連邦生徒会をぶっ壊ァす   作:つくよん

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神よ、低頻度投稿なのに掛け持ち始めた私をお許しください──





"悲報"家なくなる

 

 

 

 

 

 月がよく見える夜。

 

 

 

 私は倒れていた。

 完膚なきまでに叩き伏せられた。傷1つ付けれなかった。戦いとは呼べなかった。

 それほどまでに敵は強かった。

 

 その相手は後ろに手を組み空を見上げながら、まるで戦闘などなかったかのように平然としていた。息が乱れるどころかため息を吐くその佇まいに、私は力の入り切らない拳を強く握る。

 

「うっ──」

「あれ? まだ起きてたんだ」

 

 少女1人に対し、こちらは数十人。

 だが今この場で意識があるのは、たった2人だけ。

 残りの全てを寝かせた張本人は、私の目の前に警戒もせずに近づき、屈んでその憎たらしい瞳で私を見下ろす。

 

 そこから彼女に何を言われたのか、そんなことはどうでも良かった。そもそも覚えてないし、まともに聞いてすらいない。

 

 ただ──私が言い返した言葉だけははっきりと覚えている。

 

「覚えてろ、超人……いつか必ず──」

 

 

 

 

 

 ───────────────

 

 

 

 

 

「テロニズムに欠かせないことってなんだと思う?」

 

「破壊と暴力でございます!」

 

「正解だ、さすがだね」

 

 

 あの夜のあと、私の仲間たちはもれなく全員矯正局送りにされ、間一髪で私だけ逃れることができた。

 要はあれから私はぼっち・ザ・不良改め、孤高の反社生徒としてぼちぼち鍛錬と活動を続けていたわけだが……ある日百鬼夜行で面白い生徒と出会ってしまう。

 

「それで? スケバンたちの扇動は順調かな、ワカモ」

「もちろんでございます、お師匠様」

 

 名を狐坂(こさか)ワカモ。この子も類まれなるテロ精神の持ち主で、数ヶ月ほど前からこの子に教えを施しながら、共にテロリストとしての活動を謳歌していた。いやはや、この子の能力は素晴らしい。私が教えたことはすぐに理解するし、こうして成果を上げている。才能はピカイチだ。

 戦闘面はまだ伸び代に期待だが、それでもそこらのスケバンやヘルメット団なんかもボコボコにできる。しかもその強さも霞むくらい多種多様の高レベルスキル持ちなんだから、私の目に狂いはなかったと言えるだろう。

 

 いやーほんとに素晴らしい。なでなでしてあげたいくら──

 

 

 ──ドカアァァァン。

 

 

 突然豪快に響き渡る爆発音。私とワカモは何も言わずにそれを眺めていた。先日ワカモが壊してから半日かけて直した玄関の扉が木っ端微塵に……って爆発? 

 

 いやまぁ、爆発音なんて常日頃からあちこちで聞こえるんだがら、別に驚くことではないのだが、今回は爆心地が明らかに私たちと近すぎる。

 おかげで昨日半日の努力が水の泡だ。

 明らかに狙いは私たち2人、それも作為的なものと見ていいだろう。

 

「……ワカモ?」

 

「……申し訳ありません。虫が取り付いていたようです」

 

 つけられてたか。

 テロリストとは肩身が狭いもので、こうして指を刺されるどころか銃口を向けられるなんて日常茶飯事。

 え、自業自得? 分かってるよそんなの。

 

「すぐに(わたくし)が片付けて参ります。お師匠様のお手を煩わせません」

 

「いや、待ってワカモ」

 

 いつも身に付けているお面を取り出し、すごい形相で煙の中を睨みつける弟子を止める。

 私たちに喧嘩を売る相手なんて、正直なところ分からないんだよね。

 身に覚えがありすぎるんだ。恨みの1つや2つどころか、特大バーゲンセール時なんかはまとめ買いも辞さない方針のせいで、見つけ次第トリガーハッピーされた記憶がちらほら……。まぁこの稼業的に仕方ないよね。

