エースパイロットの航海日誌   作:ARCHANGE

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Ep.1 遭難者

音速に近いスピードで、海の上を飛ぶC-17クローブマスターIII。

 

「まさか俺達が輸送機の操縦させられるなんてな…なぁ?トリガー」

 

「任務だしな、しょうがないさ。カウント。」

 

理由あって俺達は輸送機を操縦していた。

 

「…レーダー見てもなんにもいやしない…こんな平和な飛行あったか?」

 

「間違いなく無いな。少なくとも戦時中だった頃はな。」

 

「ちげえねえや。」

 

海図見てもレーダー見ても平和で敵機も敵艦もいない。

 

「にしても…いくら特殊作戦って言ったって輸送機一機だけで行けって…」

 

「まぁ…乗ってるのはスクラップクイーンとベルカの技術者だしな。」

 

それにしてもなんでこんな海域を?

 

「ありゃ?」

 

突然持ち込んだラジオがノイズを発するようになった。

 

「なんでこのタイミングで壊れやがったんだ?一体…」

 

「スクラップクイーンに直してもらえば?」

 

「ああ。降りたあとでそうするよ。」

 

『こち✱✱✱✱✱✱✱✱✱』

 

「…………なぁトリガー。」

 

「なんだカウント?」

 

「無線機まで壊れた。予備も逝ってやがる。」

 

「嘘だろ?」

 

ボンッ

 

「何だってんだ畜生!?」

 

「あー…No.4のEGT低下…でもおかしいな…」

「おいトリガー!エンジンが一個取れたぞ!!」

「「はぁ!?」」

 

嘘だろどうなってんだ!?

機体が大きく揺れて音がした。

 

「今度は何だ!?」

 

「主翼の一部とエンジン出力が全部持っていかれた!!高度がやばいやばい下がってく!!」

 

機体を水平に保つのがやっとだ。

 

「クソっ!!こんなことなら整備をお前に頼んどきゃ良かった!!」

 

エンジン再始動を試みるが反応無しだ。APUすら動きやしない。

 

「ダメだ!!着水する!!衝撃に備えて!!!」

 

対ショック姿勢でできるだけ水平で着水姿勢を取る。

 

「ブレース!!ブレース!!ブレース!!」

 

強い衝撃が機体を揺らす。

 

「頼む止まってくれ…」

 

機体は減速している。よし…いい子だ…

 

「ふう…何とか止まったな。トリガー。」

 

「ああ。生き延びたな。俺達。」

 

救助信号を飛ばし、フレアを焚き上げる。

 

「それにしても…」

 

「ツイてねえなぁ…」

 

簡易救命ボートを展開し急いで海の上へ上がった。

 

「ほんと…着水時にそのまま沈まなかった事が奇跡だぜ…」

 


 

救助は来た。というよりもたまたま通りかかった…水上スキーみたいに滑ってる少女たちに助けられた。

 

「すげえな…今の技術ってこんなこともできんのかよ…」

 

「まぁ…技術の進歩ってもんは俺らにはわからん物さ。」

 

「救護者4名!確保!!」

 

「そりゃどうも。」

 

「それにしても…どうしてこんな海域まで?」

 

「乗ってた輸送機が大破して、着水して脱出、そして輸送機は海の底さ。」

 

「輸送機ってことは…貴方達パイロットなの?」

 

「ああ。いや、俺とこいつは戦闘機乗りだしこいつは整備士、んでお前は…技術者か。」

「まぁ…そんなところだ。」

 

ボートごと引っ張ってもらい大陸に向かう。

 

「そういやお前らどこ所属なんだ?オーシアか?ここからならエストバキア連邦も近いな。」

 

「オーシア?エストバキア連邦?」

 

「あれ?違ったか?」

 

「私達は、アズールレーン所属の第二艦隊です。貴方達は?」

 

「オーシア空軍所属のロングレンジ部隊隷下の戦術飛行教導隊、ストライダー隊だ。こっちはその整備士と…」

「ノース・オーシア・グラインダーIG社の主席研究員だ。」

 

「オーシア…って貴方達、アグレッサー部隊の方なんですか!?」

 

「ああ。アグレッサー部隊の隊長がトリガーで俺がその2番機だ。」

 

