魔族に生まれたが色んな魔法使いたいだろ?   作:王道の展開にニチャつく者

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言いがかり

勇者ヒンメルの死より29年後、北側諸国キュール地方 魔法都市オイサースト。

大陸北部支部 魔法協会の一室にて

 

 

「ねぇ頼むよゼーリエ~」

「断る。」

「ゼーリエ~」

「ひっつくなうっとおしい!」

「ケチ臭い事言わないでさぁ~!!」

 

毎度の如く(だる)絡みしているプレイヤーと滅茶苦茶嫌そうな顔をしたゼーリエがそこにあった。

 

1級魔法認定試験。

大陸魔法協会が3年に1度行う試験があと3か月を迫った今日日、プレイヤーはニヤケ顔で

魔法協会の中にあるゼーリエが鎮座する玉座にフラっと現れた。

 

「試験は然るべき弟子に一任していると何度言えば分かる!」

「でもここ数回の試験ぬるいじゃん!」

「……死人を出しては試験もクソもないだろうが。」

 

ゼーリエ自身、ここ15年程の1級試験の内容が以前に比べて簡単になっている気はしていた。

理由は弟子の一人、レルネンの性格にあった。

実力に反し臆病故に試験内容に死の直面が来ないよう無意識に試験内容を組んでいたのだ。

 

 

 

「時代が変わったとはいえヌルいよ。俺達魔法使いってのは()()じゃないでしょ?」

「……」

「魔法という一つの道の為にどこまでも突き進む。それが魔法使いでしょうが。その極地にいるような俺達が…お前が頭を張っておきながらこの体たらくは苦言を呈さざるを得ないよ?」

 

「失礼、口を挟む事をお許し下さい。」

 

壁際からずいっと身を乗り出した初老の男がプレイヤーの正面に立つ。

 

「レルネン…」

 

「1級試験は基本的に3次試験まで行います。十分振るいかけられていると私は思います。ですがアナタはそうは思わない、そういう事ですね?」

 

「そうだよ。1次で落ちるべき奴が2次に残る。2次で落ちるべき奴が3次に残る。そうして

3次に残る奴が多くなっていく。判定が甘いんだよ。」

 

「…では3次担当である私と貴方で勝負し、勝った方の内容で試験を行うというのは?」

「レルネン馬鹿な真似は辞めろ、適当にあしらえば済む話だぞ?」

 

「ゼーリエ様。これは私のささやかなプライドの問題なのです。人を見る目がないと面と向かって言われて黙っていられるほど私の器は大きくありません。」

 

「らしいよゼーリエ、俺は別にコレに文句を言った覚えはないけど喧嘩売られて買わない訳にも

行かないしいいよね?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

オイサースト郊外、魔法協会私有地の丘。

 

「レルネンさん始めに聞いておきたいんだけどさぁ。」

「はて、何か?」

「死なないならそれでいいけど殺していい?加減が()()()()()からさ」

「魔法とは元来、そうあった物です。お好きなように。」

「ありがと♪さてと…」

 

プレイヤーのポケットから取り出された金貨が親指の上に乗って弾かれ天を舞う。

 

「落ちたらスタートね。」

 

そよ風に遊ばれユラユラと舞う金貨。やがてソレは地に落ちる。そして―――

 

一般攻撃魔法(ゾルトラーク)。」

人を殺す魔法(ゾルトラーク)!」

 

火蓋を切るのはゾルトラーク同士の飽和射撃とそれを防ぐ防御魔法。

流石にゼーリエが今の協会を建てて最初に仕上げた1級魔法師だけあるのだろう

その練度も技術も卓越していた。

 

「火力は俺が上だけど撃ち負けないのは()()だね!?いい発想だ!」

「伊達に1級ではありませんから!」

「じゃあ…反射+再集約+射速上昇♪」

「!!」

 

レルネンの打ったゾルトラークをゾルトラークで相殺し、霧散する魔力で倍数のゾルトラークを

精製、反射板のような物体でゾルトラークを動かしレルネンを取り囲む。

 

「早めに逃げなよ~?」

「(視界確保の為か前には隙間がある…)御忠告ありがとうございます」

 

飛行魔法でゾルトラークを交わしながらプレイヤーに向かってゾルトラークを放つ。

相殺しても再び構築されてその内相殺しきれなくなる以上、これが最適だ。

だがその最適はレルネンがプレイヤーを視認できているのが前提である。

 

「分身+透明化+気配遮断+魔力隠蔽+幻覚」

「(消えたのは5…いや6…見えているのは3…)随分と多くの魔法を使う…器用ですね」

 

