その少女はまさか気づかれると思っていなかったのか、驚いた表情を浮かべます。いつでも刀を抜けるように身構えるクレアルを見た少女は、慌てた様子で言いました。
『わわ、待ってください!私は敵じゃないです!』
『……では、何者ですか?』
『え、えっと話すと長くなるのですが……。』
『構いませんよ。』
クレアルの答えを聞いた少女……【ザムザ】は語り始めます。あの少女、北条雪乃は『異世界』からやってきた北条の戦国武将であり、各地で村を焼き人々を殺し、そして支配下に置いているというのです。
『……私は北条雪乃の偵察に来ていました。私は一揆軍の一員なのです。それで、たまたま貴方に気がついて…近づいたら[許せない]と言っていたので話しかけようと思いまして……。』
『なるほど……。それでは、要件はなんですか?ただ話しかけようというわけではないでしょう。』
『……はい。私と共に、一揆軍に来ませんか?』
ザムザの言葉にクレアルは思わず目を丸くします。そんなクレアルに構わずザムザは話し続けました。
『貴方は先程許せない、と言いました。どんな理由であれ、あの行いを許せないのでしょう?それに、私これでも強いので見るだけでなんとなく相手の強さもわかります。……貴方、とても強いでしょう。貴方のような方がいらっしゃってくれれば、北条軍にも勝てる可能性が高まると思うんです!』
クレアルはその言葉に考えます。確かにあの北条雪乃という少女を野放しにしていれば、永遠を望むものを喰らえるチャンスは減るでしょう。逆にその戦いに参加すれば、亡くなった者の遺体を喰らえるチャンスが増えるかもしれません。
『……わかりました。一揆軍に加わります。ですが、貴方の独断で決めてもよろしいのですか?』
『あっ!そ、そうでした……。なら、リーダーに会いに行きましょう!』
『一揆軍のリーダー、ですか。私のような会ったばかりの者を会わせてよろしいので?』
『大丈夫です!リーダーは簡単には死にません!さ、行きましょう!』
ザムザの勢いに少し押されつつも、クレアルは案内されるままに歩きます。そして歩き続け、夜が明けた頃。辿り着いたのは大きな村でした。
ザムザに連れられ村の中を進むと、数人の視線が突き刺さります。しかし、すぐに視線は逸らされました。こういう事はよくあることなのか、などとクレアルは考えます。
『ここです!リーダーはこの中にいます!』
『ここって……洞窟じゃあないですか。』
『リーダーは身体が大きいので……。会うとびっくりするかも知れませんが、攻撃したりしないでくださいね?』
『……?わかりました。流石に組織の長に攻撃しようとは思いませんよ。』
『では行きましょう!【ハルファス】さん!新入りさんですよ!』
クレアルはリーダーの名はハルファスと言うのか、などと考えた所で思わず身構えます。洞窟の中から膨大なエネルギーの持ち主が近づいてくるのがわかったのです。
『……ザムザ。そのリーダー……ハルファスさんとやらは人間ではないのですか?』
『えーと……説明が難しいですけど。聞くに元人間の……
ドラゴンだそうです。』
現れたのは、見上げる程の竜でした。