魔族に生まれたが色んな魔法使いたいだろ?   作:王道の展開にニチャつく者

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前回のゼーリエ戦の結果ともろもろ

プレイヤーの勝ち(魔力の膜で突貫しての物理ゴリ押し)、その後ジョーカーとして改めて
戦い引き分け、なんだかんだでドルファディロム戦となりチマチマとした削り合いから籠城戦になったあげく魔力切れでゼーリエが棄権

感想戦でドルファがジョーカーから魔力供給されていた事を知ってキレ散らかしせっかく用意したコロッセオが倒壊しドルファ血涙、魔王をほったらかして自分の仙界に引きこもり再建する事になる。

ドルファの魔力反応が無くなり魔王を始めとした大魔族らが困惑&人類の士気ブチ上がり、それに伴いロマノグリラが帝国の宰相から身を退き行方をくらます(天脈龍に帰還)事でただでさえ弱化していた防護結界が機能停止する(統一帝国崩壊のカウントダウン)。

今(今話)


一人前

ある日の事、勇者ヒンメルが寿命を迎える時より1000年前。

 

いつもの通り魔法の研究や開発、下界(地上)の情報を収集していると専用の小さなゲートから

手紙が一通届いた。あて先は勿論おれ、送り主はゼーリエ。魔族とエルフという敵対関係上

緊急を除いて手紙を使おうという話で始まったコレは今では

 

[近々いく、茶の一つでも用意しておけ]

 

コレだよ。俺年上なんだけど…まぁアレの性格に文句を言えるほど俺はデキた奴ではないので

しゃーないんだけどさ。せめて背景なんちゃらとか前略とかないのか?…この世界における

手紙の文化が良く分からん、何せ興味が無かったから調べてもいなかったし

徐々に発達していく人類の魔法文化の中に組み込まれたりそうじゃなかったり細かいしね?

 

 

で、コレを受け取ったのがつい数日前の事。そろそろ来る頃合いなんだよね。といっても

天脈龍が飛行魔法の限界高度まで降りるタイミングはそうそうに無い。ので

恐らくギュウキングの仙界経由で来る筈なんだけど…お、魔力反応あり。

 

ギュウキングのゲートは家まで大分距離があるしソレ以外に魔獣の驚異もある。

まぁゼーリエにかかれば赤晶蠍(せきしょうかつ)弾頭(だんとう)カジキは何てことないだろうがソレはゼーリエ単騎ならの話。さて魔力制限を掛けてるキミはしっかりゼーリエにココを

教わっているのかな?

 

あゼーリエの奴、鉱脈蟻の巣ぶったたいてるよ。そんな事したら…そーだよねぇ!

ワラワラでてくるよねぇ!気持ちは分かるよあの蟻のアゴ封魔鉱だって切断できるし

挟みなり剣なりに加工すれば一級品だもんね?ただ蟻が蟻なだけあって今みたく馬鹿みたいな

数で来るよ?そーだよねぇ逃げ一択だよね!…あぁ成程?一人で来る時のルーティーンね?

フランメがいるの忘れてた訳ね?何だよその『あ、やっべ』みたいな…おー流石フランメだ、

蟻とみるや炎ときたか。だがすまんなぁソイツら鉱石食なもんで耐熱性高いんだわ。

正解は・・・そう、ゼーリエが放った雷、通電性の高い体に電撃をブチ当てれば1パンよ。

でもまぁ流石に全部殺るのは割に合わないわな。

 

 

やーいゼーリエの奴、弟子に怒られてやんの…あ、お湯沸いた。スコーンはっと…

 

フランメさん?一体どこを見て…ん?青い蟹?知ら……なくねぇ!引っ越しした時に

荷物と一緒に地下から紛れてきた奴…の進化した奴か!ずんぐりむっくりの体でギリギリ

思い出せたわ。へぇー鉱石…サファイヤか?を甲殻にしてるのか…加工すれば売れそうだな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

side:Z

 

「見えたぞ。」

「やっとか師匠(先生)、まったく何なんだココは。魔力を完全に消しても容赦なく見つけて

攻撃してくるし逆なら群がって来る始末。こんなトコで生活している奴は気が触れているぞ…」

 

