「化け物だ!」
「老いも死にもしないだなんて…人間じゃないわ!」
「ひっ、こっちに来るなぁ!」
『………なんでそんな事、言うんですか?』
「………ル…。」
『永遠を生きたいのでは、ないのですか?』
「…………起きろ、クレアル!」
『…あっ…え、あれ?私…寝てました?』
さわさわと木々が揺れる音。柔らかな木漏れ日の光。そんな中、私は目を覚ました。目の前に、いたのは………
『暁…?』
「どうしたんだよその顔…。お前が魘されてたから起こしたけど…そんなに酷い夢だったのか?」
『…暁ッ!』
思わず飛び起きて、私よりも大きなその体に抱きつく。暁は一瞬驚いた様に体を強張らせたけれど、私が泣いているのに気付くと優しく背中を擦ってくれた。
暁…ずっと、もう一度会いたかった暁が目の前にいる。幼い子供のように泣きじゃくる私を、暁は戸惑いながらも突き放す事はなかった。
「クレアル…お前がそんなに取り乱すなんて、どんな夢だったんだ?話したくないなら別にそれでもいいけどよ…。」
『…よく、覚えてません。でも…とても、恐ろしい夢でした。』
「…そうか。…なら今日の鍛練はもう終わりにして、ゆっくり休め。」
暁の言葉を聞いて何をしていたのか思い出す。そうだ、私は暁に刀を教えて貰っていたんだ。その休憩中に寝てしまっていたんだ。
『でも、せっかく暁が時間をとってくれたのに…。』
「…クレアル。お前すごく酷い顔色だぞ?鍛練するなら万全の状態で挑め。…俺も心配になるしな。」
『…そう、ですよね。すみません暁。』
俯いた私の頭を、暁の手が撫でる。その温もりに思わず顔をあげれば優しく微笑んだ暁が私を見つめている。暁が口を開いて、そして…
『…あれ?』
次に目を開ければ、私の手は血で塗れていた。暁を探そうと辺りを見渡して…そして思い出す。
『…あぁ。暁は私と一緒でしたね!』
そうだ。暁は、私と共にいる。暁は私の一部として、永遠の存在になったのだから。
『ふふ…おかしな夢でしたね、暁…。』
返事はない。暁は目の前にいないのだから、当たり前だ。でも、共にいる。もう、二度と引き離される事はない。
『ふふ…あはっ、あはははっ!』
頬を伝う暖かな雫は知らない振りをして。もうあの温もりを感じることも、優しい声を聞くこともないのだと理解しながら。
壊れてしまったその少女は、ただ今の己が幸福なのだと。そう、思う他になかった。
それは、かつての幸福なゆめだった。もう、叶うことのない…過去のゆめだった。