魔族に生まれたが色んな魔法使いたいだろ? 作:王道の展開にニチャつく者
勇者ヒンメルの死から70年と少し前…正確にいえば魔王城討ち入りの数年後。
場所は中央諸国グレーゼ森林。
勇者ヒンメルは年に一度この地に封印されている大魔族、腐敗の賢老クヴァールの様子を見に来ていた。厳密には封印の安否の確認だ。
魔王を打ち倒してから一度も欠かさずに見回っているこの封印だがヒンメルは石像化した
クヴァールを見ながら一つ不可解な事に気づいていた。
「さて、今回こそ種が分かればいいんだけど」
ヒンメルの頭にあったのは石化したクヴァールそのものが
クヴァールを封印した際にフリーレンは魔法の一部に清潔化などの魔法を加えてはいない。
フリーレンの性格的にも魔法の効率的にも無駄だからだ。
だからクヴァールは時がたつにつれ汚れる筈だった。だが現実は違う。
毎度くるたび必ず、程度の大小はあれど綺麗だった。誰かが掃除しているのだ。
いつ解き放たれるかも分からん大魔族に近づくばかりか清掃が原因で封印そのものに
支障が出てはマズイ。
村の村民たちからの聞いた話ではクヴァールに近づこうなんて考える奴はいなかったので
外部の何か、もしくはクヴァールに目的がある同族かの2択ではとヒンメルはアタリを
付けていた。
そして
「やっぱりか。」
「むぅ、鉢合わせるとは不覚。」
今回ヒンメルは件の犯人、
無意識に剣を抜くヒンメルだが早々に両手を上げて戦闘意思を否定するドルファディロムに
ヒンメルは一応会話を試みた。
「君とは魔王城で合って以来かな?何をしてるんだい?」
「みての通り、苔をとり布で拭いている。」
以前城で出くわした時ヒンメルはドルファディロムの事を問いただせばその分口を利く奴だと
認識した。魔族の中でも取り分け変わり者である事は歴史が証明していた。強いて言えば質問の
意図を分かった上で表面上の答えしかしないケースが多いのが会話の難しさを作っているのだが。
「ホコリを取るなら軽く濡らしたほうがいい。それと僕が言いたいのは君が掃除をして何の利益が
君にあるかって事だ。」
「利益が無いと行動してはいけないという掟は魔族には無い。やりたいようにするのが我らだ。」
無償の施し?あり得ない。魔族は人じゃない。人に似た行いはできてもソレの本質には届かない。
したいから掃除するなんて道理、通ったとしても魔族としてはあり得る事はない。そこで一つ
ヒンメルはカマを掛けた。
「我ら。ソレは魔族の事じゃないだろ。」
「……そうと言ったら?」
クヴァールの膝を拭くドルファディロムが一瞬硬直し掃除を辞めてヒンメルに顔を向ける。
「何でお前が魔王に従属してたのかって話になるよ。」
「ふむ。……」
軽く手をアゴに当てたドルファディロムは収納していた折り畳みイスを二つだして腰を掛けた。
「有象無象なら吐いて捨てるべきだが…勇者ヒンメルならば…他言せぬなら話せん事もない、
何をどこまで知りたい?」
そこから30分語られる歴史の真実やドルファディロムの目的、ドルファ自身の裏にいる者
の動き等など余りにも軽口で話された。そしてヒンメルの答えは
「傍迷惑な外野が俺達の奇跡を楽しんでる。そう捉えていいんだな?」
「否定はせんし肯定も出来ん。」
自分たちを伽話の登場人物として傍観して楽しんでる奴がいるという不愉快は
口で語れる物ではなくより面白くなるよう外から着色してくる始末、傍迷惑この上ない。
だが表舞台に出てこない以上こちらからアクションを取る事も出来ない。
歯がゆい思いにヒンメルは歯を食いいばった。
「分かった。色々と言いたい事はあるけど他言はしない。勿論フリーレン達にもだ。」
「その方がよいだろう。話すなら貴様を切らねばならんし小言を聞かねばならんのでな。」
「よし…じゃあ始めるか。」
「?」
思い立ったようにイスから立ち上がるヒンメルにドルファディロムが何を?といった顔を向ける。
「掃除してるんだろ?俺も手伝うよ。」
「悪いが断る。魔法の構造も分からん奴に触れられて封印に支障が出ては困るのだ。」
「お前たち的には封印が解けた方が好都合じゃないか。」
至極当然の事を聞くヒンメルにドルファディロムは先に話した事の中身について一つふれた。
「魔法とは技術の結晶であり同じ魔法を使ったとて個人差が出ると先ほどいったな?フリーレンの
コレは他の魔法使いのソレに比べて精密で重点の補則もしっかりできている。有り体に言えば綺麗
な魔法なのだ。見ていて
解けるのは忍びない。」