「凄い…」

「まあな。俺達はオーシアのエースパイロットだしな。」

 

「そういやさっきから黙ってどうした?」

 

「いや…一つ気になった事があってだな。」

 

「奇遇だな。私も同じだ。」

 

「なぜ君達は、艦隊と名乗ったんだ?それに、私達の知る国にアズールレーンも無い。」

 

「どうやらオーシアやエストバキア連邦も知らないらしいしな。俺らの常識が通じないってことは、ここが違う世界って事も考えられる。にわかには信じがたいがな。」

 

「パラレルワールド…理論上の産物でしかなかったが…可能性は否定しきれなかったものだ。それが急に現実味を帯びてくるとは…」

 

「お前ら…何言って…」

 

「多分、その考えは合っている。」

 

「やはりか。」

 

「極稀にですが、実際にこの世界に別の世界からの訪問者がいたこともあります。」

 

「パラレルワールドから迷い込む事もあるのか…」

 

「どうしてそうなるのかは未だに解明できてないんですけどね…」

 

「簡単に解析できるものではないのは確実だろうな。」

 

「ほら、基地が見えてきました!!」

 

陸が見える。

ちょっと古い外見だが…中身は最新なんて事もある。期待してみるのもありか。

 

「滑走路はある見たいだが…おいトリガー!あれ!!!」

 

「嘘だろ?プロペラ機がこんなにも…まさかアレが主力とか言わないよな?」

 

「人が乗れるのは…アレが最新だ。」

 

「嘘だろ?ジェット戦闘機ですらないのか…」

 

「ジェット戦闘機?」

 

「…人が乗れる奴ってことは…他にもあるのか?」

 

「ああ…もちろんそうだが…それは追々話すとしよう。」

 

「まずは、ウェールズに報告しないとな…」

 

「上官か?」

 

「まぁ…そんな所だ。」

 

陸に上がった俺達は、速攻で検査を受けることになった。

 

「そういや…お前ら名前は?」

 

「私?私はジャべリン!こっちがラフィーちゃんで…」

 

「ベルファスト、と申します。以後お見知り置きを。」

 

「おおすげえな…どっから現れたんだ一体…」

 

音もなく現れてはコーヒーと紅茶を淹れているメイドが居た。しかも何やら軽食まで…

 

「コーヒーと紅茶がありますが、どちらにいたしますか?」

 

「俺はコーヒー、トリガーは?」

 

「俺もコーヒーで。」

 

「あたしもコーヒー。」

 

「私は紅茶を頂こう。」

 

「かしこまりました。」

 

完璧な動作で紅茶とコーヒーをカップに注ぎ、軽食と一緒に俺達の前に出された。

コーヒーカップの取っ手を掴んでコーヒーを啜る。

 

「今まで俺が飲んで来たコーヒーは泥水だったのか!?」

 

俺が飲んでいたコーヒーの常識を覆された。何だこの美味すぎるコーヒーは。どこで飲めるんだこんなもの。

 

「………??????」

 

カウントが宇宙へ飛び立ってしまった。戻ってこいカウント。

 

「こいつは驚いた…コーヒーにこんなポテンシャルがあったのか…」

 

スクラップクイーンも大絶賛。このメイド…出来るやつだ。

 

「私の淹れ方が下手なのはわかっていたが…ここまで差が出るとは…」

 

なんだか悔しそうにしているベルカ人がいた。

 

「お褒めにいただき恐縮です。」

 

「俺達の飲んでいたものが信じられなくなる程にはびっくりだぜ?」

 

「メイドとしてはありがたい限りでございます。」

 

「そうだ、パソコンはあるか?データの確認をしなければ…」

 

「お前…あると思って」

「ノートパソコンでよろしければこちらに。」

 

「「あるのかよ…」」

 

「何から何まで済まないな。」

 

「ん?これって…俺とミハイの交戦データじゃないか。」

 

「それにこっちはSu-57の設計図…こっちはSu-30SMだ。X-02SとADF-11Fまであるぞ?」

 

「どうやらデータ自体は無事らしい。」

 

「待て、お前そんなの持ってどこに行く気だったんだ?」

 

「エメリアとオーシアで共同開発中の機体のデータだ。最も、あっちに置いてきてしまったがな…」

 

