
にとこーあ様、んにゅうの助様、けー様、金リンゴ068様、ニグレド様。
お気に入りの登録を頂きまして、有難うございますっ
スタレの人気な方からも閲覧頂けているとは…かんしゃあ~。巨人娘…なるほど、そういう個性もあるのか。面白いな(フロイト風
タイル…でしょうか?風化した木の質感を持つ和モダンのタイルだとか。そういうのもあるのか。面白いな(フロイト風2回目
ご友人!このような僻地まで来て下さるとは…感激だ。心が躍ります。さぁ、新たな物語を楽しみましょう!
モデラーの方でしょうか?プラモデルを美しく仕上げるその手腕…素敵だ…
判断が付きませんでしたが、ナイトコアの訛りでしょうか…?グループ名かと思ったら、リミックス手法でもあるのですね。こういう音楽も好きだったりします
うな重…でしょうか?おいしいですよね。偶に無性に食べたくなります。
大分弁、或いはキング…でしょうか?つまり完成された傭兵…!ゴクリ
不老不死や縁起物のイメージがありますね。食べたら若返ったり…?スゴイ!
錬金術の段階の一つでもあるそうで。他にも様々なキャラ等の名前だったり…字面も響きも良いですよね
オマケの話:
前回見送ったハレキャンをようやくお迎えできました。恒常優先生徒を受入れできてホッと一息。体操服ユウカ?…彼女は限定なので…(目線逸らし
活動報告でも少し話しましたが、FOX小隊実装きましたね!…ユキノがまだですが。次の限定か、まさか周年…?うごごご。
カイテンも自前生徒でInsane1凸できるようになって、成長を実感できます。思えば遠くまで来たものだ… ?知らない投擲物ですね。