「…言い忘れていたがアレらは今繁殖期だ。よく言うだろう母は強しと。それにしても

ククク…気が触れているか。そうだな、正しくそうだとも。」

 

弟子の忖度の一切ない言葉(ジャックナイフ)に小さく笑いながらボンヤリと写る家?に

向かって足を運ぶゼーリエ。その顔は悪戯好きなガキのソレであった。

 

「で?あの家に師匠(せんせい)の友人がいるって事で間違いないのか?」

「あぁ、魔法で連絡はしてあるからいるのは間違いない。問題は奴が一人かどうかだがな。」

「?」

 

こんな辺鄙な場所に友人が複数いるのか?そもそも師匠に友人がいるのか?と首をかしげる

フランメ。その真相を彼女はまだ知らない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

side:J

 

「さーてスコーンも焼けたし茶もあるし…」

「ふぃ~地上は突かれる…おぉ、マスター気が利くな摘まんでいくぞ?」

「あ?バ!?オマ!!」

 

報告ついでに裏口から帰ってきたロマノグリラを反射的に魔道具に戻す。

客用のモン食われてたまるか。ガチャガチャと握っている魔道具から音がなる。

 

「空気読め空気、来客の準備なんだよ。」

(…了解。)

 

話が分かる奴だから良いが少し気さくに作りすぎたか?いやこうでないと国王の選定は…あ?

 

いつのまにかゼーリエたちが来てるな。

 

 

ドアがノックされる事3回、ゼーリエが返答も聞かずにドアを開ける。

 

「邪魔するぞ(今日はお前か)。」

「邪魔するなら帰って?」

「断る…というか何度やる気だ?」

「お前が挨拶を変えるまでだけど?」

「ハァ…なら死ぬまでやらねばならんな。」

「嫌折れろよソコはさ~…まぁいいや、ホラ立ち話もなんだし座りな。」

「その前に。」

 

ん?…あぁ今日は1人じゃないぞって事ね。

 

「ドア影の…女か?ゼーリエの関係者だろ、入んな入んな?」

「………驚いた。」

 

完全に魔力放出を抑えていた今のフランメなら普通はソコにいない物としてカウントされるわな。

だから魔力探知で見つからないのは本来の道理なんだけど。

 

師匠(せんせい)の友人というのもあながち間違いじゃないらしいな。ん…エルフ…か?」

「魔力を抑えすぎだよ。この世の全ては大なり小なり魔力を持つコレは空気も例外じゃない。」

「成程…私がいる所だけ魔力がないから返っておかしいと。逆探知とでも呼ぶべき技巧だな。」

「だてに長生きしてないさ。一応ゼーリエより年上なんだぞ?」

 

フランメがゼーリエの顔を見る。えマジ?そう言いたい顔だ、ちょっとおもろい。

 

「体は若人、中身は大人というべきか。言い分はまちがっちゃいない。合ってもいないがな。」

「それはどういう『まずは座りなさいな。』あ…お邪魔します。」

 

師が師なら弟子も弟子ってか?やらなきゃいけないの?ゼーリエさんや?あやるのね。

 

「え~…邪魔するなら帰って~?」

「…失礼します?」

「はいどうぞ。ホラゼーリエもこういう機転きかせな?老けるぞ?」

「あ゛?」

「お?」

 

 

周囲にぶちまけられる莫大な魔力。それに同調するように魔力を出す俺。

圧倒的な魔力の奔流は空気を揺らし家も揺らす。コップも割れるしテーブルはきしむ。

ついでにフランメは驚きで脂汗…滝汗?だな。

 

「相変わらず汚い魔力だ。フランメの目に毒になる、止めろ。」

「帝国時代のクセでね~。それに先行はソッチだし文句言われる筋合い…あるかなぁ?」

「チッ…」

 

…あ、魔力に当てられてスコーンが塵に…

「あ~…ハイお茶。菓子は今新しいの持ってくるよ。保存庫にタルトタタンがあったな…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

side・F

 

戯れなのは理解できる。だが度が過ぎる!何だあの魔力量は?古今東西師匠(せんせい)に連れられて色んな

魔法使いや魔族を見て来た。だがアレ…彼女は文字通りケタ違いだ。

師匠(せんせい)より年上…まさかとは思っていたが本当に本当なんじゃないか?

