アスカと綾波にイジられた顔を真っ赤にした真希波たちがNERVへと到着した。今日はシンクロテストの日。シンジたちがボコボコにした3号機も、シンクロテスト限定だが起動できるまでに復旧。初めてのチルドレンが4人揃ってのテストとなる。
「は〜い。じゃあそれぞれ自分の機体に乗ってね〜。その後、機体を取り替えてのテストになるから」
ミサトの言葉を聞いてシンジは「あぁ。零号機に乗せられて暴走する日か」と確信した。今まで何度かシンクロテストはやったものの、エヴァを乗り換えてのテストはやったことが無かった。タイミングがズレて今日になったのだろう。
「あの〜。部長さん?私の3号機、まだ頭くっついてないんだけど?と言うか姫の魔貫光殺砲の穴も塞がってないよ?」
「大丈夫大丈夫。起動できっから〜」
4人ともそれぞれのプラグに入り、エヴァを起動。シンクロテストを開始した。いつものことながら、アスカが1番高い。今日は85%を超えていた。
「ちょ!これアスカの精神とか大丈夫なの?!」
「あ、それが⋯⋯全然安定てるんです。心理グラフの異常全くありません」
「⋯⋯は?」
「普通ここまで行くと、エヴァとの境界曖昧になって大変な筈なんですけど、むしろこれで安定してますね。と言うか、アスカの方が弐号機を飲み込んでるような?」
「もうイヤ!アスカの結果なんてもう見たくない!」
「先輩。子供みたいなこと言わないでください」
「あんな理解できない存在の結果なんてゴメンなのよ!!」
荒ぶるリツコをマヤが宥めつつ、シンクロテストは続いていく。この日、綾波とシンジの2人は70%代で安定していた。普通に考えればこの高さも異常だが、アスカほど異常ではないためリツコからの文句も飛ばなかった。
「私、1番常識的なシンクロ率してそうなマリのこと見てくるから、他の3人はお願いね」
「了解で〜す」
リツコの予想通り、真希波のシンクロ率は50〜60の間をうろうろしている。その数値を見て、ものすごい安心感を覚えた。
「ちょっと乱高下気味だけど、あの3人に比べれば全然マシね。常識的と言う意味合いで」
そう安心しているリツコだが、エントリープラグ内の真希波はと言うと⋯⋯
(ワンコ君、私のこと一応そう言う目で⋯⋯う、嬉しい。けど、どうしよう⋯⋯そう言う目で見てるってことは続けるのは不味いし、かと言っていきなり家でのテンション変えたら変に思われるし⋯⋯ああ!もうどうしよう!姫があんな事聞くから変に意識しちゃったじゃん!もう!⋯本当にどうしよう⋯⋯⋯⋯)
全くと言ってもいいほど集中していなかった。そりゃシンクロ率も乱高下するわなと言うレベルで別の事を考えている。が、リツコはそんな事知る由もないない。
自分の機体でのシンクロテストが終わり、次は機体を乗り換えることに。シンジは零号機に、綾波は弐号機、アスカは3号機、真希波は初号機に乗り込むことに。不測の事態に備え、起動は1機ずつとなった。
「トップバッターはアスカですか」
「まぁ、あのシンクロ率だから。他の機体でも同じか否か、気になるところね」
結果、極端とまでは言わないが、シンクロ率は68%とダウン。だがこれは想定の範囲内。そもそも起動できるかすら怪しい実験なのだ。アスカは充分異常と言えるだろう。
次に綾波。こちらもシンクロ率は50%とダウン。が、リツコ含め多くの職員から、よく起動できたな〜と言う視線を向けられた。日常的にアスカからセクハラをされているため、綾波の方がアスカ及び弐号機を拒絶すると思っていたからだ。
「よく起動できましたね。レイ」
「えぇ。あの子、大人になったのね。セクハラしてくる相手を受け入れるなんて⋯⋯」
恐らく、そんな高尚なことではなく、坊主憎けりゃ袈裟まで憎いの考えが綾波にないだけの話だ。弐号機は普通に受け入れられるのだろう。
次の真希波だが、シンクロ率はそこそこ高いのに起動しない言う変な事態に陥っている。因みに中では⋯⋯
(本っっっっっ当にすいませんでしたぁぁあ!!!)
真希波が全力で土下座していた。なんせ、入って早々にユイと邂逅。うちの息子になにしとんじゃ?お?と言う視線を向けられ、無言の圧をかけられた。ユイに逆らえない真希波は土下座する他なかったのだ。インカメ故障してて本当に良かったと思う。
(マジでごめんなさい!息子さんにちょっかい掛けてちょっとムラっとさせちゃって本当に申し訳ないと思ってます!まさかマジでそう思われるなんて考えてなかったんです!)
