使徒を順調に撃滅してきたNERV。全てが順調に進んでいる中、指令であるゲンドウはゼーレに呼び出されていた。
『碇。初号機及びお前の息子の覚醒が速すぎる。これでは我々の計画に支障をきたす』
『左様。全ては予言の通りに進まねばならない。しかし⋯⋯このままのペースでは準備が整わずに初号機の覚醒を迎えることになる。それはあってはならない』
「分かっております」
『ではどう対処するつもりだ?』
「初号機のエントリープラグに細工を施し、しばらくの間前線に出ることを不可能にする予定です。少なくとも次の使徒の相手をすることはできやいかと」
『やり方は任せる。これ以上、計画を乱すことのないように』
「はい。心得ております」
話し合いが終わると、誰もいなくなったドッグで早速ゲンドウは初号機のエントリープラグに細工をする。これで、少なくとも次の出撃に、初号機とシンジは出ることができなくなった。
「たまに思うんだけどさ。手軽にパワーアップとかできないのかな?」
「急にどうしたのさ」
「いやさ。使徒がぬるい連中だから特に今の私達の強さに不満はないけどさ、それでも誰かが出撃できないとかで戦力が削られたときとかに覚醒してパワーアップ!みたいなのがあれば安心して使徒殲滅できるじゃん?」
ミサトの部屋で、パイロットたちがゲームをしながらそんな雑談をしていた。確かに、それぞれの能力の高さもあるが、連携が的確に取れているお陰で高い勝率を維持しているとも言える。だからこそ誰かが欠けたときのためのパワーアップとアスカは言っているのだろう。が、そもそもA.T.フィールドを使ってイカれ散らかした戦法を確立させた張本人がなに言ってんだ?とシンジと真希波は思った。
「これ以上強くなってどうするの?アスカもう充分でしょ」
「えぇ〜。パワーアップしてギャリック砲撃ちた〜い」
「姫、地球壊す気?」
「マリ、その場合は私悪くない。壊れた地球が悪い」
「姫って実はスゴ〜く頭が悪いの?」
「なんですって〜!?」
「うにゃぁぁあ!姫やめてぇええ!!」
アスカに揉みくちゃにされている真希波を無視しながら、シンジはゲームをクリア。次に操作するキャラクターとステージを選んでいる。真希波は助けてと手を伸ばすが、巻き込まれたくないため無視した。そんな中、綾波がぽつりと1言。
「覚醒してパワーアップって、どうやるの?」
「え?どう?」
その質問に、真希波を揉みしだいていたアスカは手をとめる。そして自分のいつも持ち歩いているコレクションボックスから、1つの円盤を取り出し、プレイヤーに読み込ませた。
「私が好きなのだと、この辺りかな?」
『ご、悟飯⋯⋯俺の好きだった、自然や動物たちを、守ってやってくれ⋯⋯頼んだぞ』
『グシャッ!)⋯⋯余計なお世話だ。出来損ないめ』
『⋯⋯⋯⋯ッ!うぉあああああ!!!』
「とか。あとは⋯⋯」
『ゥオオオオオ!!!』
『ッ!⋯⋯うぅ⋯ァアアアア!!!!』
「ッ!うおおおおおお!!」
『⋯⋯この程度か』
「だったりね〜。いや〜、このシーンはいつ見ても惚れ惚れしますわ〜。大先生、そして制作スタッフの皆さん、この作品を世に生み出してくださったことに感謝いたします」
「だからって祈るなよ⋯⋯神様じゃないんだから」
「シンジ、私からしたら、原作者や声優、制作スタッフはみんな神様みたいなものよ」
目がマジだった。その後も、アスカによる覚醒パワーアップシーンの講座が続き、綾波に覚醒パワーアップはこう言うものと教えていった。
「つまり、叫んで髪型が変わって金髪や銀髪とかになる?」
「外見的にはそうだね」
「まぁ大体は、感情が一定のラインを超えて爆発した結果って感じだね」
「いやいや。他の覚醒パワーアップも沢山あるわよ。特に特撮だと夏限定だけど激しい修行の末に新たな姿になるとか、仲間たちの絆が新たな姿を生んだりとか。特撮で特に好きなのがこれね」
『GUYS,sally go!』
『G,I,G!メビウゥゥゥゥゥゥス!』
「スゥゥゥゥゥ⋯これマジ最高⋯⋯サコミズ隊長、GUYSのみんな、ありがとう」
「⋯⋯取り敢えず、昇天しかけてる姫は置いといて、あるラインを超えたら強くなるがほとんどだよ」
「あとは⋯⋯」
『ずっと思ってた⋯⋯美味そうだって⋯⋯』
『紘汰!!』
『ハムッ⋯やっぱり⋯美味い⋯⋯姉ちゃんゴメン。俺もう、姉ちゃんの手料理食えなくなっちゃった⋯⋯』
「紘汰⋯お前は⋯⋯本当に⋯⋯⋯⋯!!」
一連のやりとりに、綾波は何かを考え込む。だがこの時シンジは確信した。絶対綾波碌でもないこと考えていると。真希波はまだ手を合わせているアスカを突いて正気に戻そうとしている。
『総員第一種戦闘配置!地対空迎撃戦用意!!』