数度師匠(せんせい)の全開の時を見たがソレより恐らく上だぞアレは。

 

 

師匠(せんせい)、彼女は…」

「フランメ。戦士の蛮心という指南書は分かるか?」

「まぁ、ハイ。確か戦士の基本的な体術や武器の使い方なんかが書かれた物の筈ですが…」

「その原本を書いたのは奴だ。当時、統一帝国最強の戦士とまで比喩されてなお歴史の表には名を残していないがな。」

 

最強の戦士が歴史に名を刻まない?歴史の失伝なら分かる。が師匠(せんせい)の言い方はソウじゃない。

まるで意図的に隠されたような、奇妙な感じだ。

 

 

「因みに矢面には?」

「当時の私と二人でだが懐剣のドルファディロムを撤退させた。加えて最前線で魔族を100体

狩り帝国から百蛮の二つ名を与えられている。無論コレももみ消されているが。」

 

そんなエルフが何故…そういうのは私たちにとって英雄以外の何物でもない。

讃えこそすれど忌避し隠匿するようなものでもないというのに…

私の顔が物語っていたんだろう、師匠(せんせい)がフっと少し笑いながら答えてくれた。

 

「私達エルフは基本的に情というものに疎い。だから数が減り続ける訳だが…まぁソコはいい。

問題はそれ故か人望や性格にあまり強い興味を示さない事が多い。

数十年も経てば人間もエルフも性格が変わる奴も多いからな。内面的な問題に頓着しないのさ。

代わりに」

 

 

ひび割れたカップで茶を一度すすり、茶葉が違うじゃないかと文句を垂れながら師匠(せんせい)は話を戻す。

 

「特に秀でた者や物体がある場合、その実績や功績それによってもたらされた恩恵などで

その人物を讃える節がある。()()()()()()()()、それが私達の重要視点なのさ。

何せ当時をしる人物がずっと居続ける訳だからな。」

 

「成程…」

 

「一方で人間だが基本的に100年もしない内に死ぬ短命種だからか基本的に単独では非力な事

を始め理由はいくつかあるが実績や功績を複数名、グループ単位で行い成す事が多い。

いわゆる全の強さだな。そしてその功績をしる者が減る速度も速い。故に自身が成し得たナニカを後世に、次の世代につなげやすいように伝承なり伽話なりという形で紡ぎ、昔の時代には

こういった偉業を成し遂げた人物がいるのだと人々を焚きつける必要がある。

お前が仮に大成しても数百年もしない内に空想上の存在とされる可能性もある訳だな。」

 

 

珍しく師匠(せんせい)の口数が多い。こんなに長く話しているのを見たのは何時ぶりだろう?

 

「ここで一つ、人間の悪癖というべきかそういった物があってな。功績を話として伝える過程で

その人物が如何に清廉潔白であるかを重要視する時がある。英雄とは基本的にすべからく

素晴らしい者であるべきな故にな。」

 

「…師匠(せんせい)?」

「気づいたか。そうだ。人間の築いた統一帝国、その歴史上から奴が消されている理由は」

「まさか…人格や素行に問題が?」

「少なくとも当時の奴はな。笑えるだろう?魔族を最も殺した結果と報酬が今の奴だ。」

 

とはいえ、そういいながらお茶を飲みきった師匠(せんせい)がポッドからお茶を注ぎ直しながら続ける。

 

「時代が時代だ。正しい情報なぞ正確に残せるわけもないし奴はいつも〔歴史の正確性なんぞ

どうでもいい、大事なのは歴史がある事積み重なったナニカがある事そのものだ。〕と

言っていた。その点で言えば奴はエルフでも魔族でもないし人間でもない。

エルフの皮を被ったバケモノなのさ。」

 

エルフの皮…そうだ。皮だ。彼女の魔力を何処かで感じた事があると思ったら思い出した。

魔族のソレなんだ。それも小物じゃない、300年は優に生きている大魔族の魔力に彼女の魔力は似ている。

 

「…じゃあ彼女の魔力については」

「以前話しただろう?魔力を奪う魔法を使う奴が当時はいたと。アレはその筆頭だ。恐らくだが

ここ数十年一度も自分の魔力で何かをした事はないと思うぞ。魔族から奪った魔力で痕跡を残し

痕跡に釣られた魔族を狩って繰り返す。」

 

