「そんな訳で!シンちゃんとレイには休暇を過ごしてもらいます!ついでに私と三尉も有給です!」
朝からシンジはミサトに連れられて、綾波と三尉のいるマンションへ連れていかれた。そして三尉の部屋に入るやいなや、家主の三尉、綾波、シンジを部屋の中心に座らせそう宣言した。
「パイロット同士親睦を深める必要もあるし、三尉も働き詰め、私は3人の監督。そんな訳で!海に行きましょう」
どこからかパラソルと浮き輪を取り出し、海へ行くことを提案する。やけにテンションが高いミサトの姿に、シンジも三尉も冷ややかな視線を向ける。綾波は首を傾げていた。
「あの、葛城さん。あなた少し前の作戦でやらかして、シンジ君にぶん殴られてましたよね?顔に青アザ残ってますし」
三尉の言う通り、ミサトの顔には青アザが残っていた。強烈な拳でぶっ飛んだのを発令所で見ていた全員は、碇シンジの凄まじさを理解している。だからこそ今回のミサトの行動は、三尉からしたら何言ってるんだコイツ案件だ。
「あの、今日平日ですよね?」
「そうね。平日よ」
「頭大丈夫ですか?」
「シンちゃん、お願いだから、可哀想なものを見る目を向けないで?……興奮しちゃうでしょ」
「レイ見ちゃダメだ。君の教育に悪い」
シンジは呆れ、三尉は綾波の目を手で覆い隠す。ミサトとしては軽いジョークと言うか、緊張を解すためのお巫山戯のつもりだったが、ガチの拒絶をされたことに凹んでしまった。
「それで、何故海に?」
目を覆われた綾波が、ミサトにもっともな疑問をぶつけた。嬉しそうによくぞ聞いてくれたと目を輝かせる。理由は、休みの日のバカンスと言えば海だから、と言う単純な物だった。深い理由とかは何もなかった。
「今5月ですよ?まぁ確かに、地軸ずれてから夏しかないですけど……風情もへったくれも無いですよ」
「そう言いながら、朝から素麺食べてるアンタに言われたくないわよ。朝なんだから栄養あるもの食べなさい」
「レンチン以外できないアナタに言われても……」
「なんか文句でも?」
「……ありません」
「よろしい。じゃ、荷物運び込むわよ~」
荷物の搬入のために、三尉は荷物を持ち下の駐車場へと向かう。そこにあったのは、いつものミサトの車ではなく荷物が沢山はいるワンボックス。恐らくレンタカーだろう。トランクにミサトが部屋で出した道具と、必要になりそうな私物を詰め込んでいく。
「シンジ君水着は?」
「一応買ってあるのがあります。三尉は?」
「ボクは……まぁ昔のがあるから大丈夫さ。体型は変わってないから」
「そうなんですね。綾波さんのは?」
「いきなりだったから、買ってないんだよね。事前に言われてれば買ったのに……」
項垂れながら、こうなる前に買っておけば良かったと後悔した。とは言え、綾波も年頃の女の子。水着の1着や2着は持っている筈と、荷物を詰め込みながら祈った。
「さぁて、詰め込み終わったわね。じゃあ行きましょう!」
ミサトの運転で、新熱海海水浴場に到着。セカンドインパクト後にできた海水浴場で、懐かしの海の家なんかも建てられている。
「わ~。海なんて初めて来ましたよ」
「私も」
「まぁ、遠いもんね。第3新東京市から」
「普通は電車乗り継ぐものね~」
シンジと綾波は初めてのようだ。三尉の案内で2人は更衣室へ向かい水着へ着替える。綾波がその場で着替えようとしたときは全員で全力で止めた。
「ちょっと三尉。レイへの教育はどうなってんのよ」
「あの子たまにぶっ飛んだ行動とるんですよ……ボクの予想も付かないような……今日のはまだマシな方の行動です。ホムンクルスを作ろうとしてたアレよりはマシなんです。ホント、アレよりは……」
「なんか知らないけど、お疲れ」