「ゾルトラークによる面制圧が魔法戦闘における回答の一つなのがこの時代だけどさ、

俺ゼーリエよりババアだから色んな魔法使って戦うほうが楽しいんだよね~」

 

散ったゾルトラークを再構築してレルネンを動かさないように徹底するプレイヤー。

その包囲は段々と狭まっている。

 

「さて、ゾルトラークの打ち合いもいいけど味変味変」

 

杖を背中に背負って右手をかざす。

 

「死にたくないなら防御しなよ~?(鉄粒精製+光塵)ぶっ(+魔力刃+放出)(+慣性強化+貫通)!!」

 

「クッ!?」

 

咄嗟にレルネンは何層にも防御魔法を重ねたがその防御はまるで紙クズかのように簡単に綻び

霧散した魔力はゾルトラークとなっていくつものエネルギー波ととにレルネンを真上から穿った。

周囲の木々がいともたやすく塵と化し土埃として周囲を隠す。

 

「(横たわってるかな?)空間隔離+温煙+気温上昇+気体操作(干し肉燻製コンボ)!2番5番は近接強化、1番3番索敵防御*1

 

「「近接強化セット(腕力強化+高摩擦+加速)りょうかい、いつでもどうぞ~!」

「1番感知5種、円半径20メートル!」

「同じく3番、多層防護起動済み。」

 

茶色い煙が簡易的に作られた結界の中を埋め尽くす。本来サウナ程度の暖かい煙は気温上昇の影響を強くうけ肺を焼きかねないレベルへ引き上げられていた。

 

「魔力の起こりが消えた…不意打ち狙いかな?マギラデモリシュ~」

 

煙幕をけして横たわるレルネンを確認したプレイヤーは意気揚々と近づき―――

 

「ゾルトラーク!!」

 

「うおあっぶね!!すごいねぇ!臆病さも使いよう、俺より気配遮断上手いじゃん!」

 

皮一枚ゾルトラークで擦り傷を作りながらレルネンの腕を掴んだプレイヤーはかつてゼーリエに

汚点と称されたソレを行使した。

 

魔力吸収(詰みだよ)。」

「ま…だ!!」

だから詰みだって(衝撃集約+反転)。」

 

魔力を奪われながら衝撃波を打ち込むも威力そのままに打ち返されるレルネン。

しかし同時に今は自分を囮としてプレイヤーを釘付けに出来ている。だからこそ―――

 

裁きの光を放つ魔法(カタストラーヴィア)!!」

「(探知外の遠隔発動かい!)分身からの速度特化、躱せないねぇ…」

 

背後から迫る無数の光矢がプレイヤーに向かって襲い掛かると同時に甲高い反射音を立てて

光の矢はあちこちに飛び散っていった。

この戦いを見ていたゼーリエもこの時は流石に驚いたという。

 

「まさか…それは!?」

()()()()()。知らないとは言わせないよ?」

 

ブルグ1級魔法使い。

あらゆる攻撃を通さない超防御特化の術式がふんだんに込められた外套を精製し身に纏う事で有名

なゼーリエお抱えの一人。そして本来死ぬべきだった男。その男の得意を我が物顔で使う目の前のダークエルフの実力は如何ほどなのか分からぬほどレルネンは老いていなかった。

だがコレはプライドの戦い、負けを認めれば己の目が曇っていた事の公定となる。

 

「だとしても!」

 

そういってレルネンは残りの魔力で撃ったゾルトラークをプレイヤーの顔と又下に向かって放つ。

不動の外套は確かに無敵の防御力を誇るが例外もあれば突破方法は存在する。

 

外套を着こめば確かに攻撃は食らわない。だがそれは敵の攻撃が外套に当たった場合であって

外套の発動者に攻撃が当たった時ではない。外套が如何に無敵であろうが術者の肉体が無敵になる訳ではないのだ。

 

加えてプレイヤーが展開する今の外套は本職のブルグ1級より腰から下が短い*2為下からの攻撃を

防ぐことは難しい。一瞬の思考と判断で可能性を取りにいったレルネンのそれはまさしく始まりの1級に相応しいものであった。

 

くどい!(オーバーホール)!」

「脆くなったら」

「俺らが斬るって訳!!」

 

かがみながら半歩さがり外套にゾルトラークが当たるよう調整、再度接近したプレイヤーの右手が

レルネンの胸を分解、背後の分身が背中を手刀で切り裂いた。

 

(2と5、4に強化)

