TS転生者のライザのアトリエでのなんてことない生活 作:雷雷帝王
もうすぐ第一部が完結しそうで少し悲しけど嬉しい感情に見舞われている作者です。これからも頑張りますので応援よろしくお願いします!
アトリエに戻り、塔で分かったことを整理するためにみんなで話し合うことにした
「……落ち着いて考えてみても……とんでもない話すぎて当事者のはずなのに全然ピンとこないよね」
「村の水源が古式秘具、の次は、住んでる島が人工島、だもんな……おとぎ話も軽く飛び越えちまってるぜ」
「ライザたち島の人も、フィルフサの『大侵攻』から逃れたクリント王国の人たちの子孫、なんだね……」
「遺跡だらけの島に住んでいたんだ。さすがに無関係とは思ってなかったのだろう?」
「うーん、さすがに昔と今はなかなか繋がらないよ。あたしたちはクリント王国のこと、何も知らないし」
「ああ、むしろ関係してるのは嫌な気分だよ。オーレン族の人たちにしたことを思えば、さ」
「おいコラ、それはボクにケンカを売っているのかな?」
「レイ……わりい、そうだよな。そこんとこに関してはレイの方が辛いよな」
「……別に、受け入れたから。どうってことないけどさ」
「はあ、余計な気は回さなくていい。お前たちはお前たちだ」
「むしろ、その関わりを実感できない理由の方に、私は興味があるな。竜に悪魔、禁足地……恐れることや決まり事ばかり多いくせに、具体的な伝承がほぼないのは、前から奇妙に思っていた」
「理由が分かったの?」
「あくまで推測だが……前にも話した通り、王国は滅亡の時まで『門』や『大侵攻』の記録を抹消して回っていた」
「国のヒミツとかそういうやつか?巻き返す日でも夢見てたのかね、往生際の悪い」
「仕方ないよ。誰だって夢は見たがるものさ」
「それら情報操作と襲われた実体験が、歳月を経るうちに混じり合って、一つの方向に凝り固まったんだろう。つまりは、島の外に対する頑なすぎるほどの忌避、だ」
「なーるほど。とにかく、何がなんでもダメ、島の外に出るな、閉じこもっていろ、って考え方か」
「ようやく今と繋がる実感が湧いた……かな。結局はレントの言った通り、嫌な気分だけど……あっ、レイ、ごめん」
「別に構わないって言ってるでしょ。それにその気持ちを実感できるくらい実感が湧いてるってことなんだからいいことだよ」
「まあご先祖を救った島も、クリント王国が造ったんだ。その分くらいは感謝してもいいだろう」
「それだって、自業自得の自作自演だと思うけどねー」
「それがなかったらボクたちは会ってないんだよ。一応感謝はしとこうよ。一応……ね」
「まあ、それはそうだけど……」
「ねえライザ、次はあの遺言と一緒に見つけた鍵で、島を調べるんだよね?」
「うん。とりあえず、島の遺跡を回って、鍵が使えそうな所がないか探してみるつもり。『中に入る仕掛け』って書いてあったし、入るなら、あの……人工島、のことだと思うんだ」
「どうかしたのか、タオ?」
「島のことなら、僕も気になることがあるから家で調べ物をしててもいいかな」
「?いいよ」
「あの島は、それこそ遺跡の塊みたいなものだが調べる心当たりはあるのか?」
「うーん、ありすぎるというか、ホントどこもかしこも、遺跡だらけで──あっ、アンペルさんはモリッツさんに文句を言われたから、まだトレッペの高台は調査してないんだよね?」
「ああ。ブルネン家の周りは、まだ手つかずだ。そういえば以前、そこに何かあると言っていたな?」
「あそこには古い建物とか石碑とか、色々あるんだよ。島でも一番怪しい場所じゃないかな」
「なるほど、見てみる必要はありそうだ。今なら調べに行くのも難しくないだろう」
話はまとまり、とりあえず鍵が使えそうな場所をトレッペの高台で探すことになった
タオを除いたボクたちはトレッペの高台にある1番大きい石碑に来ていた
「こいつは……思った以上に大きいな。ここなら確かに、何かありそうだな」
「人工島の……『中に入る』目印ってことならこんな大きな物を建てるのも納得できるね」
「文字が書かれてるようだが、かなり掠れているな。……読めるか、アンペル」
「読めはするが……なんということはない、土地の安寧と豊穣を祈る、お定まりの銘文だな」
「まあ『ここが秘密の入り口です』と書くほどクリント王国の連中もバカじゃないだろ」
「そもそも、『門』や『大侵攻』を隠し通してきたんだから、当たり前だよね」
「というわけで、ここで鍵の登場となるわけよ。レント、そこらへんに鍵穴とかあるでしょ?」
「ないぞ」
「は?」
「そんなデカくてよく分からないものを入れられるような穴なんか、どこにもない」
「あ、あれ?そんなはずは……」
「どこかに鍵穴が隠されてたりするのかな。それこそ、錬金術か何かで」
「あるいは単純に、年月で埋もれたか……皆で探してみよう」
「お前たち四人は、記念碑自体と土台を見てくれ。私とリラは、周囲を一回りしてみる」
「分かった、じゃあ後で」
ボクたちは記念碑やその土台を調べたが結局何も収穫がなかった。リラさんとアンペルさんも戻ってきた
「どうだった、と聞くまでもなさそうな顔だな」
「うん、鍵穴とか、それらしい細工はないみたい。おっかしいなあ……絶対にここだと思ったんだけど」
「ここに、同じくらいの大きさのくぼみはあるんだけどはめてみても何も起こらないし……」
「アンペルさんたちの方も、何も見つからなかったんですか?」
「ああ、涸れた噴水にも足を延ばしたが、それらしいところはなかった」
「高台に、すべてを埋もれさせるほどの土量はない。何かあるなら、地表に露出しているはずなんだが」
「いきなり行き詰まっちまったな。そもそも、島に入る、って考え方は合ってるのか?」
「改めて、そう言われると……人工島って聞いた瞬間、ここだ、って閃いたんだけどなあ」
「実際に住んでるお前の勘を信じたいところだが……記念碑以外に心当たりはないのか?」
「後はもう、どこも横並びかなあ」
「じゃあ全員、自分がそれっぽいと思った所を手分けして探すことにしようぜ」
「現状、他に打つ手もないな……やってみるか」
「それじゃ、後で隠れ家に集合だね」
「よーし、鍵穴捜索作戦、開始!!」
「うん、頑張って」
「……レイ、まさかサボろうとしてないでしょうね……」
「いや、そういうことじゃないんだけど……ただ、ね」
「ただ……何よ」
「ボクとしてはここで合ってると思うんだよね」
「けど、何もなかったじゃねえか」
「そうなんだよねえ。だから、ボクはタオと家に行くから。みんなは、鍵穴捜索頑張って。じゃ!そういうことで」
「あっ!ちょ、ちょっと、レイ!」
ボクはライザの言葉を無視してタオの家に向かった
レイガルン·アガタール…吹っ切れはしたが、オーレン族に対しての申し訳なさは消えない人。鍵穴は確実にあそこだと思ってるため、タオの所に行き確信に変えようとしている