国王が見つけ出した文献。それは国の守護竜であるグルマンディーズに関するものでした。文献によるとグルマンディーズは不老不死であり、致命傷となるような傷を負ってもたちまち癒える程の、途轍もない生命力の持ち主であるというのです。
そして雌であるグルマンディーズは数百年に一度卵を産み、雛を育てます。その雛もまた、グルマンディーズには劣るものの強い生命力を持っているというのです。その卵を産む周期は決まっており、文献に書かれた周期があっていればグルマンディーズの卵から雛が孵ったばかりのはずでした。
国王は、他国からも文献を取り寄せていました。その中には、遠い遠い異国の地のものもありました。その異国の文献の1つに、極東のものがありました。極東から取り寄せたその文献の内容は『喰らったものの力を得る』というものでありました。それは大変古い文献で、はっきり言って眉唾もの。それでも、国王はそれに縋りました。
グルマンディーズ自身は、国を守護する竜である。なれば、殺す訳にはいかない。だが、その雛は?その限りではないだろう。
国王は部下に命令しグルマンディーズの留守の隙に雛を攫わせました。雛は歩くことも覚束ないほど幼く、間違いなく巣立ちを迎えてはいないでしょう。それでも、国王は止まりませんでした。止まれませんでした。
文献によると、心臓は最も力が強いとされていました。故に、雛の心臓を抉り出し、調理させました。そのうえでクレアールにただの薬膳料理だと偽り、喰らわせたのです。
クレアールはもはや、自身の生を諦めていました。父たる王が施す治療や薬を受け入れるのも助かりたいからではなく、父の気が少しでも楽になれば、という思いがあったからなのです。
そんな中、薬膳料理として見慣れない料理が出されます。王が異国からも文献を集めていた事を知っていたクレアールは、おそらく異国の料理だろうと考えその料理を…雛の心臓を喰らいました。
効果は劇的でした。クレアールの壊れかけていた身体はたちまち治り、不治の病はクレアールの身体から消え去りました。病弱だったはずのクレアールは、誰よりも頑丈な身体になりました。
国王は喜び、混乱するクレアールを抱きしめます。クレアールは何故自身が突然良くなったのかわからず、ただ混乱するばかり。それでも、国王にもう病に怯えなくていいと言われたクレアールはどこか喜びを感じていました。
そんな喜びに水を差すように……暴食の竜は現れました。