なんてモンを作ろうとしてんだうちの上層部は。

 

「これは…」

 

「好きに持っていっても構わないが、機体があったところで耐Gスーツ無しではパイロットが耐えられるとは思えない。」

 

「…このデータ、本当に貰ってもよろしいのですか?」

 

「ああ。それに、これらの機体を完璧に扱えるのはエースパイロットだけだ。」

 

検査が始まって一通りは終わった。

 

「始めまして、私がこの基地の実質的トップをやらせて貰っている、ロイヤル所属のプリンス・オブ・ウェールズだ。」

 

「ロイヤル?アズールレーンじゃなくてか?」

 

「アズールレーンは連合の名前だ。国としては無い。」

 

「ISAFみたいなもんか。」

 

「あの白髪の美女から聞いているだろうが、こちらはオーシア空軍所属のロングレンジ部隊隷下戦術飛行教導隊ストライダーだ。俺は一番機のトリガー、こっちが二番機のカウント。整備士のスクラップクイーン。んでこいつはシュローデル。」

 

「細かい話は後でするとして、一つこちらから提案何だが、私達の基地に移動しないか?」

 

「どのみちそうしないと俺達は生きていけなそうだしな。話が早くて助かる。」

 

「それに、パイロットの二人はアグレッサー部隊とも聞いた。可能ならば我々のパイロットを育成してほしい。」

 

「生憎、そうは言われても機体が無いとな…」

 

「機体ならば私がなんとかしよう。」

 

「お前がか?」

 

「戦術的価値が高いデータを提供する代わりに機体を用意して貰おう。お釣りが来るレベルの物ばかりだ。悪い話ではないだろう。」

 

「確かに、拝見させて貰ったがこのデータにある機体を一機作るだけでもこの基地の防空能力は跳ね上がる。」

 

「それに、丁度ミハイの戦闘記録もある。機体がなくともシュミレータくらいは直ぐに作れる。」

 

「あたしも手伝おうか。人手は多いほうが良いだろ?」

 

「俺らは?」

 

「イメージトレーニングでもしていれば良いのでは無いか?」

 

「おう…雑…」

 

こんなほぼノリみたいに事が進んで一時とはいえオーシア軍ではなくなった訳だが…

 

「イマイチパッと来ねえ…。」

 

「そんなもんだろ。トリガー。」

 


 

――一週間が過ぎた。

 

「と、ここで減速して敵機を押し出し、GUNでエンジンを狙って撃つ。たったこれだけの事ができるかどうかで勝敗は決まる。」

 

「嘘つけ。お前がおかしいだけだろうが。」

 

「そういうお前も俺についてきてたじゃねえか。」

 

アズールレーンの教官をやっている。

 

実際、一機だけとはいえSu-57 felonが用意できた事で一度実際に俺の動きを見せた事があった。

 

「意味がわからない。」

「なんでパイロットはあの変態軌道に耐えれてるんだ?」

「本当に人間なんですか?」

「イカれた飛び方しやがる…」

 

など抜かしやがったのでみっちりしごいておいた。

そして現在、噂のセイレーンについて研究している。なぜプロペラ機がジェット戦闘機と戦ってるんだ?

 

「んで、そのセイレーンの機体、運動性はどうなんだ?」

 

「圧倒的にこっちよりも低い。燃費は知らないが、空対艦ミサイルを装備しているのは確認できた。とはいえ、性能はお粗末そのものだったがな。」

 

「Su-57に乗って実戦に出るのも良いかもしれんな。」

 

「ダメだ。現状一機しか無いものを無理に出すわけにはいかない。」

 

「いや、実際に戦わなければわからないものというものがある。」

 

「だがGUNとR-73しかないんだぞ?」

 

「それで十分過ぎねえか?」

 

「ああ。この大馬鹿野郎には十分すぎるな。」

 

突然の事だった。基地に砲弾が飛んできた。

 

「なんだ!?」

 

セイレーン艦の特徴たる赤いラインが見える。まるでコプロの載ったコックピットみてえだ。

 

「セイレーンか!!こんな時に限ってか…」

 

「港が塞がって出撃が遅れるだと!?」

 

「駄目だ!滑走路が潰れる前に飛ぶ!!」

 

耐Gスーツを装着し、HMDを起動し計器類に息を吹き込む。

 

「管制塔、離陸準備完了。離陸許可を」

 

「了解。離陸を許可」

 

「ストライダー1、VR」

 

アフターバーナーを稼働させ推力を高める。

 

「ストライダー1交戦を許可する。」

 

「ウィルコ。ストライダー1エンゲージ!!」

 

IRST経由で敵機をロックオンしR-73を発射。命中確認。

 

「スプラッシュ・ワン」

 

「さぁ掛かってこい!お嬢様共め!」

 

レーダーロックアラート、ミサイル!!