『駒ヶ岳防衛線突破!!』
地上から大量のミサイルが上空を飛ぶ使徒目掛けて絶え間なく飛んでくるが、全てA.T.フィールドに防がた。
『第1から18番装甲まで損壊!!』
「18もある特殊装甲を一瞬で⋯!?」
敵の進行速度から、ミサトはエヴァによる地上迎撃が不可能であると判断。改修が完全に終わっていない参号機はA.T.フィールド中和地点に配置し、初号機、零号機、弐号機の3機でジオフロント内部に降りてきてところを狙い撃ちにする作戦を立てた。
「3人とも!準備はいい?」
『OKよミサト!いつでも行けるわ!』
『零号機、問題なし』
『参号機も大丈夫にゃ〜』
『⋯⋯⋯⋯』
「シンジ君?」
『あのミサトさん。初号機のエントリープラグ、なんか壊れてるみたいなんですけど?』
「は?!」
『これ多分初号機の起動無理ですね』
「嘘でしょ!?整備班なにやってるの?!!」
発令所はシンジが出られないとかどう言うことだよと阿鼻叫喚である。まぁアスカと綾波で行けなくもないだろうが、シンジがいないだけで戦力は大幅に落ちる。新たな作戦や配置を考えたいがそんな時間はない。シンジを発令所に呼び戻し、戦闘は綾波とアスカが行うことになった。
「アスカ。さっき渡したアレ」
「え?あぁこのバッグ?」
「もし危なくなったら、それを開けて」
「玉手箱かなにか?」
バッグの中身に少し不安を覚えたアスカだったが、綾波が命に関わる何かを入れて渡すことはないだろうと判断し出撃。上から出てきた使徒目掛けてギャリック砲を撃ち込んだ。
「ゲ!」
『どうしたのアスカ!?』
「私のギャリック砲で全然傷ついてないんだけど!?」
『これまた嘘でしょ!?なんの冗談?!』
「だぁあもう!!シンジのスペシウム光線とか八つ裂き光輪ないとキツいかも知んない!!」
大量に周りに配置された武器を使って撃ち込んでみるが、これも効果は今ひとつ。アスカはバズーカを撃っている綾波の横でファイナルフラッシュの準備。使徒が攻撃に移る前に何としてもデカい一撃でダメージを与えたかったのだ。
「マリ!フィールドの中和どうなってるの?!」
「もう完全に中和できてるよ!多分いま来てる使徒、単純に素の力が高いんだ!生半可な攻撃は通用しないよ!」
「ならこれで!吹っ飛ばされないように退避して!」
「言われるまでもなく!」
中和可能な距離を保ちつつ、真希波は少し離れた場所へ退避。直後アスカのファイナルフラッシュが使徒に直撃した。
「これで少しは⋯⋯なっ!?レイ避けて!」
多少の傷は与えられたが、大したダメージにはなっていなかった。帯状の腕を伸ばし、零号機と弐号機に攻撃を放つ。既のところで反応したアスカがレイを突き飛ばし、幸い2機にダメージが入ることは無かった。
「⋯⋯アスカ、もう1回さっきのやって」
「大したダメージ与えられないわよ」
「私が接近して、使徒のA.T.フィールドを破壊する。そこに何でもいいから攻撃を入れて」
使徒殺しを取り出し、綾波は使徒に接近していく。時間稼ぎが必要ならと、真希波も出てきて使徒を抑えに掛かる。
「ったくあの2人⋯⋯後で覚えてなさいよ!」
相手を貫く攻撃をイメージしながらエネルギーを溜めていくアスカ。準備が完了するまで、2人が必死に使徒の攻撃をアスカに行かないようにしてくれている。
「グッ!」
「レイちゃん下がって!」
使徒殺しを折られたレイと使徒の間に真希波が入り、見様見真似のスペシウム光線を放つ。ダメージはほとんど入らなかったが、距離を取ることに成功した。
「よし!これなら姫が溜めきるまでに時間が──ッ!?」
「キャッ!!」
使徒から放たれた光線が、2人を吹っ飛ばした。トドメを刺そうと近づく使徒に、充分に溜まってはいなかったが魔貫光殺砲を発射。どうにか硬い装甲に傷を負わせられた。
「アニメみたいに上手くは行かないか⋯⋯使徒殺しは折れた。通常の火力じゃ傷を与えられない。ファイナルフラッシュや魔貫光殺砲は溜めが長い。スペシウム光線や八つ裂き光輪は私は撃てない⋯⋯こりゃ、ちょっとヤバいかも⋯⋯⋯⋯」
回収されていく零号機と参号機を見ながら、冷や汗を流すアスカ。ハッキリ言ってここまでの化け物が出てくるとは思っていなかったし、例え出てきても自分とシンジの2人が前衛、綾波と真希波が後衛で大抵の使徒はどうにかなると思っていた。
(1人じゃかなりキツいわね⋯⋯どうする。一旦引いて体勢を立て直す?特殊装甲18枚を一気に蒸発させるコイツには無意味。ダメージ覚悟でファイナルフラッシュか魔貫光殺砲⋯⋯無理破壊される。接近しながらギャリック砲を当て続けて、ゼロ距離で爆破⋯⋯これが1番現実的ね。こんなとき、アニメみたいに覚醒できれば⋯⋯いやでもやるしか!)
