魔族に生まれたが色んな魔法使いたいだろ? 作:王道の展開にニチャつく者
日が登り切った正午、ついにフリーレンが動く。フェルンの魔力が溜り切ったのだ。
封印から解き放たれたクヴァールを首を回したり腕の感覚を確認したりしながら
改めてフリーレンに戦意を問いた。
「此度はあのヒンメルや戦士のような前衛はおらん。それでもワシと戦うか?」
「私が知るお前は今が一番弱いからね。殺せるときに殺しとかないと。」
「道理だな。ワシも同条件ならそうするだろう。これ以上は無粋か…」
「では―――いくぞ?」
上げた右腕、手を彼女らにかざしさもそれが当然であるように殺意を込めた口角の上がった声で
自らの存在を証明する。
「
「フェルン―――」
洗練された魔力が史上初の性質を持って二人に迫る。発射音にかき消されているがフリーレンが
何かを指示した。とはいえ策を弄した所でゾルトラークは貫通魔法、着弾の煙が
二人の死を約束してくれる―――本来ならば。
「ほぉ…これは驚いた、ワシの魔法を防ぐか。
約束された死は真逆の結果で論破され思わずクヴァールは驚嘆の声を上げた。そして同時に
彼のにやけ顔に拍車がかかった。
「随分と複雑な術式のようじゃのぅ(…ん?)…対ゾルトラーク特化の防御、嫌違うな。」
展開された防御をマジマジと見ながら思考するクヴァールを横目にフェルンはフリーレンに
戸惑いの顔を向ける。事前からいかにも最強!といった魔法の説明をこれでもかとされている為
想像と結果の乖離があるのだ。
「フリーレン様これは…今のは
「ゾルトラーク、それが一般攻撃魔法の本来の名前だよ。」
「一般…か。」
一歩前に出たフリーレンがクヴァールを封印し魔王を討ちとった後の話を説明した。
対クヴァールもとい魔族を想定し大陸中の魔法使いがゾルトラークを解析・研究した事
それに伴い防御魔法の強度が飛躍的に上がった事。フェルンの言う通りこの80年で
クヴァールをゾルトラークは一般攻撃魔法と呼ばれるまでに周知されている事。
もはやお前の魔法はおまえだけの物ではないのだと。
口元に指をあてながらそれを聞くクヴァールにフリーレンは先刻する。
「足掻いて死ぬか、楽に死ぬか。二つに一つだよ。」
「………フム。」
死刑宣告を聞いたクヴァールの顔は相も変わらずにやけていた。元々にやけ顔なのはそうだが
あからさまに嘲笑の顔だった。
「………
「「!?」」
空気が戦慄する。これだ。これが賢老クヴァールが賢老たる所以だ。
長命種ゆえに封印されてからの80年やそこらなど瞬きに等しい。
そしてクヴァールはそのまばたきを今、ここで証明した。
等しいのでは無く、事実まばたきなのだと。
「成程のぅ。攻撃魔法に同調し分散・無効化する仕組みか。複雑怪奇じゃが理解出来れば
どうという事もないのぅ。して―――」
腰まで上げた左手で構築した防御魔法を見せるようにクヴァールは遠方に座るソレに体を向けた。
「予定調和…か。ならば―――」
「…!!(シュラハトめ、余計な真似を…)」
クヴァールの懐から指にはめられた指輪。刹那、クヴァールの魔力が体から溢れる。
魔力がスッカラかんになるまで長時間戦闘する事など基本的に魔族にはあり得ない事だ。
だからこそコレは魔族にとってはなんの意味もないただの鉄の輪っかでしかない。
ただ1体、シュラハトという例外を除けば。
「これで一先ず防御魔法分の魔力は見繕えたかのぅ?見た所、術式上魔力の消費も激しいようだし
これくらいあれば問題なかろう。」
「コイツ…」
「さぁフリーレンとその弟子、続きといくぞ!」
「フェルン、防御は出来るよね?」
「はい、もう大丈夫です。」
「
四方八方から二人を襲うゾルトラークを的確にピンポイントで防御するフェルンと
堂々と魔力を一か所に集めるフリーレンを見ながらクヴァールが笑う。
「カッカッカ!合理的だのぅ!確かに対ゾルトラークならそう使うのが正しい防御よな!!