 

「そんな角度のミサイルが当たるわけ無いだろう?」

 

90度以上の真横からのミサイルが当たった試しがない。

 

「適当にバレルロールしときゃ当たらんわこんなもん!!」

 

ヘッドオンの敵機をGUNで排除。

 

「戦艦は硬いんだよ…」

 

ひっでえ弾幕を交わし水面下まで下がって弱点部にミサイルを直撃させる。するとどうだ?

 

「あれ沈んじゃったよ。」

 

2発で沈んじゃった。

 

さっきからGPWSがうるせえな。切っとくか。

 

「FOX2!!」

 

2機ミサイルで撃墜。おっそい動きだ。MQ-99よりも遅い。エースのデータが入っている訳じゃないのか?

 

「さっさと終わらせちまおうか。腹減ったしな!!」

 

片っ端から叩き潰し、レーダーに映るものすべて叩き落とした。

 

「ミッションコンプリート、RTB………いや待て、敵艦探知!!」

 

やっとか?あのキチガイ艦長みたいな奴は簡便な。この装備じゃ無理だわ。

 

「エンタープライズ、エンゲージ!!」

 

「さて、救援も来たことだし、掛かってこいってんだ。」

 

「おうなんだ何してんだ!?」

 

プロペラ機とはいえ真上に乗ってやがる!?

 

「艦爆で沈める!!」

 

弓を引いて矢を発射、矢が分裂して艦載機に。何度説明されてもわけが分からない。

 

敵機が後ろについた。

 

テールスライドで後ろに回る。

 

「ミサイル残り僅か。GUNに切り替える!」

 

GUNを敵艦の機関部に掃射。

 

また一隻、また一隻と沈めていく。

 

「識別不能艦確認!!いや、この反応は…重桜だと?」

 

「何だこの花びらは!?」

 

エンジンに吸い込んだが異常は見られない。

 

「何だこれは?」

 

「流石灰色の亡霊、いや?エンタープライズ?」

 

あの艦船は…まさか…

 

「くそっ!嫌な予感が命中した!!」

 

巨大な艦影が掻き消され、人形くらいのサイズへと変わっていく。

 

「重桜一航戦、赤城」

「重桜一航戦、加賀」

 

「「押して参る!!」」

 

クソクソクソクソ!!!!あんな小さい的に弾は当たらん!!

 

「空戦は任せろ!対KAN-SENは任せる!」

「任された!!」

 

「相手にとって不足無し。少しは楽しませてもらう。」

 

あのデカブツは弾がよく当たってくれる!!

 

「30mmを喰らえ!!」

 

化け狐の頭に全弾叩き込む。

 

「ッチ…なんだあの機体は!?」

 

「尾翼に三本線の爪痕?」

 

「よそ見をしている場合か?」

 

「なっ…しまっ」

 

敵KAN-SENに攻撃が命中。

 

「良くも、この身体は姉様の!」

 

「ミサイルの炸薬を喰らえ!!」

 

口にミサイルを放り込む。

 

「爆破確認!!」

 

青い炎に包まれて化物は消滅した。

 

「加賀、撤退よ。」

「姉様、まだ加賀は戦えます!」

 

「時間が来たのよ。帰りましょう?」

「はい…姉様。」

 

敵は撤退していった。

 

「燃料が怪しい。帰還する。」

 

管制塔に通報し着陸に備える。

 

10度で着陸し、減速していく。

 

「よし、完璧だ。慣れたもんだなぁ?トリガー。」

 

機体大事にってね?

 

「とりあえず、今夜はカウントの奢りな。」

「おいおい…勘弁してくれ…」

 

 

 

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