 

 ──けど。

 

「ここはゲヘナ自治区」

 

 不良生徒の巣窟。反社会勢力の溜まり場。

 もちろん、そこらのごろつきどもにうちのワカモが遅れをとるなんてありえない。

 だが今回飛んできたのは、銃弾ではなく砲撃(・・)

 

 ──風を切る音が聞こえてから爆発まで、2秒と少し。放物線から察するに射程は3kmそこら。爆発音は……

 

「50mm迫撃弾だね」

「!」

 

 私の推測にワカモの尻尾が激しく揺れた。

 倫理観皆無の銃社会でも、こんな軍用兵器を使う輩は限られている。

 

「風紀委員会……っ!」

 

「逃亡の準備だ、ワカモ。拠点(ここ)は捨てる」

 

 射程圏内に入ってすぐ、一か八か先制攻撃。

 直撃するかも分からず、ただ相手に『接近してますよ』と知らせてるようなものだ。

 当然、そんな愚行を犯すにも理由があるはず。

 

 ──私が張り巡らせた感知罠に気付いているね?

 結界ともいえる私の耳たちが、既に把握されている。

 

「随分と準備がよろしいようで」

 

「申し訳ありません……(わたくし)の失態でございます」

 

「まぁまぁ、気になさんな」

 

 仮にも風紀委員会、自由と混沌を象徴するあのゲヘナを治める組織だ。あんな安寧とは無縁の学園で治安維持しているだけのことはある。

 

「それになんか匂うんだよねぇ」

 

 仮にワカモのミスだとしても、自慢の弟子を尾行しながら、擲弾(てきだん)兵含む砲撃部隊を移動? 

 いやいや。

 

 ──まぁそこはもういい。

 どうせもう来てるんだろう? 

 

『ピピピッ──ピピピッ』

 

 返事とばかりに私に報告する通信機器。拠点付近に近づいた侵入者を伝えてくれる私お手製の罠、それが反応を示していた。そしてその頻度(・・)に苦笑いしながら、急速に回転していく思考を制御する。

 

『ピピッ──ピピッ──ピピッ──ピピッ』

 

 いやはっや。化け物め。

 考えを邪魔された怒りよりも、焦りが勝ってくる。私は焦燥に駆られまいとなんとか冷静さを取り戻して、固まった思考を舌に乗せる。

 全く、策を講じる時間すら与えてくれないとは。

 

「ワカモは後方部隊を牽制しながら、D-2地点にまで移動、日没刻までに第3拠点で合流しようか……風紀委員の雑兵は足止めだけでいい」

 

「かしこまりました。このワカモ、受け賜ったそのお役目、必ずや果たしてみせます」

 

「よし、いい子だ」

 

 承諾に加え、膝を折って敬意示す我が愛弟子に、私は微笑みを返す。この子ならば問題ないだろう。あるのはむしろ私の方なわけだが…その上目遣い、何か言いたいことがあるようだね? 

 

「ダメ、あのチビは私が撒く」

「お師匠様、それは……」

 

 この速度だ、彼女が来ているのは確定だろう。最近風紀委員で頭角を現していると噂のあの子なら、今のワカモを秒殺してもおかしくはない。もちろん、私が戦うとしても勝てるとは思えないが。

 

「なら(わたくし)とご一緒に──」

 

 そう言いかけた言葉をワカモは抑える。私のことが心底心配なのだろう。だがそれが最善ではないことをこの子は分かっている。肝心の敵も問題の種だが、できるだけ傍で守りたいが本心か。

 

「大丈夫大丈夫、師匠を信じて」

 

 できるだけ自信を(あらわ)にして、弟子の頭をポスンと叩く。

 かつての仲間の所に行くにはまだ早い。というか目的が成就するまで捕まる気はない。

 

 ──以前のこともある。少しは私のことを警戒してくれるだろう。それに……

 

「私、逃げるだけならキヴォトス最強だよ?」

 

 なんたってあの超人から逃げ切ったんだからね。

 

 

 

 

 

 

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