それも
感情を隠す気もなく高らかに笑うクヴァール。発せられた頭上からの6本のゾルトラークを
二人は飛び退け必要な分だけを防御する。
「飛行魔法、人類の進歩は目覚ましいものだ!よかろう!ワシも付き合うとするか!」
戦闘領域を空に移し時間差・360度全面攻撃・一列掃射などなどあの手この手でゾルトラークを
縦横無尽に動かすクヴァールの練度はまさに最初のゾルトラーク使いだけあって洗練されていた。
「(…ここ)
「(避けられんか)…
弾幕を弾幕で相殺し細く圧縮したゾルトラークでクヴァールのゾルトラークを縫い打つ。
周囲を巡回するように変化したゾルトラークがフリーレンの圧縮ゾルトラークを壊す最中
「まぁ私はソレでいい。」
「(いない!?)上『遅いよ。』か!」
「
弾幕射撃を隠れ蓑に上昇したフェルンによる速度と威力に特化した一撃。
「カッカッカ!何とも便利な防御じゃな!展開速度が速くて助かるわ!」
それを間一髪極厚の防御でピンポイントガード。そして
「……」
驚きもしない。疑問にも思わない。目の前の魔族を撃ち殺す。フェルンはただそれだけだ。
だから同じモノをガトリングのようにクヴァールに浴びせる事に専念した。
「ヌゥ、覚えたての子供じゃあるまい…(だがこれが最適解なのは事実じゃな。)!」
これは2vs1の戦い。当然クヴァールが防戦一方になればフリーレンがノーマークになる。
「……これで終わらせる。」
天に浮かぶ4つの魔法陣、種類は
束ねて大きく・強く・早く・追いつく。ただ一つ特別な術式を追加する以外の可能性を全て捨て
ありったけをゾルトラークの基本性質に振り切る。
―――昨日お前の魔力を封印を介して徹底的に解析した。コレはお前を殺す為のゾルトラーク…
嫌、もうゾルトラークじゃないか。
「(この魔力!!)しまッ!?―――」
「
指輪
正式名は蓄魔の
持ち主の魔力を溜め込み指に嵌めた時に魔力を戻すだけの魔道具。一応ドルファディロム考案だが作中通り「魔族が魔力切れになる事があるのか?」という点から廃棄された物をシュラハトが
ドルファの目を盗んで手に入れ魔力切れ時の補給具ではなく瞬間的な魔力量のブースト手段として
クヴァールに与えていた物。尚実際は正規の運用がされた。
対クヴァール特化ゾルトラークともいうべき魔法。クヴァールの魔力のみに強烈に反応し猛追尾
着弾対象の持つ魔力を内側から暴発させ対象の構築した魔法・構築中の魔法の一切を破壊する。
極化されたその性能は貫通性・速度・サイズ・出力は当然として
構築されている為、仮に防御するなら極厚の防御魔法を同じ射線に4枚必須という
一度ふせいでも無意味な初見性能こそがこの魔法のミソ。
ただし大サイズのゾルトラークを4発も作らねばいけないので時間もかかるし魔力もドカ食い、
なのでゾルトラークとはある意味正反対の魔法と言える。
余談だがそもそもゾルトヴァーレスという名前自体あの場でフリーレンが感情のままに口に出したものなのでもっとそれっぽい名前になる可能性もある。
魔王討伐後の10年やそこらでフリーレンはゾルトラークを習得できるのか
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葬送のフリーレンやぞいけるいける!
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エルフにとって新しい魔法だし厳しいでしょ