「ねぇ…知ってる?金色の鳥さんのおはなし…」
「その鳥さんに会えたら…何でも願いが叶うんだって…」
どこにでもある…おとぎ話。
最強の魔法使いになりたいとか…ガラスの靴を履いたお姫様とか…
そーゆー類の…誰もが一度は耳にする…おとぎ話。
ーーアルケミ大陸 北西部 ヨア山の麓、帰らずの森ーー
そこには、『金の鳥の巣がある』という…伝説があった……
(少年が少女の手を引きながら、森に現れる)
『やばいな…これは……』
(額の汗をぬぐう)
「ハル…大丈夫?」
(心配そうに辺りを見回す)
『大丈夫…じゃないかも。うん…とゆーか、かなりマズイ…』
「ねぇ…やっぱりもう帰ろうよ…」
(少年の手を引く)
『いや…まだ大丈夫だ。日が暮れるにはまだ…』
(自分に言い聞かせるように)
「そうじゃなくて…」
『まだ…気にしてるのか?』
「うん…きっと、怒られちゃうよ…私たちだけで、帰らずの森へ行っただなんて…」
(うつむく)
『金の鳥を見つけたら…大丈夫だ。叱られないように頼もう?』
(歯抜けの笑顔を見せる)
「ハル…ねぇってば…!」
『イデア…大丈夫だって。俺を信じて?本当に見たんだ…まだ日が昇りきらない頃…雲を焼きながら飛ぶ、金の尾羽根を…!』
(夢見心地で)
「それは…疑ってないけど…」
『確かにこの山の頂上に、消えていったんだ…見間違いじゃない。俺が、今までイデアにウソをついたことある?』
「…ないよ」
『じゃあ…行こうよ?俺ら二人で…!』
(瞳を輝かせて)
「もう…言い出したらいつもこう!」
『………んっ…?』
(足を止める)
「どうしたの…ハル?」
『今何か…聞こえなかった?』
(落ち着かない様子で、辺りを見回す)
「え……怖いこと、言わないでよぉ…」
『フフッ…ごめんね。気のせいかな…』
【ここを通らんとする者よ……】
(何処かから響く声)
「きゃあ!」
『うわっ!?』
(同時に叫び、抱きつく)
【ここはただの人間が来ていい場所ではない…立ち去れ…】
(地鳴りのように響く声)
「わーっ!きゃー!」
『い、イデア…お、おち、落ち着いて…』
【立ち去れ…立ち去れ…】
(声が風となって吹き抜ける)
『あっ……か、風で、木が…しなって…道が…』
「か……帰して…くれるの?」
【そう言ってるだろう…】
(ちょっと優しげに)
「ハル…!」
(少年の手を引く)
『もしかして…あなたが……金の鳥ですか!?』
(思い切って、立ち上がる)
【金の鳥…?】
「ハル!?何を…帰ろうよ!」
『見た人は、何でも願いが叶う…伝説の鳥…!』
(強い意志を込めて)
【ふむ……記憶にないな…】
『あ、あれ…違うの……』
(少し落胆の様子)
【うーん…ちょっと待ってて…調べてみるね…】
(先ほどよりもずいぶん優しげな口調で)
「えっ…?調べる、って……」
【うぅん…ごめんね。金の鳥っていうのは、ちょっと分かんないなぁ……】
(声にはもう、響くような威圧感は感じられない)
『あ…そ、そうですか…ありがとう、ございます…?』
「危ない人じゃ…なさそう?」
(落ち着きを取り戻す)
【えっと…でも、ここは君たちみたいな子どもが来ちゃ危ないよ?親御さんは?どうしたの?】
『俺達は…金の鳥を探してて。このヨア山に…入っていくのが見えたんです』
「どこから声が聞こえるんだろう…」
【そっかぁ…何でも願いが叶う金の鳥…ロマンチック!とっても素敵な冒険だね!】
(声が弾む)
『あっ…ど、どうも…』
「あの…あなたは?」
【おっとと!自己紹介がまだだったね…ごめんね!人間さんが来るのは珍しくって…えへへ。】
(森の中から、ゆっくりと姿を現す)
「わぁ…!」
『黒い…ドラゴン…!?』
【ごきげんよう!僕は”ウアス”!】
(気さくな自己紹介)
つづく……