これ以上つつくのは藪蛇と思ったのか、話を切り上げ自分達も水着へ着替える。ものすごく気になる話なのに、詳しく聞けないのは残念だ。
さっさと水着に着替えた三尉は、パラソルを突き立てて3人を待った。自分が早いのか周りが遅いのか、取り敢えず他が来るまでパラソルの影でぽけーと待つ。
「すいません三尉。待たせちゃったみたいで」
「あぁ~シンジくん。大丈夫だよ。なんかあった?」
「綾波さんがナンパされてて、それをミサトさんが追っ払ってたんですけど、しつこくて」
「そっか。まぁあの2人なら……あれ?2人は?」
「まだナンパされてます。面倒だったんで置いてきました」
「シンジくん、ちょっとここにお願いね」
「分かりました」
そう言って、2人がナンパされているであろう更衣室付近へと走っていく。見付けるとすぐに間に割って入り、宥めながら穏便にアイアンクローで説得しお引き取り頂いた。
「良かった……上司が問題起こす前に引き取って貰えて本当に良かった……銃とか出てくる前で本当に良かったぁ~。立場ある人間が民間人相手とか、ボクが赤木博士からドヤされる……」
「心の底から安堵したような顔してるけど、あなたも立場ある人間なのよ?三尉」
「あれがアイアンクロー。私も覚えたい」
三尉=脳筋。そんなこんなでパラソルの元へと戻ってきた三尉達だったが、着いてすぐ目の前の光景に唖然とした。僅か数分の間にシンジが何故かハーレム空間を作っていたのである。
「し、シンジくん。なにこれ?」
「おかえりなさい三尉。いや~、お姉さん達に色々奢って貰っちゃって」
「こんなに可愛いボウヤと遊べるなんて……仕事サボった甲斐があったわ~」
「シンジくん、こちらもどうぞ」
「この後一緒に私たちの部屋に来ない?」
「え?良いんですか?一夏の思い出作っちゃっても良い感じですか?」
「勿論よ~」
「ダメです!お引き取りください!」
「「「えぇ~」」」
「えぇ~じゃありません!彼まだ中学生なんですから」
「食べ頃じゃない」
「食われるの間違いだろ……兎に角、子供の教育に悪いので、早く帰ってください」
全員と連絡先を交換し、ちょっとした写真も撮ってお引き取り頂いた。休暇の筈なのに三尉の疲れがどんどん溜まっていく。不思議だ。
「さっきの人たちはアイアンクローしなくて良いの?」
「葛城さんと赤木博士は別に良いけど、女の子とかにしちゃダメだからね」
「後でリツコに言ったろ~。そんなことより、やっぱりここに来たらビールよねぇえ!!」
「あんた帰りの運転どうするつもりだ!!」
綾波の水着姿に感想を言う暇もなく、休んで疲れをとるどころが、逆に疲れが溜まる1日を過ごした。途中綾波が海の家で買ってきてくれた色々な物を食べていたが、何処にでも沸いて出てくる綾波にナンパしてくる連中のお陰で、味が分からなかったのは言うまでもない。
この日の収穫は、綾波とシンジが仲良くなってくれたことくらいだ。
「と言うわけで三尉、帰りの運転はお願いね!グゴォォオ!!」
助手席に座るや否や、一瞬で眠りについた。綾波も泳いだりで疲れたのか、後部座席でウトウト。シンジも少し疲れた感じがある。
(この人、いつか何かしらの理由で減給とかされてくんないかな~。上司がこれとか、どんな罰ゲームだよ)
シンジを強くし過ぎました。ヤシマ作戦消滅させると綾波との接点も消滅することを普通に忘れてましたね。
海の設定はアニメ版に近しいものになっています。アニメ版だと、まだ海が青いそうなので海水浴できる設定です。……あれ?ミサトさんって海苦手じゃなかったっけ?
次回はアスカの登場ですね。アニメ版にするか新劇場版にするか……悩ましいところです。個人的には式波の方が好みなんですよね。文字に簡単なので。