「まだみていたいって事か。分かった…じゃあまた来年くるよ。それまでに封印が解けないようにくるけどね。」
「これだけの魔法そうそう解けんし、触れさせるものか。それにコレは私の物…いやコレは
だいぶ未来の話か。」
「?」
踵を返しクヴァールのもとをさろうとするヒンメルにドルファディロムが思い出したように
声を掛けた、一応魔族と人間がカチ合った訳だから体裁的に戦うかどうかの問いかけだった。
「クヴァールの封印を解きに来た魔族を退けた。そういった口伝がある方がお前たち人間的には
良いのだろう?どうだ?」
「仮にも天下の勇者様だからね、武勇伝より優男っぽい話のほうが好みかな。」
そうか、そうひとつ口ずさみイスから立ち上がったドルファディロムは再びクヴァールを拭き始めた。宙に浮いた手でヒンメルにしっしと手を振って。
「超獣…難儀だな。」
村に戻る傍ら一人ごちるヒンメルだった。
ヒンメルが返ってから数時間後、目や爪などの細かい部分の処理に移っていたドルファディロム。
布を黒く染まり足元にはコケ山が小さいながら出来ていた。
「少し水で濡らすだったか、どれ。」
そんな時だった。
「魔族の小僧がココに何用だ。ここは聖地、歳幾ばくかもいかん奴が寄るべき場所ではないぞ。」
「お初におめにかかります、私の名は『次は首か心臓を突く、要件はなんだ?』…!?」
名前などどうでもよい、ドルファディロムは魔王城で常々そう口ずさんでいた。
城内に出入りしていた者でソレを知らん奴はいない、逆に言えば知らないやつは新参の魔族か
城外で誰かの下についていた魔族、つまり魔王の意に反した愚か者たちだ。そんな輩の事を
少なくも上辺とはいえ魔王に忠義を尽くしたドルファディロムは許さない。
知らない事は罪でありドルファディロムに相対する上では詰みなのだ。
「クッ…七崩賢が一人断頭台のアウラ様の命でクヴァール様を探しだし解放せよと…」
「ふむ、アレの木っ端ならば無碍にはできんな。腕は元に戻してやろう。」
後にリュグナーと呼ばれる魔族の千切れた左腕が光を発すると肩とくっつき血液特有の
汚い音と共に元の姿へ戻っていった。
「…感謝します。これが彼の賢老クヴァール様…封印されて尚感じる魔力の残滓、凄まじい」
「お前では、お前の主でも勝てんぞ?力が全ての魔族が格上を解放して何になる?」
「すべてはアウラ様のみが知る所です。」
「ならばリュグナーこう伝えろ、封印の鍵はこのドルファディロム、お前がこいとな。」
「私をご存じとは恐縮です。アウラ様から聞いたのですか?」
「必要な知識の一つにお前があっただけだ。それと…」
宙に浮いた手にある布を光の剣に持ち替えリュグナーを包囲する、彼の背中に滞留する槍状の血を
重点的に。
「主の命を守ろうとするのは良いが愚直にも程があるな。必要なら食い下がれとでも言われていたか?」
「これは…何を?」
「とぼける必要はない。私は不遜な格下は一度躾けをする
お前も肉だるまになりたいなら歓迎するが…矛を収めると良い。今なら
何も無かった事にしてやらんこともない。」
逡巡したリュグナーの背中から血が地面に落ちる。魔法を解除した証拠だ。
「アウラ様の命に下手に逆らえば命が危ういので致し方無く、お許しを。」
「いいだろう。」
そういってドルファディロムはリュグナーにちかづきその手で角の片方をもぎ取り再生させた後
胸に向かって刻印を刻んだ。
「一つ、ここで起きた一切を話せぬよう施した。二つ、お前の魔法を頂く、これで等価とする。」
「ッゥ!?!?!?(コイツ!?)…かしこまりました。では私はこれにて。」
「色々苦労するだろうが私が相手と知ればアウラも頷くだろう。ではいけ。」
封印解放までの数十年、誰にも触れさせてなるものか。クヴァールは私がもらうのだ。
ドルファディロムのクヴァールへの執着は欲しい物をせがむ子供のソレ、ワガママの一つくらい良いよと言われたからそのワガママを通し切るのにリソースを割いているだけです。
やっぱり封印ぶっこわして?とか言われたら普通に中身ごと壊します。
魔王討伐後の10年やそこらでフリーレンはゾルトラークを習得できるのか
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葬送のフリーレンやぞいけるいける!
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エルフにとって新しい魔法だし厳しいでしょ