ギャリック砲の構えを取った瞬間、発令所から通信が入った。三尉こ声だ。
『アスカ、直前にレイちゃんが渡したバッグの中を見てくれ』
「は?!こんな時に!?」
『こんな時だからだ。正直、なんであんな事させられたのか今でも納得できないけど、レイちゃんはアスカが覚醒すると思ってるみたいだから、それにやるだけの価値はある。じゃ!』
通信が切れた。何事と思い、使徒の攻撃を回避しながら、言われた通りレイから渡されたバッグを開けた。そこに入っていたものは⋯⋯
「なっ!⋯⋯こ、これはぁ!!レイのブラとパンツゥウ!!」
なんで一瞬で分かったんだよとツッコミたくなったが、真実を知るのが怖いため発令所の全員は口を塞いだ。
「それに⋯⋯ッ!三尉の⋯生着替え写真!!しかも盗撮っぽい角度で撮られてるエッチなヤツ!!」
あぁ。そう言うことか。と、アスカの保護者である佐藤三尉に哀れみの視線が向けられる。その写真を撮ったであろう綾波の保護者の山本三尉は、慰謝料いくら払えばいいか本気で悩んだ。
「山本三尉の写真も⋯⋯綺麗な身体してるわね」
『俺の写真まで!?』
「シンジにマリのまで!?レイ、ありがとう。この貴重品は我が家の家宝にするわ⋯⋯⋯⋯ん?1時間おっぱい揉み放題券!?いつも20分なのに?!しかも10枚!え?ここに書かれてる人には許可済み?!これは⋯⋯これはアア!フォオオオオオ!!気分はエクスタシー!!!クロス・アウッ!!」
『アスカのシンクロ率が異常に上昇しています!と言うか弐号機を飲み込んでいってます!!』
『はぁあ?!!』
本当に覚醒してしまった。喜べばいいのか嘆けばいいのか、発令所に戻ってきたシンジはこれを見て、取り敢えず頭を抱えた。そしてアスカと綾波が帰ってきたら説教しようと心に決めた。
ジリジリと腰を揺らしながら捻り寄ってくる弐号機に、帯状の腕を伸ばして貫こうとしたが、異常なスピードで上空に跳びそれを回避。落下の加速で威力を増した蹴りをぶつけた。
「フフフフ⋯⋯今の私には、アンタのご自慢の装甲も紙同然ね」
A.T.フィールドをまとったわけでもない普通の蹴りが、使徒の身体を大きく削った。再び腕を伸ばし、今度は弐号機を拘束。腕ごと光線で焼き払ったが、弐号機には傷1つつかなかった。
「今の私にぃ!アンタはぁ!勝てないのよ!!砕け散れ!!」
気合で腕を引き千切り、上空へと蹴り上げた。多重にA.T.フィールドを展開し、弐号機を物量で潰そうとしたが、覚醒したアスカのギャリック砲に展開したフィールドは全て粉々に砕かれた。急いでコアを守るためにシールドで塞いだが、当然今さらそんな物で防げるはずもなく、アスカの宣言通りに使徒は砕け散った。
「ふぅ⋯⋯レイ〜、三尉〜。ご褒美期待してるね〜」
(これは色々と酷いな〜)
プラグスーツ姿でパンツを被る女子中学生の姿は、かなり酷いものだったと、後にシンジは語った。
そして戻ってきたアスカは早速綾波と佐藤三尉を拉致。部屋に鍵を掛けて目一杯堪能してきた。翌日、妙に肌が艶々したアスカと、げっそりカサカサになった綾波と佐藤三尉の姿が確認されたそうだ。