「「瞬発力強化+膂力増強+衝撃集約」」

「これでKOだよ!鋼の拳で殴る魔法(コメットパンチ)!!」

 

殺していいかと聞いたからにはちゃんと殺さないと反故になる。たまには約束まもんなきゃね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

奴は巨木にめり込んだレルネンを剥がし再構築と蘇生呪文をかけ始めた。何をするのかと思えば

降参の意志を聞いていた。勝負を売った相手に自分の負けだとわざわざ言わせる意地の悪さ。

だから戦わせたくなかった。彼の自身が崩れて欲しく無かったから。

 

 

 

「よし、レルネンさんも治ったし戻ろっか!流石に服は無理だからソコはごめんね?」

 

「(コレが古の英傑、ゼーリエ様の友の力…)蘇生させて頂いただけで十分です。ゼーリエ様も

審判をして頂き感謝します。」

 

「…プレイヤー、次は私だ。仇を取らせてもらおうか。」

「嫌だね。今レルネンさんと戦ってバテてるしお断りしま~す」

 

「そういうと…」

「ん、おい待てってやらないって言った『思っていたぁ!!』どぉわぁ!?」

 

こちらの静止も聞かずに極太ゾルトラークを全方位射撃してくるゼーリエ。

一本ごとに含まれる魔力の多さもやばいが何より魔法解体耐性の付与のダルさと来たら…

それに第一なんでキレてんのか分からんのだが?殺していいか聞いたし蘇生したじゃん。

 

「まさか生き返ったとはいえ可愛い弟子が殺されたのが悲しいとか言わないよねぇ!!」

「黙れ!!」

 

ブチ切れながらしっかりと時間差放射だのゾルトラークの2層化だのと一々テクいなおい。

ていうか…掠った時に気付いたが()()()()()()()()()

 

「25%しかカットできてない…いつのまにアイツラ倒したのさ!」

「さぁな!勝手に探れ!!」

 

…あコイツ霧散魔力での再生成パクりやがった!!さっきの見て覚えたってか!?

 

「発光!!(対感知ステルス!!)全力撤退ぃ!!レルネンさんいくよ!!」

 

「きさ!?待て!!」

 

レルネンさんを担いでれば流石に俺を打てまい!!誤射で死なせても俺はしらんからな!!

 

 

 

*1
本体を1番としてこの台詞は4番の物

*2
身長がブルグより大分高いせい




○○+○○~
名前の付けてない魔法だったり略称や効果内容だけを即興で声に出してるだけでやってる事は
フリーレンの魔法同調と同じもの。
今のゼーリエは最高8連結、フリーレンで4全盛のフランメで6。
ジョーカーは最高25、マスター状態は10でプレイヤーの場合は8。
もしフェルンが出来るようになれば数日で3連結まで行ける。

反射(跳ね返す魔法(ミラーコート)
防御魔法と同じようなハニカムの板で当たった魔法を反射する。

再集約(集め直す魔法(ザメール)
攻撃による相殺や防御魔法の分散効果で散った魔力を集めて霧散魔力の元となっている魔法を
オートで精製する。

射速上昇(名前なし)
ゾルトラークを始めとする放射系の攻撃魔法の推進力を上げる。収束ゾルトラークと重複する。

透明化(名前なし)
背景を投影する事で姿をくらます。光学迷彩とやってる事は同じ。

鉄粒精製(強化改造した民間魔法)
魔力でパチンコ玉を作りだす。小さいがギュっと詰まってたり野球ボールサイズだったりする。

光塵(名前なし)
空気中の塵を魔力でコーティングして発光させたり光る塵そのものを作り出す。
0から作る場合、塵の元となる素材はイメージに依存する。今回はパチンコ玉を発光させた物と
鉛を光らせたものをミックスしている。

魔力刃(名前なし)
エネルギーブレードを作る。魔族の武器精製が元になっており厚みや長さ大きさが可変する。

放出(名前なし)
対象に指向性と速度を与える。進めば進むほど拡散される。

膂力増強
腕力を高める魔法(ストレングス)と違い背筋に作用する筋力強化。
副次効果として背中がちょっと硬くなる。時間制限があるが5回まで重複可能。

鋼の拳で殴る魔法(コメットパンチ)
肘から先の皮膚・爪・骨を高密度の鋼に変える。握りこぶしを作ってから発動する必要あり。

魔王討伐後の10年やそこらでフリーレンはゾルトラークを習得できるのか

  • 葬送のフリーレンやぞいけるいける!
  • エルフにとって新しい魔法だし厳しいでしょ
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