『いや。本当になにしてるの?いろんな意味で。と言うかその姿なに?』
(その、これは⋯⋯所謂クローンの身体で、私の意識をここに入れた、的な?ヤツです。はい⋯)
『バカなの?』
(いや〜。なんか面白いこと起こりそうだったんでやったらできた。みたいな?そんな感じで⋯⋯あは、アハハハハ)
『⋯⋯⋯⋯⋯⋯』
(ごめんなさい。エヴァ乗りたかったし、あわよくばワンコ君と青春送りたかったが理由の1つです)
『昔からブッ飛んだ所があるとは思ってたけど、まさかここまでとは⋯⋯』
(ウグッ⋯⋯)
『まぁシンジもアナタに対して悪い感情は抱いてないし、事情も知ってるし、孫は見たいから別にいいんだけど、まだ2人とも中学生なのよ?若さが弾けるのは悪いとは言わないけど、流石に、ねぇ?』
(はい⋯⋯これからは自重させて──)
『今日中にシンジとヤッてきなさい』
(おい待て!さっきまで諭してたのに急に何言ってんの?!)
『だって、マリって肝心なときに絶対日和散らかすでしょ?そうならない為に背中を押してあげようと』
(余計なお世話!ワンコ君とそう言う関係にはなりたいけど私のタイミングで行かせてよ!!)
『チッ。まぁ良いわ。私が出るまでに進展してなかったら、法が許す範囲と法の抜け穴、ありとあらゆる方法を使ってそうさせるから』
(うぃッス⋯⋯)
ユイの姿が消えると、初号機が起動した。単純にユイが話をするために起動を止めていただけだったようだ。そしてシンジは、何があったかまでは分からないが、ユイが何かしたことだけは察していた。
「つ、疲れた⋯⋯」
「起動に時間がかかってたみたいだけど、何かあったの?」
「⋯⋯特にはなにも」
「そう。なんかあったら言いなさいよ」
「了〜解」
最後にシンジの相互起動実験。零号機に乗り込んで、いつも通りに意識を集中させる。
(そう言えば、初号機には母さんが、弐号機にはアスカのお母さんが、今回のパターンだと3号機には、恐らく真希波の本体の魂の一部が入っている筈⋯⋯じゃあ零号機は誰が?他の世界でも基本零号機のコアには誰も入っていなかった。でもこの世界だと綾波のシンクロ率は他の世界と比べてかなり高い。つまりコアに誰も居ない訳がない⋯⋯ちょっとやってみるか)
探してみることにした。このコアにいる人を。様々な世界線を見たため、綾波がどう言う存在なのかはよく知っている。つまり母親がコアであることはまずあり得ない。そうなると、この世界で綾波と近い魂の持ち主は、現状1人しかいない。
「見付けた」
『アナタは誰?』
「初号機パイロットだよ〜。たぶん、君のお兄ちゃんに当たるのかな?」
『お兄ちゃんって、なに?』
「う〜ん。そうだな。君たちを守る存在の事かな?」
『そう』
「一応聞くね。君何人目?なんでここにいるの?」
『⋯⋯たぶん1人目。何で居るかは、分からない』
「そ。出たい?」
『?⋯⋯分からない』
「美味しいもの食べたいとか、本読んでみたいとか、どっかに出掛けてみたいとかって思わない?」
『⋯⋯分からない。でも、2人目の私は、楽しそうに見える』
「そっか。じゃあ全部終わったらここから出てもらうけど、問題ない?」
『⋯⋯私、ここ以外じゃ──』
「大丈夫大丈夫。その辺は解決済みだから」
そう。数日前に取り込んだアレのお陰で、たぶん諸々全部上手くいくようになっている。特別何かを行使した訳ではないが、確実にできるという確信がシンジの中にあるのだ。
『なら、出てみたい』
「そっか。ありがとう。話してくれて」
『ありがとうって、なに?』
「んん〜?感謝の言葉かな。嬉しいときに使うんだ」
『そう。じゃあ、私も、ありがとう』
少し穏やかな表情でそう言われた。少しキョトンとしたが、すぐにシンジは無言でコアの中の綾波の頭を撫でる。
『これはなに?』
「撫でてるんだよ。良い子や可愛いもの、好きな人にするんだ。⋯⋯必ずここから連れ出す。だから、もう少しの間、外にいる綾波に力を貸してあげてほしい」
『うん。分かった。頑張って、お兄ちゃん』
「ッ!?」
なにかがシンジの心臓を貫いた。最終的なシンジと零号機のシンクロ率は90%とか言うイカれた数字を叩き出し、リツコは絶叫した。
「さてと⋯⋯いい感じに種は蒔けたかな」
零号機を見あげながらそう呟くシンジに、綾波が近付いてきた。零号機はどうだったのか、何故あそこまでのシンクロ率を出せたのか、それを聞きたかったようだ。
「零号機とちょっと話をしてきただけだよ」
「零号機と?」
「うん。きっと綾波にも力を貸してくれる。だから信じてみてよ。零号機のことを」
「そう。分かったわ。ありがとう」
「どういたしまして」
こっちの綾波の頭も撫でて、この日の訓練は終了。悲鳴を上げすぎたリツコは喉がぶっ壊れたそうだ。
零号機のコアの正体は作中で言及されてませんでしたけど、個人的に考えた結果、この世界では赤木ナオコに殺された最初の綾波かな〜と思いまして、結果こうなりました。
黒波ことアヤナミレイ(仮称)が普通に好きなキャラなので、零号機内部の綾波はこの子です。最終的に綾波ツインズにしようかと。ただしヒロインにはしない!三尉ならきっと2人を養えるから!