「…魔族を殺すのはまだ分かりますが奪ってまで魔力を増やす意味がこの時代には無いのでは?」

 

「ソレはおいおい話してやるさ。奴を納得させれたらな。おい!茶が冷めるだろう!」

 

「みりゃ分かるだろ上のリンゴ炙ってるんだからちょい待てって。今日のは焦げ目が多い方が

断然美味しいんだからさ…」

 

キッチンであーでもないこーでもないと動く彼女を師匠(せんせい)は催促する。

こんな気安い関係にある人物がいるとは思わなかったな。

 

…ふと師匠(せんせい)の話を聞いていたからか出されたお茶を飲むのを忘れていた。

そして一口含んだ時思わず目を開いた。

 

「…お前用にあしらった茶葉か。道理で…」

師匠(せんせい)?」

 

茶を飲んだ私を見てなぜかやる気になった師匠(せんせい)はおもむろにキッチンに足を運び

ケーキ?のようなものの仕上げを手伝い始めた。料理出来たのか…普段はやらないのに意外だ。

 

 

 

 

「よいこらせっと、どうぞ召し上がれその筋((パティシエメイ様御一行))から受け取ったレシピがベースだから味は保証するよ。」

 

やたらと断面がキレイ((ゼーリエの魔法))な焼き菓子が薄い氷を纏った皿に乗って私の前に置かれた。焼き菓子のようだがこの風体は初だ。

 

香りが良い。少し強めに焦がされた果実の香りだが焦げ臭くない軽い香り。

 

「!!美味しい!」

「ケーキを美味しく作れる魔法を使った。最近はお前の影響でこういった魔法もまぁ手慰みには

良いとおもってな。」

「つってもコレがケーキとしてカウント出来るか割と怪しかったから態々ゼーリエに足を運んでもらったんだけどね~。」

 

師匠(せんせい)がこんな戦いに無関係な魔法を率先して使うなんて…

 

「まぁ…なんだ。」

「ホラ、口つぐんでないでさ。」

「分かっている!…フランメ。」

 

いつになく真面目な顔付きで私を見る師匠は真剣そのもの。それにつられてか私も背筋を正す。

 

「お前を拾ってしばし経った。魔法の手ほどきもしたし生きる術もそこそこ教えた。もう問題ないだろう?」

「だから回りくどいんだって。さっさと言えば良いじゃん()()()()()()()()()ってさ。」

 

 

 

 

ここから数日

フランメはプレイヤーの家でゼーリエたちと最後の手合わせをし、はれて独立。

偉大なる大魔法使いフランメの真に誕生した瞬間である。余談だが彼女が独立した日は

彼女の誕生日と同じ日であった。




人格うんぬんは完全なる独自解釈。
手紙ののち、追加で送付された手紙にフランメを祝いたいからどうにかしてくれ(要約)
と書いてあった為スコーンを茶菓子にだしてゼーリエと魔力をぶつけ塵に返す

タルトタタンを出す口実にするという手順を踏むに至った。要するにある種のマッチポンプ。

鉱脈蟻
20㎝弱がアベレージのクソデカ蟻。骨格を鉄でコーティングしておりアゴがハチャメチャに鋭利で良質な個体のアゴなら封魔鉱だってスパっと切れる。

赤水蠍
外骨格の表面がルビーで出来ている蠍。蟻と同じく鉱石食だがコチラは鉱石類の毒を溜め込み
針からジェット噴射してくる。大きくても2m行かないが時たま大繁殖しては大衰退する。

弾頭カジキ
上記の蠍を主食にする地中生のサカナっぽいナニカ。天脈龍上の生態系の中では知能に秀で、
趣味指向として食いもせずに蠍を叩き切ったりブっ刺したりする事もしばしば。
騒がしい物や方向に集まる習性があるので他の生物とドンパチやってると真下から刺してくるので
かなり危険。このあと蟻の巣を群れで襲う。

魔王討伐後の10年やそこらでフリーレンはゾルトラークを習得できるのか

  • 葬送のフリーレンやぞいけるいける!
  • エルフにとって新しい魔法だし厳しいでしょ
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