ーーアルケミ大陸 北西部 ヨア山の麓、帰らずの森ーー
(黒いドラゴンが、背中に少年少女を乗せて現れる)
【あ…そーいえば、まだお名前を聞いてなかったね?教えてもらってもいい?】
『俺は…ハル。』
「イデア、です」
【ハルくんと、イデアちゃんかぁ!とってもいい名前だね!うんうん!】
(ニッコリして首を縦に振る)
『えっと…ウアス、さん?』
(ちょっと他人行儀に)
【気軽に、ウアス〜でいいよ〜】
『う、ウアス…その、山の奥へ案内してくれるのは嬉しいんだけど……』
(申し訳なさそうに)
【うんうん!僕も金の鳥…見たい!からね!】
『その…そろそろ、日が暮れるし…俺、フェザーマン見ないと……』
【フェザーマン!いいよね!君を♪狙ってる♪怪しく〜…】
(上機嫌に歌う)
「あ、あの〜…もうそろそろ、帰りたいな〜って…」
【あっ…も、もうそんな時間!?ごめんね!楽しくってうっかり…すぐに近道に案内するからね!】
(魔法のアウラが漂う)
『木が…避けてる…』
(感動したように)
「あっ…もう村が見えるよ!すごい…」
【えへへ…どうかな?ハル、イデア、また遊ぼうよ?】
(少年少女を優しく地面に下ろして)
『う、うーん…遊ぶというよりは…』
【あっ、うんうん!金の鳥!探しに!】
(笑顔になって、首を縦に振る)
「うん…また来るね!」
『うん。約束する。』
【わぁ!やった!ありがとう!待ってるからね!ハル!イデア!】
(とても嬉しそうに)
ーーアルケミ大陸 北西部 ヨアの村ーー
「ねぇ、ハル!ウアス、大っきかったね!黒くてカッコいいドラゴンだった!」
(興奮した様子で)
『うぅん…そーかもね。でも、俺達は金の鳥を探しに行くんだよ?遊びに行くんじゃないからね?』
(嫉妬心を隠せず)
「はいはい…そんなおとぎ話まだ信じてるんだね、ハルは?」
(からかうように)
『違うよ…ちゃんとこの目で見たんだよ。雲を焼くーー』
「金色の羽根?」
(さえぎる)
『そう!……あれ…何で知ってるの?』
「アハハッ……ハル…もう5回くらい同じ話聞いたよ?」
(楽しげに笑う)
『そーゆーイデアこそ…ウアスの話ばっかり。』
「あれ?そお?うふふっ!ドラゴンさんのお友達ができちゃったなんて聞いたら…きっとみんなビックリするね!」
『信じてもらえないと思うけどなぁ……』
(空を見やる)
「そう言うと思って…ほら!これ!」
(懐から、鋭い何かを取り出す)
『えっ…何これは……ギザギザの…ナイフ?』
「ウアスの牙!ほら、皆で一緒に果物食べた時に、抜けてたのを拾ってきたの!」
『そんな鋭いもの…振り回したら危ないよ、イデア…』
(夜。おもちゃと絵が散乱する子供部屋で、少年少女が二段ベッドで横になっている)
「ねぇ…ハル?金の鳥に…何を、おねがいするの?」
(眠れない様子で)
『あぁ…そういえば…考えてなかったかも。』
(あくびしながら)
「ふふっ…私はね…一つあるんだよ。」
『分かった…ガラスで出来たお城を建ててもらうんだろう?』
「不正解ー。」
(意地悪そうに)
『えぇ……何なんだ…?』
「それはね…ハル…それはね……」
過去はいつも輝いて見える。
だのに、未来はそうじゃない……
本当に、不思議だね?
つづく……